心理的ストレスと乳がんの悪性度とに関連が認められた [2011-09-27]
Association found between psychological stress and aggressiveness of breast cancer
心理的ストレスが乳がんの悪性度に役割を果たしている可能性があるとのスタディ結果がThe Science of Cancer Health Disparitiesの第4回American Association of Cancer Research(AACR)学会で報告された。研究者らは、患者の報告による恐れ、不安および孤立などの心理的ストレスに対する認識と乳がんの悪性度との関連を調査した。スタディには最近乳がんと診断された患者989人が組み入れられた;うち411人はヒスパニック系でない黒人、397人はヒスパニック系でない白人、181人はヒスパニック系であった。その結果、心理的ストレススコアは白人と比較し黒人およびヒスパニック系の患者において高かった。患者らのストレスレベルは診断後2〜3ヵ月に調査された。ストレスレベルが高いと報告した患者はより悪性度の高い腫瘍を有する傾向にあったが、診断の1年以上前にストレスについて質問されていたら同様の関連が認められたかどうかは不明である。また、何がこの関連性を引き起こしているか:つまり、これらの患者の生活におけるストレスが腫瘍の悪性度に影響しているのか、またはより悪性度の高い腫瘍との診断がストレスの度合いに影響しているのか、あるいは両者が影響しているのかについても不明である。
磁気共鳴画像技術は口腔がんの下顎への浸潤を見極めるのに役立つようである [2011-09-27]
Magnetic resonance imaging technique appears feasible to help identify involvement of mandible by oral cancer

予備試験の結果、SWIFT (Fourier transformを用いて画像をsweepする)と呼ばれる磁気共鳴画像(MRI)技術は、口腔がんの下顎への浸潤の検出の補助となる3次元評価の提供に役立つ可能性があるとArchives of Otolaryngology-Head and Neck Surgery 9月号に掲載された。口腔がんの下顎への浸潤の術前評価において様々な画像技術(最も一般的にはコンピュータ断層法およびMRI)が使用されているが、これらの技術により常に明瞭かつ正確に下顎内の腫瘍浸潤が評価できるわけではない。スタディ参加者は、第三次病院で下顎区域切除を施行された口腔がん患者であった。研究者らは9.4-T Varian MRIシステムを使用して各患者につき2検体を取り、がん細胞の下顎骨皮質および髄質への浸潤を評価した。組織標本とSWIFT技術により得られた画像を比較した。SWIFT技術により作成されたin vitro検体の画像の解像度(156〜273マイクロメートル)は十分であり、骨皮質および髄質への腫瘍浸潤を正確に描出した。腫瘍の下顎への浸潤は両方の病理組織検体において認められた。磁気共鳴画像と病理組織学的所見には高度の相関が認められた。

2つのスタディの結果から若年女性における乳房温存術と乳房切除術とで再発率および生存率が同等であることが示された [2011-09-20]
Centers collaborate to reveal unexpected genetic mutations that drive development of malignancies
2011年American Society of Clinical Oncologyの乳がんシンポジウムで発表された2つのスタディの結果、40歳以下の乳がん患者における乳房温存術と乳房切除術とで再発率および生存率が同等であることが報告された。最初のスタディは600人以上の女性の医療記録を術式により解析したレトロスペクティブスタディであった。対象者全体の経過観察期間中央値は72ヵ月であり、乳房腫瘤切除術を施行された者と乳房切除術を施行された者とで局所再発率に差はなかった(7.34%対7.40%、 p=0.980)。National Cancer InstituteのSEER(SEER:Surveillance, Epidemiology, and End Results;調査、疫学、および予後)データベースを用いた2つ目のスタディでは15,000人近い女性の全生存率および乳がん特異的生存率を比較した。診断年、年齢、人種/民族、腫瘍グレード、プロゲステロン受容体の状態、腫瘍サイズ、およびリンパ節の状態など患者の様々な可変因子を考慮した結果、これら2群間における全生存率およびがん特異的生存率に差がないことが示された。研究者らはまた、腫瘍サイズ、腫瘍グレード、および陽性リンパ節数などをマッチさせた、乳房温存術または乳房切除術を受けた女性4,644人からなる小さいサブセットを観察し、全生存率およびがん特異的生存率に差がないことも明らかにした。

カテプシン Sと心血管疾患およびがんによる死亡リスクとの関連性が発見された [2011-09-20]

Association found between cathepsin S and risk of death from cardiovascular disease and cancer
蛋白バイオマーカーカテプシン Sの血中レベルの高い高齢男女は死亡リスクが高いとのスタディ結果がEuropean Society of Cardiology学会において発表されJAMAオンライン版に掲載された。研究者らは2つの独立した地域ベースのコホート(ウプサラ成人男性長期スタディ(ULSAM;対象1,009人;平均年齢:71歳;経過観察期間中央値:12.6 年間)およびウプサラ高齢者血管系前向き調査(PIVUS;対象 987人;平均年齢:70 歳;経過観察期間中央値:7.9 年間)のデータを使用した。ULSAM群では413人が死亡した(心血管死131人、癌死148人)。PIVUSスタディでは100人が死亡した。年齢、収縮期血圧、糖尿病、喫煙、ボディマスインデックス、総コレステロール、高密度リポ蛋白コレステロール、降圧治療、脂質低下療法、および心血管疾患歴で補正した結果、カテプシン Sは死亡リスク上昇と関連があった。PIVUSコホートでは血清中カテプシンSレベルが最も高い人々では最も低い人々と比較し死亡リスクが2倍(200%)であった。ULSAMコホートでは、このバイオマーカーレベルが最も高い人々は心血管死亡リスクが1.6倍(60%)高く、癌死のリスクも高かった。
 


 

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