前立腺がん診断時に喫煙していた患者は死亡リスクが高い
  抗体製剤はALLに対し有効である(ASCO: Abstract No. 6507)
  卵巣がんにおけるbevacizumabの治療ベネフィット(Abstract No. LBA5006 and5007)
  前立腺がん循環腫瘍細胞は生存期間と相関する(Abstract No. LBA4517)
  リンパ節への放射線照射は早期乳がんの予後を改善する(Abstract No. LBA1003)
  肺がんに対する維持療法は無増悪生存期間を改善する(Abstract No. CRA7510)
  アジュバント化学療法を早く開始するのが最適なようである(Abstract No. 6125)
  薬物により骨髄線維症の奏効率が改善する(Abstract No. LBA6501)
  新たな化学療法レジメンにより高リスクALLの生存率が改善する(Abstract No.3)
  長期のイマチニブ投与により高リスクGIST患者の生存期間が延長される(Abstract No.LBA1)
  BRAF阻害剤は転移性メラノーマの生存率を改善する(Abstract No.LBA4)
  治療により小児神経芽腫の生存率が改善する(Abstract No.2)
  メラノーマのファーストライン治療としてipilimumabは有効である(Abstract No.LBA5)
  エキセメスタンは健常女性の乳がんリスクを軽減させる(Abstract No.LBA504)
  HPV検査単独の方がパップ検査よりも優れているようである(Abstract No.1506)
  新たな複数分子を標的とした分子標的薬は骨転移病変を縮小または除去する(Abstract No.3010)
  全ての男性が頻回のPSAスクリーニングを必要とするわけではない(Abstract No. 4512)
  CA-125と経膣エコーによるスクリーニング法は有効ではない(Abstract No. 5001)
  喫煙の乳がんに対するリスクのエビデンスがさらに得られた(Abstract No.1505)
  PARP阻害薬は再発性卵巣がんの生存率を改善する(Abstract No.5003)



前立腺がん診断時に喫煙者であることと死亡および再発リスク上昇は関連がある [2011-06-28]
Being a smoker at time of prostate cancer diagnosis linked with increased risk of mortality and recurrence
前立腺がんと診断された喫煙者の男性は、総死亡、心血管死亡および前立腺がんに特異的な死亡のリスクが高く前立腺がんが再発しやすいとのスタディ結果がJAMA 6月22/29日号に掲載された。このスタディには1986〜2006年に前立腺がんと診断されたHealth Professionals Follow-Upスタディ対象者の男性5,366人が含まれた。1,630人が死亡し、うち524人(32%)は前立腺がん死、416人(26%)は心血管疾患(CVD)による死亡、878人においては生化学的再発を来した。喫煙歴のない者と比べ、現喫煙者は前立腺がん、CVDおよび総死亡、生化学的再発のリスクが高かった。年間喫煙本数が多いほど前立腺がんによる死亡、CVD死、および総死亡リスクが高かったが、生化学的再発ではそうではなかった。現喫煙者と比較し、10年以上前に禁煙した男性の前立腺がん死リスクは喫煙歴のない者と同等であった。
Phase IIスタディにおいて難治性または再発性急性リンパ性白血病に対して61%の奏効率が認められた [2011-06-28]
Phase II study shows 61 percent response rate for patients with resistant or recurrent acute lymphoblastic leukemia
急性リンパ性白血病(ALL)細胞を選択的に破壊する化学療法薬となりうる薬剤と結合した抗体が、46人の患者の61%において疾患を根絶または著明に軽減させたとのPhase IIスタディの結果が2011年American Society of Clinical Oncology学会で発表された。CMC-544としても知られるこの薬剤は、90%以上のALL細胞の表面に認められた蛋白CD22を標的とする抗体および細胞毒性薬あるcalicheamicinと結合する。この薬剤がひとたびCD22に結合すると、ALL細胞はこれを内部に引き込み死滅する。今回のトライアルに組み入れられたのは、他の治療に抵抗性であるかまたは再発したALL患者であった。奏効性を評価された46人中9人が完全寛解し、14人は血小板数が完全に回復はしないが完全寛解し、5人は血球数の回復は認めないが骨髄中の芽球が5%未満となった。奏効が得られた患者のうち16人はその後、ドナーによる造血幹細胞移植を受けた。筆者らは、他の化学療法薬との併用に加え3週ごとの投与から毎週投与への移行に関して調査すべきであると提案している。
新たに診断された卵巣がんに対するbevacizumab使用に関する初期データから再発リスクの高い女性の生存率に関する有益性が示唆された [2011-06-21]
Initial data on use of bevacizumab for newly diagnosed ovarian cancer suggests survival benefit for women at high risk of recurrence
第47回ASCOで報告された無作為化Phase IIIトライアルの生存率に関する中間データから、新たに診断された卵巣がん患者に対する標準的なカルボプラチンおよびパクリタキセル化学療法へのbevacizumab併用は、特により進行の速い患者において、化学療法のみの治療と比較し有益である可能性が示唆された。ICON7スタディにおいて、新たに診断された、高リスクまたは進行上皮性卵巣がん、原発性腹膜がん、または卵管がん患者を6サイクルの化学療法単独、または同様の化学療法とbevacizumabの同時併用を受けその後ベバシズマブ単独療法を12ヵ月受ける群に無作為に割り付けた。フォローアップ期間中央値28ヵ月後、死亡は標準治療群よりもbevacizumab群において少なかった(それぞれ178対200、p=0.11)。再発リスクの最も高い患者においてあらかじめ計画されていたサブグループ解析では、36%の死亡リスク低下が認められた(p=0.0002)。やはりASCO学会で発表されたOCEANSスタディでは、bevacizumabとプラチナ製剤ベースの化学療法の併用により、再発性卵巣がん、腹膜がん、および卵管がんの無増悪生存期間が延長した。

前立腺がん循環腫瘍細胞は生存期間のサロゲートバイオマーカーとなりうる [2011-06-21]

Prostate cancer circulating tumor cells could be used as surrogate biomarker for survival
転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の全生存期間延長に対するabiraterone acetateの有効性を示した前向き無作為化Phase IIIトライアルの解析から、循環腫瘍細胞(CTCs)レベルは生存期間と相関があることも明らかにされたと2011年ASCOで発表された。1,195人の患者を対象としたPhase III COU-AA-301トライアルにおいてabiraterone療法はmCRPCの全生存期間を有意に改善した(abirateroneおよびプレドニゾン投与群で15.8ヵ月に対しプレドニゾンおよびプラセボ投与群で11.2ヵ月、p<0.0001)。このトライアルにおいて研究者らは972人の患者においてベースライン時に、723人においては3ヵ月後にもCTC数計測を行い、abiraterone療法によりCTCs数が減少し、好ましくない計測数(CTC≥5)から好ましい計測数(CTC<5)に“変換”したことを確認した。この結果は治療後4ヵ月ほどの早期の予後および全生存期間が良好であることの予測因子であった。これらの初期結果から、CTCsを去勢抵抗性疾患に関する臨床試験の生存期間のバイオマーカーパネルの一部として使用する研究が導かれた。過去のスタディでは、mCRPCにおいてCTCs数減少により全生存期間が改善し、一部の症例においてはPSAよりもより強力な生存期間の早期予測因子であることが示されていた。

局所リンパ節放射線照射を追加することにより早期乳がん女性の再発が減少する  [2011-06-21]

Adding regional nodal irradiation decreases recurrences in women with early breast cancer
2011年ASCOで報告された無作為化Phase IIIトライアルの中間解析のデータから、リンパ節転移陽性または高リスクのリンパ節転移陰性乳がん患者において、局所リンパ節放射線照射(RNI)を併用することにより無病生存期間が改善し、腫瘍部位の近辺および他の身体部位のがん再発が減少することが報告された。このスタディは1,832人の女性を組み入れた。そのうちほとんど(85%)が1〜3個のリンパ節転移を有しており、高リスクでリンパ節転移陰性の乳がんを有している割合(10%)は少なかった。全員が乳房温存術およびアジュバント化学療法または内分泌療法による治療を過去に受けており、その後、全乳房照射(WBI)単独またはWBIとRNI併用群に無作為に割り付けられた。フォローアップ期間中央値62ヵ月の後、RNIも受けた患者の無病生存率は33%改善した(WBI単独の84%からRNI併用療法89.7%、ハザード比0.67;p=0.003)。これには孤立性局所無病生存率の41%低下(5.5%から5年後3.2%、 p=0.02)、および遠隔無病生存率の36%低下(13%から5年後7.6%、p=0.002)が含まれた。全死亡率はRNI群において24%低下した(p=0.07)。

ペメトレキセドによる維持療法を拡大することにより進行肺がん患者の無増悪生存期間が改善する [2011-06-21]

Extending pemetrexed treatment as maintenance therapy improves progression-free survival in patients with advanced lung cancer
2011年ASCOで発表されたPhase III無作為化トライアルの結果、化学療法薬ペメトレキセドを用いた維持療法により、初回化学療法の一部としてもペメトレキセド投与を受けた進行非扁平上皮非小細胞肺がん患者の無増悪生存期間(PFS)が改善することが示された。PARAMOUNTは、非常に難治性の非小細胞肺がん患者の無増悪生存期間を維持療法の継続により上昇させうることを示した初めての大規模トライアルである。このスタディにおいて939人の患者が、ペメトレキセドおよびシスプラチンを用いて疾患の寛解導入を試みる標準的な4コースのファーストライン寛解導入療法を受けた。これらの患者のうちがんが進行しなかった患者539人がペメトレキセド維持療法および最適な支持療法を受ける群(359人)またはプラセボと最適な支持療法を受ける群(180人)に無作為に割り付けられた。最適な支持療法とは、例えば疼痛や感染症を軽減したり食欲を刺激したりするなどの非抗がん療法である。ペメトレキセド維持療法により疾患進行リスクが38%低下した(p=0.00025)。PFS中央値はペメトレキセド群で4.1ヵ月であったのに対しプラセボ群では2.8ヵ月であった。疾患コントロール率はペメトレキセド群で71.8%であったのに対しプラセボ群では59.6%であった(p=0.009)。
大腸がん手術後の化学療法開始時期が遅延するほど生存率が低下する  [2011-06-21]
Following colorectal cancer surgery, longer delay to beginning chemotherapy associated with worse survival
過去に公表されたスタディのデータ解析から、大腸がん(CRC)の術後アジュバント化学療法(AC)開始までの期間が長いほど生存率が低いことが示されたとのメタ解析の結果が2011年ASCOで発表されJAMA 6月8日号に掲載された。研究者らは計15,410人の患者を対象としたスタディの組み入れ条件を満たす10のスタディ(雑誌に掲載された論文7本とアブストラクト3本)を特定した。ACまでの期間が4週間増加すると全生存期間および無増悪生存期間が有意に低下した(14%)。術後どれ位経過した後に化学療法を始めたら有益性が限られてしまうかとの論点に関して筆者らは、彼らの研究結果から4週後ではなく12週後に化学療法を開始した場合の生存率が48%であったことが示されたことから、12週後に化学療法を開始しても何らかの有益性が得られることが示唆され、したがって妥当な有効期間は4〜5ヵ月の単位であろうと述べている。これらの結果から、CRC患者の管理および予後においてACのタイミングが重要な役割を果たしており、医師らが化学療法開始の遅延を避けることは賢明であることが示唆された。
JAK阻害薬は高リスク骨髄線維症患者の奏効率を改善する  [2011-06-21]
JAK inhibitor improves response rate for patients with high-risk myelofibrosis
あるヨーロッパの無作為化Phase IIIトライアルの結果、Janusキナーゼ(JAK)阻害薬ruxolitinibが、しばしば白血病に到る致死的な可能性のある骨髄疾患である骨髄線維症の3つの型の治療の奏効率を顕著に改善することが示されたと第47回ASCOで発表された。全ての患者においてJAKシグナリングパスウェイが活性化していたが、JAK2遺伝子の変異を有していたのは全体の約半数であった。RuxolitinibはJAK阻害薬でありJAK2変異の有無にかかわらず有効である。COMFORT IIトライアルは、原発性骨髄線維症、真性多血症後骨髄線維症または本態性血小板血症後骨髄線維症の成人患者におけるruxolitinibの有効性、安全性および忍容性を現在可能な最適な治療法と比較調査した。このスタディでは中等度または高リスクの患者をruxolitinib(146人)または可能な最適な治療法(73人)に無作為に割り付け、有効性のエンドポイントは脾臓サイズの35%以上の減少とした。Ruxolitinib群では24週後に31.9%の患者が、48週後には28.5%がこのエンドポイントを達成した。可能な最適な治療を受けたコントロール群患者においてはこのレベルの脾臓サイズの縮小を認めた者はいなかった。

メトトレキサート大量療法はB前駆細胞性急性リンパ性白血病の小児および若年成人の無イベント生存率を上昇させる [2011-06-14]

High-dose methotrexate boosts event-free survival for children and young adults with B-precursor acute lymphoblastic leukemia
高リスクB前駆細胞性急性リンパ性白血病(ALL)の小児および若年成人においてメトトレキサート大量療法は標準的なメトトレキサート 漸増療法よりも優れているとのスタディ結果が第47回ASCOで発表された。このPhase IIIスタディは高リスクB前駆細胞性ALLと新たに診断された1〜30歳の患者2,426人を、標準的な導入化学療法および地固め化学療法後の2ヵ月の中間維持治療期間中にメトトレキサート大量療法群またはメトトレキサート漸増とアスパラギナーゼの併用群に無作為に割り付けた。計画されていた中間解析における5年間の無イベント生存率は、メトトレキサート大量療法群で82%でありメトトレキサート漸増療法群においては75%であった。骨髄およびCNS再発もまた大量療法群において有意に少なかった(それぞれ42対68および22対32)。発熱性好中球減少症発現率は大量療法群で低かった(5.2%対8.2%;P=.005)。その他の有意な毒性に関して差はなかった。登録は早期に中止され、メトトレキサート大量療法の適応である患者はその後、大量療法レジメンを受けることができた。

イマチニブを用いたエクステンディドアジュバント療法は高リスク消化管間質腫瘍患者の生存期間を改善する [2011-06-14]

Extended adjuvant therapy with imatinib improves survival for patients with high-risk gastrointestinal stromal tumors
2011年ASCOで発表された前向き無作為化多施設Phase IIIトライアルの結果、高リスク消化管間質腫瘍(GIST)術後3年間のイマチニブ治療により1年間のイマチニブ治療と比較し、全生存期間および無再発生存期間の改善が示された。このスタディにおいて再発リスクの高いGIST患者400人が術後1年または3年間のイマチニブ投与を受ける群に無作為に割り付けられた。フォローアップ期間中央値54ヵ月後の5年無再発生存期間は1年治療群(47.9%)と比較し3年治療群(65.6%)で高かった。同様に、5年生存率もアジュバントイマチニブ療法による1年治療群と比較し3年治療群において高かった。イマチニブの忍容性は全般的に良好であり多くの副作用はこの薬剤を投与された患者において典型的に認められるものであった。しかし、1年治療群患者の7.7%および3年治療群の13.7%が副作用のために治療を中断した。このスタディ結果から、3年間にわたる治療コースが再発リスクの高いGIST患者の新たな標準治療となりつつある。

Vemurafenibは進行メラノーマ患者の無増悪生存期間を改善する初めての薬剤である  [2011-06-14]

Vemurafenib first drug to improve progression-free survival in patients with advanced melanoma
第47回ASCOで発表されNew England Journal of Medicineオンライン版に掲載された無作為化国際Phase IIIトライアルの結果、BRAF遺伝子のV600E変異を標的とするvemurafenib(PLX4032)は進行メラノーマ患者において標準的治療と比較し全生存期間を改善した初めての薬剤である。このトライアルでは、治療歴のない手術不能なステージIIICまたはステージIVの転移性メラノーマを有しBRAF遺伝子にV600E変異のある患者675人において、zvemurafenibを用いた治療と化学療法薬dacarbazineを比較した。計画されていた3ヵ月後の中間解析において、vemurafenib 投与患者はdacarbazine投与患者と比較し死亡リスクが63%低かった(hazard ratio [HR]0.37;P<0.001)。Vemurafenib群はまたdacarbazine群よりも疾患進行(または死亡)リスクが74%低く(HR 0.26、P<0.001)奏効率が高かった(48.3vs5.5 %、P<0.001)。最も多い副作用は発疹、光線過敏症、肝酵素上昇、および関節痛であった。これらの副作用のうちグレードIII以上であったのは10%未満であった。

新たな高用量化学療法レジメンにより難治性神経芽腫の小児の生存率が改善する [2011-06-14]

New high-dose chemotherapy regimen improves survival in children with hard-to-treat neuroblastoma
高リスク神経芽腫の小児における骨髄破壊的化学療法薬ブスルファンとメルファランの併用(BuMel)による無イベント生存率および生存率は、カルボプラチン、エトポシドおよびメルファラン(CEM)の3種類の化学療法薬による異なる骨髄破壊的療法と比較し良好であるとのスタディ結果が2011年ASCOで発表された。ヨーロッパSIOP神経芽腫グループが行ったHR-NLB1トライアルはこれら2種類の高用量骨髄破壊的化学療法レジメンの有効性を比較した。このトライアルではステージIVの遠隔転移またはMYCN腫瘍遺伝子増幅を有する高リスクの小児563人(年齢中央値3歳)を、BuMel(281人)またはCEM(282人)投与群に無作為に割り付けた。3年後の無イベント生存率はBuMel群で49%であったのに対しCEM群では33%であった。3年後の全生存率はBuMel投与群の60%に対し、免疫療法を行わないCEM群では48%であり、ブスルファン群の方が再発および進行率が低かった(47%対60%)。しかし、神経芽腫の治療にはリスクを伴わないわけではない。治療関連死はBuMel群で3%であり、CEM群で5%であった。これらの結果に基づき、無作為化は早期に中止された。
モノクローナル抗体ipilimumabと化学療法の併用は転移性メラノーマの全生存率を改善する  [2011-06-14]
Monoclonal antibody ipilimumab plus chemotherapy improves overall survival in metastatic melanoma
2011年ASCOで発表されNew England Journal of Medicineオンライン版に掲載されたPhase III無作為化スタディの結果、免疫療法薬ipilimumabと標準的な化学療法薬dacarbazineの併用によるファーストライン治療により未治療の転移性メラノーマ患者の全生存率が改善することが示された。昨年の2010年の学会において、ipilumumabはメラノーマワクチンgp100と比較し生存率を改善することが示された。今回のスタディにおいて転移性メラノーマ患者502人がipilimumabと dacarbazine併用群(250人)またはプラセボとdacarbazine投与群(252人)に無作為に割り付けられた。1年後の全生存率は併用療法群において47.3%であったのに対しdacarbazine単独療法群では36.3%であった。2年後の全生存率は2剤併用群で28.5%であったのに対しdacarbazine単独群では17.9%であった。3年後の総生存率は2剤併用群で20.8%であったのに対し化学療法単独群では12.2%であった。全生存率中央値はipilimumabとdacarbazine投与群で11.2ヵ月であったのに対しdacarbazine単独投与群においては9.1ヵ月であった(死亡のハザード比[HR] 0.72)。無増悪生存期間中央値は併用療法の2.8ヵ月に対しdacarbazine単独群では2.6ヵ月であり、ほぼ同等であった。
アロマターゼ阻害薬は高リスクの閉経後女性における浸潤性乳がんリスクを軽減する  [2011-06-14]
Aromatase inhibitor significantly reduces risk of invasive breast cancer in high-risk, postmenopausal women
2011年ASCO学会で発表されNew England Journal of Medicineオンライン版に掲載された大規模無作為化二重盲検Phase IIIトライアルの結果、乳がん発症リスクの高い閉経後女性においてアロマターゼ阻害薬エキセメスタンが乳がん発症リスクを65%低下させることが示された。MAP.3(乳がん予防トライアル:Mammary Prevention Trial-.3)スタディは健常女性におけるアロマターゼ阻害薬の乳がん予防効果を評価した初めての無作為化トライアルである。このトライアルは、リスクファクター(60歳以上;5年Gailリスクスコア1.66%超;異型乳管または小葉過形成または上皮内小葉がんの既往;または乳房切除術後の上皮内乳管がん)を1つ以上有する閉経後女性4,560人を組み入れた。フォローアップ期間中央値3年後に、浸潤性がんはエキセメスタン群において65%少なかった(浸潤性乳がんはエキセメスタン群で11人に対しプラセボ群で32人)。このトライアルの患者66症例において浸潤性乳がんと前浸潤性DCISが60%減少した。重要なことに、異型乳管または異型小葉過形成などの前駆病変もエキセメスタン群において少なかった。
ほとんどの女性はHPVスクリーニングを3年ごとに延長しても安全である [2011-06-07]
Most women can safely extend HPV screening to every three years
通常の臨床現場における子宮頸がんスクリーニングとしてのヒトパピローマウイルス(HPV)検査とパップ検査の両者に関する初めての大規模スタディの結果、スクリーニング間隔を1年から3年に延長しても安全であることが確認された。HPV検査はまた子宮頸がんハイリスク女性をパップ検査よりも多く検出したと第47回American Society of Clinical Oncology(ASCO)学会で発表された。研究者らは30歳以上の女性331,818人を追跡した。パップ検査で正常でありHPV陰性女性の5年間のがんリスクは非常に低く10万人当たり3.2人であった。個々の検査を観察すると、HPV陰性女性はパップ検査正常女性と比較しがんのリスクが半分であり(10万人当たり3.8人対7.5人)、HPV検査単独の方がパップ検査よりも正確であり、HPVとパップ検査併用と比較しHPV検査のみを行うことによるがんのリスクは同様に低い(10万人当たり3.8対3.2)ことが示唆された。組み入れ時HPV陽性であった女性(パップの検査結果に関係なく)はHPVの結果に関係なくパップ検査で異常であった女性と比較し、5年間の子宮頸がんまたは前がん状態リスクが高かった(年間1.5対0.9)。

経口METおよびVEGFR2阻害薬は複数の進行固形がんに対し有意な有効性を有する [2011-06-07]

An oral inhibitor of MET and VEGFR2 has significant effect on several advanced solid tumors
経口METおよびVEGFR2(多くのがんの発現や増殖に関係するキナーゼ)阻害薬Cabozantinib(XL184)は様々な進行がんを有する患者において強力な有効性を有することが、第47回ASCOで発表されたPhase IIトライアルの結果示された。骨転移を有するまたは有さない進行固形がん患者がcabozantinibを12週間にわたり内服した。このトライアルは、部分寛解をした患者は内服を継続し、疾患が安定している患者はcabozantinibまたはプラセボに無作為に割り付けられ、疾患が進行した患者はトライアルから外れるといった、“中断”トライアルとしてデザインされた。様々なタイプのがんを有する評価可能であった患者398人における奏効率は9%(398人中34人)であった。12週後のコントロール率(部分寛解および疾患の安定)が最も高かったのは肝がんの76%(29人中22人)であり、前立腺がんで71%(100人中71人)、卵巣がんでは58%(51人中32人)であった。骨転移を有する68人(乳がん、前立腺がんおよびメラノーマ)中59人が部分寛解または、しばしば有意な疼痛軽減や他のがん関連症状の改善に結びつく骨スキャン上の完全な病変消失を来した。

新たなスクリーニング法の結果、PSAレベルにより転移性前立腺がんまたは前立腺がん死のリスクを予測できる可能性が示唆された  [2011-06-07]

Novel-screening approach suggests PSA levels may predict risk of metastatic prostate cancer or prostate cancer-related death
過去にスクリーニングを受けていないスウェーデン男性における大規模レトロスペクティブケースコントロールスタディの結果、44〜50歳の男性における初回スクリーニング時の前立腺特異抗原(PSA)により、最大30年後の前立腺がん死または転移性前立腺がん発症のリスクが予測できることが示されたとの研究結果が第47回ASCOで発表された。このスタディでは、44〜50歳の時点で計測したPSAレベルが上位10%(>1.6ng/ml)であった男性の44%が前立腺がんにより死亡した。結果として、この少人数の男性集団においては、前立腺がん死の半分近くが集中的な調査により予防できる可能性があったと筆者らは述べている。さらに、同年齢層に比してPSA値の低い男性は数十年後の転移性前立腺がん発症または前立腺がん死リスクが比較的低く(28〜0.5%)、生涯において3回の検査しか必要でない可能性がある。この結果は、頻回にスクリーニングを行う必要のある人を決定するのに重要な意味をもつ可能性がある。

CA-125と経膣エコーを用いたスクリーニングは卵巣がん死亡率を減少させず偽陽性率を上昇させる結果になる [2011-06-07]

Screening with CA-125 and transvaginal ultrasound does not reduce ovarian cancer death rate, results in more false positives
80,000人近くの女性を対象とした無作為化多施設スクリーニングスタディの結果、卵巣がん早期発見目的の血中CA-125検査と経膣エコーの併用は卵巣がん死亡率を減少させず、多数の偽陽性およびそれに基づく生検例さらにフォローアップ検査を産出する結果となることが第47回ASCOで発表され、JAMA 6月8日号に掲載される。55〜74歳の女性を年1回のスクリーニング(39,105人)または通常の管理(39,111人)を受ける群に無作為に割り付けた。スクリーニング群の女性は年1回のCA-125検査および経膣エコー検査(それぞれ6年間と4年間)を受け、13年間追跡調査された。通常管理群の女性はこれらのスクリーニング検査は要求されなかった。これらの2群間において卵巣がん発現率または死亡率に統計学的有意差は認められなかった。しかし、スクリーニング群女性においては、真陽性が212例であったのに対し、多くの偽陽性−3,285例が認められた。偽陽性であった女性において1,080人が生検のために手術を施行された;うち163人において重篤な合併症が発生した。筆者らは、これらの検査はすでに卵巣がんと診断された患者においては適切に使用されているが、一般の人々におけるスクリーニング法としては有用ではないと結論付けている。
中等度の飲酒はしなくとも長期喫煙することにより、乳がん高リスク女性において複数の一般的ながんのリスクが上昇する  [2011-06-07]
Long-term smoking, but not moderate alcohol use, linked to increased risk of multiple common cancers among women at high risk of breast cancer
13,000人以上の健康な女性を対象とした大規模前向き研究の結果、長期喫煙歴のある女性において浸潤性乳、肺、および大腸がんリスクが有意に高いことが示されたと第47回ASCOで発表された。喫煙歴のない女性と比較し、35年以上の喫煙歴のある女性は浸潤性がんのリスクが60%高く、喫煙歴が15〜35年の女性では34%高かった。喫煙歴が35年以上の女性においては喫煙歴のない女性と比較し、大腸がんのリスクが4倍以上であった;喫煙歴が15〜35年の女性では7%高かった。1日1箱のタバコを35年以上吸っていた女性は喫煙歴のない女性と比較し肺がんリスクが30倍高かった。1日1箱未満の喫煙を35年以上継続した女性は肺がんリスクが13倍高かった。身体活動が低いことと子宮体がんリスクとの関連も認められた。しかし、飲酒によるがんのリスク上昇は認められなかった。
維持療法およびPARP阻害薬は再発性卵巣がん治療において重要な役割を果たす可能性がある  [2011-06-07]
Maintenance therapy and PARP inhibitors could play important roles in treatment of relapsed ovarian cancer
第47回ASCOで発表されたphase II無作為化トライアルの結果、経口PARP阻害薬を用いた維持療法により最も一般的なタイプの卵巣がん患者の無増悪生存期間が4ヵ月延長したことが示された。この多施設国際スタディでは高悪性度の重症卵巣がん患者265人をolaparibまたはプラセボ投与群に無作為に割り付けた。患者はプラチナ製剤を基本とした治療により完全寛解または部分寛解を達成した後、8週以内にトライアルに組み入れられた。無増悪生存期間(PFS)はolaparib投与群において生存期間中央値8.4ヵ月とプラセボ投与群の4.8ヵ月よりも有意に長かった。データ解析の時点で、olaparib群に割り付けられた患者の半分(68人)が再発せず内服を継続していたのに対し、プラセボ群のうちプラセボ内服を継続していたのはわずか16%(21人)であった―したがって、全生存期間データはまだ解析として使用できていない。嘔気、倦怠感、嘔吐、および貧血などの有害事象はolaparib群においてプラセボ群よりも多く認められたが、これらの多くは重度ではなかった。副作用を軽減するための投与量減量がこのスタディでは認められており、それはolaparib群において(23%)プラセボ群(7%)よりも多く認められた。
 
 


 

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