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小児がん既往者は将来の消化管合併症のリスクが高い [2011-05-31]
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Childhood
cancer survivors at higher risk for future gastrointestinal
complications |
小児期にがん治療を受けた者は将来軽度から中等度の消化器(GI)合併症を発症するリスクが高いとのスタディ結果がGastroenterology
2011年5月号に掲載された。多施設小児期がん生存者スタディであるChildhood Cancer Survivor
Studyのデータを用いて、研究者らは種々のタイプのがん(白血病、脳腫瘍、リンパ腫、ウィルムス腫瘍、神経芽腫、肉種または骨腫瘍)に対し治療を受け治療後5年以上生存した患者14,358人における自己申告のGI疾患の頻度を評価した。ほとんどの患者が診断時10歳未満であった。がん既往者の40%以上が治療後20年以内に何らかのGI合併症を経験したと報告した。さらに、診断時年齢が高く、放射線療法、化学療法や手術などより侵襲的な治療を受けた者ほど長期間のGI疾患を発症する確率が高かった。無作為に選んだ患者の兄弟姉妹と比較し、がん既往者らは、潰瘍、食道疾患、消化不良などの上部GI疾患;大腸ポリープ、慢性下痢や腸炎;および肝硬変、胆石、および黄疸などの肝臓疾患を発症するリスクが高かった。 |
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乳がんに対する保存的治療の際の脂肪充填術は安全なようである [2011-05-31]
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Lipofilling
may be safe during conservation treatment for breast cancer |
Annals of Oncologyに掲載されたスタディの結果、乳がん患者に対する脂肪充填術は安全な施術であるようであるが、この結果を確実にするためにはさらに長期のフォローアップとさらなる研究が必要であると筆者らは述べている。研究者らは原発性乳がんの手術を受け、乳房再建の一部として脂肪充填術を施行された女性321人のデータを解析した。これらの女性を、原発性乳がんに対し手術は受けたが脂肪充填術を施行されなかった倍の人数(642)の女性とマッチさせた。初回手術の56ヵ月後および脂肪充填術26ヵ月後にがんの局所再発を来したのは脂肪充填群で8人およびコントロール群では19人であり、その差は統計学的に有意ではなかった。上皮内がんの患者の再発に特化してデータを解析したところ、脂肪充填術群では再発が3例認められたのに対しコントロール群ではゼロであった;この差は統計学的に有意であったが対象患者数が非常に少なかったことによる可能性もある。 |
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A+PSAアッセイは従来のPSAと比較するとより正確で偽陽性が少ないことが示された
[2011-05-24] |
A+PSA
assay shown to be more accurate and reduce false-positives
when compared to conventional PSA |
前立腺がん特異抗原(PSA)とともに6つの特異的な抗原のレベルを計測する新たな検査は、今日用いられているPSA検査よりもより感度が高く特異的であるとのスタディ結果がJournal
of Translational Medicine 5月号に掲載された。A+PSAアッセイと呼ばれるこの検査はまた偽陽性率も低下させる。このレトロスペクティブスタディでは、生検で確認された前立腺がん患者から術前に採血をし、前立腺肥大症または前立腺炎患者121人から採取した血液結果と比較した。このスタディでは、前立腺がん患者において主に認められ良性の前立腺疾患では認められない6つの特異的な前立腺がん関連抗原‐NY-ESO-1、SSX-2,4、XAGE-lb、AMACR、p90
および LEDGF‐に焦点を当てた。この新たな検査において、感度は79%であったのに対しPSA検査では52%であった。前立腺がんを有していないことを正しく同定された健康男性の割合である特異度は84%であったのに対し、PSA単独の場合は79%であった。従来のPSAを用いた場合の偽陽性率は21%であった。この新たなA+PSAアッセイを用いると偽陽性率は16%であった。 |
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進行前立腺がん患者は手術を受けると20年間生存できる
[2011-05-24] |
Advanced-stage
prostate cancer patients experience 20-year survival rates
with surgery |
進行前立腺がん患者の長期生存率の結果から、彼らは手術の良い適応でありうることが示唆されたとAmerican
Urological Association学会で発表された。このスタディでは、cT3前立腺がんとして知られる、前立腺を超えてがんが拡がっている可能性のあるがんと診断され、前立腺全摘除術または前立腺切除術を施行された患者の20年生存率が80%であることが示された。これまでcT3前立腺がんを有する患者には前立腺全摘除術ではなく放射線療法またはホルモン療法が推奨されていた。cT3と診断された患者の20年生存率が80%であるのに対し、cT2つまり前立腺に限局したがんでは90%であった。この1987〜1997年に手術を施行された患者の長期フォローアップはcT3患者の質的予後を理解する上で重要な進歩である。現在進行中のスタディによって近年のデータが明らかにされるであろう。筆者らはこの研究により局所進行前立腺がんと診断された患者は長期の、がんのない期間をエンジョイすることができることが確認できたと述べている。 |
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乳がんにおける循環腫瘍細胞の予後予測能がエビデンスにより支持される [2011-05-17]
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Evidence
supports prognostic value of circulating tumor cells in
breast cancer |
IMPAKT乳がんカンファランスの研究者らは、患者の血液検体内に‘循環腫瘍細胞(CTC)’が認められると疾患進行までの期間が短いなどの予後不良と強力な関連がみられるとの最強の証拠を報告した。フランスの研究チームは転移性乳がんに対しファーストライン化学療法を受けている患者267人において前向きスタディを施行した。各々の患者に対し彼らは、7.5mLの血液内の循環腫瘍細胞数の計測および他の血液マーカーの解析を行った。彼らは治療開始時およびその後数時点で計測を行った。ベースライン時CTCレベルが評価できた患者260人のうち、170人(65%)が7.5mLの血液検体中に循環腫瘍細胞を少なくとも1つは有しており、115人(44%)は5個以上有していた。スタディ終了時に施行した多変量解析の結果、CTC数を含むいくつかの因子が疾患進行および全生存期間と関連することが示された。筆者らは、彼らの新たな発見は、循環腫瘍細胞数に基づく治療調整により予後が改善するか否かを観察するようにデザインされた介入試験のお膳立てになると述べている。 |
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大腸がんスクリーニングのための便潜血検査は一部の高齢者においては有益であるが他の者においては有益でない [2011-05-17]
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Fecal
occult blood test for colon cancer screening is beneficial
for some seniors, but not for many others |
健康な高齢男性においては現在の大腸がんスクリーニング法は有益であるが健康でない者にとってはスクリーニングの負担が有益性を凌駕する可能性があるとArchives
of Internal Medicine 5月9日号に掲載された。スタディにおいて70歳以上の男性212人が便潜血検査(FOBT)で陽性の結果が出た後治療を受け、7年間追跡された。患者の半数余りがフォローアップの大腸内視鏡検査を受けた。その中の25%を超える患者が前がん腺腫またはがんを有し、治療を受け、5年以上生存した。しかし、フォローアップ大腸内視鏡検査を受けた患者の59%はがんを有さず、16%は5年以内に他の原因で死亡し、10%は大腸内視鏡検査またはがん治療のいずれかによる合併症を被った。フォローアップ大腸内視鏡検査を受けなかった患者のうち半分近くが5年以内に他の原因で死亡した。4人の患者が最終的に大腸がんで死亡した。FOBT陽性による正味の有益性を得たのは15%をわずかに超えただけであった。約14%は有益性が不確定であった。残りの70%は大腸がんスクリーニングにより実質負担を被っていた。 |
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前立腺がん治療によるホットフラッシュは鍼により軽減する
[2011-05-10] |
Hot
flashes from hormonal treatment of prostate cancer are
reduced with acupuncture |
前立腺がんを誘発するホルモンであるテストステロン作用に拮抗するように投与されたホルモンの副作用によるホットフラッシュ、動悸や不安を、鍼は長期にわたり軽減するとのスタディ結果がInternational
Journal of Radiation Oncology*Biology*Physics 4月号に掲載された。テストステロン作用低下は前立腺がんの有効な治療法であることが証明されている。しかし、約半分においてこの治療法は女性の更年期障害に類似した非常に不快なホットフラッシュを引き起こす。ある前向きスタディで研究者らは前立腺がんに対するホルモン治療のためにホットフラッシュを経験した男性14人を評価した。このスタディに組み入れるにあたりこれらの男性はホットフラッシュスコア(HFS)を提供され、日々のホットフラッシュによる不快度を評価した。最初の平均HFSは28.3であった。その後彼らは1回30分、週2回の鍼を4週間受けた。鍼開始から2週間経過した時点でHFSを再測定したところ半分以下の10.3に低下していた。治療6週後のHFSは7.5であった。8ヵ月後の平均HFSは7であった。 |
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高悪性度グリオーマ患者に対し化学放射線療法の神経系副作用を最小限にすることは生存期間延長に役立つ
[2011-05-10] |
Minimizing
neurological side effects from chemoradiation could help
patients with high-grade glioma live longer |
高悪性度グリオーマ患者に対し化学放射線療法の神経系副作用を最小限にすることにより患者の生存期間が改善する可能性があるとのスタディ結果がBritish
Journal of Cancer 4月号に掲載された。研究者らは、1983〜2003年に患者を組み入れた14の放射線療法オンコロジーグループ(RTOG)グリオーマ放射線治療スタディの対象患者2,761人のデータを解析した。患者が高齢、衰弱している、症状が多い、および放射線治療を1日2回受けている、などの場合に副作用が多かった。グリオブラストーマなどの悪性脳腫瘍を患う患者において、倦怠感および短期記憶低下などの治療中または治療直後に生じる早期副作用は後期副作用(90日後)および総生存率と相関があった。脳悪性腫瘍に対する化学放射線療法期間中に神経学的副作用を経験しなかった高悪性度グリオーマ患者はこれらの副作用が発現した患者と比較し、生存期間が4ヵ月長かった。この結果から、長期生存率を決定付ける正常組織損傷の重要性、およびより副作用を最小にすることにより予後が良好となることが示唆された。 |
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