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  高用量のロスバスタチンとアトルバスタチンは動脈硬化を同程度に
退縮(regress)させる(AHA Abstract # 18600)
  ベアメタルステントの再狭窄に対する新たな治療選択
(AHA Abstract # 10244 and 10265)
  心内膜炎に対する早期の手術により合併症を減らせる
可能性がある(AHA Abstract # 18470)
  近位PAD患者において監視下運動は歩行能力を向上させる(AHA Abstract # 18642)
  遺伝子的にクロピドグレルに耐性の人々に対し高用量クロピドグレルは
有効である(AHA Abstract # 18501)
  新たな血栓阻害薬は大規模トライアルにおいて期待された結果を
出せなかった(AHA Abstract # 18480)
  新薬は脂質に対して有益な効果を有する(AHA Abstract # 18597)
  抗不整脈薬が一部の患者に対して危険であることが証明された
(AHA Abstract # 19068)
  コレステロールがコントロールされている場合、ナイアシンは
心血管リスクを低下させない(AHA Abstract # 19623)
  薬剤抵抗性AFに対し外科的アブレーションは標準的なアブレーションよりも
勝っている(AHA Abstract # 18471)
  心房細動においてカテーテルアブレーションは薬物よりも有効である
(AHA Abstract # 18473)
  痛風治療薬が術後心房細動の発生を抑制する(AHA Abstract # 18622)
  ACS治療において抗凝固薬はリスクを低下させる(AHA Abstract # 26520)
  Abciximabの冠動脈内注入は静脈内投与よりも優れてはいない
(AHA Abstract # 18633)
  不整脈患者の突然死予防(AHA Abstract # 1633)
  定期的なデンタルクリーニングにより心血管リスクが低下する可能性が
ある(AHA Abstract # 17704 and 10576)
  ビタミンCレベル低下は心不全患者のリスクを上昇させる可能性がある
(AHA Abstract # 14667)
  女性において加糖飲料は心血管リスクを上昇させる可能性がある
(AHA Abstract # 8438)
  喫煙者の心疾患リスクの定量化
  ステント血栓リスクを上昇させるリスクファクター
  睡眠障害はMIリスクを増加させる
  e-カウンセリングは血圧を低下させる


SATURN:高用量のスタチンはプラークを減らし冠動脈疾患の予測される進行を逆行させる [2011-11-29]
SATURN: High doses of statins reduce plaque and reverse expected progression of coronary artery disease
2種類のスタチン−ロスバスタチン(40mg)およびアトルバスタチン(80mg)−の高用量投与はアテローム容積を軽減することにより冠動脈疾患の進行を逆行させたとのlate-breaking researchの結果が2011年American Heart Association学会で発表され、New England Journal of Medicineに掲載された。215施設の患者1,385人を対象としたSATURN(Study of Coronary Atheroma by Intravascular Ultrasound: Effect of Rosuvastatin Versus Atorvastatin 血管内超音波検査による冠動脈アテロームの研究:ロスバスタチンとアトルバスタチンの効果比較)は、冠動脈内超音波を用いて冠動脈プラークを計測した最大規模のスタディである。過去のスタディでは、両薬剤ともLDLコレステロール低下には有効であったが、高用量のロスバスタチンがHDLコレステロールを7〜15%上昇させたのに対し、アトルバスタチンのHDLに対する効果は少なかった。SATURNの24ヵ月間のプラークリグレッションの程度は両薬剤で同等であった(p=0.17;アテローム容積はアトロバスタチンにより0.99%減少しロスバスタチンにより1.22%減少した)。超音波の結果を他の方法で解析したところ、アテロームの総容積はアトルバスタチンにより4.4立方ミリメートル(p=0.01)、ロスバスタチンにより6.4立方ミリメートル(p<0.001)(群間比較でp=0.01)減少した。同様の患者に低用量の薬剤を投与した過去のスタディでは、心筋梗塞、脳卒中、または冠動脈形成術施行に至った患者が15〜20%であったのに対し、SATURNではこれらのイベント発症率はその半分未満であった。

薬剤溶出バルーンは狭窄を来したメタルステント拡張に有効であり出血リスクを軽減する [2011-11-29]

Drug-eluting balloons effectively open narrowed metal stents and reduce bleeding risks
狭窄を来したベアメタルステントへの薬剤溶出バルーン挿入は有望な血流再建療法であるとの研究結果が2011年American Heart Association学会で発表された。研究者らは、パクリタキセルでコーティングされた薬剤溶出バルーンを用いてベアメタルステントの再血行再建術を施行された患者84人を比較した。医師らは平均年齢67.5歳の男女の91病変を治療した。6〜9ヵ月後に、このバルーンにより85病変が開存していた。6つのステントにおいては新たな狭窄領域が認められたが、さらに施術が必要であったのはわずか3人であった。薬剤溶出メタルステントは薬剤が6〜8週間にわたり溶出するため、さらに血栓が生じる可能性がある。薬剤溶出バルーンは手技時間が非常に短いため、体がそれを“異物”と認識しにくくその挿入に対する反応がより軽度なようであると研究者らは述べている。他のスタディでは、同じ研究者らが、薬剤溶出バルーンは抗血栓治療期間が短くて済むため、出血リスクの高い患者において実用可能な選択肢であることを示した。 

EASE:感染性心内膜炎の診断後、早期の手術により一部の合併症および再感染が軽減できる [2011-11-29]

EASE: Surgery soon after diagnosis of infective endocarditis eliminated some complications and repeat infections
感染性心内膜炎の診断後、早期の手術により脳卒中および再感染の発現が軽減できるとのlate-breaking researchの結果が2011年American Heart Associationで発表された。韓国の研究者らは76人の患者(平均年齢48歳、男性69%)を、診断後48時間以内に手術を行う群と標準治療(抗生剤投与を行い、手術は重症例にのみ施行する群)とに無作為に割り付けた。患者のうち、標準治療群患者の77%が早期または待機的手術を診断後平均15日に受けた。早期手術群患者は診断の1日後に外科的修復術を施行された。手術6週後に、早期手術を受けた患者においては血管閉塞が認められなかったのに対し、標準治療群では脳卒中5件および動脈閉塞3件が発現した。院内死亡率は両群間で差はなく3%であった。治療6ヵ月後までに脳卒中および他の感染を発症した者は早期手術群では見られなかった。一方、標準治療を受けた患者の23%が合併症を発症した(塞栓イベント8件−うち5件が脳内、心内膜炎再発1件、および死亡2件)。死亡率は2群で同等であった:早期手術群3%および標準治療群5%。

CLEVER:末梢動脈疾患患者において監視下運動はステント留置よりも歩行能力をより増加させる [2011-11-29]

CLEVER: Greater gains seen with supervised exercise than stenting in patients with peripheral artery disease
末梢動脈疾患(PAD)の標準治療を施行されている患者に監視下トレッドミル運動プログラムを加えることによりステントを留置するよりも歩行能力が有意に改善したとのlate-breaking researchの結果が2011年American Heart Association学会で発表され、Circulationに掲載された。間欠性跛行:運動療法と血行再建術の比較研究(CLaudication: Exercise Vs Endoluminal Revascularization Study[CLEVER])と呼ばれるこのスタディでは、米国29施設の平均年齢64歳(男性61%)のPAD患者111人を組み入れた。半分以上が喫煙者であり4分の1近くが糖尿病を有していた。患者は、自宅でのウォーキングに加えシロスタゾールを内服する群またはこれに他の2つの介入(監視下トレッドミル運動および腸骨動脈内へのステント血行再建術)のいずれかを追加する群に無作為に割り付けられた。スタディ組み入れの6ヵ月後に、監視下運動プログラム群の患者においてはステント留置患者同様トレッドミル歩行時間が有意に増加した。それと比較し、家でのみ運動した患者においてはあまり改善が認められなかった。平均の増加運動時間は監視下運動とシロスタゾールの併用群で5.8分、ステント治療とシロスタゾール併用群で3.7分、家での運動とシロスタゾール併用群で1.2分であった。運動療法は下肢機能および症状は改善したが下肢への血流は改善しなかった。

ELEVATE-TIMI 56: CYP2C19遺伝子多型を有する人々において高用量クロピドグレルは有効である [2011-11-29]

ELEVATE-TIMI 56: Higher doses of clopidogrel effective in people with CYP2C19 gene variations
クロピドグレルの抗血小板作用の一部を阻害する遺伝子変異を有する患者において高用量クロピドグレルは標準用量よりも有効であるとのlate-breaking researchの結果が2011年American Heart Association学会で発表され、Journal of the American Medical Associationに掲載された。ELEVATE-TIMI 56は、特異的なCYP2C19遺伝子多型を有する患者において最高1日300mg(標準用量の4倍)のクロピドグレル維持用量を計画的に調査した初めてのスタディである。スタディには心筋梗塞既往者または血管形成術を施行された患者335人(平均年齢60歳、男性75%)を対象とした。一般集団と同様に、スタディ参加者のうち24%がCYP2C19遺伝子多型を1コピー有し、2%が2コピー有していた。クロピドグレル用量を増量することにより、CYP2C19遺伝子多型を1コピー有する患者においては抗血小板作用が改善した。クロピドグレルの用量を3倍または4倍に増加し血小板機能を評価したところ、有効性が最大でなかった患者はわずか10%であった。一方、CYP2C19遺伝子変異を有する患者の半分においては通常用量では望ましい抗血小板作用が達成できなかった。

TRA・CER:画期的新薬である経口PAR-1拮抗薬は急性冠症候群患者の有害事象を軽減することができなかった [2011-11-29]

TRA・CER: First-in-class oral PAR-1 antagonist failed to reduce adverse outcomes for patients with acute coronary syndromes
治験段階のある抗血小板薬は急性冠症候群患者の予後を改善しなかったとのlate-breaking researchの結果が2011年American Heart Association学会で発表され、New England Journal of Medicineに掲載された。急性冠症候群における血栓受容体拮抗薬による臨床イベント軽減(Thrombin Receptor Antagonist for Clinical Event Reduction in Acute Coronary Syndrome[TRA・CER])スタディでは、非ST上昇急性冠症候群患者においてvorapaxarとプラセボを比較した。研究者らは12,944人の患者(平均年齢64歳、男性72%)を組み入れた。患者全員が状態に応じて通常の医療(典型的にはアスピリンとクロピドグレルに加えカテーテル、ステントまたは適応があれば手術)を受けた。半分の患者はまた、初回用量1日40mgおよび維持用量1日2.5mgのvorapaxar(画期的新抗血小板薬、PAR-1拮抗薬)も投与された。残りの半分の患者はプラセボを投与された。Vorapaxar群患者が5つのアウトカム―心血管関連死、心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症による新たな入院または緊急血行再建術―の少なくとも1つを発現する確率はプラセボ群患者と全く同様であった。2年後までに各群の患者のほぼ5人に1人がこれらのアウトカムを発現した(vorapaxar群18.5%対プラセボ群19.9%)。Vorapaxar群では出血が多く認められ脳出血のリスクは3倍であった。

EvacetrapibはHDLコレステロールを上昇させLDLコレステロールを低下させる [2011-11-22]

Evacetrapib increases HDL cholesterol and decreases LDL cholesterol levels
予備的なトライアルの結果、低密度リポ蛋白コレステロール(LDL-C)または高密度リポ蛋白コレステロール(HDL-C)レベルが軽度異常の患者において、コレステリルエステル転送蛋白阻害剤evacetrapib単独使用またはスタチン薬物療法との併用により脂質レベルが有意に改善したとのlate-breaking researchの結果が 2011年American Heart Association学会で発表され、同時にJAMAに掲載された。患者(平均年齢58歳、女性56%)は12週間のプラセボ投与群(38人)、evacetrapib単独療法30mg/d(40人)、100mg/d(39人)、または500mg/d(42人)群;またはスタチン療法に100mg/dのevacetrapib内服を併用する、または併用しない群(計239人)に無作為に割り付けられた。Evacetrapibは単独療法薬として、HDL-Cを用量依存的に30.0から66.0mg/dL上昇させた(53.6%から128.8%)のに対し、プラセボでは0.7mg/dL(3.0%)低下した。LDL-Cはevacetrapib単独療法で20.5から51.4mg/dL (13.6%から35.9%)低下したのに対し、プラセボでは7.2mg/dL(3.9%)増加した。スタチン療法に100mg/dのevacetrapibを併用したところ、HDL-C値は 42.1から50.5mg/dL(78.5% から88.5%)上昇し、LDL-C(67.1から75.8mg/dL [11.2%から13.9% ])および非HDL-Cはスタチン単独療法の場合よりもより大きく低下した。

PALLAS:Dronedaroneは慢性AF患者の重篤な血管イベントおよび死亡のリスクを増加させる [2011-11-22]

PALLAS: Dronedarone increases risk of serious vascular events and death in patients with permanent AF
間欠性心房細動(AF)患者の治療に成功している薬剤dronedaroneは慢性心房細動患者の一部においては予想外に危険であるとのlate-breaking researchの結果が2011年American Heart Association学会で発表され、同時にNew England Journal of Medicineに掲載された。PALLAS(Permanent Atrial fibriLLAtion outcome Study using Dronedarone on top of standard therapy 慢性心房細動の標準治療にdronedaroneを加えたアウトカムスタディ)トライアルの参加者は、全員が慢性AFを有する65歳以上で血管イベントの他のリスクファクターを有していた。彼らはdronedaroneまたプラセボ投与群に無作為に割り付けられた。実薬治療群において過剰に重篤な血管イベントや死亡がデータ安全性監視委員会により検出された場合には組み入れが中止された。脳卒中、心筋梗塞(MI)、または心血管死亡などの重大な血管イベントは、プラセボ群よりdronedarone群において2.2倍多かった:dronedarone群の患者43人およびプラセボ群患者の19人において脳卒中、MI、全身性血栓症または心血管死が発現した。これらの結果が早期に明らかとなったため、このスタディは組み入れ予定人数の10,800人のうちわずか30%を組み入れた段階で中止された。筆者らは、dronedaroneは慢性心房細動患者には使用すべきでないと忠告している。

AIM HIGH:コレステロールのコントロールが良好である場合はナイアシンを追加しても心筋梗塞または脳卒中のリスクは低下しない [2011-11-22]

AIM HIGH: If cholesterol is well-controlled, adding niacin won't lower risk of myocardial infarction or stroke
スタチンによりLDLコレステロールが良好にコントロールされている場合は、HDLコレステロール増加目的の高用量徐放性ナイアシン追加により、心筋梗塞または脳卒中のリスクはさらに低下することはないとのlate-breaking researchの結果が2011年American Heart Association学会で発表されNew England Journal of Medicineに掲載された。低HDL/高中性脂肪を伴うメタボリックシンドロームにおけるアテローム性血栓症に対する介入:健康全体に対する影響(Atherothrombosis Intervention in Metabolic Syndrome with Low HDL/High Triglycerides: Impact on Global Health (AIM-HIGH))スタディでは、1,718人の患者が高用量(1500〜2000mg/day)の徐放性ナイアシンを内服し、1,696人はプラセボを内服した。2年後に、ナイアシン群ではHDLおよび中性脂肪レベルが改善し続けており、HDLは25%上昇し中性脂肪は29%低下していた。プラセボ群では変化は軽度であり、HDLは10%上昇し中性脂肪は8%低下していた。ナイアシン群ではLDLが約12%低下していた。しかし、ナイアシン群における脂質の変化は心筋梗塞、脳卒中、または心臓関連死および入院の減少にはつながらず、これらはナイアシン群で16.4%に発現しプラセボ群では16.2%であった―これらの差は統計学的に有意ではなかった(P=0.80)。

心房細動に対し低侵襲外科的アブレーションはカテーテルアブレーションよりも有効であったが合併症は多かった [2011-11-22]

Minimally invasive surgical ablation for atrial fibrillation worked better than catheter ablation, but with more complications
2つの高リスク患者群において、抗不整脈薬抵抗性心房細動(AF)治療目的の低侵襲外科的アブレーションはカテーテルアブレーションよりもより有効であったが合併症は有意に多かった、とのlate-breaking researchの結果が2011年American Heart Association学会で発表され、同時にCirculationに掲載された。このスタディはビデオ補助下心外膜外科的アブレーションと、確立されたより低侵襲の技術である肺静脈カテーテルアブレーションの有効性を比較した。61人の患者を外科的アブレーション群に、63人をカテーテルアブレーション群に割り付けた;66%が発作性または孤立性AFを、34%は持続性AFを有していた。施術の1年後に無投薬でAFの再発がなかったのはカテーテルアブレーション患者の36.5%であったのに対し、外科的アブレーション群では65.6%であり有意差を認め、この結果はAFの型、患者背景、または治療施設などによる差はほとんどなかった。施術中の重大な有害事象は外科的アブレーション患者の23%に発現したのに対しカテーテル群では3.2%であり、有意差を認めた。1年間の経過観察中の有害事象数は両群間で同様であった(カテーテル群12%および外科的群11%)。

発作性心房細動に対し高周波アブレーションは抗不整脈薬よりも有効である [2011-11-22]

Radiofrequency ablation better than antiarrhythmic drug therapy for paroxysmal atrial fibrillation
心房細動(AF)患者の発作性AF軽減において、高周波アブレーションは薬物と同様またはそれ以上に有効であるとのlate-breaking researchの結果が2011年American Heart Association学会で発表された。ある多施設トライアルで研究者らは、294人の患者(平均年齢55±10歳、男性206人)を高周波アブレーション(146人)または抗不整脈薬(148人)に無作為に割り付けた。彼らは患者をスタディ開始時、3、6、12、18および24ヵ月後に評価した。毎回患者らは携帯用心拍モニターを7日間着用した。3、6、12および18ヵ月の時点でAFの発現している時間(AF burden)および累積のAF burden は2群間で差を認めなかった。24ヵ月後に、アブレーション群では薬物治療群よりも有意にAF burdenが少なかった。高周波アブレーション群で22人(15%)がAFを有していたのに対し薬物治療群では43人(29%)であった。アブレーション群患者のうち10人(7%)が症候性AFを有していたのに対し薬物治療群では24人(16%)であった。最初にアブレーションで治療された患者のうち13人が追加で抗不整脈薬内服を必要とし、薬物治療で改善しなかった患者54人が追加で高周波アブレーションを施行された。

コルヒチンは心膜切開後症候群および術後心房細動の発生を抑制する [2011-11-22]

Colchicine reduces incidence of post-pericardiotomy syndrome and post-surgery atrial fibrillation
しばしば痛風治療に用いられるコルヒチンは心臓手術後の心房細動(AF)の発生を大きく減少させる、とのlate-breaking researchの結果が2011年American Heart Association学会で発表されCirculationに掲載された。このプラセボコントロール無作為化スタディには、北イタリアの6施設で心臓手術を受けた患者336人(平均年齢66歳、男性69%)が組み入れられた。患者は術後3日からコルヒチンまたはプラセボ内服を開始し、1ヵ月継続した。1ヵ月後、コルヒチンはAF発現率を半分近く減少させた(コルヒチン内服群で12%であったのに対しプラセボ内服群で22%)。さらに、コルヒチン内服患者はプラセボ内服患者と比較し入院日数が3日間少なかった(21対24日)。副作用は少なく両群同等であったが、コルヒチン内服患者の方が消化器症状による忍容性がやや不良であった。このスタディはサンプルサイズが比較的小さく、内服は術後3日から開始されていることを筆者らは強調している。したがって、AFはしばしば術後早期に出現するため、勧告を変更する前に今後行う大規模スタディではコルヒチン治療をより早期に、理想的には術前に開始すべきである。

ATLAS ACS 2-TIMI 51:急性冠症候群患者において低用量rivaroxabanは死亡、心筋梗塞および脳卒中リスクを低下させた [2011-11-15]

ATLAS ACS 2-TIMI 51: Low-dose rivaroxaban lowered risk of death, myocardial infarction and stroke in acute coronary syndrome patients
標準的な薬物治療に経口抗凝固薬rivaroxabanを追加することにより、急性冠症候群(ACS)患者の死亡、心筋梗塞(MI)、脳卒中のリスクが低下したとのlate-breaking research の結果が2011年American Heart Association学会で発表され、同時にNew England Journal of Medicineに掲載された。急性冠症候群患者の心血管イベント軽減のための標準治療への抗Xa療法の追加 -心筋梗塞に対する血栓溶解療法 51トライアル(Anti-Xa Therapy to Lower Cardiovascular Events in Addition to Standard Therapy in Subjects with Acute Coronary Syndrome-Thrombolysis in Myocardial Infarction 51 Trial:ATLAS ACS 2-TIMI 51)では、ACS患者15,526人をrivaroxaban 2.5mg(5,174人)、5.0mg(5,176人)、またはプラセボ(5,176人)を平均13ヵ月投与する群に無作為に割り付けた。両用量のrivaroxaban群を合わせた群ではプラセボ群と比較し、心血管死亡、脳卒中またはMIリスクが16%と有意に低下した。総死亡を含めた死亡リスクはrivaroxabanを追加することにより30%以上低下した。ステント血栓はrivaroxabanを内服した患者においてこれを内服しなかった患者と比較し、31%少なかった。用量の点では、低用量群において結果が最も良好であった。Rivaroxaban群では重大な出血および脳内出血が3倍多かったが、致死的な出血は有意に多くはなかった。

AIDA STEMI:血小板阻害薬の冠動脈内投与と標準的な静脈内投与の有益性は同等である [2011-11-15]

AIDA STEMI: Intracoronary administration of platelet inhibitor provides similar benefit to standard intravenous delivery
抗血小板薬abciximabの冠動脈内注入は、STEMI患者の全体的な健康上の予後改善の面で静脈内投与よりも有効であるわけではないとのlate-breaking researchの結果が2011年American Heart Association学会で発表された。プライマリ経皮的冠動脈インターベンション中のAbciximabの冠動脈内注入と静脈内投与との比較(Intracoronary Compared with Intravenous Bolus Abciximab Application During Primary Percutaneous Coronary Intervention:AIDA STEMI)トライアルでは、22の病院でPCIを施行されたST上昇心筋梗塞(STEMI)患者2,065人にabciximabを静脈内投与または閉塞冠動脈への直接注入を行った。90日以内に死亡、心筋梗塞再発または新たな心不全の発症を来した患者は直接注入群の7%であり、静脈内投与を受けた群では7.6%であった。90日以内に新たに心不全と診断されたのは冠動脈内投与群では2.4%(935人中22人)のみであったが、静脈内投与群では4.1%、つまり932人中38人であった(p=0.04)。STEMI患者の死亡軽減に関してabciximabの閉塞冠動脈内直接投与は、静脈内投与と比較してより有効であるわけではない、と筆者らは結論付けている。彼らは、abciximabの冠動脈内投与は安全であり心不全発症予防に役立つ可能性があると述べている。

着用可能な除細動器により危険な不整脈を有する患者の突然死が予防できるとの研究結果が2011年American Heart Association学会で発表された。 [2011-11-15]

A wearable defibrillator can prevent sudden death in people with dangerous arrhythmias, according to research presented at the American Heart Association’s Scientific Sessions 2011.
着用可能な除細動器により危険な不整脈を有する患者の突然死が予防できるとの研究結果が2011年American Heart Association学会で発表された。着用可能な除細動器は、心移植待機中の心機能低下患者またはこれを装着することにより除細動器植込み時期を遅らせることができる患者のような心臓突然死リスクの高いと考えられる患者に使用されている。研究者らは、2007〜2009年に着用可能な除細動器を装着した登録患者14,475人の心調律記録および電気ショック作動の情報を収集した。彼らのうち185人(約1%)が適切な電気ショックを受け、91.6%は1回以上の心室細動または心室頻拍後、生存し続けた。着用可能な除細動器は不適切な電気ショックを、心室細動または心室頻拍を発生していない213人の患者に対し223回作動した。しかし、結果として死亡者はいなかった。不適切な電気ショックの原因は信号のノイズ、VT調律でない頻拍、および調律の解釈の誤りであると考えられた。この装置の処置により、致死的な可能性のある不整脈の患者の約92%が生存して退院した。一方、米国においては、除細動器を装着していない場合の院外発症の心臓突然停止患者が生存して退院する確率は7%である。

専門家による歯のクリーニングにより心筋梗塞および脳卒中のリスクが軽減する可能性がある [2011-11-15]

Professional tooth scaling may reduce risk of myocardial infarction and stroke
専門家による歯のクリーニングは心筋梗塞(MI)および脳卒中の発症が少ないことと関連があるとの台湾のスタディが2011年American Heart Association学会で発表された。100,000人余りの中で、歯科医または歯科衛生士による歯石取りやクリーニングを受けていた者は、デンタルクリーニングを一度も受けたことがない者と比較し、MIリスクが24%低く脳卒中リスクが13%低かった。このスタディの対象者は、完全なまたは部分的な歯石取りを過去に一度でも受けたことのある成人51,000人余りおよび歯石とりの経験のない、性別および健康状態をマッチさせた同程度の数の人々であった。スタディ開始時にMIまたは脳卒中の既往を有する者はいなかった。専門家による歯石とりは心疾患や脳卒中の原因となる炎症を引き起こす細菌の増殖を軽減するようである、と筆者らは述べている。スウェーデンの別のスタディでは、歯周病の型により、心筋梗塞、うっ血性心不全および脳卒中のリスク上昇の程度が予測できた。例えば、歯が21本未満の人においてはMIリスクが69%高く、歯周ポケットが深い人においては53%高かった。

心不全患者においてビタミンC摂取が少ないと予後が不良である[2011-11-15]

Low vitamin C intake is associated with worse outcomes for heart failure patients
心不全患者においてビタミンCレベル低下は高感度C反応性蛋白(hsCRP)上昇および主要な心事象または死亡までの期間が短いことと関連があるとの研究結果が2011年American Heart Association学会で発表された。研究者らは212人の患者(平均年齢61歳、3分の1が女性)を調査した。患者らは4日間の食事日記をつけ、それを登録された栄養士が確認し、あるソフトウエアプログラムでビタミンC摂取量を計算した。hsCRPは血液検査で測定した。参加者の約45%が中等度から重度の心不全を有し、98人(46%)はhsCRPが3mg/Lを超えていた。1年間の経過観察の間に61人(29%)が、救急外来受診か心疾患による入院、または心臓死などの心イベントを発現した。ビタミンC摂取量が少なくhsCRPが3mg/Lを超える参加者は、1年間の経過観察期間中に心血管疾患で死亡する確率が約2倍であった。このデータから、ビタミンC欠乏が予後不良の原因となる理由は心不全患者における炎症パスウエイである可能性があることが示唆される。このスタディは、心不全患者においてビタミンC摂取量が少ないことと予後不良が関連していることを示した初めてのものである。

MESA:加糖飲料を飲む女性は高中性脂肪血症を発症する傾向にあり2型糖尿病の高リスクである [2011-11-15]

MESA: Women who drink sugar-sweetened beverages tend to develop high triglycerides and a high risk for type 2 diabetes
1日に2本以上の加糖飲料摂取は女性のウエストラインを拡大させ心血管疾患および糖尿病のリスクを上昇させる可能性があるとの研究結果が2011年American Heart Association学会で発表された。動脈硬化多民族スタディ(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis:MESA)には45〜84歳の成人4,166人の食品摂取頻度調査が含まれた。スタディ開始時には心血管疾患を有する者はいなかった。研究者らは2002年から5年間にわたる3つのフォローアップ調査でリスクファクターを評価した。参加者は体重増加、腹囲増加、高密度リポ蛋白(HDLコレステロール)低値、低密度リポ蛋白(LDLコレステロール)高値、高中性脂肪血症、空腹時血糖異常、および2型糖尿病に関して監視された。1日に加糖飲料を2本以上摂取する女性は高中性脂肪血症を発症するリスクが4倍近く高く、腹囲が増加し空腹時血糖異常を発症する確率が有意に高かった。心疾患および脳卒中に対するこれらのリスクファクターは体重増加を来していない女性においても発現した。男性においては同様の関係は認められなかった。

血液検査により心血管疾患の高リスク喫煙者を同定できる [2011-11-08]

Blood test could identify smokers at higher risk for cardiovascular disease
ある簡単な血液検査で喫煙者の肺毒性および心疾患の危険性が将来定量化できるようになる可能性があるとのスタディ結果がArteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biologyに掲載された。喫煙者は心筋梗塞、脳卒中および心疾患死のリスクが高いが、そのリスクは人により異なる。今回のスタディまで、喫煙の心血管疾患に対する人により異なる影響を計測する簡単な血液検査は存在しなかった。研究者らは、傷害された肺細胞において認められる循環肺サーファクタントB(SP-B)をダラス心臓研究に参加した30〜65歳の3,200人余りにおいて定量した。その結果、SP-Bレベルの高い喫煙者は大動脈内に危険なプラークの蓄積も多いことが示された。この検査は現在まだ評価段階であり、商用化されていない。次のステップは、SB-Pそのものが動脈硬化を引き起こすのかそれとも疾患の単なるマーカーであるのかを調査すること、およびSP-Bレベル低下により心疾患の予後が改善するかどうかを評価することである。

クロピドグレル代謝および血小板機能に関連した3つのジェノタイプが早期ステント血栓の独立したリスクファクターであることが示された [2011-11-08]

Three genotypes related to clopidogrel metabolism and platelet function found to be independent risk factors for early stent thrombosis
ある遺伝子または抗血小板薬クロピドグレル使用に関連した特定の因子を有する患者は、ステント留置後早期のステント血栓のリスクがより高いとのスタディ結果がJAMA 10月26日号に掲載された。研究者らはフランスの10の施設でPCIを施行され確実に早期(ステント留置後30日以内)ステント血栓を発現した患者123人、および年齢と性別をマッチさせたステント血栓のなかったコントロール246人に対し、確実な早期ステント血栓と関連した臨床上および遺伝子的な因子および入手できたDNAサンプルの解析を行った。多変量解析を行い、臨床上、造影上、および遺伝子上どの可変因子が早期ステント血栓発現と独立して関連があるかを見極めた。15の異なる遺伝子で調査した23の遺伝子変異体のうち、クロピドグレル代謝および血小板機能に関連した3つのジェノタイプ(CYP2C19、ABCB1、および ITGB3)が早期ステント血栓の独立したリスクファクターであった。筆者らはまた、修正できる可能性のある2つの早期ステント血栓の因子(クロピドグレルの投与量およびクロピドグレルとプロトンポンプ阻害薬との相互作用)もまた同定した。臨床および遺伝子を組み合わせたモデルを用いて最もリスクの高い三分位であった患者は、最もリスクの低い三分位の患者と比較し、早期ステント血栓のリスクが7倍高かった。

不眠症は心筋梗塞の中等度リスクである [2011-11-01]

Insomnia associated with moderate increase in risk of myocardial infarction
e-カウンセリングは血圧を有意に低下させ生活習慣を改善しQOLを向上させる、とCanadian Cardiovascular Congressで発表された。このスタディは387人(45〜74歳)を4ヵ月にわたり評価した。全員が高血圧と診断され、72%が降圧薬を1種類以上内服していた。1つ目のグループは、心臓の健康に関する情報および健康維持の全般的な情報を含む標準的なe-ニュースレターをHeart and Stroke Foundationから送られた。2つ目のグループは、動機付けとなるメッセージに加え教育的な情報を提供する8本のe-メールを4ヵ月にわたり受け取った。2つ目のグループはe-メールを受け取る前に、彼らが生活習慣の何を改善したいか(禁煙、食事の改善、または運動量を増やすなど)を見極めるアンケートに回答した。その後e-メールでは個々の関心事に合わせ、個人向けの提案や目標達成の手助けとなる個人に向けた励ましを送った。その結果、e-カウンセリングは人々が食餌療法や運動計画を継続する動機付けとなり、血圧低下につながることを示した。人々の高血圧に立ち向かう気持ちもまた、e-カウンセリングプログラムに参加することにより改善した。

オンラインツールによりこれに参加しない者と比較し血圧が2倍低下する [2011-11-01]

Online tool leads to a twofold decrease in blood pressure compared to those who didn't participate
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2011年11月号に掲載予定のある最近のスタディの結果、若年期の交代制勤務はコルチゾールの長期間の上昇につながりボディマスインデクスが上昇することが示された。過去のスタディの結果、長期間のコルチゾールレベル上昇により内臓肥満、高血圧、糖尿病および心血管リスクが上昇することが示されている。今回のスタディにおいて研究者らは交代制勤務の者33人および日中の勤務者89人の毛髪検体を採取した。これらの毛髪からメタノールを用いてコルチゾールを抽出した。コルチゾールレベルは、唾液内のコルチゾール濃度を測定する診断用ELISAコルチゾールキットを使用して計測した。その結果、交代制勤務の者、特に40歳未満の者においてコルチゾールレベルが長時間に わたって有意に上昇していることが示された。これは、交代制勤務により長期間のコルチゾールレベルの変化がもたらされ、このストレスホルモンコルチゾールが交代制勤務者の心血管リスク上昇の原因となる1つの因子である可能性があることを示した初めてのスタディである。
 
 


 
 

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