コレステロール排出能力はHDLレベルよりも心疾患からの保護能力との関連が高い [2011-01-25]

Cholesterol efflux capacity associated with greater protection against heart disease than HDL levels
コレステロール排出能力と呼ばれるHDL機能計測はHDLコレステロールレベルよりも心疾患からの保護とより密接な関係があるとのスタディ結果がNew England Journal of Medicine 1月13日号に掲載された。コレステロール排出能力はHDLがコレステロール取り込みマクロファージからコレステロールを取り除く効果の直接計測である。研究者らは頸動脈内膜中膜肥厚計測を施行された健康なボランティア203人、冠動脈疾患を確認されている患者422人、冠動脈疾患を確認されていない患者351人のコレステロール排出能を計測した。HDLコレステロールレベルによる補正前後において、コレステロール排出能と頸動脈内膜中膜肥厚には負の相関関係が認められた。年齢および性別による補正後の解析で、排出能が高いほど冠動脈疾患を有する確率が低い傾向が認められた。この相関関係は、共変動因子としてのHDLコレステロールレベルを含む一般的な心血管リスクファクターを追加しても依然として確実に認められた。さらに、男性および現在喫煙している者においては排出能が低かった。このスタディ結果から、心疾患に対する新たな治療法が開発される可能性がある。

座位を長時間継続することは心−代謝機能および炎症の指標を悪化させる [2011-01-25]

Prolonged sedentary time associated with worse indicators of cardio-metabolic function and inflammation
中等度から強度の運動をすることはあっても、活動性の低い座位の状態を保つことは心−代謝機能および炎症の指標不良(ウエスト周囲径の増大、HDLコレステロール低値、C反応性蛋白および中性脂肪高値など)と関係があると European Heart Journal 1月12日号オンライン版に掲載された。しかし、スタディの結果、長時間座位を続けてもその間に座位を中断する回数が多ければ多いほど、ウエストは小さくC反応性蛋白レベルも低いことも示された。研究者らは、2003〜2006年のUS National Health and Nutrition Examination Surveyに参加した20歳以上4,757人のデータを解析した。参加者らは歩行やランニングの量および強度をモニターする加速度計を装着した。座位の長さに関して最も臨床上有意な所見は、血清脂質およびインスリン抵抗性のマーカーであった。座位の中断回数に関して最も有意な差は、ウエスト周囲径において認められた。中断回数が多い上位25%の人々は最も少ない25%の人々と比較し、ウエスト周囲径が4.1cm少なかった。

心不全に対し使用されたアンジオテンシンII受容体拮抗薬の比較において死亡リスクに差が認められた [2011-01-18]

Comparison of angiotensin II receptor blockers used for heart failure finds difference in risk of death
心不全(HF)患者に対し使用されたアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARBs)カンデサルタンとロサルタンとの比較において、カンデサルタンの方が1年および5年死亡リスクが低かったとJAMA 1月12日号に掲載された。研究者らはHF患者においてカンデサルタンがロサルタンと比較し総死亡率を低下させるか否かを評価するためにスタディを施行した。このスタディには、2000〜2009年に62の病院および60のクリニックから登録された患者30,254人のスウェーデン心不全レジストリのデータ解析を使用した。計5,139人(平均年齢74歳;女性39%)がカンデサルタン(2,639人)またはロサルタン(2,500人)により治療された。1年生存率はカンデサルタン内服群90%およびロサルタン内服群83%であり、5年生存率はカンデサルタン内服群61%およびロサルタン内服群44%であった。この結果は層別解析においてもなお認められた。研究者らは、カンデサルタンの方がロサルタンよりも有効性が高いことを確信する力学的理由があること、およびカンデサルタンに関するスタディはロサルタンに関するスタディよりも大規模で決定的に有効な結果が得られていることを付け加えている。

受動喫煙は、4〜5歳の幼児の血圧を上昇させる [2011-01-18]

Breathing second-hand tobacco smoke increases the blood pressure of children as young as 4 or 5 years old
親が喫煙者の幼児は親が非喫煙者の幼児よりも血圧が高いとのドイツのスタディがCirculationに報告された。標準的な入学検診の延長として男女幼稚園児(平均年齢5.7歳)4,236人が血圧測定を受けた。喫煙すると報告した親のうち28.5%が父親、20.7%が母親で、11.9%は両親であった。出生時体重、ボディマスインデックス、および親の高血圧の有無などの他の心疾患リスクファクターで補正した後も、親が喫煙者の子供は収縮期血圧が上位15%に含まれる確率が21%高かった。この影響は拡張期血圧(平均0.5mmHg上昇)よりも収縮期血圧(平均1.0mmHg上昇)において大であった。母親の喫煙は父親の喫煙よりも影響が大であったが、おそらくこれは母親が家庭で喫煙することがより多く、一方父親は職場で喫煙することがより多いためであろう。このスタディ結果から、特に家庭においては、喫煙のない環境を強力に推奨することは成人のみならず子供の心血管系を健常に保つのに役立つであろうと研究者らは述べている。

埋込み型除細動器を埋め込まれている患者で使用クライテリアに合致していない場合の予後は不良である [2011-01-11]

Poorer prognosis seen in patients receiving implantable cardioverter-defibrillators (ICDs) who do not meet criteria for use
埋込み型除細動器(ICDs)を埋め込まれている患者100,000人以上を対象としたスタディの結果、約20%の患者がICD埋め込みに関するエビデンスに基づくガイドラインに合致せず、これらの患者はデバイス埋め込みクライテリアに合致している患者と比較し院内死亡リスクが有意に高いとのスタディ結果がJAMA1月5日号に掲載された。研究者らはスタディを施行し、エビデンスに基づいたICD埋め込みをされていない患者の数、特徴、および院内予後を調査した。スタディ期間中に111,707件の初回一次予防ICD埋め込みが認められ、うち25,145人(22.5%)はエビデンスに基づく適応に対してではなかった。うち9,257件(36.8%)が心筋梗塞発症後40日以内の患者に対してであり、15,604件(62.1%)は新たに診断された心不全患者に対してであった。院内死亡のリスクはエビデンスに基づきデバイスを埋め込まれた患者と比較し、エビデンスに基づかない埋め込み患者において有意に高かった(0.57%対0.18%)。埋め込み術後のあらゆる合併症はエビデンスに基づかないICD群において有意に多く(3.23%対2.41%)、入院期間も有意に長かった(3日対1日)。

若年期に健康的な習慣を身に付けていると成人期のコレステロールレベルが良好である [2011-01-11]

Adopting healthy habits in youth associated with more favorable cholesterol levels in adulthood
小児期と成人期の生活習慣の変化が高リスクコレステロールレベルを維持するか改善するかまたは発症するかに影響するようであるとArchives of Pediatrics & Adolescent Medicine 1月号に掲載された。研究者らは若年者(ベースライン年齢9、12、15歳)539人のコレステロールおよび中性脂肪レベルを計測した。ベースライン時点でハイリスクの血清脂質およびリポ蛋白レベルを有していた者のうちかなりの割合の者が20年後のフォローアップ時にはもはやハイリスクレベルではなくなっていた。依然としてハイリスクであった者はより体脂肪が増加し経過観察期間中に喫煙を開始したかまたは継続していた。若年期にプロファイルは低リスクであったが成人期にハイリスクとなった者もまた低リスクであり続けている人々と比較し、体脂肪増加が大であり社会経済的状態が改善している確率が低く計測値においても適正でない確率が高かった。高密度リポ蛋白(HDL)のみを見ると、若年期と成人期とで生活習慣因子が全く改善していない者においてはスタディ内の平均値よりも低HDLレベルである者の確率が2倍以上であった(26.2%対11.9%)。逆に、生活習慣因子が2つ以上改善した者においては低HDLレベルである者の割合がスタディ平均の4分の1未満であった。
 
 
 

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