HDLコレステロールレベルが高いとアルツハイマー病リスクが低い可能性がある [2010-12-28]
High levels of HDL-cholesterol may be associated with lower risk of Alzheimer's disease

高齢者において高密度リポ蛋白(HDL)レベルが高いとアルツハイマー病リスクが低い可能性があるとArchives of Neurology 12月号に掲載された。研究者らは認知症または認知機能障害の既往のない高齢者1,130人を調査し、血中脂質レベルとアルツハイマー病との関連を調査した。経過観察中に101例の新たなアルツハイマー病が発症し、うち89%は「高可能性」であり12%は「可能性」であった。アルツハイマーが「高可能性」または「可能性」である人々の平均発症時年齢は83歳であり、アルツハイマー病発症と診断されなかった人々と比較し、認知症を発症した者はヒスパニックに多くまたスタディ開始時に糖尿病を有している割合が多かった。血管リスクファクターおよび脂質低下療法で補正しても、血漿HDLレベルが高いとアルツハイマー病の「高可能性」および「可能性」は低かった。血漿総コレステロールレベル、非HDLコレステロール、およびLDLコレステロールが高いとまた、アルツハイマー病の「高可能性」および「可能性」のリスクが低下したが、これらの相関は血管リスクファクターや脂質低下療法で補正すると有意ではなくなった。

 
ケーススタディが恐怖への反応を調節している脳の重要な領域である扁桃体に焦点を当てた [2010-12-28]
Case study points to amygdala as key area of brain controlling fear response
扁桃体の機能なくして患者は恐怖を感じない−心的外傷後ストレス障害(PTSD)および他の不安障害の治療を改善する可能性のある発見がなされた。最新号のCurrent Biologyに掲載されたこのケーススタディは、扁桃体を破壊するというまれな状態の患者のプロフィールを描いている。研究者らは患者が蛇や蜘蛛(最も一般的に恐がられる2つの生物)に暴露された際、世界で最も怖いお化け屋敷を訪れた際、およびホラー映画を観ている間の反応を観察し記録した。彼らはまた、死に対する恐怖から一般的に言う恐怖までの範囲に及ぶ異なる種類の恐怖を厳密に調査する多数の標準化アンケートを用いて患者の恐怖に関する経験を測定した。さらに3ヵ月間にわたり、この患者は1日を通して無作為に現在の恐怖レベルを点数化するよう求めるコンピューター情動日記を携帯した。全ての場面においてこの患者は恐怖を感じなかった。さらに毎日の生活において彼女は、彼女の存在そのものを脅かす多くのトラウマ的な出来事に直面したが、彼女の報告によると何も恐怖は感じていなかった。この結果から、扁桃体の活動性を低下させることはPTSDの人々に役立つ可能性があることが示唆された。
 
うつおよび不安の治療に一般的に使用される薬剤は乳がん治療に伴う関節および筋肉の疼痛を軽減する可能性がある [2010-12-21]
Drug commonly used to treat depression and anxiety may reduce joint and muscle pain associated with breast cancer treatment

うつ病および不安障害治療に一般的に用いられる薬剤は乳がん治療に伴う関節および筋肉の疼痛に有効であったとのスタディ結果が、第33回CTRC-AACRサンアントニオ乳がんシンポジウムで発表された。このスタディの対象患者らはアロマターゼ阻害薬を内服していた。この薬剤を内服した女性の約半分が、市販の鎮痛剤では適切に軽減されないほどの関節および筋肉の疼痛を経験する。これらの女性のうち最大20%がこの疼痛のためにアロマターゼ阻害薬内服を断念する。このスタディは、うつ病および全般性不安障害の治療に用いられる薬剤デュロキセチンを調査した。この薬剤は、線維筋痛症や、さらに最近は変形性関節症などの他の様々な慢性疼痛にも有効であることが示されている。この薬剤はその中枢神経系に対する作用により疼痛を軽減すると考えられている。評価された患者29人中4分の3近くが30%以上疼痛が軽減したと報告した。8週間の治療後に疼痛スコアは平均61%低下した。デュロキセチンの副作用のために内服を中止したのは5人に1人に過ぎなかった。

 
うつ病の母親から産まれた乳児はストレスホルモンレベルが高く筋トーヌス低下を有する [2010-12-21]
Babies born to depressed mothers have higher levels of stress hormones and decreased muscle tone
うつ病の母親の体からカスケードするホルモン混合物は胎児の脳の発達に重要な役割を果たしている可能性がある。母親の妊娠中のうつ病レベルが高いほど、その子供の出生時の神経学的行動学的相違に加えストレスホルモンレベル高値が認められた。Infant Behavior and Developmentプリント版に先立ちオンラインで掲載されるこの解析は、母親のうつとその子供の気分や情緒に加え、体のストレス反応をコントロールする神経内分泌系の発達との関係を調査した。うつ病の母親から生まれた生後2週間の子供は、母親がうつ病でない子供と比較し筋トーヌスが低下していたが、ベル、ガラガラまたは光のような刺激にはより速く順応した-これは神経学的成熟の徴候である。
 
血管機能障害は心疾患と関連があるがアルツハイマー病にも影響する [2010-12-14]
Blood vessel dysfunction linked to heart disease also impacts Alzheimer's disease

心血管疾患と関連のある血管内皮の障害はアルツハイマー病の発症にも関わっているようであるとのスタディ結果がAmerican Heart Association学会誌Circulation Researchに掲載された。人の脳の微小血管から得られた血管内皮細胞を用いて、科学者らは一酸化窒素産生に関わる酵素であるeNOS(血管内皮一酸化窒素合成酵素)を化学的に阻害し、血管内皮障害がアルツハイマー病においても関わっているかどうかを判断した。eNOS阻害により、アルツハイマー病患者の脳に認められるアミロイドプラークの構成要素であるアミロイド前駆体蛋白(APP)増加に繋がる一連の生化学効果が引き起こされた。BACE1量および活性もまた増加した。BACE1はAPPを分裂させる酵素であり、プラークを作り上げるアミロイドβペプチドを生成する。科学者チームは、遺伝子操作をしたeNOS欠損マウスの脳の微小血管についても調査した。eNOS欠損マウスもまた、脳内のAPPおよびBACE1の増加とともにアミロイドβペプチドレベルも高かった。このスタディから、血管壁を健康に保つことは認知機能障害および最終的にはアルツハイマー病を予防するために重要であることが示唆された。

 
マインドフルネス認知療法は抗うつ薬と同等のうつ病再発予防効果を有する [2010-12-14]
Mindfulness-based cognitive therapy has similar outcomes to antidepressant medication for preventing relapse
マインドフルネス認知療法はうつ病治療が成功した患者に対し抗うつ薬による維持療法と同等の再燃または再発予防効果を有するとの報告が、Archives of General Psychiatry 12月号に掲載された。研究者らは大うつ病障害のクライテリアに合致し、2回以上のうつ病エピソードを有する18〜65歳の患者160人を調査した。治療 8ヵ月後に84人(52.5%)が寛解した。寛解した患者はその後3つの治療群(内服継続28人;内服を緩徐にプラセボに置換30人;内服をテーパリングしその後マインドフルネス認知行動療法を受ける26人)に無作為に割り付けられた。マインドフルネス認知行動療法で患者は、彼らが悲しいと感じたときの思考パターンを監視および観察し、うつ病に関連した自動反応(反復思考や回避など)を有用な内省の機会に変化させることを学んだ。18ヵ月間の追跡期間中に再発が認められたのは認知行動療法群患者の38%、薬物維持療法群では46%、プラセボ群では60%であり、薬物療法と行動療法の再発予防効果が示された。
 
1週間に5マイルのウォーキングは脳容積を保ち認知機能低下を遅延させる [2010-12-07]
Walking five miles per week protects brain volume and slows cognitive decline

ウォーキングは健常成人同様、軽度認知機能障害(MCI)およびアルツハイマー病を有する成人の認知機能低下をも遅延させる可能性があるとのスタディ結果が2010年RSNAで発表された。現在進行中の20年間のスタディのために研究者らは、299人の健常成人(平均年齢78歳)および認知症患者127人(平均年齢81歳、MCI 83人およびアルツハイマー型認知症44人)の計426人における身体活動と脳の形態との関連を解析した。その結果、全体的に身体活動量が大きいほど脳容積が大きいことが示された。認知機能の低下した人々は脳容積を維持し認知機能低下を遅延させるために1週間に58ブロック、つまり約5マイル歩く必要がある。健常人は脳容積を維持し認知機能低下を有意に軽減するためには1週間に72ブロック、つまり6マイル歩く必要がある。十分なレベルの身体活動を厳守しなかった認知機能低下患者はmini-mental state exam(MMSE)スコアが5年間で5ポイント低下したのに対し、必要とされる身体活動を行った患者のスコアは1ポイント低下したのみであった。

 
患者は検査結果を待機している時の方が疾患を有していると知った後よりもストレスを感じる [2010-12-07]
Patients often more stressed while waiting for medical test results than by knowing they have illness
検査結果を待っている間の不安感は重篤な疾患を有していると知った後よりもさらにストレスを感じる可能性がある、とのスタディ結果が2010年RSNAで発表された。研究者らは確定診断のための精密検査および治療を施行される予定の女性214人(112人は乳房生検、42人は肝動脈化学塞栓療法、60人は子宮筋腫塞栓術を待機)のストレスレベルを調査した。施術直前に各々の女性がストレスおよび不安レベルを測定する4つの標準的な検査(the State Trait Anxiety Inventory[STAI]、Impact of Events Scale[IES]、Center for Epidemiologic Studies Depression Scale [CES-D]、Perceived Stress Scale[PSS])を受けた。4つの異なるストレス検査のスコアは、確定診断のための乳房生検を施行された女性において、良性および悪性疾患に対し低侵襲治療を施行された女性よりも高かった。乳房生検を受けた患者の平均STAIスコアは48であり、STAIスコアがそれぞれ26および24であった肝動脈化学塞栓療法施行患者および子宮筋腫塞栓術施行患者よりも有意に不安レベルが高かった。筆者らは、診断検査による感情的損害を軽視すべきではないと強調している。
 


 

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