閉塞型睡眠時無呼吸は認知機能障害や灰白質欠損と関連がある [2010-11-16]
Obstructive sleep apnea linked to cognitive difficulties and deficits in gray matter

閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)患者は日中の単純な眠気による障害を問題にしているかもしれないが、新たな研究結果から彼らの認知機能に関する問題はOSAによる間歇的な酸素欠乏により生じる灰白質の器質的な欠損により引き起こされている可能性が示唆された。OSAのない者と比較しOSA患者が脳に定量可能な器質的相違を有しているか、また違いが認められた場合に治療で回復させることが可能であるかを明らかにするために研究者らは、未治療の重度OSA患者17人と年齢をマッチさせたコントロール15人を比較した。彼らはMRIを用いて脳の解剖学的形態の基本値、短期および長期の記憶、実行機能、構成能力、警戒心の維持、注意力および抽象的推論を評価する認知機能テストの個々の成績を収集した。被検者はまた、Epworth Sleepiness Scaleを用いて日中の眠気の評価を受け、Beck Depression Inventoryにより情緒について評価された。その結果、OSAを有する者においてはOSAを有さない者と比較し灰白質の有意な減少が認められた。灰白質のある特異的な部位の欠損は実行機能や抽象的推論などの脳の一部の機能が強く障害されていることを示す。持続的陽圧呼吸による治療はこの障害を回復させるようである。このスタディ結果はAmerican Journal of Respiratory and Critical Care Medicineプリント版に先立ちオンラインで掲載された。

 
うつ病の治療を受けた青少年のほとんどが回復するがしばしば再発する [2010-11-09]
Most adolescents treated for depression recover but often suffer a recurrence
うつ病の治療を受けた青少年のほとんどが回復するようであるが、半数近くの青少年においてうつ病が再発し女性においてより多く認められるとArchives of General Psychiatryオンライン版に現在掲載中でありプリント版2011年3月号に掲載予定である。研究者らは196人の青少年(男性86人、女性110人)を調査し、4つの短期治療介入(fluoxetine hydrochlorideによる薬物療法、認知行動療法、これらの併用、またはプラセボ)のいずれかに無作為に割り付け5年間追跡した。ほとんどすべての患者(96.4%)が初回うつ病エピソードから回復した(88.3%が2年以内に)。12週間の治療セッションに反応した者(短期反応者)は2年以内に回復する確率が高かった(96.2%対79.1%)。2年以内の回復は治療法とは関連がなかった。うつ病から回復した10歳代の青少年189人中88人(46.6%)において再発が認められた。短期間の治療による完全寛解もfluoxetineと認知行動療法の併用も再発リスクを低下させなかった。女性は男性よりも有意に再発しやすかった。不安障害も有する者はより再発しやすかった(61.9%対42.2%)。
 
性的虐待を受けた子供は後に統合失調症や他の精神疾患を発症するリスクが高いようである [2010-11-09]
Children suffering sexual abuse appear to be at higher risk for later schizophrenia and other psychotic disorders

性的虐待を受けた子供は、特に挿入を伴う場合に、統合失調症や他の精神疾患を発症するリスクが高いようであるとArchives of General Psychiatry 11月号に掲載された。オーストラリアの研究者らは16歳未満で性的虐待を受けた2,759人と選挙記録から抽出された4,938人とにおける精神疾患率を比較した。性的虐待を受けた者は30年間に渡り、対照群と比較し精神疾患全体(2.8%対1.4%)および統合失調症(1.9%対0.7%)の率が高かった。彼らは性的虐待を平均10.2歳の頃に受け、1,732人(63%)がペニス、指または他の物を身体の開口部に挿入されていた。このタイプの虐待を受けた者は精神疾患(3.4%)および統合失調症(2.4%)の率が高かった。思春期に1度以上の挿入を伴うレイプをされた者は一般人口と比較し精神疾患を発症するリスクが15倍高かった。

 
中年期における大量喫煙は後の認知症と関連する可能性がある [2010-11-02]
Heavy smoking in midlife may be association with dementia in later years
中年期における大量喫煙は20年後のアルツハイマー病や他の型の認知症リスクを2倍以上に高めるようであるとArchives of Internal Medicineオンライン版に現在掲載されており、2011年2月28日号プリント版に掲載予定である。フィンランドの研究者らはあるヘルスケアシステムの会員で、彼らが50〜60歳代であった1978〜1985の調査に参加した者21,123人のデータを解析した。認知症、アルツハイマー病および血管性認知症の診断を1994年1月1日(参加者の平均年齢71.6歳)から2008年7月31日までの間追跡した。計5,367人(25.4%)の参加者が平均23年の追跡期間中に認知症(アルツハイマー病1,136人および血管性認知症416人)と診断された。中年期に2箱以上喫煙をしていた者は、全ての認知症およびアルツハイマー病と血管性認知症それぞれのリスクが、非喫煙者と比較し高かった。喫煙経験者または1日半箱未満の喫煙者ではリスクは高くないようであった。喫煙と認知症の関係は人種や性別による違いはないようであった。
 
スタディの結果、ビタミンB12 を用いてホモシステインレベルを低下させることによりアルツハイマー病のリスクが低下することが示された [2010-11-02]
Study shows that lowering homocysteine levels with vitamin B12 reduces risk of Alzheimer's disease

2010年10月19日号のNeurology誌に掲載されたスタディの結果、ビタミンB12がアルツハイマー予防効果を有する可能性があることが示され、ビタミンが記憶障害軽減に有効か否かに関する科学的論争にエビデンスが追加された。この7年間のスタディで研究者らは、スタディ開始時には認知症を有していなかった65〜79歳のフィンランド人271人の血液検体を採取した。スタディ期間中に17人がアルツハイマー病を発症した。血液検査はホモシステインレベルおよびホロトランスコバラミンと呼ばれる活性型ビタミンB12のレベルに関して行われた。ホモシステインレベルが高すぎることと脳卒中のような脳に対する悪影響とは関連があった。しかし、ビタミンB12レベルが高いとホモシステインレベルが低下する。研究者らは、ホモシステイン濃度が1μM上昇するごとにアルツハイマー病のリスクが16%上昇するが、活性型ビタミンB12濃度が1pM上昇するごとにリスクが2%ずつ低下することに気付いた。この結果は、年齢、性別、教育、喫煙状況、血圧およびボディマスインデックスなどの他の因子を考慮に入れても同等であった。葉酸を追加してもアルツハイマー病のリスクを上昇も低下もさせないようであった。

 


 

DOLについて - 利用規約 -  会員規約 - 著作権 - サイトポリシー - 免責条項 - お問い合わせ
Copyright 2000-2025 by HESCO International, Ltd.