DHA魚油カプセルを用いてもうつ病は減少せず子供の認知機能や言語発達も向上しない [2010-10-26]
Use of DHA fish oil capsules does not decrease postpartum depression in mothers or improve cognitive or language development of offspring

妊婦は魚油からの食餌性ドコサヘキサエン酸(DHA)摂取量を増加させることが有益である可能性があるとのいくつかのスタディ結果や勧告とは反対に、ある無作為化トライアルの結果、DHAサプリメントを摂取しても産後うつ病は減少せず子供の幼児期の認知機能や言語発達は向上しないことが示されたとJAMA 10月20日号に掲載された。2000人以上の妊婦がDHAを豊富に含んだ魚油カプセル(DHA 800mg/dを供給)またはマッチさせたDHAを含まない植物油のカプセルをスタディ組み入れ時から出産までの間内服した。産後6ヵ月間に高レベルのうつ症状を報告した女性の割合はDHA群とコントロール群とで差がなかった(9.67%対11.19%)。トライアル中に新たにうつ病と診断された女性または治療を必要とすると診断された女性の割合もまた差がなかった。また、DHA群の母親の子供における平均認知機能スコアはコントロール群の母親の子供のそれと差がなかった;さらに平均言語スコアも両群間で差がなかった。

 
術前に不安障害またはうつ病を有していると術後の死亡リスクが中等度上昇する [2010-10-26]
Anxiety or depression before surgery associated with modest increased risk of death afterward
精神疾患の併発、特に不安障害とうつ病を有する患者は術後30日間の死亡リスクが上昇するようであるとArchives of Surgery 10月号に掲載された。集中治療室に入室した外科患者35,539人中、既に精神疾患を有していたのは8,922人(25.1%)であり、うち5,500人(15.5%)はうつ病、2,913人(8.2%)は心的外傷後ストレス障害(PTSD)、2,473人(7%)は不安障害、793人(2.2%)は双極性障害、621人(1.8%)は精神疾患を有していた。補正前の30日死亡率は、精神疾患の有無にかかわらず同等であった(3.8%対4%)。しかし、他の因子を考慮して解析した結果、30日死亡率は精神疾患を有する患者群において高かった。個々の解析の結果、30日以内死亡リスクはうつ病および不安障害と関連があったが、他のいずれの精神疾患とも関連はなかった。さらに、精神疾患を有する患者の30日死亡率は呼吸器系または消化器系の手術を施行された患者において高く、循環器系、神経系または筋骨格系の手術を受けた患者においてはそうではなかった。この結果から、手術を施行される精神疾患患者にはより多くのケアが必要であることが示唆された。
 
がん性疼痛またはうつ病を有するがん患者によくみられる身体症状は日常生活に支障を来す [2010-10-19]
Physical symptoms common and disabling among patients with cancer and pain or depression

疼痛またはうつ病を有するがん患者は倦怠感、口渇および嘔吐などの身体症状も高率に有するとArchives of Internal Medicine 10月11日号に掲載された。研究者らは疼痛またはうつ病を合併するがん患者405人のデータを解析した。このスタディの患者全員が身体症状を有し、半数以上の患者が調査された22の症状のうち15を有していた。最も多い症状は疲労感(97.5%)、不眠(78.8%)、下肢または関節の痛み(78%)、背部痛(74.8%)および、物事を思い出すのが困難(72.1%)などであった。彼らは過去4週間のうち日常生活に支障を来した日が平均16.9日あったと報告し、うち5.7日間はベッドで過ごし、11.2日間は活動を50%以上減少させていた。ヘルスケアの利用率は高く、32%の患者が過去3ヵ月間に外来を3〜5回受診し、28%は6〜10回、26%は11回以上受診していた。3分の1以上(38%)が少なくとも1回は入院し、3分の1は救急外来を1回以上受診していた。

 
テストステロン低値の高齢男性はアルツハイマー病のリスクが高い [2010-10-19]
Older men with low testosterone levels at higher risk of Alzheimer's disease
高齢男性のテストステロン低値はアルツハイマー病の発症と関連があるとの研究結果がJournal of Alzheimer's Diseaseに掲載された。研究者らはソーシャルセンターから集められた中国人男性153人を調査した。彼らは55歳以上であり、その地域に居住しており認知症は有していなかった。彼らのうち47人が軽度の認知障害―つまり思考力の問題または記憶障害を有していた。1年以内に、認知障害を有する者のうち10人がおそらくアルツハイマー病と思われる病態を発症した。これらの男性はまたテストステロンが低値で、アルツハイマー病の高リスクと関連のあるアポリポ蛋白Eレベルが高く、高血圧も有していた。この結果は、テストステロン低値と思考力低下およびアルツハイマー病が関連することを示した白人高齢男性を対象とした過去のスタディ結果を裏付けるものである。研究者らは、テストステロンはアルツハイマー病から保護する働きを有する可能性があると述べており、これを調査する大規模スタディを提案している。
 
注意欠陥/多動性障害を有する幼児は青年期のうつ病および自殺企図のリスクが高い[2010-10-12]
Young children with attention-deficit/hyperactivity disorder at higher risk for adolescent depression and suicide attempts

注意欠陥/多動性障害(ADHD)を有する幼児は診断の5〜13年後の青年期のうつ病および/または自殺企図のリスクが高いようである、とArchives of General Psychiatry 10月号に掲載された。研究者らは、医学的にADHDと診断された4〜6歳の小児125人および人口統計学的にマッチしたADHDを有さない123人を調査した。4〜6歳の間にADHDと診断された小児は、9〜18歳の間のうつ病リスクが高かった。さらに、248人中17人(ADHDを有する者の12%、有さない者の1.6%)の子供が同じ期間に少なくとも1回は具体的な自殺を企画していたと報告した。女性および母親がうつ病であることと4〜6歳時の感情的行動的問題を併せもつADHDの子供において3うつ病および自殺企図が予測された。筆者らはまたADHDを3つのサブタイプに分類し、注意欠陥と多動が組み合わさることによりうつ病および自殺企図が予測され、注意欠陥のみの場合はうつ病のみ、多動のみの場合はうつ病ではなく自殺企図が予測されるとした。

 
注意欠陥/多動性障害は遺伝的にセロトニン欠損を有する母親の子供に多い [2010-10-12]
Attention-deficit hyperactivity disorder more common in offspring of mothers with genetic serotonin deficiencies
遺伝的にセロトニン産生障害を有する母親の子供は将来的に注意欠陥/多動性障害(ADHD)を発症しやすいようであるとArchives of General Psychiatry 10月号に掲載された。この論文の背景には、ヒトのゲノムはセロトニンに関連する2つの酵素をエンコードしており、過去のスタディから妊婦におけるこれらの遺伝子または酵素の変化は先天性欠損を生じうると説明されている。研究者らはADHDを有する成人459人、およびその家族97人とノルウェイ中から参加したコントロール187人を調査した。参加者らは遺伝子シークェンス用の血液検体および精神科的診断と症状に関する情報を提供した。646人のシークェンスの結果から、9つの異なる変異が同定され、うち8つは酵素機能障害と有意に関係があった。これらの変異を有する38人およびかれらの子供41人の家族の解析の結果、これらの変異のうちのひとつを有する母親―つまり、セロトニン産生障害を有する―の子供はコントトールまたはこれらの変異を有する父親の子供と比較し、ADHDのリスクが1.5〜2.5倍高かった。
 
ネットいじめの犠牲者にとってうつ病は加害者よりも害を与える [2010-10-05]
Depression worse for victims of cyber bullying than their tormentors

電子的なまたはネット上のいじめ―オンラインまたは携帯電話により引き起こされる―の若年被害者は加害者よりもうつ病による被害を受けやすいとのスタディ結果がJournal of Adolescent Healthに掲載された。2005年学童の保健行動に関する調査(Health Behavior in School-Aged Children 2005 Survey:6〜10グレードの生徒、7,313人)の結果、生徒の半数以上が他の生徒をいじめたりいじわるな呼び方で呼んだりする言葉でのいじめをしたりしたことが過去数ヵ月の間に1回以上あり、半数以上が仲間外れなどの交友関係いじめに加わっていた。約5分の1が殴るなどの身体的いじめに関与または経験しており、約14%はネットいじめに加わっていた。うつ病はいずれのタイプのいじめとも関連があった。ネットいじめの被害者はいじめ加害者またはいじめ被害者(いじめの加害者であり被害者である者)よりも高度のうつ病を訴え、他のタイプのいじめでは認められない結果であった。身体的、言語的、および交友関係いじめにおいては、頻回にいじめを受ける被害者およびいじめ被害者の群はたまに加わる群よりも有意にうつ病レベルが高かった。ネットいじめにおいては頻回に被害を受ける被害者とたまに被害を受ける被害者との間でのみ差が認められた。性差はなかった:少年も少女も同様にうつ病になりやすかった。

 
友人や家族の方が従来の認知テストよりもアルツハイマー病の徴候を早く発見できる [2010-10-05]
Friends and family detect early Alzheimer's disease signs better than traditional cognitive tests
アルツハイマー病の最も早期の徴候を発見するには、記憶障害に悩む個々人に対する直接検査を行うよりも家族や近しい友人の洞察による簡単な評価の方が優れていることが示されたとのスタディ結果がBrain誌に掲載された。医師は記憶障害を有する人に対し、単語リストの再生や物の形を比較するなどの様々な認知機能テストを用いて評価している。研究者らはこのスタディのために別の方法を開発した。2分間のAscertain Dementia 8(AD8)質問票は、情報提供者としてその人物をよく知る友人または家族に依頼し、日々の活動を行うのが困難になるような認知機能変化が対象となる個人に生じたかどうかを評価するものである。研究者らは251人の対象者に対するAD8評価の結果を収集し、また彼等に対し従来の認知症スクリーニング検査であるMini Mental State検査を施行した。その後、髄液アッセイや脳内プラークスキャンなどの個人のバイオマーカーを評価した。AD8の結果は、従来の認知機能検査の結果よりもバイオマーカーの結果とより一致していた。


 

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