出生直後の小児において統合失調症のハイリスクを示す脳の異常が発見された [2010-06-29]

Researchers identify brain abnormalities in children at high risk for schizophrenia shortly after birth

American Journal of Psychiatryオンライン版に現在掲載中であり冊子版9月号に掲載予定の論文において、生後数週の乳児において統合失調症のリスクと関連のある脳の異常が検出可能であるとの初めてのエビデンスが示された。研究者らは超音波およびMRIを用いて統合失調症の母親から生まれた26人の乳児の脳の発達を観察した。第一度近親者に統合失調症患者を有すると統合失調症のリスクは10人に1人である。男児においては、高リスクの乳児は母親が精神疾患を有さない子供と比較し脳および側脳室が大きかった。女児においては、脳サイズに差がなかった。この結果は、統合失調症が男性においてより一般的でありより重篤であるとの統合失調症の全体的なパターンに合致していた。今回のスタディは、統合失調症に関連した脳の異常が生後間もなく検出できることを初めて示した。早期に検出できることにより医師らは高リスクの小児が統合失調症を発症するのを予防する新たな方法を開発しうる。筆者らはまた、脳サイズの大きな幼児は自閉症のリスクも高いと述べている。

 

アルツハイマー病における遺伝因子と脳の画像所見との関連がスタディにより評価された [2010-06-29]

Study evaluates association between genetic factors and brain imaging findings in Alzheimer's disease

アルツハイマー病に関連した遺伝子座とアルツハイマー病のリスクに関連した神経学的画像所見との関連を調査することにより、遺伝子亜型とアルツハイマーの発症および進行に関連があるとの過去のいくつかのスタディにエビデンスが追加され、さらなるスタディのための新たな遺伝的リスクファクターが明らかにされた可能性がある、とArchives of Neurology 6月号に掲載された。研究者らは、アルツハイマー病と推定される168人、軽度認知障害を有する357人、および認知機能の正常な215人の遺伝子と神経画像検査の結果を調査した。過去にアルツハイマー病との関連が示された4つの遺伝子座およびアルツハイマー病に関連した6つの神経学的画像の特徴が評価された。APOE遺伝子が臨床的なアルツハイマー病と最も強力な関連を示し、1つ以外の全ての神経学的画像所見と関連が認められた。他の候補となる遺伝子も、解析された神経学的画像法において累積効果が認められた。さらに、神経学的画像所見の遺伝子学的解析により2つの新たな標的遺伝子座(BIN1 and CNTN5)が同定され、アルツハイマー病との関連に高い関心が寄せられている。

 

ストレス軽減のための介入は再発性乳がん女性に対し持続する健康上の有益性を与える [2010-06-22]

Stress-reducing intervention provides enduring health benefits for women with recurrent breast cancer

再発性乳がん女性に対するストレス軽減のための心理学的介入は長期にわたり生存率およびQOLを上昇させるのに役立つとのphase IIIスタディの結果がClinical Cancer Researchに掲載された。過去のスタディにおいて、11年間の追跡期間の後、心理学的介入を受けていた女性は乳がん再発リスクが45%低く有効性が示された。このフォローアップとして研究者らはエンドポイントを乳がん死とし、同様の仮説を立てて検証した。参加者らは新たに診断されたstage IIまたはIIIの乳がん女性227人であり、心理学的介入を受ける群または評価のみを受ける群に無作為に割り付けられた。がんのストレスの本質を理解する;ストレスを軽減しQOLを改善する具体的な方法を学ぶ;がん治療へのアドヒアランスおよびフォローアップを維持する;医療従事者とのコミュニケーションを強める;治療中の幸福感を高めるなどの患者に対する臨床的な目的を含む心理学的介入は、全体的な健康の回復および改善を促進した。追跡期間中に62人が再発性乳がんと診断された。再発後早期に心理学的介入を受けた女性は乳がん死のリスクが59%低く、この結果から心理学的介入の長期的な有益性が示唆された。

 

受動喫煙は健常成人の将来の精神疾患による入院と関連がある [2010-06-22]

Secondhand smoke associated with future psychiatric hospitalization among healthy adults

健常成人において受動喫煙は精神的苦痛を引き起こし将来の精神疾患による入院のリスクと関連があるとArchives of General Psychiatryオンライン版に掲載されており8月号の雑誌に掲載される。研究者らは、精神疾患歴がなくScottish Health Surveyに参加した非喫煙者(平均年齢49.8歳)5,560人と喫煙者(平均年齢44.8歳)2,595人を調査した。参加者らは精神的苦痛に関するアンケートによる評価を受け、6年間にわたり精神病院への入院に関して追跡された。非喫煙者の受動喫煙は、ニコチン曝露の生化学的マーカーである唾液中のコチニンレベルを用いて評価した。計14.5%の参加者が精神的苦痛を訴えた。受動喫煙への曝露の多い非喫煙者(コチニンレベル0.70〜15μg/L)はコチニンが検出されなかった者と比較し、精神的苦痛率が高かった。追跡期間中に41人が新たに精神病院に入院した。喫煙者および曝露レベルの高い受動喫煙者は受動喫煙レベルの低い非喫煙者と比較し、うつ病、統合失調症、せん妄、または他の精神疾患で入院する確率が高かった。

 

治療開始時に処方医薬食品であるメタフォリン葉酸と抗うつ薬を併用することによりうつ症状が有意に改善する [2010-06-01]

Combining L-methylfolate with an antidepressant at the start of treatment significantly improves depression symptoms
薬を併用することが有益であることが示唆された。研究者らは、主診断が大うつ病であり全般的重症度(CGI-S)の評価尺度が4または5で、ある程度の機能障害を有する18〜70歳の患者242人におけるレトロスペクティブな2種類の記録のレビューを行った。基準に合致した患者を併用群(治療開始時にSSRIまたはSNRIとメタフォリン葉酸7.5〜15mgの併用;95人)またはコントロール群(治療開始時にSSRIまたはSNRI単独;147人)に割り付けた。その結果、併用群において単独群に比べうつ症状、機能および行動の大幅な改善を達成した患者が2.5倍多かった。併用群患者は単独群患者と比較し、23%迅速な改善を経験した(P=0.03)。60日後までに、併用群患者は抗うつ薬単独群患者と比べ既にCGIスコア上、有意に改善していた(P=0.011)。全体の有害事象発現率は両群間で統計学的有意差はなかったが、有害事象のために内服を中断した者の割合は併用群(17.9%)において単独群(34%)に比べ有意に低かった(P=0.0078)。
 

アルツハイマー病の脳内プラークにおいて認められた蛋白がダウン症候群児の眼の中においても発見された [2010-06-01]

Protein found in Alzheimer's disease brain plaques also found in the eyes of children with Down syndrome

アルツハイマー病患者の脳内プラークを形成する蛋白がダウン症候群を有する人々の眼の中にも蓄積していたとAssociation for Research in Vision and Ophthalmology学会で報告され、PLoS One 5月20日号に掲載された。ダウン症候群におけるこの新たな発見は、アルツハイマーの脳内病変を引き起こす有害な蛋白アミロイドβが、特徴的な白内障をも引き起こすことを示している。ダウン症候群の人々はアルツハイマー型認知症をしばしば30歳までに発症する。筆者らは、これはダウン症患者らが脳内アミロイドβ蓄積増加を引き起こすアルツハイマーの重要な遺伝子の余剰なコピーを有するためであると述べている。また、この同じ蛋白が非常に早期の小児期より水晶体に蓄積し始めることを発見した。脳内に蓄積するのと同じアミロイドβが水晶体内にも蓄積し、ダウン症候群に認められる独特の白内障を引き起こす。この発見は、研究者らに両疾患におけるアルツハイマー病の病変を早期に検出する革新的な眼の検査の開発へと導くものである。

 


 

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