有意な数の父親が出生前および産後うつ病を経験する [2010-05-25]

Significant number of fathers experience prenatal and postpartum depression

父親の約10%が出生前および産後うつ病を経験し、その率は産後3〜6か月に最も高いとの過去の解析結果が、JAMA 5月19日発行のメンタルヘルス号に掲載された。研究者らはメタ解析を行い、出産前および産後の父親のうつ病率の推定および変動、そして母親のうつ病との関連を明らかにしようと試みた。筆者らは、妊娠第1三半期から産後1年間の父親のうつ病を記録したスタディを対象とし、28,004人の患者を対象とした43のスタディを特定した。出生前うつ病全体の推定発症率は10.4%であった(一般人口における男性の12ヵ月間のうつ病有病率は4.8%)。時期による変動はかなりあり、産後3〜6ヵ月が最も高率であり(25.6%)、産後の最初の3ヵ月間が最も低かった(7.7%)。地域差も認められ、出生前および産後のうつ病が最も高率に認められたのは米国であった(14.1%に対し国際的には8.2%)。父親と母親のうつ病には中等度の相関関係が認められた。

 

フレキシブルな治療法により不安症状がより改善する [2010-05-25]

Flexible treatment intervention associated with greater improvement in anxiety symptoms

一般的な不安障害患者にコンピュータ補助による治療とともに、認知行動療法、薬物療法、またはその両者の選択権を与えるプライマリケアにより不安症状および機能的能力低下がより改善する、とJAMA 5月19日号に掲載された。研究者らは、4つの最も一般的な不安障害(パニック障害、全般性不安障害、社会不安障害、および外傷後ストレス障害)に対するプライマリケアにおけるフレキシブルな治療が通常の治療(UC)よりも、不安症状軽減や機能、健康関連のQOL、および治療の質に関する計測値が改善するか否かを観察した。選択権を与えた治療と通常治療を比較したこの無作為化コントロール有効性評価トライアルは、18〜75歳の不安障害(大うつ病合併にかかわらず)患者1,004人を追跡調査した。6ヵ月後、12ヵ月後、および18ヵ月後の不安症状計測尺度は選択権を与えた治療(介入群)で有意に低かった。12ヵ月後の有効率および寛解率は(それぞれ介入群対UC群)、63.66%対44.68%、51.49%対33.28%であり、治療必要数(NNT)は、有効性に関して5.27であり寛解に関して5.50であった。

 

衝動制御障害はパーキンソン病治療目的でドパミン作動薬を内服している患者においてより一般的に認められる [2010-05-18]

Impulse control disorders more common among patients taking dopamine agonists to treat Parkinson's disease

病的賭博、衝動買い、むちゃ食いおよび他の衝動制御障害はパーキンソン病治療目的でドパミン作動薬を内服している患者においてより一般的に認められるようである、とArchives of Neurology 5月号に掲載された。これらの患者における予備的な推定によると、賭博1.7〜6.1%、強迫的な性行動は2〜4%、衝動買いは0.4〜3%であった。研究者らはパーキンソン病の治療を受けている患者3,090人を調査した。衝動制御障害は13.6%の患者において認められ、賭博は5%、強迫的な性行動は3.5%、衝動買いは5.7%、むちゃ食い摂食障害は4.3%であり、これらを2つ以上有する者は3.9%であった。これらの障害はドパミン作動薬を内服している者において、内服していない者に比べより多く認められた(17.1%対6.9%)。これらの障害に関連のある他の因子としては、レボドパ内服、米国在住、若年または未婚、喫煙、および賭博の家族歴を有することなどであった。パーキンソン病に対しドパミン作動薬で治療をすることにより、衝動制御障害を有する確率は2〜3.5倍高くなった。

 

気分障害および不安障害は高齢者において多く認められるが年齢とともに減少する [2010-05-18]

Prevalence of mood and anxiety disorders common in older adults but decline with age

気分障害および不安障害の有病率は年齢とともに低下するようであるが、依然として高齢者においては一般的に認められるとArchives of General Psychiatry 5月号に掲載された。米国の研究者らは55歳以上の調査対象者2,575症例を用いて気分障害、不安障害および気分と不安障害の国内推定有病率を測定した。対象者のうち5%が過去1年間に大うつ病または双極性障害などの気分障害を有していた。パニック障害、広場恐怖、他の恐怖症、全般性不安障害および外傷後ストレス障害などの不安障害の有病率は全体で12%であった。約3%は気分障害と不安障害を同時に発現していた。これらの有病率は年齢とともに低下した。55〜64歳の人々を85歳以上の人々と比べると、気分障害有病率はそれぞれ7.6%対2.4%であり、不安障害は16.6%対8.1%であり、両者を有している割合は4.8%対0%であった。これらの障害を有するのは女性の方がより多く、気分障害は女性の6.4%男性の3%が有し、不安障害はそれぞれ14.7%と7.6%であり、両者を有しているのはそれぞれ3.7%と1.6%であった。

 

自殺または自殺企図のリスクは個々のタイプの抗うつ薬いずれにおいても同等である [2010-05-11]

Risk of suicide or suicide attempt similar across individual types of antidepressant medication
抗うつ薬療法を開始する成人において、自殺または自殺企図のリスクは薬剤の個々のタイプまたはクラスの違いによる差はないようである、とArchives of General Psychiatry 5月号に掲載された。この論文の背景によると、抗うつ薬内服患者における自殺念慮または自殺企図率に関するエビデンスは一致していない。研究者らは、1997〜2005年に抗うつ薬療法を開始されたカナダ・ブリティッシュコロンビアの成人287,543人の保険医療利用データを解析した。抗うつ薬使用開始後1年間に、これらのうち846人が自殺を試みた(751人)かまたは自殺した(104人)。これらのイベントの多くは治療開始後6ヵ月以内に発現した。異なるクラスの薬剤(セロトニン・ノルエピネフリン再取込み阻害薬、三環系抗うつ薬および他の新たな非定型薬)を内服している患者間にリスクの違いはなかった。さらに、fluoxetine、citalopram、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリンなどの薬剤間におけるリスクの差もなかった。
 

一般的な抗うつ薬が心血管系に対する有益な副作用を有する可能性がある [2010-05-11]

Popular antidepressants may have beneficial side effects for cardiovascular health

選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)が血小板凝集に影響することにより心血管系の状態を向上させる可能性がある、と2010年American Physiological Society Experimental Biology学会で発表された。研究者らは、心血管系疾患リスクを有しているうつ病患者においてSSRIの作用により血小板によるセロトニンの再取り込みが阻害され、それにより凝集反応が低下し、その結果患者の心血管系の健康状態が改善すると確信している。この仮説を調査するため、彼らは50人のボランティアを組み入れた。50人中25人は健常人であり抗うつ薬は内服しておらず、残りの25人はうつ病に対しSSRIで治療されていた。研究チームは各々のボランティアの血液検体をプロトコール開始時およびスタディ期間の第4週と第8週に採取した。第4週目の健康なボランティアの血小板を血小板活性化物質で処理すると、95%の細胞が凝集した。一方、SSRIを内服している参加者らの血小板ではわずか37%しか凝集せず、SSRIが何らかの形で血小板凝集を阻害または変化させたことが示された。第8週にSSRI内服中の患者から得られた血小板は第4週に得られたものよりもより凝集した。この結果から、SSRIの血小板活性阻害効果は治療早期に最も強く認められることが示唆された。

 


 

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