小児期早期の湿疹と10歳代の子供における精神障害との関連 [2010-02-23]

Association discovered between eczema in early childhood and psychological abnormalities in children at age 10 years

小児期早期の湿疹はその後の行動および精神衛生に影響し、湿疹が2歳以降になっても持続している場合には、幼児期のみの場合と比較し、精神的な問題を有する可能性が高いとのスタディ結果がJournal of Allergy and Clinical Immunologyに掲載された。GINIplusスタディの中で、研究者らは1995〜1998年に出生した小児5,991人の家族歴を追跡した。彼らは、小児らの10歳時の精神衛生および精神状態のデータおよび日常生活の情報を収集した。疾患の経過および小児期早期に関する質問では、湿疹、喘息、アレルギー性鼻炎、ストレス耐性度および行動異常に焦点を当てた。生後2年間に湿疹を有した子供は有さなかった子供と比較し、特に感情の問題において精神障害を有する確率が高かった。

 

ボツリヌス毒素注射はある種の片頭痛を予防する効果がある [2010-02-23]

Botulinum toxin injection may help prevent some types of migraine pain

ある予備的なスタディの結果、美容目的で使用されるボツリヌス毒素注射により、頭部内圧力の蓄積として感じる痛みではなく、破壊的で締め付けるような、あるいは眼症状と供述される片頭痛の症状の頻度が減少する、とArchives of Dermatology 2月号に掲載された。美容目的でボツリヌス毒素注射を受けた、または受ける予定であり片頭痛も有する患者18人(平均年齢50.9歳)が調査された。治療から3ヵ月後に13人(10人は内破的なまたは眼症状を有し3人は破裂するような頭痛を有していた)において片頭痛の軽減が認められた。治療に反応しなかった患者6人全員は破裂するような頭痛を有していた。治療が有効であった者においては片頭痛の頻度が平均月6.8日から平均月0.7日に減少した。破裂するような痛みを有する片頭痛の患者における頻度は月11.4日から9.4日に減少した一方で、内破的なまたは眼症状を有する者の頻度は月7.1日から月0.6日に減少した。

 

高血圧は軽度認知機能低下を有する高齢者の認知症予知因子となる可能性がある [2010-02-16]

Hypertension may predict dementia in older adults with certain cognitive deficits
高血圧は、実行機能の低下はあるが記憶障害のない高齢者の認知症進行の予知因子となるようであるとArchives of Neurology 2月号に掲載された。カナダの研究者らは認知機能の低下はあるが認知症のない高齢者(平均年齢83歳)990人を調査した。5年間の追跡期間中に高血圧を有する者と有さない者とで認知症発症の割合はほぼ同等であった(高血圧を有する患者では59.5%、高血圧を有さない患者では64.2%)。記憶障害のみ、記憶障害と実行機能障害の両方を有するものでは、同じ傾向がみられた。しかし、実行機能障害のみを有する患者では、高血圧は認知症発症率の増加と関連していた(高血圧を有する患者では57.7%、高血圧を有さない患者では28%)。認知機能障害を有するが認知症は有さない患者の約3分の1で高血圧は認知症進行の予知因子となったことから筆者らは、これらの患者における高血圧のコントロールにより、50%と予測される5年間の認知症への進行率を半分に減少させることができるであろうと結論付けている。
 

「インターネット依存」により中等度から重度のうつ病発症率が上昇する [2010-02-16]

"Internet addicts" have high incidence of moderate to severe depression

インターネットの過剰使用はうつ傾向の警告サインであるとのスタディ結果がPsychopathology 2010年2月10日号に掲載された。これは西欧の若年者を対象としたインターネット依存とうつの関係を考察した初めての大規模スタディである。16〜51歳の1,319人におけるインターネット使用とうつのレベルを評価した結果、1.2%がインターネット依存と分類された。この数字は小さいが、英国におけるギャンブル依存の0.6%に比べるとより大きい。研究者らは、一部のインターネット使用者は強迫的なインターネット癖になっており、実生活の社会的交流をオンラインのチャットやソーシャルネットワーキングサイトと置き換えている、と考えている。これらの「インターネット依存」により、性的画像サイト、オンラインゲームやオンラインコミュニティを閲覧するのに多くの時間を費やすことになる。その結果、依存のない者と比較して中等度から重度のうつの発症率も高かった。これらネットサーフィン依存は、メンタルヘルスに重大な影響を及ぼすことが示唆される。

 

オメガ3多価不飽和脂肪酸は精神疾患リスクが高い者における発症リスクを低下させる可能性がある [2010-02-09]

Omega-3 polyunsaturated fatty acids may reduce the risk of psychotic disorders in high-risk individuals

精神疾患発症リスクが著明に高い者が、長鎖オメガ3多価不飽和脂肪酸を含有する魚油カプセルを12週間内服することで、疾患を発症しにくくなるようであるとArchives of General Psychiatry 2月号に掲載された。オーストラリアの研究者らは軽度の精神症状、一過性の精神疾患または精神障害の家族歴と機能低下を有する者−12ヵ月間に精神疾患を来す確率が40%という高率の可能性のあるクライテリアを有する者−81人を調査した。41人は1.2gのオメガ3多価不飽和脂肪酸を含有する魚油カプセル、40人はプラセボをそれぞれ12週間内服する群に無作為に割り付けられた。計76人(93.8%)がこの治療を終了した。スタディ終了までにオメガ3群の2人(4.9%)およびプラセボ群の11人(27.5%)が精神障害を発症した。両群間の精神疾患への進行の差は22.6%であった。この結果に基づき筆者らは、1人の人が精神疾患を発症するのを防ぐには4人がオメガ3脂肪酸による治療を受ける必要があると推定している。プラセボと比較し多価不飽和脂肪酸はまた、症状を有意に軽減させ機能を改善した。

 

統合失調症患者において運動に反応して海馬の体積が増加する [2010-02-09]

Hippocampus increases volume in response to exercise in patients with schizophrenia

有益性が高いと思われる海馬体積の増加が、運動に対する反応として統合失調症患者、健常人両方に認められるとArchives of General Psychiatry 2月号に掲載された。統合失調症を有する8人およびコントロール8人を30分の運動(監視下自転車こぎ)を週3回行う群に、他の8人の統合失調症患者を同じ期間にテーブルサッカーを行う群に無作為に割り付けた。このテーブルサッカーは協調性および集中力を増強させるが有酸素運動ではない。参加者は全て運動検査、海馬の磁気共鳴画像検査、神経心理学的検査および他の臨床検査を、12週間のプログラムに参加する前後に受けた。運動トレーニング後の海馬体積は統合失調症患者で12%、健常人で16%、それぞれ増加していた。逆にテーブルサッカーを行った統合失調症患者の海馬は体積が1%減少していた。有酸素運動能力も運動群において増加し、短期記憶検査スコアの改善は患者および健常者の海馬体積の増加と関連した。これらの結果から、精神障害を有する者においても脳はある程度の可塑性または適応力を保持していることが示唆された。

 

抗うつ治療を行ってもうつ病による能力障害および長期欠勤は多い  [2010-02-02]

Even after antidepressant therapy, depression is associated with increased disability and absenteeism

うつ病のある被雇用者は抗うつ治療を受けた後でも短期の能力障害および長期欠勤によりコストが高くつく、とAmerican College of Occupational and Environmental Medicineの公式ジャーナルJournal of Occupational and Environmental Medicine 2月号に掲載された。研究者らは保険請求および被雇用者の健康と生産性のデータベースを用いて抗うつ治療と生産コストの関係を調査した。その結果、うつ病のある被雇用者はうつ病のない被雇用者と比較し、短期の能力障害による休暇が約2倍であることが示唆された。重症のうつ病を有する被雇用者においては短期の能力障害率が3倍高かった。うつ病のある被雇用者は、うつ病治療を受けた後でも欠勤も多かった。年間の短期の能力障害によるコストはうつ病のある被雇用者一人当たり約$1,000であり、重症のうつ病のある被雇用者の場合は$1,700であると推定され、この金額は、高血圧、糖尿病、および関節リウマチなどの疾患と比較するとはるかに高額である。筆者らは、この生産性低下は治療にもかかわらず残存するうつ病、またはうつ症状によるものであろうと考えている。うつ病のよりよい管理が雇用者の経費削減につながるであろうと彼らは述べている。

 

一般的な抗うつ薬を内服している産後女性は乳汁分泌が遅延する可能性がある [2010-02-02]

New mothers on common antidepressants may experience delayed lactation

一般的に使用されている抗うつ薬を内服している女性は産後の乳汁分泌が遅延し、そのため母乳栄養の目標に到達するためにはさらなるサポートが必要である可能性があるとJournal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2月号に掲載された。Fluoxetine、セルトラリン、およびパロキセチンなどの一般的な選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)は乳房内のセロトニン調節に影響を与える可能性があり、産後女性が完全に母乳を供給できるのが遅延するリスクを高くする。研究者らは、ヒトおよび動物の細胞株や遺伝子操作をしたマウスを用いてSSRIの乳汁分泌に与える影響について調査した。さらに、産後女性の母乳産生の時期に対するSSRIの影響を評価する観察研究も行った。431人の産後女性の研究において乳汁分泌開始時期はSSRI内服中の女性で85.8時間であったのに対し、SSRIを内服していない女性においては69.1時間であった。筆者らは、授乳中のSSRI使用に関する勧告を作成するにはより多くの女性に関するリサーチが必要であると述べている。

 


 

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