マウスにおいてブラックラズベリーの大腸がん腫瘍形成抑制が認められた [2010-11-16]
Black raspberries seen to inhibit colorectal tumor formation in mice

ブラックラズベリーの優れた大腸がん予防効果が二系統のマウス大腸がんモデルにおいて認められたとCancer Prevention Research 11月号に掲載された。研究者らは各々特異的な遺伝子をノックアウトしたApc1638とMuc2の二系統のマウスを用いて、Apc1638マウスには消化管腫瘍を、Muc2マウスには大腸炎を発現させた。両系統のマウスを欧米スタイルの高リスク食(脂肪が多くカルシウムおよびビタミンDが少ない)または同様の食事にフリーズドライのブラックラズベリー粉末を10%加えた食事のいずれかを12週間摂食させる群に無作為に割り付けた。その結果、ブラックラズベリー補充群において両系統のマウスともに結腸や直腸の広範な消化管保護効果や腫瘍形成抑制が認められた。Apc1638マウスにおいては腫瘍発現が45%低下し腫瘍数は60%減少したMuc2マウスにおいては腫瘍発現および腫瘍数がともに50%減少し、ブラックラズベリーが大腸炎に関連する慢性炎症を軽減することにより腫瘍発現を抑制していた。

前立腺がん治療においてホルモン療法に放射線療法を併用することで生存率が上昇する [2010-11-09]
Adding radiation to hormone therapy for prostate cancer treatment increases chance of survival

ホルモン療法と放射線療法の併用治療を受けた前立腺がん患者は放射線療法を受けなかった患者と比較し生存率が実質的に高いとの、この種では最大の無作為化スタディの中間結果が2010年11月1日第52回American Society for Radiation Oncology(ASTRO)学会のプレナリーセッションで発表された。1995〜2005年の間に米国、英国およびカナダの高リスク前立腺がん患者1,205人が、ホルモン療法単独またはホルモン療法と放射線療法の併用を無作為に選択され治療された。彼らは平均6年間追跡された。スタディの中間結果では、放射線療法の併用によりこれらの患者の死亡リスクが有意に減少することが示された。治療による長期の副作用が増加することもなかった。独立したデータモニタリング委員会は、これらの結果の重要性を考慮して公表することを提言した。中間解析から得られた数値が最終解析においても同様であれば、この治療法によって前立腺がん患者の死亡リスクが43%低下するだろう、と筆者らは述べている。

アスピリンを使用することにより前立腺がん患者のがん死のリスクが低下する [2010-11-09]
Aspirin use associated with lower risk of cancer death for men with prostate cancer
放射線療法または手術に加え抗凝固療法を受けた前立腺がん患者は死亡のリスクが半分以上減少する可能性があるとの大規模スタディの結果が、11月3日サンディエゴで開催された第52回American Society for Radiation Oncology(ASTRO)で発表された。研究者らはCancer of the Prostate Strategic Urological Research Endeavor(CaPSURE)データベースを解析し、転移のない前立腺がん男性における抗凝固療法(アスピリン、ワルファリン、クロピドグレルおよび/またはエノキサパリン)の前立腺がん死リスクに対する影響を評価した。このスタディには局所前立腺がんに対し手術または放射線療法で治療された患者5,275人を組み入れた。これらの患者のうち1,982人が抗凝固薬投与を受けていた。患者らは前立腺がんに関し、高リスク、中等度リスク、低リスクに分類された。手術または放射線療法で治療された前立腺がん患者における抗凝固療法は前立腺がん死のリスクを10年間に10%から4%に低下させた。骨転移を発現するリスクもまた減少した。この有益性は高リスクの前立腺がんと診断された患者においてより大であるようであった。またこのスタディの結果、アスピリンは他の抗凝固薬に比べこの有益性が最も顕著に認められることが示された。
大腸がん患者においてKRAS p.G13D変異とセツキシマブ治療の間に正の相関関係が認められた [2010-11-02]
Positive association shown between KRAS p.G13D mutations and cetuximab treatment in patients with colorectal cancer

抗がん剤セツキシマブはKRAS変異転移性大腸がんの有効な治療法とは考えられていないが、新たな研究の結果、ある遺伝子変異を有し化学療法が無効な大腸がん患者をセツキシマブで治療すると全生存期間および無増悪生存期間が他のKRAS変異を有する患者と比較し長かった、とJAMA 10月27日号に掲載された。研究者らは、あるKRAS変異(p.G13D)が他のKRAS変異よりもセツキシマブ治療後の予後が良好であることと関連しているか否かを調べた。このスタディには2001〜2008年にセツキシマブで治療された化学療法無効の大腸がん患者で他の臨床試験に参加したかまたはoff-study治療を受けた患者579人の蓄積データが用いられた。主要な有効性の指標は全生存期間であった。二次有効性指標は奏効率および無増悪生存期間であった。その結果、いずれかのセツキシマブベースの治療(セツキシマブ単独療法またはセツキシマブと他の化学療法併用)を受けた患者(571人)における全生存期間および無増悪生存期間はいずれもp.G13D変異腫瘍を有する患者において(全生存期間:32人;中央値7.6ヵ月、無進行生存期間:中央値4.0ヵ月)、他のKRAS遺伝子腫瘍を有する患者(全生存期間:中央値5.7ヵ月、無増悪生存期間:中央値1.9ヵ月)よりも長かった。

様々な悪性腫瘍に対して可能性のある治療標的が発見された [2010-11-02]
Researchers find potential therapeutic target across a range of malignant tumor types
The New England Journal of Medicine 10月21日号に掲載されたあるスタディの結果、全てのグレードにおいていくつかの悪性腫瘍間の共通の関連が認められ、これにより新たな治療標的が供給される可能性があると報告された。科学者らは、1,336人の患者の前立腺、乳房、結腸、膵臓、肺、肝臓、および卵巣など11の一般的ながんの組織検体を評価した。彼らは、卵胞刺激ホルモン(FSH)受容体と呼ばれるホルモン受容体に対するホーミングデバイスとして働く抗体を検出試薬として用いた。研究チームは、腫瘍周囲の血管壁を形成する細胞上のFSH受容体をこの抗体が突き止め、腫瘍のすぐ近くの内側および外側に広がっていくことを発見した。さらにスタディを行うことによりこれらの薬剤が腫瘍内の血管には蓄積するが正常組織の血管には結合しないことが確認された。FSH受容体を活性化することにより血管内皮増殖因子(VEGF)がシグナリングされることが知られており、研究者らはFSH受容体の働きを阻害することによりVEGFのシグナリングもまた阻害できるであろうと考えている。標的がほとんど全ての正常組織には存在しないため、今後開発される薬剤は現在使用可能な薬剤と比較し副作用が軽減されることが期待される。


 

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