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Abiraterone acetateは転移性進行前立腺がん患者の全生存期間を有意に改善させた [2010-10-26] |
Abiraterone acetate significantly improved overall survival for patients with metastatic advanced prostate cancer |
ある無作為化プラセボコントロールphase 3スタディの事前中間解析の結果、治験薬abiraterone acetateと低用量プレドニゾン/プレドニゾロンの併用により転移性進行前立腺がん患者の全生存期間における有意な改善が認められた、と第35回European Society for Medical Oncology(ESMO)学会のレイトブレイキングセッションで発表された。この無作為化プラセボコントロールスタディの結果から、abiraterone acetateを用いた治療により死亡リスクが35%低下し(HR=0.65; 95% CI: 0.54, 0.77; P<0.0001)、生存期間中央値が36%増加した(14.8ヵ月対10.9ヵ月)ことが示された。治療群患者においてはまた、PSA進行までの時間(中央値10.2対6.6ヵ月P<0.0001)や放射線画像上の無増悪生存期間の増加(中央値5.6対3.6ヵ月P<0.0001)などの二次エンドポイントの有意な改善も認められた。ベースラインからの50%以上の低下で定義した総PSA反応はabiraterone acetateで治療された患者の38%において達成されたのに対し、プレドニゾン/プレドニゾロンとプラセボ併用群では10%であった(P<0.0001)。 |
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ある皮膚がんの遺伝的素因はビタミンD欠乏症と関連がある
[2010-10-26] |
Genetic predisposition to certain skin cancers may be associated with vitamin D deficiency |
メラノーマ以外の皮膚がんを発症しやすい基底細胞母斑症候群患者は、日光から防御する方法をとっている場合にビタミンD欠乏症のリスクが上昇するとArchives of Dermatology 10月号に掲載された。研究者らは2年間のスタディ期間中に血液検査を平均3回施行された患者41人を調査した;23人(56%)がビタミンD欠乏症であった。一般の人々と比較すると基底細胞母斑症候群患者はビタミンDレベルが低く、欠乏症の確率が3倍高かった。血中ビタミンDレベルは過体重の基底細胞母斑症候群患者に多く、また夏に採血された患者と比較し冬に採血された患者に多かった。アンケートに完全に回答した基底細胞母斑症候群患者35人中28人(80%)が毎日日焼け止めを使用していると回答し、ほとんどが午前10時から午後2時までの日光を避けていると回答した。筆者らは欠乏の度合いと肥満によるさらなる影響の可能性から、基底細胞母斑症候群患者がコレカルシフェロール(ビタミンD3)サプリメントの最適な候補者となると述べている。 |
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DCIS患者においてマンモグラフィの乳腺密度が高いとその後の乳がんリスクが上昇する [2010-10-19] |
High mammographic density linked to increased risk of subsequent breast cancer in patients with DCIS |
マンモグラフィーの乳腺密度が高い非浸潤性乳管がん(DCIS)患者は、特に最初のがん発現と反対側の乳房のその後の乳がんリスクが高い可能性があるとCancer Epidemiology, Biomarkers & Preventionに報告された。研究者らは1990〜1997年にDICSと診断され乳房温存手術を施行された患者935人を調査した。医療記録をレビューした後、診断時マンモグラムを評価し経過観察期間中の乳がんイベントのリスクを計算した結果、次の乳がんリスクは高密度の女性において高いことが示された。経過観察期間中に、164人の患者がその後に同側乳がんを発症し、59人が反対側の新たな原発がんを発症した。研究者らはその後のがんのリスクが反対側のみならず最初のがんと同側においても上昇すると予測していた。彼らは、このリスク予測を確認し密度に関する情報がリスク評価や治療選択の助けになるかどうかを明らかにするためにさらなるスタディが必要であると強調している。 |
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高レベルの大気汚染地域に居住する女性は乳がんリスクが高い
[2010-10-19] |
Women living in areas with high levels of air pollution at greater risk for breast cancer |
Environmental Health Perspectives誌に掲載された新たなスタディの結果から、交通機関による大気汚染が女性の乳がんリスクを高める可能性があることが示唆された。カナダの研究者らはいくつかの研究データを組み合わせた。まず、彼らの行った2005〜2006年のスタディ結果を用いて、1996年および10年前の1986年の自動車の副産物である二酸化窒素(NO2)のレベルを示した大気汚染“地図”を市街の異なる地区について作成した。その後、1996〜1997年に乳がんと診断された女性の自宅住所を大気汚染地図上に記入した。その結果、乳がん発現率は大気汚染の高度な地域において明らかに高かった。彼らは閉経後乳がんと交通機関に関連した大気汚染の“マーカー”であるNO2への曝露との間に相関があることを発見した。このリスクはNO2が5パーツパービリオン(ppb)上昇するごとに約25%上昇した。したがって、大気汚染レベルが最も高い地域に住む女性は汚染レベルが最も低い地域に住む女性と比較し、乳がん発症率が約2倍であった。筆者らは、NO2は単にマーカーであって実際の発がん性物質ではないと注釈を付けている。 |
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大規模スタディの結果、マンモグラフィによるスクリーニングは40〜49歳の女性の乳がん死亡率低下に有効であることが示された [2010-10-12] |
Large study shows mammography screening effective in reducing breast cancer mortality in women ages 40 to 49 |
2010年乳がんシンポジウムで発表された大規模な地域住民を対象としたスウェーデンのスタディの結果、40〜49歳の間にマンモグラフィによるスクリーニングを受けた女性は受けなかった女性と比較し、乳がんにより死亡するリスクが26%低いことが示された。研究者らは、スウェーデンの郡の間で40〜49歳の女性にスクリーニングを勧めている郡(スタディ群)と50歳未満の女性にはスクリーニングを勧めていない郡(コントロール群)における乳がん死を比較した。スタディにおける死亡は、40〜49歳に診断され平均16年間の追跡期間中に死亡した場合にカウントされた。1986〜2005年の追跡期間中に、スタディ群の619人およびコントロール群の1,205人が乳がんで死亡した。この結果は、スクリーニングを勧められた患者群において乳がん死亡率が26%低下し、実際にスクリーニングを受けた患者群において29%低下したことを示している。死亡率の低下は40〜44歳の女性よりも45〜49歳の女性においてより大であった。この非無作為化スタディの経過中、100万人以上の女性が参加した。 |
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乳がん患者をエストロゲン受容体の状態に基づき選択しアロマターゼ阻害薬療法を行うことにより乳房温存手術が可能になる [2010-10-12] |
Selecting breast cancer patients for aromatase inhibitor therapy based on estrogen receptor status results in high rates of response, breast-conserving surgery |
大規模多施設無作為化Phase IIトライアルの結果、エストロゲン受容体(ER)高発現の閉経後乳がん患者を選択し施行したアロマターゼ阻害薬(AI)療法の奏効率は高く、乳房温存手術の適応拡大につながることが示された。研究者らは臨床ステージII/IIIのERリッチな閉経後乳がん患者374人を3つのAI(エキセメスタン、レトロゾール、アナストロゾール)のいずれかによる16週間の治療群に無作為に割り付けた。参加者は全員ベースラインの時点では腫瘍サイズが大きいため乳房温存術の適応は低かった。16週後、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタンを投与された患者のそれぞれ70.9%、66.7%、60.5%が部分または完全寛解した。進行率は、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾールでそれぞれ7.3%、6.5%、4.7%であった。治療後、境界群の82%(163/199)が乳房温存手術を受けることができた。さらに、乳房切除術群患者の約半数(77/152、51%)および手術不適応群患者の75%が乳房温存手術可能であった。このスタディの結果は2010年乳がんシンポジウムで発表された。 |
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スタディの結果、乳房切除および即時乳房再建術を施行される患者のリスクが明らかになった [2010-10-05] |
Studies identify risks for complications in women undergoing mastectomy and immediate breast reconstruction |
乳房切除および即時乳房再建術を施行された後に放射線療法を必要とする患者の約半数が手術室への再入室を余儀なくされるような合併症を発症するが、乳房切除術前および術後の化学療法はさらに施術が必要となるか否かには関係ないようであるとの2つの報告がArchives of Surgery 9月号に掲載された。1つ目のスタディでは、乳房切除術後の放射線療法により予定しない手術室への再入室リスクが3倍になり、即時乳房再建術によりリスクが8倍になった。即時乳房再建術と乳房切除術後放射線療法により2人に1人に近い患者が合併症により手術室に再入室したが、術後放射線療法は受けたが乳房再建術は受けなかった患者におけるその割合は7%であった。もう1つのスタディでは、31%の患者が手術室への再入室が必要となる合併症を発現した。この割合は、患者が術前または術後に化学療法を受けたか否か、あるいは全く受けなかったかで変わることはなかった。術後感染症は術後化学療法を受けた患者18人(44%)に発現したのに対し、術前に化学療法を受けた患者では13人(23%)に、化学療法を全く受けなかった患者では16人(25%)において認められた。 |
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新たに同定された蛋白が膵臓がんの治療および診断の標的となる
[2010-10-05] |
Newly identified protein provides target for pancreatic cancer treatment and diagnosis |
膵臓がんの新たな治療の標的となり早期診断にも役立つ可能性のある蛋白が同定されたとClinical Cancer Researchオンライン版に掲載された。研究者らは膵臓がん腫瘍の4分の3近くがP110γとして知られる蛋白を高レベルに有していることを明らかにした。研究チームは、正常またはがんの膵臓組織を細胞増殖に関連するある特異的な蛋白に関してスクリーニングし、P110γとの関連を発見した。全てのがんのうち半分がある蛋白―イノシトールリン脂質3キナーゼ(PI3K)と呼ばれる―のあるファミリーのメンバーと関連しており、研究チームは膵臓がんによりこの関連が生じるのかを確認したかった。がん組織の72%においてP110γが高レベルに認められたのに対し、正常の膵組織においては認められなかった。P110γの産生を阻害すると、がん細胞は成長を停止した。同じファミリーの他の蛋白を阻害してもこの効果は得られず、P110γの膵臓がん進行における重要な役割が示された。膵臓の炎症を有する患者においてもP110γレベルは高く、研究者らはP110γが膵臓がんの早期段階で関与しているとの仮説を立てている |
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