治療歴のあるメラノーマに対しipilimumabは生存に有益である(ASCO)
  慢性骨髄性白血病のファーストラインとしてのダサチニブ(ASCO)
  新たな化学療法剤は転移性乳がんの生存率を改善する(ASCO)
  乳がんが転移すると生物学的特徴が変化する(ASCO)
  小児がんの既往者において遺伝子と薬物用量が心障害と関連している(ASCO)
  リンパ腫に対する有望な維持療法(ASCO)
  卵巣がんの有望な新スクリーニング法(ASCO)
  ヨガはがん既往者のQOLを改善する(ASCO)
  早期乳がんの高齢女性は放射線療法を見合わせても安全である(ASCO)
  Lenalidomide維持療法は骨髄腫の進行を遅延させる(ASCO)
  大腸がんの予測因子となる細菌
  非アルコール性脂肪肝炎と肝がんとの関連



日常的にコーヒーを飲んでいる人は口腔内がんおよび咽頭がんのリスクが低いようである [2010-06-29]
Regular coffee drinkers appear to have a decreased risk of oral cavity and pharynx cancer

コーヒーのがんリスクに関するデータの結果は様々である。しかし、オンライン速報版に掲載された最近のスタディ結果により、コーヒーを飲むことにより、今回は頭頸部がんが予防されるとの新たなエビデンスが追加された。International Head and Neck Cancer Epidemiology(INHANCE)コンソーシアムが収集した9つのスタディのプール解析から得られた情報を用いた結果、コーヒー常飲者、つまり1日に推定4杯以上コーヒーを飲む者は、コーヒーを飲まない者と比較し、口腔内がんおよび咽頭がんのリスクが39%低かった。カフェイン抜きのコーヒーに関しては詳細な解析をするにはデータが少な過ぎたため不可であったがリスクは上昇しないようであった。お茶の摂取は、頭頸部がんのリスクに関連しなかった。この関連はより頻回にコーヒーを常飲する者、つまり1日4杯を超えるコーヒーを飲む者においてより信頼性があった。過去のスタディでは、コーヒー消費と致死的な進行前立腺がんおよびグリオーマとの間に同様な逆の関連が認められた。

ビタミンB6および一般的なアミノ酸の血中レベルが高いほど肺がんのリスクが低い [2010-06-29]
Higher levels of vitamin B6 and common amino acid associated with lower risk of lung cancer

血中ビタミンB6および必須アミノ酸メチオニン(ほとんどの蛋白に含まれる)値の高い者は、現在および過去の喫煙者も含め、肺がんのリスクが低いとJAMA 6月16日号に掲載された。研究者らは、ヨーロッパ10ヵ国の519,978人を対象とした、がんと栄養に関するヨーロッパ前向き調査(European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition :EPIC)コホートスタディの血清検体中のビタミンB群およびメチオニンの状態について調査を行った。2006年までに899のがん症例が発見され、国籍、性別、誕生日、採血日のマッチした1,770人のコントロールに 同様に血液検査を行った。その結果、ビタミンB6の血中レベルの高い者において肺がんのリスクが低いことが明らかになった(ビタミンB6レベルの第1四分位と第4四分位を比較した)。メチオニンレベルの高い者においてもリスクは低かった。このリスク低下は、一度も喫煙をしたことのない者、過去の喫煙者および現在の喫煙者いずれにおいても認められた。血清メチオニンおよびビタミンB6レベルが中央値より上にあると肺がん全体のリスクが低かった。血清葉酸値が高いと中等度のリスク低下が認められたがこの関連は過去および現在の喫煙者においてのみ認められ、一度も喫煙をしたことのない者においては認められなかった。

ホルモン療法に放射線療法を併用することにより局所進行前立腺がん患者の生存率が改善する [2010-06-22]
Adding radiation therapy to hormone therapy improves survival in men with locally advanced prostate cancer

アンドロゲン除去療法(ADT;ホルモン療法としても知られる)に放射線療法を併用することにより、局所進行または高リスクの前立腺がん患者の前立腺がん死のリスクがADT単独と比較し43%低下したとのphase IIIスタディの結果が第46回ASCO学会で発表された。局所進行または高リスクの前立腺がん患者をADT単独療法(602人)またはADTと放射線療法の併用(603人)を受ける群に無作為に割り付けた。7年後に生存していたのはADT単独群では66%であり、ADTと放射線療法の併用群におけるその割合は74%であった。ADT単独群では26%が前立腺がんにより死亡したのに対し、ADTと放射線療法の併用群においては10%であった。ADTと放射線療法の併用群患者はADT単独群患者よりも生存期間が平均6ヵ月延長した。有意な長期のGI毒性は両群間で差がなかった。研究者らは、10年間の前立腺がんによる死亡(10年間の疾患特異的累積死亡率)はADTと放射線療法併用群においてADT単独群よりも少ないであろうと推測している(それぞれ15%と23%)。

標準的な化学療法にベバシズマブを追加することにより進行卵巣がん患者の生存率が改善する [2010-06-22]
Adding bevacizumab to standard chemotherapy improves survival in women with advanced ovarian cancer

第46回ASCOのプレナリーセッションで取り上げられたphase IIIの婦人科がんグループ臨床試験の結果、初回化学療法にベバシズマブを追加し、さらにベバシズマブを維持療法として投与することにより、進行性の上皮性卵巣がん、原発性腹膜がん、または輸卵管がんの進行を有意に遅延させることができることが示された。この国際スタディには新たにstage IIIまたはIVの卵巣がん、原発性腹膜がん、または輸卵管がんと診断され手術でがんを可能な限り多く切除された女性1,873人を対象とした。患者らは、標準的化学療法(パクリタキセルとカルボプラチン)にプラセボを追加しプラセボで維持;標準的化学療法にベバシズマブを追加しプラセボで維持;標準的化学療法にベバシズマブを追加しベバシズマブで維持の3群のいずれかに無作為に割り付けられた。標準的化学療法とベバシズマブを投与され最長10ヵ月間にわたりベバシズマブで維持された女性は標準的化学療法のみを受けた患者群と比較し、無増悪生存期間が長く(それぞれの中央値は14.1ヵ月と10.3ヵ月)、その差は統計学的に有意であった。化学療法とベバシズマブを投与されプラセボで維持された患者の無増悪生存期間中央値は11.2ヵ月であり、標準治療単独群との差は統計学的に有意ではなかった。

薬物併用により高齢者の進行非小細胞肺がんの生存率が上昇する [2010-06-15]
Drug combination increases survival in advanced non-small cell lung cancer in the elderly

第46回ASCOのプレナリーセッションで取り上げられたphase IIIスタディの結果、一般的に使用される化学療法剤であるパクリタキセルとカルボプラチンの併用により、標準的な単剤療法と比較し、高齢の非小細胞肺がん(NSCLC)患者の全生存期間および無増悪生存率が有意に上昇したことが示された。このトライアルにおいて研究者らは、進行NSCLC 患者(70〜89歳)451人において、ゲムシタビンまたはビノレルビンのいずれかを用いた標準的な単剤療法とパクリタキセルとカルボプラチンの併用療法とを比較した。このスタディは中間解析の結果、全生存期間が併用療法(10.4ヵ月)において単剤療法(6.2ヵ月)に比べ長いことが明らかとなった時点で早期に終了となった。また、肺がんが進行するまでの期間が併用療法群において単剤療法群と比べ2倍近いことも明らかにした(6.3ヵ月対3.2ヵ月)。併用療法の毒性は許容範囲内であったが、併用療法群では単剤療法群よりも中等度から重度の好中球減少症を発現する頻度が高かった(47.8 %対12.2 %)。これらの結果から、高齢患者に対しても若年患者と同様に強化療法を考慮すべきであることが示唆された。

新たなALK阻害薬は特異的なALK遺伝子変異を有する進行非小細胞肺がん患者において有効性を示した [2010-06-15]
Novel ALK inhibitor shows high response rate in patients with advanced non-small cell lung cancer with specific ALK gene alteration

第46回ASCOのプレナリーセッションで取り上げられたスタディの結果、ある特異的なALK遺伝子の再構成を有する進行肺がん患者の多くに、治験薬crizotinibを用いた治療が有効であることが示された。ALK遺伝子が他の遺伝子と融合すると、未分化リンパ腫キナーゼ、つまりALK(がん細胞の増殖や発育に不可欠な酵素)と呼ばれる腫瘍特異蛋白の産生を暗号化し肺がんの成長を促進する。経口投与薬であるcrizotinibはALK酵素を阻害することにより有効性を発揮する。肺がん患者の5%がこのALK遺伝子変異を有すると推定されている。今回のスタディは進行非小細胞肺がん患者(ほとんどが腺がんを有し非喫煙者または元喫煙者)に対するcrizotinibの有効性を評価した。全ての患者がALK遺伝子融合を有していた。Crizotinibを投与された患者のほとんど(8週後に時点で87%)において、今日までにこの治療が奏効し、腫瘍の縮小や疾患の安定化が認められた。腫瘍の縮小が認められたのは、これらのうちの57%であった。治療期間中央値は約6ヵ月であった。Crizotinibと標準的なセカンドライン化学療法を比較するphase III無作為化試験が開始されている。

モノクローナル抗体ipilimumabは治療歴のある進行メラノーマの長期生存率を改善する [2010-06-15]
Monoclonal antibody ipilimumab improves long-term survival in previously treated advanced melanoma

ASCOプレナリーセッションで取り上げられたphase IIIトライアルの結果、治療歴のある進行メラノーマ患者のうちモノクローナル抗体ipilimumabを投与された者は免疫刺激gp100ペプチドワクチンを投与された者よりも生存期間が34%長かったことが示された。研究者らはipilimumabとプラセボの併用(137人)、ipilimumabとgp100ワクチンの併用(403人)、およびgp100ワクチンとプラセボの併用(136人)の治療を受けた進行(stage III/IV)メラノーマ患者を比較した。メラノーマ細胞を攻撃するためにT細胞を刺激するように作成された治験薬のメラノーマに対するペプチドワクチンであるgp100ワクチンは、過去のスタディにおいて中等度の抗ガン活性を有しIL-2よりも優れていることが示されたため比較群として用いられた。ワクチン単独療法群の生存期間中央値は6.5ヵ月であり、過去のスタディのプラセボと同等であった。Ipilimumabを投与された2群の生存期間中央値は10ヵ月であった。2年生存率はipilimumabを投与された群で24%であり、併用療法群で22%であったのに対し、ワクチン単独群では14%であった。疾患のコントロールにおいてもipilimumabの方が優れていた:6ヵ月後にメラノーマの進行が認められなかったのはipilimumab投与群で30%近かったのに対しワクチン単独群では11%であった。Ipilimumabの忍容性は全般的に良好であった。

ダサチニブは新たに診断された慢性骨髄性白血病に対しイマチニブよりも有効である [2010-06-15]
Dasatinib is more effective than imatinib for newly diagnosed chronic myeloid leukemia

第46回ASCOで発表されたphase IIIスタディの結果、ダサチニブは新たに診断された慢性骨髄性白血病(CML)患者において細胞遺伝学的および分子的な反応をもたらし、標準的なファーストライン治療であるイマチニブよりも優れていることが示された。新たにCMLと診断された患者の約3分の1がイマチニブにより12ヵ月までに細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)に達し、薬剤耐性を獲得し疾患進行のリスクが上昇する。CCyRはCML患者の長期生存期間の非常に良いサロゲートマーカーであることが知られている。このスタディにおいて研究者らは、CMLと新たに診断された患者をダサチニブ(259人)またはイマチニブ(260人)を12ヵ月間投与される群に無作為に割り付けた。1年後にCCyRが確認されたのはダサチニブ群においてイマチニブ群よりも有意に高かった(77%対66%)。他の有効性のマーカーである分子遺伝学的寛解もイマチニブよりもダサチニブにおいて高かった(28%対46%)。忍容性は両薬剤ともに全般的に良好であった。研究者らは無増悪生存期間および全生存期間などの患者の経時的な進行に関するモニターを継続する予定である。早期CML患者に対する他のチロシンキナーゼ阻害薬の治験も同様に行われている。

EMBRACEトライアル:海綿由来の新薬eribulinは転移性乳がん患者の生存率を改善する [2010-06-15]
EMBRACE Trial: New agent, eribulin, derived from marine sponge, increases survival among women with metastatic breast cancer

2010年ASCOで発表されたphase III無作為化トライアルの結果から、新たな化学療法薬eribulin mesylateは、既に従来の治療で強力に治療された局所再発性または転移性乳がん患者の全生存期間を2.5ヵ月延長させたことが示された。Eribulin mesylateは、細胞分裂に影響する新しいタイプの“微小管ダイナミクス阻害薬”である;この薬剤は海綿由来である。このEMBRACEと呼ばれる国際多施設トライアルは、平均4回のアントラサイクリン系やタキサン系の化学療法を既に受けた局所再発性または転移性乳がんを有する女性に対し、eribulin mesylateを“医師の選択による治療”と比較した初めてのトライアルである。これらの患者においては単剤の化学療法は標準的ではないため医師らはコントロール群の患者に対し現実的な選択を反映するような治療を選択した。転移性乳がんの女性をeribulin (508人)または医師らの選択した治療法(ほとんどそれぞれ異なる化学療法;254人)を受ける群に無作為に割り付けた。その結果、生存期間中央値はeribulin群において有意に長かった(13.1ヵ月対10.7ヵ月)。このスタディの二次エンドポイント(無増悪生存期間および奏効率)もまたeribulin群において良好であり、忍容性も全般的に良好であった。

肝臓に転移した乳がんは生物学的に変化し治療の有効性に影響を与える [2010-06-15]
Breast cancers that metastasize to the liver may change biology, impacting treatment effectiveness

転移性乳がんの女性に関するレトロスペクティブスタディの結果、原発腫瘍の生物学的特徴−エストロゲン、プロゲステロン、およびHER2の状態−が、がんが肝臓に転移した際にしばしば変化し治療法の変更が必要となることが示された。乳がん患者の治療法はキーとなる生物学的マーカー(エストロゲンおよびプロゲステロン受容体やHER2)の状態に基づき選択される。例えば、トラスツズマブはHER2を過剰発現する腫瘍にのみ有効であるが、タモキシフェンまたはアロマターゼ阻害薬はエストロゲン受容体陽性の患者にしか有効でない。しかし、医師は転移性腫瘍を毎回生検せず、原発性腫瘍の結果を参考に、時に何年も治療する。今回のスタディで研究者らは、転移性乳がん患者255人の原発乳がんおよび肝転移の生検データを調査し、エストロゲンおよびプロゲステロン受容体やHER2の状態を明らかにした。その結果、二次性腫瘍のエストロゲン受容体の状態は14.5%、プロゲステロン受容体の状態は48.6%、HER2の状態は13.9%において異なっていた。この結果から、12.1%の患者において治療法が異なってくる。このスタディは第46回ASCOで発表された。

小児がん既往者における心血管系の問題はある特定の遺伝子および化学療法剤の用量に関連している [2010-06-08]
Cardiovascular problems in childhood cancer survivors tied to specific gene and chemotherapy drug dose

第46回American Society of Clinical Oncology(ASCO)年次集会で発表されたスタディにおいて、CBR遺伝子の特定の変異を有し低用量のアントラサイクリン系抗癌剤による化学療法を施行された小児がん既往者は、この遺伝子型を有さず低用量化学療法を受けた者に比べ心疾患を発症する確率がはるかに高いことが示された。研究者らは心筋症を発症した小児がん既往者165人(診断時年齢中央値7.5歳)と心疾患を有さない小児がん既往者323人を比較した。その結果、心筋症を有する者のうち高用量のアントラサイクリン(250mg/m2より高用量)で治療された患者においては、薬物が高用量のためにリスクがもとより高く、そのためCBR遺伝子の心疾患に対する影響は少なかった。しかし、心疾患を発症した者のうち低用量(250mg/m2未満)で治療された患者においてはCBR1およびCBR3いずれの亜型も心筋症のリスクを増大させた。CBR1亜型を有する患者は低リスクの亜型を有する患者と比べ心筋症リスクが5.3倍高く、CBR3亜型を有する患者は3.1倍リスクが高かった。これらの結果から、一部の特定の小児がん患者におけるアントラサイクリン関連の毒性を予防するテーラーメイド治療法が導き出される可能性がある。

リツキシマブを用いた維持療法は濾胞性リンパ腫の再発リスクを半減させる [2010-06-08]
Maintenance therapy with rituximab halves risk of follicular lymphoma recurrence

2010年ASCOで発表されたphase III国際PRIMAトライアルの結果、2年間のリツキシマブ維持療法により初回化学療法が奏効した濾胞性リンパ腫の再発リスクが50%減少したことが示された。このスタディにおいて、診断時にstage IIIまたはIVの濾胞性リンパ腫がリツキシマブベースの併用化学療法(寛解導入療法)により軽減または消失した患者を、維持療法としてさらに2年間のリツキシマブを投与する群(505人)と維持療法を施行しない群(観察群、513人)とに無作為に割り付けた。25ヵ月間の経過観察期間中央値の後、疾患の進行を認めたのはリツキシマブ群では18%であったのに対し観察群では34%であった。リツキシマブの有益性は患者の寛解ステージ、年齢、または前回の治療プロトコールに関係なく認められた。研究者らは、今回認められたリンパ腫再発リスク軽減に対するリツキシマブ維持療法の有益性を確認するにはより長期の患者追跡が必要であると述べている。リツキシマブ維持療法の忍容性は良好であり、最も多い副作用は感染症であった(リツキシマブ群37%に対し観察群22%)。QOLは両群間で同等であった。

平均的リスクの閉経後女性を対象とした有望な卵巣がん新スクリーニング法が開発された [2010-06-08]
Promising new ovarian cancer screening strategy developed for post-menopausal women at average risk

血中CA-125検査結果の傾向と患者の年齢を組み合わせた数理的モデルを使用し、その後経膣エコーを行い必要があれば婦人科オンコロジストに委託するといった、平均的卵巣がんリスクの閉経後女性を対象とした有望な新スクリーニング法は、現実的で偽陽性率も非常に低いことが示された。研究者らは、患者の年齢および経時的な血中CA-125レベルの傾向に基づく"卵巣がんリスクアルゴリズム"(ROCA)を評価した。CA-125レベルが上昇していた女性にはその後経膣エコー(TVS)を施行し、必要に応じて手術の必要性の有無に関する評価を婦人科オンコロジストに委託した。このスタディでは乳がんおよび卵巣がんの有意な家族歴のない50〜74歳の閉経後女性3,238人を対象とし8年間追跡調査した。TVSが必要な女性は年間1%未満であった。8人の女性がROCAの結果に基づき手術を施行され、そのうち3人は浸潤性であるが早期のがんであった。ROCAの後にTVSを施行し手術の是非を委託する方法の特異度は99.7%であり、この方法による偽陽性率は非常に低いことが示された。これらの結果は第46回ASCOで発表された。

ヨガは早期がん既往者の睡眠およびQOLを改善し、倦怠感を軽減させる [2010-06-08]
Yoga improves sleep and quality of life, lessens fatigue for early-stage cancer survivors

4週間のヨガプログラムはがん既往者の睡眠を向上させ、倦怠感を軽減し、QOLを改善するのに役立ったと2010年ASCOで発表された。がんに対するアジュバント療法終了後2〜24ヵ月間に、睡眠障害を訴えた早期がん既往者(96%が女性、75%が乳がん患者)410人においてヨガの有益性を評価した。参加者らは通常のケア単独または通常のケアに加え4週間にわたる週2回の、呼吸、瞑想、想像、および立位、座位、臥位のポーズのような集中した運動からなるYOCAS®(がん既往者に向けたヨガ)プログラムを受けた。その結果、ヨガ群はコントロール群と比べ、睡眠の質の改善が大であり(22%対12%)、臨床的な睡眠障害発現率が低く(31%対16%)、日中の眠気が少なかった(29%対5%)。ヨガ群は睡眠薬の使用が21%減少したにもかかわらずこれらの改善を認めた。一方、コントロール群においては睡眠薬使用が5%増加した。さらに、ヨガ群においては4週後に倦怠感が42%軽減したのに対しコントロール群ではわずか12%しか軽減しなかった。ヨガ参加者はQOLが改善した(6%)と報告したが、コントロール群では変化がなかった。

乳腺腫瘍摘出術を施行された高齢のstage I乳がん患者に対して放射線療法は不要な可能性がある [2010-06-08]
Radiation may not be needed by older women with stage 1 breast cancer who have had a lumpectomy

ある追跡調査の結果、乳腺腫瘍摘出術を施行されタモキシフェンを投与された70歳以上の早期乳がん女性に対しては、放射線療法を行わなくとも生存率に有意に影響しない可能性があるとのエビデンスがさらに得られたと第46回ASCOで発表された。研究者らは、エストロゲン受容体陽性のリンパ節転移のないstage I乳がんに対し乳腺腫瘍摘出術を施行された70歳以上の女性636人を、タモキシフェン投与群(319人)またはタモキシフェンと放射線療法(317人)併用群に無作為に割り付けた。早期解析の結果、フォローアップ期間中央値7.9年後にタモキシフェン単独治療はタモキシフェンと放射線療法併用治療と有効性が同等であることが示された。この新たな解析には10.5年後の追跡データも含まれた。同側乳房の乳がん再発リスクはタモキシフェンと放射線療法併用群においてタモキシフェン単独療法群よりも低かった(それぞれ2%と8%)。しかし、乳がん特異的生存率は両群間で有意差がなかった。10年後の乳がん生存率はタモキシフェン単独群で98%であり併用群で96%であった。タモキシフェン単独群の10年生存率は63%であったのに対しタモキシフェン放射線療法併用群では61%であった。

Lenalidomide維持療法は骨髄腫患者の再発までの期間を延長することによりQOLを改善する [2010-06-08]
Lenalidomide maintenance therapy may improve quality of life in patients with myeloma by delaying time to relapse

第46回ASCOで発表されたphase IIIトライアルの中間解析の結果、lenalidomide維持療法は高用量化学療法および自己幹細胞移植を施行された多発性骨髄腫患者の進行を54%遅延させることが示された。過去の研究により化学的に類似したサリドマイド維持療法により骨髄腫の再発を遅延させることが示されたが、この薬剤は有意な毒性を有していた。Lenalidomideは、治療したにもかかわらず再発または残存する骨髄腫の治療に既に使用されていた。今回のスタディにおいて研究者らは、再発するまで維持療法としてlenalidomideを投与する群307人とプラセボ投与群307人の無増悪生存期間を比較した。全ての患者が高用量化学療法および自己幹細胞移植(ASCT)を無作為化前6か月以内に既に施行されており、その後2ヵ月間のlenalidomide"地固め療法"を受けた。維持療法により3年間の無増悪生存率が改善した:lenalidomide群の68%が増悪しなかったのに対しプラセボ群では35%であった。この有益性はASCT後に完全寛解したか否かに関係なく認められた。2年全生存率は両群間で差はなかった(95%)。Lenalidomide維持療法の忍容性は良好であった。

人間の腸管内の常在菌が大腸がん発症リスクに関連している可能性がある [2010-06-01]
Bacteria residing in the human intestinal tract may be associated with an individual's risk of developing colon cancer

人間の腸管内の常在菌が大腸がん発症リスクに関連している可能性があるとのスタディ結果が、第110回American Society for Microbiology総会で発表された。研究者らは91人の食習慣および病歴、便検体および多数の大腸生検組織に関するデータを収集した。さらに彼らはポリープを1つ以上有する30人と年齢および性別をマッチさせたコントロール30人の腸内細菌叢の状態を比較した。細菌の中にはポリープを有している者のみに検出されるものと、ポリープを有さない者にのみに検出されるものがあった。ポリープを有する者の便中ではEubacterium ramulusが増加しており、一方ポリ−プを有さない者においてはRuminococcus spおよびヒト腸管firmicuteが増加していた。組織検体では、ポリープを有する者の組織においてAcidovorax spがより多く検出された。他にもポリープ群とコントロールとで異なる菌の特徴が認められたが既知の細菌のいずれにも当てはまらず、同定されておらず特徴付けられていない細菌も存在することが示唆された。筆者らは、これらの結果は腸内細菌叢の構成のひずみを検出することを基盤とした非侵襲的なスクリーニング検査開発の実現可能性および腸内細菌叢の構成を改善し大腸がんリスクを軽減することを目的とした食事を基盤とした予防法の開発の可能性を示唆していると述べている。

非アルコール性脂肪肝炎誘発性肝硬変は肝細胞がん発現においてC型肝炎ウイルスに匹敵する [2010-06-01]
Nonalcoholic steatohepatitis-induced cirrhosis rivals hepatitis C virus in development of hepatocellular carcinoma

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)後に肝硬変になった患者が肝細胞がんを発症するリスクは、C型肝炎ウイルス(HCV)肝炎後に肝硬変を発症した患者と同等であるとHepatology 6月号に掲載された。研究者らは、慢性HCV感染症後に肝硬変を発症した患者315人およびNASH誘発性肝硬変患者195人の計510人を評価し、NASH肝硬変とHCV肝硬変の発現率を比較し、各群における肝細胞がん(HCC)リスクファクターを特定した。肝硬変診断後の追跡期間中央値3.2年間の年間累積HCC発現率はNASH肝硬変で年2.6%であり、HCV肝硬変では4.0%であった。これらの値から、NASHのHCCリスクはHCV肝硬変患者と匹敵することが示唆された。NASH肝硬変群におけるHCC発現の統計学的に有意な3つの因子が示された。肝硬変の診断時に高齢であることおよびBMIが高いことはHCC発症と相関関係にあった。NASH患者においては生涯において飲酒をしたことがある者は飲酒をしたことがない者と比較し、HCC発症率が3.6倍であった。



 

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