ある薬物併用療法が慢性骨髄性白血病のより有効な治療であることが証明される可能性がある [2010-05-25]
A combination of drugs may prove to be a more effective treatment for chronic myelogenous leukemia

新たな研究の結果、ある薬剤併用療法が致命的な型の白血病により有効であることが証明される可能性があることが明らかにされた。Cancer Cell 5月号に掲載されたこのスタディでは、この新たな治療戦略は、しばしば標準治療が無効で再発の因子である難治性で有名な白血病幹細胞を有効に攻撃する。慢性骨髄性白血病(CML)患者の多くは初期にはメシル酸イマチニブ(IM)に奏効するが、IM治療で寛解した患者において原始的静止白血病幹細胞が残存し、これらの幹細胞が再発の原因であるとのエビデンスがある。研究者らは、他のいくつかのがん治療に有望とされているヒストンデアセチラーゼ阻害薬(HDACi)がCML幹細胞撲滅にも有効であるかどうかに興味をもち調査した。HDACiは急速に分裂する細胞のみを標的とするのではなく増殖していないがん細胞をも攻撃することが示されている点で興味深かった。結果として、HDACiとIMの併用によりIM単独では治療抵抗性であったCML細胞が有効に減少した。さらに、HDACiとIMの併用によりマウスのCMLモデルにおいて白血病幹細胞が著明に減少した。

転移のない甲状腺乳頭がん患者は治療に関係なく予後が良好であることが示された [2010-05-25]
Favorable outcomes found for patients with papillary thyroid cancer that has not metastasized regardless of treatment

甲状腺以外への拡がりのない甲状腺乳頭がん患者は診断後1年以内に治療を受けたか否かに関わらず予後が良好なようである、とArchives of Otolaryngology-Head & Neck Surgery 5月号に掲載された。研究者らは米国国立がん研究所登録簿から得たがん症例および個々の治療データを調査した。彼らは全米生命統計システムを通して死因を追跡した。研究者らは、診断時にリンパ節または他の領域に転移の認められなかった甲状腺乳頭がん患者35,663人を特定した。そのうち、440人(1.2%)は直ちに決定的な治療を受けなかった。平均6年間の追跡期間中にこれらの患者のうち6人ががんのために死亡した。この確率は治療を施行された患者35,223人における確率と有意差がなかった(平均7.6年の追跡期間中に161人)。治療を受けなかった患者の20年生存率は97%であり、治療を受けた患者のそれは99%であった。

既存の治療をより効果的に使用することで若年のAML患者の生存率が劇的に改善する [2010-05-18]
Smarter use of existing treatment helps dramatically boost survival of young AML patients

より個別化した治療および支持療法の改善により小児の急性骨髄性白血病(AML)の診断後3年生存率を71%にまで押し上げられたとThe Lancet Oncology最新号のオンライン版に掲載され、プリント版6月号に掲載予定である。この生存率71%は米国で過去に報告されたものよりも20%高く、2009年の日本のスタディで達成された成績と同等である。このスタディは生後2日から21歳までの若年AML患者230人を対象とした。診断から3年以上後に、再発リスクが低いと分類された患者の約89%が生存しており、標準リスク患者では63%、高リスク患者では47%であった。このスタディは、追加の化学療法のタイミングや構成のガイドとして初めて最小残存病変を使用したり、各々の化学療法終了後に細菌感染および真菌感染予防目的で抗生剤を使用したりするなどのいくつかの初回の試みが特徴的である。この治療戦略により、入院や死亡を含む全ての感染の指標が劇的に減少した。

高齢の限局性腎がん患者に対する腎摘出術の生存率に対する効果は疑問である [2010-05-18]
Nephrectomy does not prolong survival in elderly patients with localized kidney cancer

限局性の腎がんを有する75歳以上の患者は腎全摘術を施行されても生存期間が延長するわけではないようであるとまずCANCERオンライン版に掲載された。この研究は、これらの患者はより重大な他の疾患を一般的に有しており、したがって多くの患者は、経過観察またはがんのない部分の腎臓を温存するなどのより保存的ながん治療を施されるべきであることを明らかにしている。研究者らは径7cm以下の限局性腎がんを75歳以上の時点で発見された患者537人の情報を調査した。これらの患者の20%は厳密に経過観察され、53%は部分切除術を27%は腎摘出術を施行された。平均追跡期間約4年間の後、28%の患者が死亡した。最も多い死因は心臓関係であった(29%)。がんの進行による死亡はわずか4%であった。高齢および他の合併症により追跡期間中の死亡リスクは上昇したが、治療の選択は影響しなかった。また解析の結果、がんを有する腎臓を摘出することにより対側の腎機能障害が加速化したことも示された。腎摘出により心血管系の原因で死亡するリスクも上昇するようであった。

胃がんに対する術後化学療法は生存率に対し有益なようである [2010-05-11]
Chemotherapy after gastric cancer surgery appears to provide survival benefit

胃がんに対し術後化学療法を受けた患者は手術単独の患者と比較し、死亡リスクが低下し無病生存期間が改善するとの過去のスタディの解析結果がJAMA 5月5日号に掲載された。研究者らは、経過観察期間中央値が7年を超える17のトライアル(患者3,838人)における患者個々のデータのメタ解析により、補助化学療法の有益性を定量的に評価した。化学療法群に割り付けられた患者1,924人中1,000人が死亡し、手術単独群に割り付けられた患者1,857人中1,067人が死亡した。解析の結果、総じて化学療法を併用することにより死亡リスクが18%低下したことが示され、手術単独よりも化学療法を併用することにより有意な有益性が認められた。推定全生存期間中央値は手術単独群で4.9年であったのに対し、補助化学療法群では7.8年であった。5年後の全生存率において約6%の絶対的な改善が認められ、10年後にも維持された。全体の5年生存率は化学療法により49.6%から55.3%に上昇した。また、補助化学療法により手術単独と比較し再発リスクは18%低下した。

CXCR4受容体の過剰発現は進行非小細胞肺がん患者の予後不良の予測因子である [2010-05-11]
Over-expression of the receptor CXCR4 foreshadows worse outcome for patients with advanced non-small cell lung cancer

CXCR4と呼ばれる分子を腫瘍表面に過剰発現する肺がんを有する患者はこれを有さない患者と比較し予後が有意に不良である、と第2回European Lung Cancer Conferenceで報告された。CXCR4が腫瘍の成長および転移に関係しているとのエビデンスは近年増加しているが、特に肺がんにおける予後および転移における詳細な役割に関しては明らかになっていない。カナダの研究者らは、この受容体を高レベルに発現する腫瘍を有する患者の予後が他の肺がん患者の予後よりも不良であるか否かを調査した。このスタディでは、Glans-Look肺がんデータベースから、2003〜2006年にステージIV非小細胞肺がんと診断された患者103人の腫瘍検体を調査した。その結果、10.7%の腫瘍がCXCR4を過剰発現していた。CXCR4を過剰発現している腫瘍を有する患者は予後が有意に不良であり全生存期間中央値が2.7ヵ月であったのに対し、発現の少ない者においては6.1ヵ月であった。Glans-Lookデータベース内のさらに広範囲の患者170人においても同様の結果が確認されるのであれば、CXCR4を過剰発現するがんを有する患者においてこの分子を遮断する新たな治療戦略を試すべきであると研究者らは述べている。

 


 

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