乳がん患者がアスピリンを内服することにより転移および死亡リスクが半減した [2010-02-23]
Breast cancer patients who take aspirin reduced their risk of metastasis and death by half

Nurse's Health Studyのデータ解析の結果、早期乳がん治療を終了しアスピリンを内服している患者は乳がん死のリスクが50%近く軽減し転移リスクも同様に低下したことが示されたとのスタディの概要がJournal of Clinical Oncology 2010年2月16日号に掲載された。研究者らは、stage I、II、またはIIIの乳がんと診断された米国の女性看護師4,164人(1976年の時点で30〜55歳)を対象としたNurses' Health Studyの結果を解析した。彼らは、診断後1年以上のアスピリン使用と転移および乳がん死の頻度を調査した。計400人の女性に転移を認め、そのうち341人は乳がんで死亡した。アスピリンを週2〜5日内服していた女性は転移リスクが60%、乳がん死リスクが71%それぞれ低かった。アスピリンを週6〜7日内服していた女性は転移リスクが43%、乳がん死リスクが64%それぞれ低かった。アスピリンを週1回内服していた女性と内服していなかった女性では、転移および死亡リスクに差はなかった。

非ステロイド抗炎症薬は扁平上皮がんのリスクとは関係がないようである [2010-02-23]  
Non-steroidal anti-inflammatory drugs do not appear to be association with risk of squamous cell carcinoma

これまでの仮説に反して、非ステロイド抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drug:NSAID)は扁平上皮がんのリスクとは関係がないようである、とArchives of Dermatologyオンライン版に掲載されプリント版4月号に掲載される予定である。研究者らは扁平上皮がんと診断された患者415人および皮膚がんの既往のないコントロール415人を調査した。参加者らは過去10年間のNSAID使用に関するアンケートに回答した。その結果、大多数(61%)は過去10年間にNSAIDを定期的に使用し、48%はアスピリン、18%はイブプロフェン、5%はナプロキセン、4%はナブメトンを内服していた。いずれのNSAIDの定期的な使用も扁平上皮がんのリスクを軽減しなかった。NSAIDの短期間(1〜3年)使用者においては扁平上皮がんのリスクがやや高かったが、いずれのNSAIDも使用期間による一貫した影響は認められなかった。扁平上皮がんのリスクは、NSAIDの用量、薬局で処方されたものであるかまたはどのタイプのNSAIDであるかにも関連は認められないようであった。

ある遺伝子プロファイルは非小細胞肺がんの無再発生存期間と関連がある [2010-02-16]  
Certain genetic profiles associated with recurrence-free survival for non-small cell lung cancer

非小細胞肺がん(NSCLC)患者800人近くの遺伝子および臨床データの解析結果から、年齢および性別特異的なパターンの無再発生存期間上昇および低下と関連する遺伝子特性の違いが明らかにされた、とJAMA 2月10日号に掲載された。研究者らはNSCLC患者787人の基盤となる生物学における臨床的に明らかな違いを調査した。全ての患者を年齢(70歳未満対70歳以上)または性別に基づきサブグループに分類した。その結果、NSCLC患者の年齢および性別サブグループ内の低および高リスク患者群はそれぞれ5年無再発生存期間が最長および最短であることが確認された。研究者らは、これらのNSCLCのコホートはパスウェイ活性化の独特のパターンを表していることを発見した。70歳未満の患者における高リスクで無再発生存期間の最も短い患者群は低リスク患者群と比較し、Src遺伝子(25%対6%)および腫瘍壊死因子(76%対42%)パスウェイの活性が上昇していた。70歳以上の高リスク患者では低リスク患者と比較し、創傷治癒(40%対24%)および侵襲性(64%対20%)のパスウェイ活性が上昇していた。

糖分の多い炭酸飲料の摂取は膵がんリスクを上昇させる可能性がある [2010-02-16]
Consuming sugar-sweetened, carbonated beverages may increase risk of pancreatic cancer

1週間に2本以上のソフトドリンクの摂取は、ソフトドリンクを摂取しない者と比較し、膵がん発症リスクを2倍近く上昇させるとCancer Epidemiology, Biomarkers & Preventionに掲載された。研究者らはSingapore Chinese Health Studyの対象となった男女60,524人を14年間追跡した。その間に140例の膵がんが認められた。1週間にソフトドリンクを2本以上(平均週5本)摂取した者は摂取しなかった者と比較し、リスクが87%上昇した。果汁の摂取と膵がんには関連が認められなかった。筆者らは、ソフトドリンク(糖分の多い炭酸飲料と定義)を日常的に摂取する者は全体的に行動プロファイルにも問題がある傾向にあると述べている。しかし、ソフトドリンクに含まれる大量の糖分により体内インスリンレベルが上昇し、これが膵がん細胞増殖に関わると考えられていることから、ソフトドリンクの膵がんに対する影響は特有のものである可能性がある。彼らは、この結果が非喫煙者においても認められ、他の食事習慣を考慮に入れても維持され、白人における結果と同様であれば生物学的に信頼できるであろうと述べている。

前立腺がんと診断された直後より自殺および心血管死の短期間のリスクが上昇する [2010-02-09]  
Immediate risk of suicide and cardiovascular death increases immediately after a prostate cancer diagnosis

前立腺がんと診断されたことにより、特に診断直後の自殺または心血管死のリスクが上昇するとの新たなスタディ結果がJournal of the National Cancer Instituteオンライン版2月2日号に掲載された。研究者らは1979〜2004年の調査、疫学、および結果に関するデータベースに記載された前立腺がん患者340,000人余りのデータと一般米国人のデータを使用した。彼らは診断後最初の1年および数ヵ月後のリスクを比較した。その結果、148人が自殺で死亡し(死亡率=0.5/1,000人・年)6,845人が心血管疾患により死亡した(死亡率=21.8/1,000人・年)。自殺リスクの上昇は診断後最初の年、特に最初の3カ月において認められた。心血管疾患死は最初の1年間にやや上昇しており、特に転移を有する者において最初の1ヵ月に上昇していた。自殺リスクの上昇は、前立腺特異抗原(PSA)検査が広く用いられるようになってから(1993年)ではなく、公になり(1979年)最初に導入される(1987年)前より明らかであった。筆者らは、この観察結果は進行の遅い前立腺がんの診断による低度のストレスによる可能性が最も高いと述べている。

腫瘍抑制因子p53は分裂異常の染色体を有する細胞内でがんの進行を抑制する [2010-02-09]  
Tumor suppressor p53 prevents cancer progression in cells with missegregated chromosomes

2月1日号のJournal of Cell Biologyオンライン版に掲載された新たな研究結果によると、腫瘍抑制因子p53は染色体数異常の細胞の成長を制限し、がんへの進行を抑制するとのことである。正常細胞は染色体分裂異常があると増殖を停止してしまう理由を調べるために、研究者らはヒトの細胞株を操作し一つの染色体上に特有の蛍光標識を付けた。これにより異常分裂した染色体を顕微鏡で同定し追跡することが可能となった。研究者らは異常分裂を誘発し、ゲノム内の蛍光標識が増量または減少した細胞を探した。これらの細胞は増殖せずp53および転写の標的の一つである細胞周期阻害因子p21レベルが上昇していた。p53の欠失した細胞は異常分裂誘発後に異数体となり、p53パスウェイは通常染色体数異常細胞の増殖を制限することが示唆された。p53は染色体異常分裂によりどのように活性化されるのであろうか?筆者らは、染色体数の変化が遺伝子発現の不均衡を引き起こし、がん抑制に重要なストレス反応および細胞周期停止を引き起こすのであろうと考えている。

簡単な血液検査で早期の大腸がんおよび腺腫を検出することができる [2010-02-02]  
Simple blood test detects early colorectal cancer and adenomas

大腸腺腫および大腸がん(CRC)を検出する初めての信頼できる血液検査が開発された−この結果は大腸内視鏡の恩恵を最も被る患者を見極めるのに有用であることを示している可能性があると第7回Gastrointestinal Cancersシンポジウムで発表された。この検査は、大腸がん発現の早期の多段階過程で産生され腫瘍細胞の成長にもかかわっている可能性のある血中のCD24蛋白レベルを計測する。今回のスタディでは大腸内視鏡検査を施行される150人のCD24血液検査の感度および特異度を調査した。その結果、CD24検査は大腸がん検出に対する感度および特異度が92.3%であり、腺腫検出に対する感度は84.2%、特異度は89.2%であった。筆者らは、この血液検査はこの種の検査で腺腫を検出できる初めてのものであると述べている。この検査はまたCRC患者と健常者の鑑別にも成功した。検査は比較的安価($50未満)に行える見込みである。彼らは、CD24はCRCの早期発見および監視に役立つ血液バイオマーカーとして有望であり大腸内視鏡を最大限有効に使用するためのガイドとなり得るであろうと述べている。

早期膵がんを検出する新たなイムノアッセイ法が開発された [2010-02-02]  
Researchers develop novel immunoassay for detection of early-stage pancreatic cancer

血中PAM4蛋白−膵がんおよび前がん状態のほぼ90%に存在する特有の抗原−の血中レベルを定量化する早期膵がんを検出する新たなイムノアッセイ法が開発された、と第7回Gastrointestinal Cancersシンポジウムで発表された。このアッセイで使用されるPAM4抗原(clivatuzumabとも呼ばれる)は正常膵細胞には検出されず膵炎でもめったに検出されないもので、膵がん細胞により生成されるある蛋白と反応するため、膵がんに非常に特異的である。研究者らは膵がん術後患者68人および健常コントロール19人におけるPAM4蛋白のイムノアッセイ法による結果を評価した。その結果、ステージ1の膵がん検出感度は62%であり、ステージ2の膵がん感度は86%、ステージ3/4膵がん感度は91%であった。このアッセイ法の全ステージの膵がん検出感度は81%であった。これらの結果が確認されれば、膵がんリスクの高い人々(喫煙歴を有する者、または遺伝子および他の医学的因子を有する者)に毎年検査を行い早期発見のチャンスを高めることが可能となるであろう。

 
 


 

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