MADIT-CRT:左室内リードの位置が心尖部領域にあることにより心不全のリスクが上昇する [2010-05-25]

MADIT-CRT: Left ventricular lead positioning in apical region associated with increased risk of heart failure
多施設自動除細動器植込みトライアル(Multicenter Automatic Defibrillator Implantation Trial-CRT:MADIT-CRT)のサブスタディの結果によると、心臓再同期療法(CRT)を受けている患者において、左室(LV)内リードが心尖部領域にあると、左室中部または基部に位置する時と比較し、心不全(HF)および死亡のリスクが有意に上昇するとのことである。このlate-breaking臨床試験の結果は第31回Heart Rhythm Society学会で発表された。このサブスタディは、CRT-Dに無作為に割り付けられた患者799人における、LVリード位置の予後に対する影響を評価した。LVリード位置は短軸方向で、前壁、側壁または後壁に、長軸方向で基部、中部、心尖部に分類された。左室内リード位置はデバイス植え込み時に冠静脈造影および胸部X線撮影により解析した。その結果、リードを心尖部に設置した患者の22%がHFおよび死亡のリスクが有意に高く、中部および基部にリードを設置した患者におけるその割合は12%であった。LV内リードが前壁、側壁、後壁いずれにあってもCRT-D群患者の予後および再同期療法の有益性は同等であった。

心臓デバイスの効果的なプログラミングにより不適切な電気ショック回数が減少し生存率が改善する可能性がある [2010-05-25]

Strategic programming of cardiac devices reduces number of inappropriate shocks and may improve survival rates
植込み型除細動器(ICD)および心臓再同期療法(CRT-D)のプログラミングを効果的にすることにより電気ショックを17〜28%減少させることができるとの、ショック回数減少に関するlate-breaking臨床試験の結果が第31回Heart Rhythm Society学会で発表された。88,804人の患者を対象としたこの観察研究は4つの電気ショック軽減戦略および患者の臨床特性(心室頻拍/心室細動[VT/VF]検知最低心拍数閾値、検出インターバルよりも短いV-VインターバルのVFの回数、上室頻拍[SVT]識別On、速いVT[FVT]および心拍数の速い[RVR]心房細動[AF]に対する抗頻拍ペーシング[ATP]On)を観察した。その結果、VT/VF検出閾値の心拍数上昇、検出時間延長、SVT識別およびFVTに対するATPに関する効果的なプログラミングにより電気ショックの回数は減少した。この効果的なプログラミングにより、心拍数の速いVTエピソードに対するATP作動の28%の減少、SVT識別作動による電気ショックの22%の減少、VT検出時間により17〜55%のショックの減少、VT検出限度により21〜148%のショックの減少が認められた。さらに、RVRを伴うAFはAFを有さない患者と比較し、電気ショックが作動するリスクが244%高かった。

全粒、小麦ふすま摂取により糖尿病女性の心血管疾患死のリスクが低下した [2010-05-18]

Whole grain, bran intake associated with lower risk of death from cardiovascular disease in diabetic women
小麦ふすまを最も多く摂取した2型糖尿病女性は摂取量が最も少なかった女性と比較し、心血管疾患(CVD)による死亡リスクが35%低く総死亡リスクが28%低かったとCirculationに報告された。研究者らはNurses' Health Studyに組み入れられた女性7,822人のデータを使用した。最長26年間の追跡期間中に852人が死亡し、うち295人はCVDにより死亡した。年齢で補正後、全粒、小麦ふすま、胚芽および穀物線維摂取量が上位20%であった女性は下位20%の女性と比較し、総死亡およびCVD死のリスクが低かった。しかし、生活習慣および喫煙や身体活動性などの因子で補正後にこれらの因子に非依存的に統計学的に有意であったのは小麦ふすまのみであった。小麦ふすま摂取量がさらに多かった上位群の女性は、さらにふすまを摂取しなかった女性と比較し総死亡のリスクが55%低くCVD死のリスクが64%低かった。これらの関係は全粒食品を摂取するか食事にふすまを加えるかに関わらず認められた。

微小粒子状物質と心血管疾患との因果関係に関する強力なエビデンス [2010-05-18]

Strong evidence that fine particulate matter has a causal relationship to cardiovascular disease
心筋梗塞、脳卒中および心血管死と大気汚染を関連付ける科学的エビデンスが「実質的に」強固となり、特に心血管系リスクの高い人々は大気汚染への曝露を制限すべきであると最新版American Heart Association学会声明として発表された。このエビデンスは微小粒子状物質(PM2.5)において最強であり、心血管疾患との因果関係が認められると、2004年の大気汚染に関する学会の初回の声明を改訂した専門委員が述べており、Circulationにも掲載された。微小粒子状物質に2〜3時間または2〜3週間曝露されると、特にリスクの高い人々において、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、心不全および不整脈を引き起こしうる。高齢者および心不全や冠動脈疾患、およびおそらく糖尿病を有する者も短期間のPM2.5曝露によるリスクが高い。高濃度の微小粒子状物質への長期間の曝露はさらに心血管系リスクを上昇させ余命を数ヵ月から数年減少させる。諮問委員会は、個々人のレベルでできるだけ曝露を制限するのみならず国家政策を実施することにより住民レベルで大気汚染への曝露を軽減することを勧告している。

心不全患者の入院後早期フォローアップ率の高い病院は再入院率が低い [2010-05-11]

Hospitals with higher rates of early follow-up for heart failure patients have lower rate of readmissions
心不全治療後に退院した患者に対し1週間以内のフォローアップ率の高い病院は30日以内の再入院率が低いとJAMA 5月号に掲載された。このスタディでは、質改善プログラムに参加している225の病院に心不全により入院した後退院し帰宅した65歳以上の患者30,136人を対象とした。入院期間中央値は4日間であった。退院後30日以内に6,428人(21.3%)が再入院した。病院レベルでは、早期フォローアップ率は38.3%であった。早期フォローアップ率が最も低い四分位の病院(30日以内の再入院率23.3%)の患者と比較し、第二四分位の病院の患者では20.5%であり、第三四分位の病院の患者では20.5%であり、第四四分位の病院の患者では20.9%であった。早期フォローアップ率の高い病院ほど退院後30日以内の総入院率が非依存的に低かった。

冠動脈内ステント挿入後の非心臓手術を延期することにより虚血、心筋梗塞および死亡リスクが減少する [2010-05-11]

Postponing non-cardiac surgery after receiving a coronary stent reduces risk of ischemia, myocardial infarction and death
冠動脈内ステント挿入後の非心臓手術を少なくとも6週間延期できた患者はそれより早くに手術を受けた患者と比較し、虚血、心筋梗塞および死亡を被る確率が低い傾向にあるとCirculation: Cardiovascular Interventionsに報告された。スコットランド冠動脈血行再建術レジスターの入院データと情報を用いた広範な後ろ向きスタディにおいて、ステント挿入後6週以内に非心臓手術を施行された患者の42%が心血管系合併症の発現傾向にあったのに対し、ステント挿入後6週以上経過後に手術を施行された患者では13%であった。心血管系の問題の生じるリスクは、慢性の安定した患者(32%の患者に発現)よりも亜急性心筋梗塞に対しステントを挿入された患者においてはるかに高かった(65%の患者に発現)。ベアメタルステントか薬剤溶出ステントかはリスクに影響せず、ステント挿入後2年間のリスクにおいても同様であった。この調査は2003年4月から2007年3月の間に冠動脈ステント挿入を施行された平均年齢64歳の患者1,953人に対して行われた。
 
 
 

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