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加糖の多量摂取はコレステロールおよび中性脂肪のレベルを好ましくない状態にする [2010-04-27]
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Higher consumption of dietary added sugars associated with unfavorable cholesterol
and triglyceride levels |
加工食品および既成食品による加糖の多量摂取は高密度リポ蛋白コレステロール(HDL-C)を低下させ中性脂肪レベルを上昇させる、とJAMA
4月21日号に掲載された。研究者らはNational Health and Nutrition Examination Survey(NHANES)の対象成人6113人の加糖摂取量と血中脂質レベルの関連を評価した。1日の摂取カロリーに対する加糖の割合は平均で15.8%であった。補正後の平均HDL-Cレベルは加糖摂取量の多い者において低かった:加糖から摂取するカロリーが5%未満の者では58.7mg/dL、5%以上10%未満の者では57.5mg/dL、10%以上17.5%未満の者では53.7mg/dL、17.5%以上25%未満の者では51.0mg/dL、25%以上の者では47.7mg/dLであった。多量摂取者(加糖から摂取するカロリーが10%以上)における低HDL-Cレベルの割合は5%の者と比較し50%から300%超であった。多量摂取により中性脂肪レベルも高く、中性脂肪/HDL-C比も高かった。 |
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ステント挿入後、即時に抗血栓薬を処方されなかった患者は心筋梗塞および死亡リスクが高い [2010-04-27]
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Stent patients who don't immediately fill anticoagulant prescription face increased
risk of myocardial infarction and death |
薬剤溶出ステントを挿入され退院後、即時に抗血栓薬を処方されなかった患者はその後の心筋梗塞および死亡リスクが高いとCirculation:
Cardiovascular Quality and Outcomesに報告された。研究者らは、2004〜2007年の患者でヘルスプランのためコストを削減された処方薬が確認できた米国の患者7,402人の記録を調査した。これらの患者らはステント埋め込み前3ヵ月間、クロピドグレルを処方されていなかった。さらに患者のうち16.3%(1,210人)がクロピドグレルを処方されるまでに少なくとも1日待ち、そのうち2.2%(165人)はクロピドグレルの処方を受けることはなかった。遅延日数中央値は3日であった。約22ヵ月の経過観察の間に、日数に関わらず処方の遅れがあった患者は、心筋梗塞または死亡リスクが14.2%であった。これは退院日に処方された患者における7.9%のほぼ2倍であった。退院日に処方されなかった患者は高齢であり他に処方薬を必要とする合併症を有している確率が高かった。初回の処方が遅れた患者はまた、次の抗血栓薬再処方を受けるのも遅れていた。 |
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葉酸およびビタミンB6は女性における脳卒中と心血管疾患による死亡リスク、男性における心不全による死亡リスクを低下させる [2010-04-20]
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Folate
and B-6 appears to lower the risk of death from stroke and cardiovascular disease
in women and heart failure in men |
ビタミンB群の葉酸やB6を含む食事を多く摂取することにより、女性において脳卒中や心疾患による死亡リスクを低下させ、男性において心不全のリスクを軽減する可能性があるとStroke誌に掲載された。研究者らは、大規模Japan
Collaborative Cohort(JACC)スタディの一環として、食品の摂取頻度に関するアンケートに回答した男性23,119人および女性35,611人(40〜79歳)のデータを解析した。経過観察中央値である14年の間に986人が脳卒中により死亡、424人は心疾患により死亡、さらに2,087人は心血管系に関わる様々な原因で死亡した。参加者らは、葉酸、ビタミンB6およびビタミンB12の摂取頻度に基づき5群に分類された。各々の栄養素の摂取頻度が最低の群と最高の群を比較した結果、葉酸およびビタミンB6消費が多いほど、男性では心不全死が有意に少なく、女性では脳卒中、心疾患および心血管疾患死総数が有意に少なかった。ビタミンB12摂取量は死亡リスク減少とは関連がなかった。葉酸およびビタミンB6の保護効果は心血管リスクファクターで補正しても、サプリメント使用者を解析から除いても不変であった。 |
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頸動脈内膜中膜肥厚とプラークに関する情報を一般的なリスクファクターに追加することにより心血管リスクの予測が向上する [2010-04-20]
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Adding
carotid intima media thickness plus plaque information to traditional risk factors
improves cardiovascular risk prediction |
頸動脈の簡単な超音波検査により心血管疾患の予測が向上し、医師が心筋梗塞リスクの高い患者を特定するよりよい手立てとなる。Journal
of the American College of Cardiology(JACC)に掲載されたこのスタディでは、この非侵襲的な検査を追加することにより約23%の患者が異なるリスク群に再分類され、リスク予測はこの方法をとった方がより正確であることが示された。この解析はAtherosclerosis
Risk In Communities(地域住民における動脈硬化リスク)スタディのデータを用いて行われ、頸動脈内膜中膜肥厚(C-IMT)およびプラーク情報を追加することにより組み入れ可能であった対象者13,145人(男性5,682人、女性7,463人)中23%が再分類された。全体で、C-IMTと一般的なリスクファクター(TRF)およびプラークモデルにより全ての検体の予測曲線下領域(AUC)が最も改善し、TRFのみの0.742から0.755(補正AUCの差の95%信頼区間:0.008〜0.017)に増加した。同様に、全体の人口においてC-IMT、TRFおよびプラークモデルの総再分類インデクスは9.9%で最高であった。頸動脈壁厚およびプラークの有無に関する情報を組み入れてリスクを予測するのに役立つリスク計算機がオンライン(aricnews.net)で使用できる。 |
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温度依存性薬剤が低体温療法中の血栓を予防する [2010-04-13]
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Temperature-dependent drug may prevent blood clots during therapeutic hypothermia |
低体温療法中の血栓を予防するために低温で活性化され高温では不活化されるおそらくはじめての薬剤が開発された、と2010年American
Heart Association's Arterio-sclerosis, Thrombosis and Vascular Biology学会で発表された。この新薬は低温のときのみ血小板活性を阻害することにより働く。研究者らはリコンビナントDNA技術を用いて温度依存性蛋白と血小板活性を阻害する蛋白を融合させた。前者の蛋白はエラスチン蛋白と類似のもので皮膚や他の臓器に柔軟性を与え温度変化に反応し形を変化させる。後者の抗体部分は、通常創傷治癒過程で血小板細胞を凝集させる受容体の活性を遮断することにより血小板活性を阻害する。マウスおよび人の血液検体において、この実験薬が低温(22℃または71.6゜F)では血小板に結合し凝集するのを防ぐことが示された。温度を正常な温度(37℃または98.6゜F)に上げると抗血小板作用は停止した。 |
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経口エストロゲン使用者の方が経皮吸収エストロゲン使用者よりも血栓形成のリスクが高い [2010-04-13]
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Risk of clotting higher among oral estrogen users versus transdermal estrogen users |
されたスタディ結果によると、経口エストロゲンを内服している閉経後女性の方が経皮吸収エストロゲンを使用する閉経後女性よりも血栓発現率が高かった。スタディを行った研究チームは、第五因子ライデン突然変異およびG20210Aプロトロンビン変異を有さない65〜80歳の閉経後女性502人の血液検体中の内因性トロンビン生成能(ETP)を計測した。女性らはホルモン療法使用法により、非使用者(421人)、経口エストロゲン使用者(21人)、経皮吸収エストロゲン使用者(60人)に分類された。交絡因子で補正後に、経口エストロゲン使用者において非使用者と比較し平均ETPレベルが高いことが示された。経皮吸収エストロゲン使用者においてはそのような差は認められなかった。経口エストロゲン使用者と経皮吸収エストロゲン使用者においてはトロンビン生成に有意な差があることが示された。これらの結果はエストロゲン単独でもプロゲステロンと併用していても同様であった。この結果から、ホルモン療法使用中女性におけるエストロゲン投与経路が静脈血栓塞栓症リスクの重要な決定因子であることが疫学的エビデンスに加わった、と筆者らは述べている。 |
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過度の長期間持久運動は動脈スティフネスを増加させ心血管系の健康状態に影響する可能性がある [2010-04-06]
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Too much long-term endurance exercise increases aortic stiffness and may impact
cardiovascular health |
新たなデータにより定期的に走っているマラソンランナーは動脈のスティフネスが増加していることが示され、一部の高強度の運動は心血管系の健康状態に悪影響を及ぼす可能性があることが示唆されたと、第59回American
College of Cardiologyで発表された。研究者らは、定期的にマラソンをして鍛えている健常人49人と持久運動をしていないコントロール46人の血圧および動脈の弾力性を比較した。マラソンランナーは定期的に週2〜9時間走り30ヵ月から21年間継続していた。研究者らは脈波伝搬速度を用いて動脈のスティフネスを計測した。全ての検査は被検者が安静にしている時に行われた。マラソンランナーは上腕の上腕動脈で計測した収縮期血圧がコントロール群よりも有意に高かった(126±15対115±12)。上腕動脈の拡張期血圧(78±10対71±9)および平均血圧(94±12対86±10)もまたコントロールと比較し高かった。脈波伝搬速度もまたマラソンランナーにおいて高く(6.9±1対6.3±1)、マラソンランナーは動脈のスティフネスが上昇していることが示唆された。運動強度と動脈のスティフネスは正の相関関係にあり、より強度の運動により大きな動脈のスティフネスが上昇する可能性が考えられた。 |
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乾癬は心房細動や脳卒中などの広範な心血管イベントのリスクファクターである [2010-04-06]
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Psoriasis
is a risk factor for a wide range of negative cardiovascular events including
atrial fibrillation and stroke |
乾癬は広範な心血管イベントのリスクファクターであると第59回American College
of Cardiology で発表された。乾癬は軽症例および中等度/重度症例いずれも心房細動のリスクを上昇させた(それぞれ相対リスク[RR]1.22と1.51)。軽症の乾癬および中等度/重度の乾癬はまた脳卒中のリスクも増加させた(それぞれ[RR]1.19と1.45)。心房細動および脳卒中のリスク上昇は年齢依存性であり、スタディ開始時の1997年に50歳未満であった患者における相対リスクはそれぞれ2.28および1.92であった。軽症の乾癬は総死亡のリスクは上昇させなかった([RR]1.04)が、中等度/重度の乾癬は死亡リスクを上昇させた([RR]1.67)。心筋梗塞のリスクは軽症の乾癬では上昇しなかった([RR]1.10)が、中等度/重度の乾癬では上昇した([RR]1.24)。軽症および中等度/重度の乾癬により血管形成術施行のリスクは上昇した(それぞれ[RR]1.29および1.59)。これらの新たな発見から、乾癬患者に対しては皮膚疾患症状のみを治療するのではなく心血管疾患に関しても監視し予防する必要があることが示唆された。 |
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