片頭痛患者は片頭痛を有さない者と比較し心筋梗塞のリスクが2倍高いようである [2010-02-23]

Migraine sufferers are twice as likely to have a myocardial infarction as people without migraine
片頭痛患者は心筋梗塞(MI)、脳卒中およびその他の心血管疾患リスクが高いようであるとNeurologyオンライン版2月10日号に掲載された。研究者らは、The American Migraine Prevalence and Prevention Studyの対象者の一部である、片頭痛を有する6,102人および片頭痛を有さない5,243人のデータを解析した。その結果、片頭痛患者は片頭痛を有さない者と比較しMI発現率が約2倍(片頭痛患者4.1%に対し有さない者1.9%)であった。MIリスクは片頭痛の前兆を有する者においてより高かった(片頭痛を有さない者と比較し3倍のリスク)。脳卒中リスクは片頭痛患者で60%高かった。片頭痛患者は糖尿病、高血圧、およびコレステロール値の上昇を有するリスクが50%高かった。これらのリスクファクターは片頭痛患者のMIや脳卒中のリスク上昇に影響を及ぼしていることが示されたものの、それで完全に説明は付かなかった。心血管疾患のリスク上昇は認められたが、疾患を発症する患者の割合は依然として少なかった:片頭痛患者のうち心臓発作をきたしたのは4.1%であり脳卒中は2%に過ぎなかった。

無症候性心房細動をより正確に検出する方法が報告された [2010-02-23]

Researchers report a more accurate way to detect and assess asymptomatic atrial fibrillation
リードレス植込み型心臓モニターReveal XTにて用いられた新たなアルゴリズムにより、心調律障害を正確にモニターし心房細動(AF)重症度を正確に計測することが可能になるだろうとCirculation: Arrhythmia and Electrophysiologyに掲載された。この新たな技術を使用することで、医療従事者はAF症状を認めない患者を評価するのに役立つ。このスタディにおいて、孤発性の不規則な心調律を有することが疑われる無症候患者247人が植込み型Reveal XTモニターとホルター心電図を装着した。カメラのメモリースティックサイズのReveal XTモニターは局所麻酔で患者の皮下に植え込むことができる。スタディでは、主にヨーロッパおよびカナダの24の医療機関の患者を組み入れた。患者の平均年齢は57歳であり、67%は男性であった。約10%が脳卒中または一過性脳虚血発作の既往歴を有していた。このReveal XTモニターを有するコンピュータ法は高感度であり、AFを有する患者全体の96.1%のAFを正確に検出することが示された。筆者らは、この新たなデバイスが患者の治療を評価する手段として使用されることを期待している。

薬物誘発性Torsade de Pointesは即座に処置しないと心停止を引き起こす可能性がある [2010-02-16]

Medication-induced Torsade de Pointes may induce cardiac arrest if not managed quickly
薬物誘発性心調律異常による心停止はまれであるが、患者によっては重大な事故となる可能性があることに病院の医療従事者はもっと留意すべきであるとのAmerican Heart AssociationとAmerican College of Cardiologyの合同学会声明が発表された。CirculationおよびJournal of the American College of Cardiologyオンライン版に掲載されたこの声明はAmerican Association of Critical-Care Nursesにより推奨されている。QT間隔を延長させる薬剤はTorsade de Pointes (TdP)のリスクを上昇させる。この調律異常により血圧が低下し、それにより失神や心室細動を引き起こし、その結果心臓停止が起こり得る。TdPは集中治療室の患者にとっては特に注意を要する。TdPの徴候はしばしば心室細動の1時間程度前に認められ、即座の処置でコントロール可能であり、したがって完全な心停止を避けることができる。このスタディでは、リスクのある患者における心電図持続監視、TdPを起こしやすい薬剤および併用薬剤の一覧化、および薬剤性QT延長症候群の管理やTdPの緊急措置に関するガイドラインの提供などが示唆されている。

若年期のストレスは成人期の心血管疾患発症のリスクファクターとなる可能性がある [2010-02-16]

Stress early in life may be a risk factor for development of adult cardiovascular disease
若年期のストレスは成人期の心血管疾患のリスクファクターとなり得るとのスタディ結果がHypertensionオンライン版に掲載された。ラットの幼仔を毎日3時間ずつ2週間にわたり母親から引き離すという、ある慢性的行動ストレスの証明されたモデルのスタディの結果、血圧、心拍数、または血管壁の炎症の増加のような心血管疾患の重要な指標に対する長期の影響は認めなかった。しかし、ラットが成体に近づいた頃にアンジオテンシンIIを注射すると、若年期にストレスを経験した動物において全ての重要な指標が迅速にかつ劇的に増加した。ストレスはレニンアンジオテンシン系を活性化しアンジオテンシンIIを生成し、血管の増殖および炎症の主要な調節因子である。血管の増殖および炎症は両者とも非常に心疾患と関連がある。例えば、若年期ストレスにさらされたラットは2〜3日中に血圧は2倍近く上昇した。これらの結果は、2004年のCirculationに掲載された、虐待や親をなくすことなどの小児期のイベントが多くの虚血性心疾患の成人患者の背景として認められたとのスタディ結果と関連する。

Escitalopramは脳卒中後の認知機能を改善する可能性がある [2010-02-09]

The SSRI escitalopram may result in improved cognitive function following a stroke
脳卒中後に抗うつ薬escitalopramを投与された患者はプラセボを投与された患者または問題解決療法に参加した患者と比較し、思考、学習、および記憶力の回復が優れていたとArchives of General Psychiatry 2月号に掲載された。研究者らは選択的セロトニン再取込み阻害薬escitalopramの効果を脳卒中患者129人において調査した。脳卒中発現後3カ月以内に43人がescitalopramを1日5〜10mg内服する群に、45人はプラセボを、41人はうつ病患者治療として開発された問題解決療法を受ける群に無作為に割り付けられた。治療開始から12週後の認知機能を総合的に評価する神経心理学的検査および言語や視覚上の記憶の計測において、escitalopramを内服している患者のスコアが高かった。この神経心理学的成績の変化は関連する日常生活活動の改善につながった。認知機能回復に関するescitalopramのこの有益性はうつ症状改善効果とは独立したものであり、脳卒中のタイプまたは虚血性脳卒中の原因に影響されなかった。

小児期の肥満単独により将来の心血管疾患リスクが増大する可能性がある [2010-02-09]

Childhood obesity alone may increase risk of later cardiovascular disease
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 3月号に掲載予定のスタディ結果によると、早ければ7歳で肥満であることは、たとえ高血圧などの他の心血管リスクを有していなくとも、将来の心疾患および脳卒中のリスクを上昇させる可能性があるとのことである。研究者らは202人(7〜18歳)をスタディに組み入れた。115人が肥満、コントロールの87人はやせ型で、半数は思春期前であり残りの半数は思春期後期であった。このスタディへの参加資格は、空腹時血糖、血圧およびコレステロール値と中性脂肪値が正常範囲内であることであった。やせ型のコントロール群についても、糖尿病、高コレステロール血症、高血圧または肥満者が近親者にいる者は参加できなかった。参加者全員が心血管疾患の発症を予測することで知られるマーカー計測のため血液検査を受けた。これらにはC反応性蛋白(CRP)上昇およびフィブリノゲン上昇が含まれた。肥満の子供は、年齢および性別をマッチさせたやせた子供と比較し、CRPが10倍高くフィブリノゲン濃度も有意に高かった。これらの異常は、思春期の始まりよりはるかに早期の7歳の子供においても認められた。

新たなソフトウエアによりカテーテル室で冠動脈3D画像を見ることが可能になる [2010-02-02]

New software provides 3-D views of coronary arteries in cardiac catheterization laboratory
医師がカテーテル室で冠動脈3D画像を見ることができる新たな技術が最初の重要な試験のハードルを越えた、すなわち医師が臨床におけるそのインパクトを理解するのに一歩近づいた、とAmerican Heart Association学会誌Circulation: Cardiovascular Interventionsに掲載された。このスタディで研究者らは、患者23人の冠動脈の標準的な2D画像と機械的に作成したコンピュータ再構築3D画像を比較した。現実的な3D画像を作成するために、造影剤を注入している間ディテクタは患者の周りを速い速度で回転する、回転冠動脈造影と呼ばれる方法を用いた。現在、医師は動脈が体内でどのように走行しているかを可視化するために様々な角度から複数の2次元X線画像を撮影している。現在あるX線装置を用いた今回の新たなソフトウエアは複数のX線撮影の必要性を軽減し、したがって患者の被曝量および造影剤使用量を減少させ、医師が画像を解析する時間も縮小できる。現在はまだ試験の段階であるが、循環器医は3D画像により病変長、分枝パターン、および冠動脈の角度や狭窄をより正確かつ迅速に評価できるようになるであろう。

MIのリスクファクター別によるテーラーメイド治療はコレステロール値を標的とした治療より優れる [2010-02-02]

Tailoring treatment to risk factors for MI better than targeting cholesterol levels
Annals of Internal Medicineプリント版に先立ちオンライン版に掲載された新たなスタディは、コレステロール値は低いほどよいとの考えに異議を唱えている。年齢、家族歴、喫煙などの全てのリスクファクターを考慮した患者の全体的な心血管系リスクファクターに合わせたテーラーメイド治療の方がそれよりむしろ効果的で、コレステロール値を目標値まで下げる現在の治療法よりも高用量スタチンの使用量が少ない、というものである。研究者らは、30〜75歳の心筋梗塞(MI)既往歴のない米国人を対象としたスタチンのトライアルデータを用いて、年齢、家族歴、糖尿病、高血圧、喫煙歴、最近計測したC反応性蛋白などの冠動脈疾患リスクファクターに基づいたテーラーメイド治療の5年間の利益を評価した。その結果、テーラーメイド治療は現在推奨されている目標値まで低下させる方法よりもMI、脳卒中および心血管死の予防効果が実質的に高かった。筆者らはコレステロール低下のためのスタチン使用を支持する一方、患者と医師はMIや脳卒中のリスク全てを考慮すべきであると述べている。
 
 
 
 

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