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妊娠中に抗うつ薬を内服することにより早産が増加しApgarスコアが低くなる [2009-10-27] |
Antidepressant use during pregnancy associated with preterm delivery and lower Apgar scores |
ある種の抗うつ薬を妊娠中に内服することにより早産、5分後のApgarスコア低値および新生児集中治療室への入室リスクが上昇するとArchives of Pediatrics & Adolescent Medicine 10月号に掲載された。研究者らは1989〜2006年に妊娠管理を受けた女性を調査した。SSRIで治療されていた女性329人と精神疾患歴はあるがSSRIによる治療は受けていなかった女性4,902人および精神疾患歴のない女性51,770人の出産時妊娠週数、出産した子供の出生時体重およびApgarスコアを比較した。妊娠中にSSRIを内服していた女性は精神疾患歴のない女性と比較し、出産が平均5日早く早産のリスクが2倍であった。子宮内でSSRIに曝露された子供は他の2群の子供と比較し5分後のApgarスコアが7以下であり新生児集中治療室に収容される確率がはるかに高かった。頭囲および出生時体重は3群間で差がなかった。
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神経心理学的検査において女性は男性よりも成績がよく性差が確認された [2009-10-27]
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Gender differences confirmed as women outperform men in neuropsychological tests |
女性は感情間、特に恐怖と嫌悪を区別するのが上手であるとのスタディ結果がNeuropsychologiaオンライン版に掲載され、また女性は聴覚的、視覚的、および視聴覚的感情を処理するのに優れていることも示された。女性は神経心理学的検査において男性よりも成績がよいと考えられてきたが、結果に一貫性がなかった。これを結論付けるエビデンスを得るため研究者らは被検者らを、二種類の刺激(生身の俳優の顔の表情と人の感情を表わした録音の組み合わせ)に曝露させた。神経学的および精神学的な問題の既往のない18〜43歳の男性23人および女性23人に、恐怖または嫌悪を感じた際に迅速に感情を分類させた。感情は聴覚刺激、視覚刺激のあとに矛盾のない視聴覚刺激および矛盾した視聴覚刺激(恐怖を表現した表情と嫌悪を表現した声)に基づいた。女性は、評価を完成させる点で上位にあり、男性よりも女性が表現するとより速く回答した。筆者らは、性別要素の強い精神疾患たとえば女性よりも男性に多く認められ特徴の一つとして感情を認識するのが困難な自閉症などを理解する上でこれらの性差試験は必要である、と述べている。 |
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記憶力以外の認知機能低下がアルツハイマー病における認知症に先行する可能性がある [2009-10-20] |
Declines in cognitive abilities other than memory may precede dementia in Alzheimer's disease |
アルツハイマー病の患者において、物体間の関係を認識するのに必要な視空間認知能力を含む記憶力以外の認知機能が臨床的に診断される数年前に低下する可能性がある、とArchives of Neurology 10月号に掲載された。1979〜2006年にかけてスタディ組み入れ時に認知症を有さなかった444人を評価した。スタディ参加者はその後、2007年11月までに最低1回の再評価を受けた。平均5.9年の経過観察期間に134人が認知症を発症し、310人は発症しなかった。認知症を有する者のうち44人は死亡し脳の解剖を施行されアルツハイマー病の確定診断がなされた。研究者らは心理測定的評価のデータを用いてモデルを作成し、認知症と診断される前の様々な認知領域の低下を評価した。その結果、アルツハイマー病と診断される3年前に視空間認知能力が変曲点を示した。全体的な認知機能低下が翌年に発現したが、言語および作業記憶は診断の一年前まで変曲点を示さなかった。同様の結果は剖検によりアルツハイマー病と確定診断された人々にのみ認められた。
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過食および無茶食い障害の患者に対し認知行動療法は明白な効果をもたらす [2009-10-20]
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Cognitive behavioral therapy has positive effect on patients with bulimia and binge eating disorders |
過食および無茶食い障害のほとんどの人々は長年、治療法を探し求めているが、The Cochrane Libraryに掲載された新たなレビューによると、心理療法により大きな変化がもたらされ認知行動療法(CBT)がこの障害に対し最も有効な話し合い療法であることが示された。過食または無茶食い障害のCBTは、一般的にセラピストによる15〜20の外来セッションを5ヵ月間にわたり行う。このレビューには48のスタディにおける3,054人の患者が対象とされた。無茶食いに焦点を当てたCBTが行われた結果、37%の患者で無茶食いを完全にやめた。一方ウェイティングリストのコントロール群に割り分けられた患者では3%がやめた。他の療法はCBTよりも成功率が低く、治療終了までに22%の人々が無茶食いを断った。対人関係療法と呼ばれる一方法は同様の結果を達成したが、そこまでに数ヵ月長くかかった。他のスタディの結果、抗うつ薬は過食や無茶食いの克服に役立つことが示された。このレビューは薬物療法と心理療法を比較していないが、筆者らは、薬物療法ではドロップアウト率が非常に高いため、まずCBTを先に試すべきであると述べている。 |
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地中海地方の食事パターンはうつ病のリスク低下と関連する [2009-10-13]
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Mediterranean dietary pattern associated with reduced risk of depression |
地中海地方の食事パターン(野菜、果物、ナッツ、全粒粉および魚の豊富な食事)に従っている者はうつ病を発症しにくいようであると、JAMA関連雑誌の一つであるArchives of General Psychiatry 10月号に掲載された。この論文の背景によると、生涯における精神疾患罹患率は北欧諸国と比較し地中海地方の人々において少ないことが報告されている。スペインの研究者らは、10,094人の健常人の食事摂取内容を調査し、地中海式の食事摂取の度合いを算出した。観察期間中央値4.4年後、480件(男性156人および女性324人)の新たなうつ病患者が同定された。地中海式ダイエットに最も厳密に従っていた人々は地中海式ダイエットスコアが最も低かった人々と比較し、うつ病リスクが30%低かった。結婚歴およびシートベルト使用の有無などの他の健康的な生活習慣のマーカーで補正してもこの関連性は不変であった。筆者らは、地中海式の食事パターンに含まれる、十分なオメガ3脂肪酸および他の天然の不飽和脂肪酸、抗酸化物質、および大量の天然の葉酸および他のビタミンB群などの相乗作用によりうつ病が予防されている可能性があると述べている。
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電話での集中うつ病ケアプログラムは中等度のコストで実質的な有益性をもたらす [2009-10-13] |
Intensive telephone depression care program offers substantial benefits at a moderate cost |
電話による構造的プログラムに参加しうつ病を管理しているうつ病患者には有意な効果があり、ヘルスケアコストは通常の治療を受ける患者と比較し中等度増加するのみである、とArchives of General Psychiatry 10月号に掲載された。米国の研究者らは2つのうつ病ケアプログラムと通常の治療継続とを比較する無作為化トライアルを行った。2000年11月から2004年6月までの間に、1つのプリペイドヘルスケアプランの中で7つのプライマリケアクリニック初診患者600人を、3つの群のいずれかに割り付けた。207人は電話ケア療法群(監視、補助、フィードバックおよびケア調整目的の最高5回の電話)に、198人は電話ケア療法と心理療法の併用(電話での構造化された認知行動療法8セッションおよびさらに最高4回の集中療法を追加)に、195人は通常の治療群であった。24ヵ月のスタディの間に、電話ケア療法プログラムによりうつのない日が平均29日増加し、外来患者の医療コストは通常の治療より$676増加した。電話ケア療法と心理療法の併用によりうつのない日が46日増加し、コストは$397増加した。 |
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腎機能の低下した高齢者は認知機能低下の進行が速い [2009-10-06]
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Impaired kidney function linked to more rapid rate of decline in cognition in elderly |
医学雑誌Neurologyに掲載された新たなスタディの結果、高齢者において腎機能低下は認知機能低下のリスクファクターであることが示唆された。痴呆を有さない平均年齢81歳の地域居住高齢者集団を対象としたRush Memory and Aging Projectに参加した高齢者886人のデータを解析した。参加者らは最長6年間毎年調査され、経時的な認知機能の変化を追跡された。年齢や認知機能に影響する薬剤の影響を除去するために研究者らは腎機能をスタディ開始時に評価した。その結果、腎機能低下によりその後数年間の認知機能(視空間認知能力や知覚速度ではなく、出来事、意味の理解、およびワーキングメモリーの3つの特異的な領域)低下速度が速かった。この認知機能低下の速度はベースライン時点で7歳高齢の者と同等であった。これらの結果から、高齢者においては脳および腎の両者に影響する一般的な疾患が多くあり、糖尿病や高血圧などの血管に問題を生じる疾患が腎機能障害と認知機能低下を関連付けている可能性が示唆される。
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慢性的な睡眠不足はアルツハイマープラーク増加と関連がある [2009-10-06]
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Chronic sleep deprivation linked to increase in Alzheimer's plaques |
アルツハイマーのマウスモデルにおいて慢性的な睡眠不足によりアルツハイマープラークが早期により高頻度に出現したとScience Express 9月24日号に掲載された。また、睡眠のサイクルを調節するオレキシンという蛋白もまたこのプラーク増加に直接関連しているようであることも明らかにされた。研究者らは、マウスにおける脳アミロイドβレベルが睡眠および覚醒に関連して増加したり減少したりすることに気付いた。長時間覚醒しているマウスはアミロイドβレベルが高かった。マウスの睡眠を妨げることによりアミロイドβレベルが25%増加した。マウスに睡眠をさせるとレベルは低下した。ストレスおよびアミロイドβ産生に関連があると報告されているホルモンを阻害してもこれらの変化に影響はなく、これらの変化は睡眠障害によるストレスにより生じているのではないことが示唆された。オレキシンをマウスの脳に注射すると、マウスは長期間覚醒しアミロイドβレベルが増加した。3週間の慢性的な睡眠不足により脳内アミロイドプラーク沈着は加速した。一方、マウスにalmorexant(両方のオレキシン受容体をブロックする)を2カ月間投与することによりプラーク沈着は有意に減少し、一部の脳領域においては80%以上減少した。 |
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