悲観的な人格の末梢動脈疾患患者は死亡のリスクが高い [2009-08-25]

Distressed personality type associated with risk of death among individuals with peripheral artery disease

予備試験の結果、末梢動脈疾患(PAD)患者においてネガティブで内気な人格のタイプ(タイプD人格)は、その後4年間の死亡のリスクが高いことを予測するようであるとArchives of Surgery 8月号に掲載された。研究者らはPAD患者184人(平均年齢64.8歳)を調査した。参加者らはスタディ登録時に、ある記述(私はしばしば何かを心配している、または、なるべく人々とは距離を置きたいなど)を0から4までのスケールで正しいか違うかを点数化する質問表に回答し、ネガティブ度や社会的内向度を評価された。4年間の経過観察期間中に16人(8.7%)が死亡し、うち7人はがん、6人は心血管疾患で死亡した。年齢、性別、糖尿病および腎疾患で補正した後、タイプD人格の患者は死亡率が高かった。筆者らは、いくつかの身体的および行動上のパスウェイがタイプD人格および健康上の予後不良と関連していることを示唆している。例えば、人格により免疫系の活性が上昇したり身体のストレス反応系が変化したりすることが知られている。

 

うつ病の短期および長期脳卒中患者を治療するには抗うつ薬に加え心理社会療法を行うとより有効である [2009-08-25]

Psychosocial therapy with antidepressants more effective in helping depressed stroke patients in short and long term

薬物療法に心理社会療法を組み合わせることにより脳卒中患者のうつ病および回復度が改善するとStrokeに掲載された。研究者らは臨床的にうつと考えられた入院していない虚血性脳卒中患者101人(男性59%、25〜88歳)を調査した。参加者らは二つのグループに分けられた:48人は薬物療法に加え心理社会/行動療法(うつに関する教育、問題解決および楽しい経験を増やすことに焦点を当てる)を8週間受け、53人は通常の治療として薬物療法を受けた。スタディ開始時に全ての患者はHamilton Ratingうつ病Scaleにおいて中等度のうつ病であった。両群の平均スコアは約20と本質的に同等であった(9点以下が望ましい)。9週後、心理社会/行動療法群のうつ病スコアは10点低下し、通常治療群の2倍有効であり非常に有意な改善が認められた。1年後のうつ病スコアは心理社会/行動療法群で47%低下していたが、通常治療群では32%しか低下していなかった。うつ病が改善した患者は改善度が少なかった患者と比較し、回復度が有意に大であると感じ、体調および社会参加が改善したと感じていた。

 

就学前の子供のうつ病は慢性化し再発するようである [2009-08-11]

Depression among preschool children appears to be chronic and recurrent

未就学児におけるうつ病は持続し、成長の過程における一過性のものではなく慢性的なもののようであるとArchives of General Psychiatry 8月号に掲載された。調査した未就学児306人(3〜6歳)中、75人が大うつ病性障害のクライテリアに合致し、79人は不安障害または破壊的行動障害を有するがうつ病は有さず、146人はいずれの精神障害も有していなかった。小児は感情、認知機能および社会的発達度の計測を受け、介護者は未就学児の精神症状および発達上の技能に関して問診を個別に受けた。発達および行動に関する同様の評価が、12および24ヵ月後に施行された。他の背景因子やリスクファクターで補正した結果、スタディ開始時にうつ病を有していた未就学児はうつ病を有していなかった未就学児と比較し、1および2年後にうつ病を有している確率が4倍高かった。また、未就学児におけるうつ病は慢性的で再発の経過を辿ることが示された−うつ病またはうつ症状を有し6ヵ月後および18ヵ月後に電話での調査を受けた未就学児119人のうち、うつ病を有していた者の57%が少なくとも経過観察の二時点でうつ病症状を有し、18%が慢性の経過を辿った。

 

減量プログラムはうつ気分を改善し肥満患者の心疾患リスクファクターを減少させる [2009-08-11]

Weight loss program counteracts depressed mood and reduces risk factors for heart disease in obese patients

Society for the Study of Ingestive Behavior(SSIB)の年次学会で発表された研究の結果、6ヵ月間の行動減量プログラムにより、うつ病患者は初回体重から8%減量したのみならずうつ症状も有意に改善し中性脂肪も減少したと発表された。うつ病を有するまたは有さない者51人がスタディに組み入れられ、生活習慣改善および食餌療法を含む監視下の減量プログラムに従った。うつ病を有する者も有さない者も有意に体重が減少し、うつ病患者は8%、非うつ病者は11%減量した。減量プログラム開始から6ヵ月後、うつ病患者はうつ症状も有意に改善した。血糖、インスリンおよび高密度リポ蛋白(HDL)コレステロールの有意な改善も、うつ病患者および非うつ病者の両者において認められ、うつ病患者においては中性脂肪の減少も認められた。このスタディの結果により精神障害患者の減量の効果についてさらに研究する必要のあることが強調された。

 

抗精神病薬は高齢糖尿病患者に急性血糖変化を引き起こす [2009-08-04]

Antipsychotic medications associated with acute glycemic changes in older adults with diabetes

抗精神病薬を内服している高齢患者は、特に内服開始直後に高血糖にて入院するリスクが高いようであるとArchives of Internal Medicine 7月27日号に掲載された。研究者らは66歳以上(平均年齢78歳)の糖尿病患者13,817人を調査した。観察期間中に高血糖で入院した各患者を、同年齢および同性で同期間中に入院しなかったコントロール最大10人とマッチさせた。そして抗精神病薬を内服中の患者と抗精神病薬を180日以上中止している人々における高血糖発症率を比較した。1,515人(11%)が高血糖にて入院した。抗精神病薬を内服中の患者は薬剤を180日以上前に中止した患者と比較し、入院のリスクが高かった。抗精神病薬開始直後の患者は最も高リスクであった。神経伝達物質であるドーパミンが血糖レベル調節に役割を果たしているとの過去のエビデンスから、抗精神病薬初回内服患者においてはこのシステムの急性破壊が生じ高血糖となっていることが示唆された。この因果関係を確認し関連するメカニズムを同定するさらなる研究が必要である。

 

認知症の臨床上の進行は介護者との親密な関係により遅延する可能性がある [2009-08-04]

Clinical progression of dementia may be slowed by closeness of caregiver relationship

認知症の臨床的な進行率が介護者との親密な関係により遅らせることができることが示されたとThe Journals of Gerontology Series B: Psychological Sciences and Social Sciences 2009年9月号に掲載され、現在、ジャーナルのウエブサイトで閲覧可能である。研究者らはアルツハイマー病患者167人を3年間モニターし、患者の認知機能と機能状態および介護者からの介護者と患者の関係について測定した。介護者との親密度が高いと、特に介護者が配偶者の場合に認知機能および機能低下が有意に遅かった。筆者らは、アルツハイマー病の進行を遅らせる薬剤に加え、認知症患者の機能およびQOLを向上させる非薬物因子が介護領域に認められることが今回このスタディで初めて示されたことを特筆している。

 


 

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