Escitalopramは全般性不安障害の高齢患者にある程度の利益をもたらす可能性がある [2009-01-27]

Escitalopram may provide some benefit for older adults with generalized anxiety disorder

予備研究の結果、全般性不安障害(GAD)の高齢患者においてescitalopramは、服薬非遵守のため有益性は半減してしまうものの、症状のある程度の改善をもたらすとJAMA 1月21日号に掲載された。このスタディはGADと診断された60歳以上の患者177人を対象とし、1日10〜20mgのescitalopramを12週間内服する群(85人)またはそれにマッチさせたプラセボ群(92人)に無作為に割り付けた。不安症および他のアウトカムはいくつかの評価法で計測した。その結果、累積有効率はプラセボ群よりもescitalopram群において高かった(69%対51%)。Escitalopramを投与された患者はプラセボ群よりも不安症状および任務遂行能力、活動制限や職務および社会機能障害の改善が大であった。Escitalopramの副作用は倦怠感または眠気、睡眠障害や尿路系の症状であった。トライアルを開始したが脱落した者を含むintention-to-treat(ITT)解析では、有効性は両群間で同等であった。

 

社会的に活発で楽観的な人は認知症になりにくい [2009-01-27]

Dementia less likely for socially active, optimistic people

Neurology 2009年1月20日号に掲載された新たなスタディの結果、社会的に活発でストレスを受けやすくない人は認知症を発症しにくいことが示された。このスタディは初回診察時に認知症を有さなかった高齢者506人を対象とした。対象者は人格(神経症傾向および外向性)およびライフスタイルに関する質問を受けた。あまり悩まない人は穏やかで自己に満足していたが、悩みやすい人は感情的に不安定であり否定的で神経質であった。社交的な人は内向的で内省的な人と比較し、外向性スケールが高く社会的に活発で楽天的であった。ライフスタイルに関する質問ではレジャーや組織的な活動に参加する頻度やソーシャルネットワークの豊富さを評価した。6年間の経過観察期間中に144人が認知症を発症した。社会的に活発ではないが穏やかでリラックスしている人は、孤独で悩みがちな人々と比較し、認知症を発症するリスクが50%低かった。外交的で穏やかな人もまた外交的で悩みやすい人と比較し認知症を発症するリスクが50%低かった。

 

評価技術により研究者らはアルツハイマー病の症状が出現する前に脳の老化を見ることができる  [2009-01-20]

Assessment technique lets scientists see brain aging before Alzheimer's symptoms appear

アルツハイマー病のリスクに関する患者特異情報とともにPET画像を用いることは、しばしば症状出現前の診断に役立つ。Archives of General Psychiatry 1月号に掲載されたこのスタディにより脳の老化を追跡するより正確な方法が提供される可能性がある。研究者らは痴呆のないボランティア76人に、脳内のプラークや老人斑沈着に結合するFDDNPと呼ばれる新たなケミカルマーカーを注射した後、脳PETスキャンを施行した。高齢なほど記憶に関連する内および外側側頭部のFDDNP集積度が高かった。34人のボランティアがアルツハイマー病の発症リスクを高めるAPOE-4対立遺伝子を有していた。このグループはAPOE-4対立遺伝子を有さない参加者よりも前頭部のFDDNPレベルが高かった。軽度認知機能障害(MCI)を有する36人のサブグループはノーマルな者よりも内側側頭部のFDDNPの計測値が高かった。MCIおよびAPOE-4遺伝子の両方を有する者はMCIを有するがAPOE-4は有さない者と比較し内側側頭部FDDNP濃度が高かった。

 

認知症患者の脳損傷は糖尿病により異なるパターンになる [2009-01-20]

Diabetes associated with different patterns of brain injury in patients with dementia

認知症に糖尿病が合併すると糖尿病のない認知症患者と比較し脳損傷のパターンが異なるようであるとの記事がArchives of Neurologyオンライン版にて報告され3月号に掲載予定である。研究者らは、地域ベースの認知症に関する研究であるAdult Changes in Thought Studyの対象の一部である196人を調査した。参加者らが死亡した後に脳の解剖が行われ、糖尿病および認知症を有する者、糖尿病は有するが認知症は有さない者、認知症は有するが糖尿病は有さない者、どちらも有さない者、の4つのグループに分別された。認知症を有さない125人において神経病理学的および生物化学的因子は糖尿病の状態により異ならなかった。しかし、認知症を有する71人においては患者が糖尿病を有し糖尿病治療を受けているかにより脳損傷の二つのパターンが認められた。糖尿病を有さない者はβアミロイドの蓄積量が多くフリーラジカルによるダメージが大きかったが、糖尿病を有する者は微小血管梗塞および神経組織の炎症がより多く認められた。このパターンは糖尿病の治療と関連があり、糖尿病の治療を受けている認知症患者はより多くの微小梗塞を有し、糖尿病の治療を受けていない認知症を有する糖尿病患者におけるβアミロイドの蓄積は糖尿病のない認知症患者と同程度であった。

 

小さい頃のトラウマ体験は生物学的に慢性疲労症候群になりやすくする [2009-01-13]

Early traumatic experiences may cause a biological susceptibility to chronic fatigue syndrome

小児期にトラウマを経験した者は成人してから慢性疲労症候群を発症しやすいようである、とArchives of General Psychiatry 1月号に掲載された。さらに、神経内分泌の機能不全が慢性疲労症候群患者における小児期のトラウマと関連しているようであり、小児期の経験が成人期の易罹患性に影響するとの生物学的パスウェイが示唆された。研究者らは慢性疲労症候群患者113人とコントロールの健常人124人を調査した。対象者らは小児期にトラウマを経験したか否かを報告し、うつ病、不安および外傷後ストレス障害のスクリーニングを受け、唾液内のコルチゾールホルモン濃度を計測された。慢性疲労症候群患者は小児期にトラウマを受けた確率が6倍高かった。性的虐待、心理的虐待および精神的ネグレクトが最も慢性疲労症候群と関連があった。慢性疲労症候群患者はまた、コントロールと比較し抑うつ、不安、外傷後ストレス障害をより有する傾向にあった。コルチゾールレベルは小児期にトラウマを経験した慢性疲労症候群患者において低下していたがトラウマを経験していない者においては低下しておらず、小児期のストレスは生物学的な易罹患性の原因となる可能性が示唆された。

 

不安障害を有する者において有害事象を予期することから治療が臨床的に有効であることが予測できる [2009-01-13]

For individuals with anxiety disorders, the anticipation of adverse events may predict clinical response to treatment

不安障害に陥りうる病的な心配に関連した感情を調整している脳領域のネットワークは、治療の有益性を予測するのに有用な可能性もあるとの新たなスタディ結果がAmerican Journal of Psychiatryオンライン版1月2日号および今後出版される号に掲載される。脳が予期することにどのように反応するかを研究するために研究者らは、機能的磁気共鳴画像検査(fMRI)を用いて全般性不安障害(GAD)患者がある一連のよくないイメージとよくも悪くもない中立の画像を見たときの脳の画像を調べた。患者は各画像を見る数秒前に画像のヒントを見せられたため画像を予測することができた。GAD患者は、嫌な画像または中立の画像自体を見たときの脳の活性化は健常人と差がなかったが、嫌な画像と中立の画像両方のヒントに反応し、扁桃体の活性が非常に高いレベルを示した。筆者らによると、この反応から患者らはどんな刺激に対する予測に対しても過敏であり、例え嫌な内容でなくとも過敏であることが示唆される。患者はその後、venlafaxineを8週間投与された。薬物による臨床的な改善は、治療前の嫌なあるいは中立の予測に対する前帯状皮質の活性の高さと関連していた。

 

外傷後ストレス障害、不安およびうつ病の罹り易さは家族内発症する  [2009-01-06]

Vulnerability to post-traumatic stress disorder, anxiety and depression runs in families

複数世代にわたる初めてのスタディにおいて、17,000人が死亡したアルメニアの地震の生存者を調査している研究者らは、PTSD、不安およびうつ病が家族内発症することを明らかにした、とPsychiatric Genetics 12月号に掲載された。UCLAの研究者らは地震に遭遇した12の複数世代家族の対象者200人を調査した。彼らは様々な程度の障害を有していた。研究者らは様々なPTSDの症状のうち41%は遺伝子的な素因により、また抑うつ症状の61%および不安症状の66%は遺伝子に起因していたことを発見した。さらに彼らはこれらの障害に罹り易い遺伝子の大部分は共通していることを明らかにした。研究者らは家族性を評価するために統計学的手法を用いた。一つの方法はPTSDのような障害の遺伝子コンポーネントを決定するのに使用された。その後他の解析を用いて異なるフェノタイプが遺伝子を共有しているかどうかを調べた。その結果、有意な数の遺伝子がPTSDとうつ病、PTSDと不安、およびうつ病と不安とで共有されていることが示された。

 

アルツハイマー病患者におけるアミロイドβ除去遅延に心血管蛋白が関与する [2009-01-06]

Cardiovascular proteins implicated in the slowed removal of amyloid beta in patients with Alzheimer's disease

相前後して脳の血流を低下させ、アルツハイマー病患者において有害な量が蓄積している脳のアミロイドβ除去率を減少させるのに関与する二つの蛋白が発見された。この研究はNature Cell Biology 12月21日号オンライン版に掲載された論文にて述べられ、アルツハイマー病において役割を果たしていると考えられる二つの過程−血流の低下および有害量のアミロイドβの蓄積−に直接関連している強固なエビデンスを提供した。今回の研究は循環器系の研究者には良く知られたserum response factor(SRF:血清応答転写因子)とmyocardinの二つの蛋白に焦点を当てている。研究チームはSRFとmyocardinがともに働きSREBP2として知られる分子を刺激することを発見した。この蛋白は体内からアミロイドβを除去するのに役立つLRP-1を阻害する。健康な成人の平滑筋と比較しアルツハイマー病患者の細胞は5倍ものmyocardinと4倍ものSRFを有し、SREBP-2は5倍多くLRP-1は60%少なかった。その結果アミロイドβ除去能は30%低下することになる。

 


 

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