早期乳がんに対する放射線照射は3週間行うことで現行の5〜7週間と同様の有効性が認められる可能性がある [2009-11-17]
Three-week course of breast radiation may be as effective as conventional five to seven week course for early breast cancers

期間を短縮しより集中的な乳房全体への放射線照射をconcomitant boost法とともに行うことにより、治療後2年間の局所コントロールは非常に良好であり有意な副作用も認められない、と第51回American Society for Radiation Oncology(ASTRO)学会で発表された。研究者らは、乳房全体の加速少分割照射およびconcomitant boost法を施行された早期乳がん患者112人を調査した。治療を終了し6ヵ月以上追跡調査された105人に関する結果が報告された。患者らの腫瘍は小さくリンパ節に転移は認められなかった。その結果、これらの治療を受けた患者では、がんは原発部位およびその周囲に再発しなかった。スタディの追跡調査期間中央値は2年間であった。5年間の追跡調査期間中の生存率は95%を超えていた。また、この放射線治療による有意な身体的および美容的な副作用は認められないことも明らかにされた。この短期治療法は、全ての放射線療法を半分の期間で終了することができ、また乳房密封小線源療法のような他の新たな方法よりも安価であるため魅力的な選択肢である。

前立腺がん再発においてより短期間の放射線照射療法は標準的な方法と比較し同様に有効である [2009-11-17]
Shorter radiation course as effective as standard therapy for prostate cancer recurrence

少分割照射として知られる、高線量を少ない回数で施行する5週間のより短期間の放射線療法は、前立腺がん再発リスク低減において標準的な放射線療法と有効性および安全性が同等であり、期間は2週間半短いと、第51回American Society for Radiation Oncology(ASTRO)学会で発表された。このスタディには中等度および高リスクの前立腺がん患者303人を組み入れ、前立腺および周囲領域に少分割IMRT(強度変調放射線治療)を26治療(毎日の放射線療法を5週間)施行、または標準的なIMRTを38治療(毎日の治療を7週間半)施行する群に無作為に割り付けた。放射線治療に加え、中等度リスク患者200人中34人が短期間のホルモン療法を中央値で4週間施行され、少分割照射を受けた患者103人中102人が長期ホルモン療法を25ヵ月施行された。スタディの結果、治療から39ヵ月後のがん再発は少分割IMRT群と標準IMRT群とで有意差がなかった(14%対19%)。尿生殖器系および消化器系の副作用についても差がなかった。

放射線療法に短期ホルモン療法を追加することにより中等度リスクの前立腺がん患者の生存率が上昇するが低リスクの患者においては上昇しない [2009-11-10]
Short-term hormone therapy added to radiation increases survival for medium-risk, but not low-risk, prostate cancer patients

中等度リスク前立腺がん患者に放射線療法前または施行中に短期ホルモン療法を行うことにより、放射線療法のみの患者と比較し、全生存率が上昇する(51%対46%、p=0.03)が、低リスク患者においては有意な有益性は認められないとの、この種では最大の無作為化スタディの結果が第51回American Society for Radiation Oncology(ASTRO)学会Late Breaking plenaryセッションで発表された。限局前立腺がんを有しPSA≦20の男性適格者計1,979人を、放射線治療前および治療中に2ヵ月間のアンドロゲン除去療法を受ける群または放射線療法のみを受ける群に無作為に割り付けた。生存期間において有益性が認められたのはほとんどが中等度リスクの患者においてであった。二次エンドポイントである無病生存率、生化学的無再発率、および2年後の再生検陽性率もまた短期ホルモン療法群で良好であった。筆者らは、患者の中では有意に少数を占める中等度リスク患者が、わずか4ヵ月間のホルモン療法を追加するだけで有益性を得られるが、低リスク患者では有益性は得られないと結論付けている。

胸骨傍リンパ節放射線療法を胸骨背側の乳がんに対する乳房切除術後の標準放射線療法に追加して施行する必要はない [2009-11-10]
Internal mammary chain radiation treatment not necessary on top of standard radiation after mastectomy for breast cancer located behind the breastbone

乳房切除後に胸骨後側のリンパ節に対し放射線療法を受けている患者はこの治療しにくい領域の放射線療法を受けていない患者と比較し生存期間が長いわけではないとの10年間の無作為化スタディの結果が、第51回American Society for Radiation Oncology(ASTRO)学会で発表された。この多施設無作為化試験には新たに診断されたステージ1または2の乳がんに対し乳房切除術を施行された女性1,334人が組み入れられた。患者は、腋窩リンパ節転移を有するがんまたは原発巣が乳房の内側中央部に位置するがんのいずれかを有していた。全ての患者が胸壁および鎖骨上リンパ節の放射線照射を受けたが、半分の患者はさらに特殊な胸骨傍リンパ節照射つまりIMC-RTの治療を受けた。10年後の生存率は、IMC-RTを受けた群と受けなかった群とで差がなかった(63%対60%、p=0.9)。筆者らは、これらの結果からIMC-RTが全生存率に影響しないのは明らかであるが、これらの患者はこれらの特異的な細胞に対する追加の放射線治療が必要ないだけであって、放射線療法はやはり必要であると述べている。

小児がん既往者は診断から数十年後に自殺を考える [2009-11-02]
Childhood cancer survivors experience suicidal thoughts decades after diagnosis

小児がん既往の成人は、がん治療終了後たとえ数十年が経過していても自殺念慮のリスクが高いとのスタディ結果がJournal of Clinical Oncologyオンライン版に掲載され、プリント版にも掲載される予定である。小児がんを21歳より前に診断され、かつスタディに参加する5年以上前に診断された小児がん既往のある18歳以上の成人9,126人のデータが解析された。大多数(8,464人、92.7%)が10年以上前に診断され、28.4%は20年以上前に診断されていた。がんの既往のないコントロール群は既往者に最も年齢の近い兄弟姉妹2,968人であった。結果は、既往者の7.8%が自殺思考を有し、それに対しコントロール群は4.5%であった。脳および中枢神経系がんの既往者が自殺思考を有する確率が最も高く(10.6%)、非ホジキンリンパ腫既往者において確率が最も低かった(6.7%)。データから自殺思考と既往者の年齢または性別には関連が認められなかったが、教育レベルが低いこと、世帯収入が低いこと、および失業後間もないこととの関連が認められた。

適切なスクリーニングおよび検査を確実に行うためにがん既往者とプライマリケア医の間にはよりよいコミュニケーションが必要である [2009-11-02]
Better communication between cancer survivors and primary care physicians needed to ensure appropriate screening and surveillance

新たな研究の結果、がん既往者ががん治療からプライマリケア医に戻る際に、必要なスクリーニングや検査を確実に行われるためにさらに介入が必要であることが示唆されたとの研究結果がJournal of General Internal Medicine最新号に掲載された。このスタディでは、乳房、大腸、および前立腺がんの自己申告のスクリーニング率ががんの既往者で72〜81%であり、がん既往のない者で53〜69%であることが示された。大腸がんおよび前立腺がんにおいては特に、高齢であることに加え既婚であることが自己申告によるスクリーニングの重要な予測因子であった。スタディの結果、乳がんにおいてはがん既往者と既往のない者とでスクリーニング率に差はなかった。しかし、これらの結果は全てを物語っていない可能性がある。患者のカルテを調査した結果、調査による回答数がカルテ内に含まれる情報と一致しなかった。その理由が患者の思い違いであるのかスクリーニングを他のどこかで行われたためなのかは不明である。この研究結果から筆者らは、がん既往者が最大限の治療がなされるように彼らとプライマリケア医とのコミュニケーションを改善する介入方策の必要性が示された、と述べている。



 

DOLについて - 利用規約 -  会員規約 - 著作権 - サイトポリシー - 免責条項 - お問い合わせ
Copyright 2000-2025 by HESCO International, Ltd.