9月8日、15日、24日のDOL NewsはESC特集のため、Oncologyニュースは
 お休みさせていただきました。



B型肝炎のワクチン接種をした若年者においては肝細胞がん症例が少ない [2009-09-29]
Cases of hepatocellular carcinoma reduced in a younger population vaccinated for hepatitis B virus

20年間のフォローアップスタディの結果、出生時にB型肝炎のワクチンを接種された6〜19歳における肝がんが劇的に減少したことが明らかにされた、とJournal of the National Cancer Institute 9月16日号に掲載された。研究者らは、1983〜2004年にかけて、診断時6〜29歳であった肝細胞がん患者約2,000人のデータを収集した。ワクチンを接種した者としていない者の出生者群の年齢および性別による発現率を回帰モデルを用いて比較した。ワクチンを接種した者約3,800万人/年中64人に肝細胞がんが発症したのに対し、ワクチンを接種しなかった者約8,000万人/年中444人に肝細胞がんが発症した。ワクチンを接種したにもかかわらず肝がんを発症した患者が少数認められた。しかしこれらの患者の記録を解析した結果、患者の多くは十分な用量のワクチンを投与されていなかったか、B型肝炎に感染した母親から産まれてきた際に保護が不十分であったことがスタディから示された。これらのデータから、一般的なHBV免疫化プログラムによる肝細胞がん予防は、過去20年間のうちに小児期からさらに若年成人に拡大してきたことが示唆された。

浸潤性乳がんのリスク軽減に有効な薬剤は重篤な副作用も来たしうる[2009-09-29]
Medications effective in reducing risks for invasive breast cancer can also cause serious side effects

女性の乳がん発症のリスクを低下させる3つの薬剤は有害事象も引き起こすことが示されたと、米国の保健福祉省Agency for Healthcare Research and Quality(AHRQ)から新たな報告がAnnals of Internal Medicineオンライン版9月15日号に掲載された。このスタディではタモキシフェンと、主に骨粗しょう症の予防および治療に用いられ乳がん予防薬として2007年にFDAから承認された他のSERMであるラロキシフェンを比較した。米国ではFDAにより乳がん予防としての使用を認められていないが他の国では一般的に更年期障害の症状および骨粗鬆症に使用されている3つ目の薬剤tiboloneも、今回スタディに組み入れられた。3剤ともに乳がんの発症を抑制したが様々な副作用が認められた。また、各々の薬剤が有害な作用のリスクを有することも明らかになった。タモキシフェンは他の薬剤と比較し子宮内膜がん、子宮摘出術および白内障のリスクを上昇させた。タモキシフェンとラロキシフェンは血栓のリスクを増大させ、そのリスクはタモキシフェンのほうが大であった。スタディの結果によるとtiboloneは脳卒中のリスクを増大させた。

明らかな心血管疾患を有する前立腺がん患者に対するホルモン療法は死亡のリスクを上昇させる [2009-09-01]
Hormone therapy for prostate cancer patients with certain cardiovascular conditions associated with increased risk of death

冠動脈疾患による心不全(CHF)または心筋梗塞(MI)を有し、前立腺がんの治療として放射線療法と同時またはその前にホルモン療法を受けた男性は死亡のリスクが高いとJAMA 8月26日号に掲載された。このスタディには、限局性または局所進行前立腺がんに対し、放射線療法の前に治療期間中央値4ヵ月のネオアジュバントホルモン療法(HT)を受けた、または受けなかった男性5,077人(年齢中央値69.5歳)を組み入れた。追跡期間中央値5.1年の間に死亡した男性419人中200人は併存基礎疾患を有さず、176人は冠動脈疾患リスクファクターを有し、43人は既知の冠動脈疾患の結果心不全または心筋梗塞歴を有した。ネオアジュバントHTにより冠動脈疾患によるCHFまたはMIを有する男性の総死亡率は約2倍となった(26.3%対11.2%)。しかし、併存疾患を有さない男性(9.6%対6.7%)または冠動脈疾患リスクファクターをひとつだけ有する男性(10.7%対7.0 %)においては、ネオアジュバント療法は総死亡のリスクを上昇させなかった。

BIG 1-98トライアルの結果、受容体陽性乳がん後のアジュバントレトロゾール単独療法の長期の有益性が示された [2009-09-01]
BIG 1-98 trial shows long-term benefit of adjuvant letrozole monotherapy following surgery for receptor-positive breast cancer

New England Journal of Medicine 8月20日号に掲載されたBIG 1-98トライアルの新たなデータから、アロマターゼ阻害薬レトロゾールはタモキシフェンと比較し、受容体陽性早期乳がんの閉経後女性における無病生存期間を改善することが示された。このphase III無作為化二重盲検コントロール試験では27ヵ国の閉経後早期乳がん女性8,000人以上を組み入れた。患者は4つの治療法のうちいずれか:タモキシフェン単独を5年間、レトロゾール単独を5年間、タモキシフェンまたはレトロゾールのどちらかを2年間投与した後他方を3年間投与、に無作為に割り付けられた。乳がん手術に続いてのタモキシフェンおよびレトロゾール投与は術後レトロゾール単独投与と比較し、無病生存期間を改善しなかった。しかし、レトロゾール単独療法はタモキシフェン単独療法と比較し、無病生存期間(p=0.03)および転移リスクの低下(p=0.05)の有意な長期的改善を示した。解析の結果でも、術後レトロゾール療法はタモキシフェン療法と比較し、5年間の全生存率において有意ではないが有益である傾向が認められた(13%の死亡リスクの減少、p=0.08)。これらのデータから、閉経後女性におけるホルモン受容体陽性乳がん術後5年間の、最良の第一選択治療としてタモキシフェンと比較したレトロゾールの有効性が確認された。



 

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