卵巣および子宮温存手術を受けたステージIの卵巣がん患者の生存率は除去術を受けた患者と同様である [2009-08-25]
Survival similar for premenopausal women with stage 1 ovarian cancer treated with ovary and uterine conservation surgery compared to removal

新たなスタディの結果、早期卵巣がん患者は少なくとも卵巣一つと子宮を温存することにより妊孕性を保つことができ死亡率も上昇しないことが示されたとCancer 9月15日号に掲載され、オンライン版で閲覧可能である。研究者らは、米国国立がんセンターのSurveillance, Epidemiology and End Resultsデータベースに登録されたステージI卵巣がんと診断された50歳以下の女性のデータを解析した。両側の卵巣を除去された患者とがんを有する卵巣のみを除去された患者を比較した。もう一つの解析では子宮温存と子宮除去術を比較した。最初の解析では卵巣がん患者1,186人が抽出された。多くは両側の卵巣を除去されていたが、36%は片方を温存されていた。片方の卵巣が温存された患者の生存率は5年後まで同様であった。子宮温存の影響を評価するために研究者らは計2,911人の女性を調査した。多くの患者は子宮除去術を施行されたが23%は子宮を温存されていた。子宮温存も生存率には影響しなかった。

大腸がん診断後のアスピリン内服により生存率が上昇する [2009-08-25]
Aspirin use after colorectal cancer diagnosis associated with improved survival

大腸がんと診断されアスピリン内服を開始した男性および女性は、アスピリンを内服していない患者と比較し、全死亡率および大腸がん死亡率が低いとJAMA 8月12日号に掲載された。研究者らは、非転移性大腸がん(ステージI、II、およびIII)の男女1,279人におけるアスピリン内服と死亡率の関係を調査した。追跡期間中央値11.8年の間の総死亡数は、大腸がん診断後アスピリンを内服した患者549人中193人(35%)であり、がんによる死亡は81人(15%)であった。一方、アスピリンを内服しなかった患者730人における総死亡数は287人(39%)であり大腸がんによる死亡は141人(19%)であった。全体のコホートでは5年全生存率はアスピリン内服患者において88%であり、アスピリンを内服しなかった患者におけるそれは83%であった。10年生存率はそれぞれ74%および69%であった。アスピリンを内服しなかった者と比較しアスピリンを内服した者の大腸がん死は29%低く、全死亡率は21%低かった。診断後アスピリンを内服したCOX-2陽性患者においても有意な生存率の改善が認められた。

近代のPSA後時代においては一部の患者では根治的前立腺全摘除術は必要ない可能性がある [2009-08-11]
In the modern post-PSA era, radical prostatectomies may not be necessary for some patients

前立腺がんのスクリーニングにPSAが広く用いられるようになって初めての、標準的な前立腺除去後の前立腺がん死に関する大規模多施設スタディが終了した。Journal of Clinical Oncologyにオンラインで掲載されたこのスタディにおいて、1987〜2005年に根治的前立腺がん全摘術を施行された男性12,677人の前立腺がんに直接関連しうる15年死亡率が、たとえ多くの患者のがんが進行がんであっても、12%であったことが示された。一方、これらの患者における非がん死亡率は38%であった。過去10年以内に手術をされた4%と少ない割合の患者においては、15年以内に前立腺がんで死亡する確率が5%高かった。今の時点ではこの結果が手術の影響か他の二次治療によるものか、またはそもそもあるタイプの前立腺がんの致死率が低いためかは不明である。筆者らは、治療後15年間の前立腺がん死亡率が低いことから進行の遅い患者には迅速な治療は必要がない可能性があると述べている。

EphA2標的治療により化学療法薬を卵巣がん細胞に直接投与することができる [2009-08-11]
EphA2-targeted therapy delivers chemotherapy directly to ovarian cancer cells

分子ホーミングメカニズムとしてEphA2蛋白を用いることにより、化学療法薬が前臨床モデルの卵巣がんに非常に選択的に投与できたとJournal of the National Cancer Institute 7月29日号に掲載された。研究者らはキャリアシステムを用いて化学療法薬を卵巣がん細胞に直接到達させた。この免疫複合体には、non-cleavable linker maleimidocaproylを介して化学療法薬monomethyl auristatin phenylalanine(MMAF)を結合させた抗EphA2モノクローナル抗体が含まれた。研究者らは、auristatinsがG-M borderで細胞周期停止を引き起こし微小管を破壊し、がん細胞のアポトーシスを誘発することを示した。彼らは、到達システムのEphA2-陽性HeyA8およびEphA2-陰性SKMel28卵巣がん細胞特異性を、抗体結合およびインターナリゼーションアッセイを用いて評価した。彼らはまた、卵巣がん細胞株および腫瘍モデルにおけるバイアビリティとアポトーシスを評価し、マウスHeyA8-lucおよびSKOV3ip1卵巣腫瘍を有するorthotopicマウスモデルの抗腫瘍活性を評価した。免疫複合体はEphA2を発現した腫瘍細胞へのMMAF伝達において非常に特異的であり、一方この蛋白を発現しない細胞における取り込みは非常に少なかった。このモデルにおいて、治療されたマウスにおける腫瘍の成長はコントロールマウスと比較し85〜98%阻害された。

扁平上皮舌がんに対する経口レーザー手術は侵襲的開放手術と同様に有効である [2009-08-04]
Transoral laser surgery for squamous cell tongue carcinoma is as effective as invasive open surgery

経口レーザー手術による舌基部がんの摘除術はより侵襲的な開放手術と同様に有効でありQOLを改善させる可能性がある、とOtolaryngology-Head and Neck Surgery 7月号に掲載された。このスタディは舌基部の扁平上皮がんに対し経口レーザーマイクロサージャリーを施行された患者71人のカルテをレトロスペクティブにレビューしたものである。24ヵ月後の全生存率は90%であり、疾患特異的生存率は94%であった。このスタディにおいて治療が有効であった患者の91%において痛みが軽度であったかまたは痛みがなかった。また、97%の患者において嚥下機能が「最少の障害」または「正常」であった。実際、問診を施行された患者の中に18ヵ月後に胃瘻チューブを使用している者は一人も存在せず、平均胃瘻使用期間は3ヵ月のみであった。最終的に69.6%の患者が「通常通りに」話ができた。筆者らはまた、この手術の精密さゆえにほとんどの患者においてアジュバント化学療法が少なくて済み、一部の症例では化学療法が必要ないことについても言及している。

Hedgehogシグナル伝達経路は肝X受容体活性化により阻害される [2009-08-04]  
Hedgehog signaling pathway inhibited by activating the liver X receptor

がんおよび他の疾患の発症を刺激する生理学的過程に関与する重要なシグナル伝達経路を阻止する方法が明らかになった、とMolecular Endocrinologyオンライン版に掲載された。肝X受容体(LXR)を活性化することにより、組織の完全な状態の維持および幹細胞生成に関与するhedgehog(Hh)シグナル伝達経路を阻止することができた。しかし、不規則に刺激されるとHhシグナル伝達経路は脳、肺、血液、前立腺、皮膚および他の組織にがんを引き起こしうる。この結果はマウスにおいても確認されている。今回の発見により、現在あまり解明されていないhedgehogシグナル伝達経路調節の新たなそして予想外のメカニズムが明らかになり、このことによりがん領域の新たな治療および標的治療薬が導き出される可能性がある。筆者らは、現在存在するhedgehogシグナル伝達経路阻害薬には重篤な副作用があり特に小児の多くの患者が治療を妨げられているため、この治療法は特に有望であると述べている。



 

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