リンパ節をより多く評価しても後期大腸がんの発見は改善しない [2009-07-28]
Evaluating more lymph nodes may not improve identification of late-stage colorectal cancer

より多くのリンパ節を外科的切除し評価してもstage IIIの大腸がん患者をより多く発見できるわけではないようである、とJAMA/Archives誌のひとつであるArchives of Surgery 7月号に掲載された。1990年にWorld Congress of Gastroenterologyが初めて、大腸がん術中には最小で12個のリンパ節を切除するべきであると提唱した。2004年後半に米国の研究者らは総合的機関イニシアチブを開始し術中郭清リンパ節数を増加させた。そして彼らは1996〜2007年に外科的手術で治療された大腸がん連続701症例を評価した。このイニシアチブは郭清リンパ節数を増加させたことで成功したかにみえた−2005年1月以降に手術された患者をイニシアチブ開始前と比較したところ、郭清リンパ節数(17.3個対12.8個)およびリンパ節を12個以上郭清された患者のパーセンテージ(71.6%対53%)は増加していた。しかし、ステージIIIの大腸がんと診断された患者の割合は変化がなく、イニシアチブ開始前の症例の553例中204例(36.9%)、2005年1月以降の症例148例中48例(32.4%)においてリンパ節転移陽性であった。

閉経後ホルモン療法は治療期間にかかわらず卵巣がんのリスクを増加させる [2009-07-28]
Any duration of postmenopausal hormone therapy use associated with increased risk of ovarian cancer

ホルモン療法を一度も受けたことのない女性と比較し、ホルモン剤内服中または過去に内服したことのある女性は、ホルモン療法の期間、剤型、投与量、投与法および投与経路にかかわらず卵巣がんのリスクが高いとのスタディ結果がJAMA 7月15日号に掲載された。この解析にはホルモン感受性がんを有さない、または両側の卵巣除去をされていない女性計909,946人が組み入れられた。経過観察終了時には、63%の女性が閉経後ホルモン療法(HT)を受けておらず、22%が過去にホルモン療法を受け、9%はホルモン療法を受けている最中であった。ホルモン療法中の患者のうち46%がホルモン療法を7年以上受けていた。平均8年間の経過観察期間中に3,068例の卵巣がんが発見された。HTを一度も受けたことのない者と比較し、HT中の患者は卵巣がんのリスクが全体で38%高かった。上皮性卵巣がん(2,681人)に限定して解析したところ、HTを一度も受けたことのない者と比較し、HT中の患者の相対リスクは44%高く、過去にHTを受けた者は15%リスクが高かった。リスクはHTの期間が増加しても上昇しなかった。

悪性グリオーマの発現に役割を果たしていると思われる改変遺伝子のネットワークが同定された [2009-07-21]
Research identifies network of altered genes that appear to play role in development of malignant gliomas

改変遺伝子間の相互作用が悪性グリオーマの発症および進行に役割を果たしていると思われるとのスタディ結果が、JAMA 7月15日号に掲載された。米国の研究者らは、米国の複数の大学病院およびCancer Genome Atlas Pilot Project(TCGA)のグリオーマ患者501人の遺伝子プロファイルおよび臨床プロファイルを調査した。解析には、同時に認められた遺伝子改変の同定、相互に関連する遺伝子用量および遺伝子発現、および複数機能相互作用、そしてこれらの遺伝子と患者の生存率の関連が含まれた。その結果、グリオーマ内の頻発する染色体異常による複数のネットワーク遺伝子の改変が、複数の協調的なメカニズムを介して重要なシグナリングパスウェイを脱制御することが明らかになった。筆者らは、これらの変異がグリオーマ発現の過程の明瞭な遺伝子特質の非無作為選択によるらしく、患者の予後と関連があると述べている。同じ号に掲載された関連記事において、筆者らが過去の研究で言及したある遺伝子の変異に関連したメカニズムが同定された。

肺がんの脳および骨への早期の転移を引き起こす遺伝子基盤が発見された [2009-07-21]
Researchers find genetic underpinnings of what causes lung cancer to quickly metastasize to the brain and the bone

Cell誌7月2日オンライン版に掲載された新たなスタディの結果、大腸がんの転移に関連するのと同じ細胞パスウェイが、肺がんの主要な転移部位である脳と骨への早期の転移をも引き起こすことが明らかになった。研究者らは、試験により6つのパスウェイの中でWNT細胞シグナリングパスウェイが、肺がん腫瘍内で過活動性であり転移を引き起こし、転移していない肺がん腫瘍内では正常な唯一のパスウェイであることを発見した。また、WNT過活動性は進行の速い生物学的腫瘍特性および予後不良と関連があり、がんの転移と予後不良は関連することが示唆された。この結果はさらにマウスの実験で、KRASおよびEGFR遺伝子にがん原変異を有する肺がん細胞はまた転移をするのに過活動性WNTパスウェイ依存性であることも示されたことからも確認された。さらにWNTにより活性化され肺がん細胞の迅速な浸潤および腫瘍成長を再開する能力を増強するHOXB9およびLEF1の2つの遺伝子も発見された。これは、緩解数年後に再発する傾向にある他のがんから著しく逸脱するものである。

血糖、中性脂肪および血圧は閉経後乳がんのリスクを有意に上昇させる [2009-07-14]
Blood glucose, triglycerides and blood pressure levels significantly increased risk of postmenopausal breast cancer

メタボリックシンドロームに関連した生理学的変化が閉経後乳がんのリスクにおいて役割を果たしている可能性がある、とCancer Epidemiology, Biomarkers & Preventionに掲載された。この長期スタディにおいて研究者らはWomen's Health Initiativeの既存のデータを使用した。参加者は組み入れ時に50〜79歳の閉経後女性であり、8年間にわたりメタボリックシンドロームの項目の計測を繰り返し施行された。この項目には血糖値、HDLコレステロールおよび中性脂肪、ウエスト周囲径および血圧が含まれた。ベースラインの計測を施行された糖尿病を有さない女性4,888人中165例の乳がんが追跡調査中に診断された。ベースライン時点でのメタボリックシンドロームの存在は乳がんのリスクではなかった。しかし、乳がん診断から3〜5年前にメタボリックシンドロームを発症した女性はリスクが倍であった。また、血糖値や中性脂肪および拡張期血圧の上昇と明らかな関連があることも示された。拡張期血圧との関連は強く、リスクが2倍以上であった(相対リスク=2.4)。中性脂肪と血糖の全ての乳がんに対する相対リスクは1.7であった。

5年後に再発のない前立腺がん患者は10年後も再発がない可能性が高い [2009-07-14]  
Prostate cancer patients disease free after five years likely to remain disease free after 10 years

密封小線源療法を受け5年以上再発のない前立腺がん患者は10年後も再発がない可能性が高いとInternational Journal of Radiation Oncology*Biology*Physics 7月1日号に掲載された。研究者らは1991〜2002年に前立腺がんに対し密封小線源療法のみで治療された患者、密封小線源療法とホルモン療法を受けた患者、密封小線源療法と外部照射治療(EBRT)を受けた患者742人を追跡調査した。治療後5年以内に再発した患者はいなかった。5年後のPSAレベルがその後の状態の指標となり、全体の10年後の無再発率は97%であった。また、転移した患者および前立腺がんで死亡した患者もいなかった。筆者らは後期再発率も低いであろうと考えており、前立腺密封小線源療法単独およびホルモン療法やEBRTとの併用は前立腺がんと診断された患者にとってますます魅力的な治療となるであろうと述べている。

大きな喉頭がんは一部の患者において喉頭温存化学療法と放射線療法で治療可能である [2009-07-07]
Large laryngeal cancers can be successfully treated with larynx preserving chemotherapy and radiation in some patients

喉頭の大きな腫瘍を有する患者の一部は喉頭摘出術ではなく化学療法と放射線療法を選択することにより発声能力を温存することができる。Laryngoscope誌オンライン版に掲載される新たなスタディの結果、1クールの化学療法によりこの治療法が最も有効な患者を見極めることができることが示された。研究者らは、進行喉頭がんのうちT4腫瘍を有する患者に限定して観察した二つのスタディのデータを解析した。スタディの対象患者には全員1クールの導入化学療法を施行した。最初の化学療法により腫瘍が50%以上縮小した患者には毎日の放射線療法に加えさらに3クールの化学療法を施行した。導入化学療法に反応しなかった患者に関しては手術を依頼した。二つのスタディにT4腫瘍患者36人が組み入れられた。81%が導入化学療法に反応し、腫瘍が完全に縮小した患者も多かった。3年後にスタディ対象者であるT4腫瘍患者の78%が生存しており、58%は喉頭が温存されていた。喉頭を温存された患者は手術をされた患者よりもQOL高くうつ症状が軽かった。さらに、腫瘍の最も小さい患者と最も大きい患者とで生存期間の差はなかった。

腫瘍抑制蛋白p53の新たな敵Trim24が発見された[2009-07-07]  
Researchers identify Trim24, a new enemy for tumor-suppressor p53

腫瘍抑制蛋白p53をマークして破壊する蛋白が発見され、がん細胞内のp53を取り戻す方法が得られたとProceedings of the National Academy of SciencesオンラインEarly Editionに掲載された。この研究チームは発現するp53蛋白それぞれに生化学的なタグを付けたある型のマウスを作成した。タグをつけたp53が通常のp53と同様に作用することを確認した後に、研究者らはタグまたはフックを用いて蛋白を抽出した。その結果、これまでp53との関連を報告されていなかった蛋白であり、異なった型の白血病や甲状腺がん内の二つの既知のがん遺伝子の標的であるTrim24が腫瘍内に多く発現していた。Trim24はユビキチンと呼ばれる標的分子を腫瘍抑制蛋白に連結させることによりp53をプロテアソームにする。続いて行った実験の結果、細胞核内のTrim24レベルが低下することによりp53レベルが上昇し、Trim24レベルが上昇することによりp53レベルが低下することが示された。ヒト乳がん、肺がん、結腸がんおよび前立腺がん内のTrim24が消失することにより、自然なアポトーシスが引き起こされた。プロテアソーム阻害薬で治療することによってもp53発現が増加した。Trim24の重要なバインディングドメインの除去または完全な枯渇はいずれもユビキチンによるp53の攻撃を減少させた。

 


 

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