若年期の肥満は膵がんリスクを上昇させる
  乳房針生検のガイドシステム
 
  MSH2蛋白は化学療法の有効性を予測する(Abstract #: CRA7502)(ASCO)
  予防的治療により重度の薬剤性発疹の発現を減らすことができる
(Abstract #: CRA4027)
(ASCO)
  微小転移乳がんの治療(Abstract #: CRA596)(ASCO)
  一般的な抗うつ薬のタモキシフェンの有効性に関する影響
(Abstracts #: CRA508 and CRA509)
(ASCO)
  乳房部分照射と従来の放射線療法の比較(Abstract #: CRA532)(ASCO)
  アジュバント療法としてのベバシズマブは有益でない
(Abstract #: LBA4)
(ASCO)
  センチネルリンパ節生検は早期子宮頸がんに対する有効な方法である
(Abstract #: CRA5506)
(ASCO)
  PARP阻害剤は難治性乳がん治療に有望である
(Abstract #: CRA501 and P3)
(ASCO)
  頻回な血液検査によるCA125の測定は不必要な可能性がある
(Abstract #: P1)
(ASCO)
  胃がんのオーダーメイド標的治療(Abstract #: LBA4509) (ASCO)
  患者の免疫機能を用いたB細胞性リンパ腫の標的治療
(Abstract #: P2)
(ASCO)
  メラノーマに対するがんワクチンにおいて有望な結果が得られた
(Abstract #: CRA9011)
(ASCO)
  肺がんの進行に重要な役割を果たす二つのパスウェイを
標的とする新たな治療薬
(Abstract #: CRA8003)
(ASCO)



成人期早期に過剰体重または肥満であると膵がんリスクが上昇する [2009-06-30]
Being overweight or obese during early adulthood is associated with greater risk of pancreatic cancer

過剰体重または肥満の若年成人は膵がんリスクが高く、膵がん患者において肥満の高齢者は全生存率が低いとJAMA 6月24日号に掲載された。このスタディは、膵がん患者841人および年齢、人種、および性別をマッチさせた健常者754人を対象とした。14〜39歳の過剰体重(BMI 25〜29.9)の者または20〜49歳の肥満者(BMI 30以上)は糖尿病の有無にかかわらず膵がんリスクが高かった。平均BMI(5単位増加毎)と膵がんリスクの関連は女性よりも男性において強力であった。この相関関係は男性においては14〜69歳のいずれの年齢においても統計学的に有意であったが、女性においては14〜39歳でのみ有意であった。平均BMI(5単位増加毎)とがんリスクの推定相関関係は、一度も喫煙歴のない者よりも喫煙歴のある者において軽度強かった(一度も喫煙歴のない者の10.3%、喫煙歴のある者の21.3%が若年期の過剰体重または肥満に起因すると考えられる膵がんを有していた)。

新しい有効な乳房針生検のガイドシステムが開発された [2009-06-30]
Researchers develop new and efficient needle guidance breast biopsy technique

施術時間を短縮し患者の不快感および罹患率を減少させる新たな乳房生検技術が開発されたとAmerican Journal of Roentgenology 6月号に掲載された。この新たな技術は生検針を機械のアームを用いて正確な位置にガイドし、針の動きを防止するブレーキシステムが備わっている。スタディでは、今回の針ガイドシステムおよび標準的なフリーハンド技術の両者を用いてファントムの生検を施行した。針ガイドシステムを用いた場合の成功率は95.9%であったのに対し、フリーハンド技術では91.3%であった。熟練した放射線科医がフリーハンド技術を用いて生検を行った場合の施術時間は約31秒であり、針ガイドシステムを用いた場合は約10秒であった。今回の施術は原型のものを用いて行われたが今後日常診療仕様にデザインし直される。患者を用いた試験が2009年秋に計画されている。

ATLAS:ベバシズマブ維持療法にエルロチニブを追加することにより進行非小細胞肺がん患者の予後が改善する [2009-06-23]
ATLAS: Adding erlotinib to bevacizumab maintenance therapy in patients with advanced non-small cell lung cancer improves outcomes

化学療法とベバシズマブによる初回治療後に、ベバシズマブによる維持療法にエルロチニブを追加することによりベバシズマブ単独投与と比較し、非小細胞肺がん患者の進行が遅延したとの研究結果が、ある国際研究チームにより第45回American Society of Clinical Oncology学会で発表された。この二重盲検phase IIIトライアルは768人の患者をベバシズマブとエルロチニブまたはベバシズマブとプラセボを投与する群に無作為に割り付けた。患者は全員がファーストライン治療として4クールの化学療法とベバシズマブ投与を受けていた。進行の認められなかった患者に対してはその後ベバシズマブを継続し、プラセボかエルロチニブを投与する群に無作為に割り付けた。このスタディはこのトライアルの二回目に計画されたデータの中間解析を報告したものであり、有意な有効性の改善がエルロチニブ群において認められた。エルロチニブ群の患者はがん進行のリスクが29%低かった。無増悪生存期間中央値はエルロチニブとベバシズマブ併用群で4.8ヵ月であり、ベバシズマブ−プラセボ投与群では3.7ヵ月であった。両群ともに想定外の副作用は認められなかった。これらの結果を基にトライアルは予定より早く中止された。

ILAT:MSH2 DNA修復蛋白の少ない非小細胞肺がん患者は化学療法の有効性が高い [2009-06-23]
ILAT: Patients with non-small cell lung cancer lacking MSH2 DNA repair protein fare better with chemotherapy

国際アジュバント肺トライアル(International Adjuvant Lung Trial :IALT)の解析の結果、腫瘍のMSH2蛋白レベルは外科的に除去された非小細胞肺がん(NSCLC)患者のシスプラチンベースの化学療法に対する長期の有効性を予測することが報告された、と第45回American Society of Clinical Oncology学会で発表された。腫瘍がMSH2を有する(“MSH2陽性”)NSCLC患者257人と腫瘍がMSH2を有さないあるいは腫瘍のMSH2レベルの低い(“MSH2陰性”)患者416人の全生存率を比較した。MSH2陰性の患者においては、シスプラチンを投与された患者の生存期間中央値は58ヵ月であったのに対し化学療法を受けなかった患者のそれは42ヵ月であった。MSH2陽性患者では、化学療法を施行された患者の全生存期間中央値は49ヵ月であったのに対し化学療法を受けなかった患者のそれは58ヵ月であった。次にこのスタディで明らかとなったことは、MSH2の的中率が、ERCCと呼ばれる過去に同定されたもうひとつのDNA修復関連蛋白のそれと同等であったことである。腫瘍内の両蛋白レベルの低い患者のうちシスプラチン治療を施行された者は化学療法を施行されなかった者と比較し生存期間が21ヵ月長かった(55ヵ月対34ヵ月, p=0.01)。研究者らは、シスプラチンベースの化学療法から得られる長期の有益性を予測するにはERCC1にMSH2レベルを組み合わせてもよいであろうと結論付けている。

予防的なクリームおよび抗生剤投与により大腸がん分子標的治療薬に一般的に見られる重度の発疹の発現を減少させることができる [2009-06-16]
Prophylactic creams and antibiotics reduce common, severe skin rash associated with targeted colon cancer drug

大腸がん患者にpanitumumabを投与する前に保湿剤、日焼け止め、ステロイド軟膏および経口抗生剤を処方することにより重度の発疹の発現が半数以上減少すると第45回American Society of Clinical Oncology学会で発表された。Panitumumabを投与された約90%の患者およびセツキシマブを投与された患者の最大75%に有意なざ瘡様発疹が出現する。この発疹は美容上問題となるだけでなく治療を遅延させるほどの重篤な皮膚感染症を引き起こしうる。このスタディでは、panitumumabベースの治療開始24時間前に6週間の予防的皮膚処置(保湿剤、日焼け止め、ステロイド軟膏およびドキシサイクリン)を試行する群に無作為に割り付けられた転移性大腸がん患者48人と、発疹が発現してから治療を開始する群に割り付けられた患者47人における皮膚毒性を比較した。予防的治療群患者においては29%に皮膚毒性が認められたのに対し、発疹が出現して治療を開始した群では62%に認められた。予防的治療群の患者はまた、外見上も身体的にも快適でありライフスタイルを大きく改善する必要もないことから、QOLの点でも良好であると報告している。

乳がん患者におけるセンチネルリンパ節微小転移は追加治療の必要性を強力に示唆する [2009-06-16]
Sentinel node micrometastases strongly indicate need for additional treatment in patients with breast cancer

オランダの研究グループは、センチネルリンパ節微小転移を有する早期乳がん患者は追加の腋窩リンパ節に対する追跡治療を受けなければ有意に高率に再発すると報告した。第45回American Society of Clinical Oncology学会で発表されたこのレトロスペクティブスタディでは、1997〜2005年に早期乳がんの手術を施行されセンチネルリンパ節にマクロ転移の認められなかった患者2,700人を組み入れ、センチネルリンパ節内に腫瘍細胞を認めない、isolated tumor cell(ITC)を認める、微小転移(0.2mm〜2.0mmの転移)を認める、の3群に分別された。全ての患者は、さらなる治療を受けない、残存する腋窩リンパ節切除、または腋窩リンパ節に対する放射線治療のいずれかを受けた。微小転移を有する患者における5年間の再発率は治療を受けなかった群において、手術または放射線治療を受けた群よりも4.5倍高かった。センチネルリンパ節内に腫瘍細胞を認めない、およびITCのみを認める群においては追加の腋窩リンパ節治療による再発率の有意な改善は認めなかった。

ホットフラッシュの治療に一般的に用いられる抗うつ薬が乳がん再発予防目的に使用されるタモキシフェンの有効性に影響するか否かに関するスタディの結果は一致していない [2009-06-16]
Studies report mixed findings on whether antidepressants commonly used to treat hot flashes impact effectiveness of tamoxifen for preventing breast cancer recurrence

第45回American Society of Clinical Oncology学会で発表された、2D6阻害薬がタモキシフェンの乳がん再発予防効果を低下させるか否かについての二つのレトロスペクティブスタディの結果は異なっていた。ホットフラッシュ治療にタモキシフェンと同時に用いられる最も一般的な2D6阻害薬は、抗うつ薬のfluoxetineおよびパロキセチンである。一つのスタディでは、米国の薬剤給付管理会社Medcoのデータベースで、乳がん治療を受けその後再発予防目的でタモキシフェンを投与された女性を調査した。タモキシフェンのみを内服した患者の2年間の再発率は7.5%であり、一方タモキシフェンと2D6阻害薬の両者を内服した女性(両薬剤の平均重複内服期間は255日)の再発率は13.9%であった。これらの結果から抗うつ薬SSRIがタモキシフェン療法の有効性を低下させる可能性が示唆された。他のスタディではオランダの3つのデータベースを解析し、早期乳がんの手術後にタモキシフェンを投与された女性1,962人を抽出した。タモキシフェンのみを内服した女性または2D6阻害薬内服期間が60日未満であった女性(1,812人)の再発率は14.6%であった。一方タモキシフェンを2D6阻害薬と同時に内服した期間が60日以上であった患者(150人)の再発率は13.3%であった。これらの相違を解決するにはさらなるリサーチが必要である。

早期乳がんに対する乳房部分照射は従来の全乳房照射と同程度に有効である可能性がある [2009-06-16]  
Partial breast irradiation may be as effective as traditional whole-breast radiation therapy for early-stage cancer

第45回American Society of Clinical Oncology学会で発表された3つの臨床試験のメタ解析の結果、早期乳がんに対する乳房部分照射は全生存率および転移の減少において従来の全乳房照射と有効性が同等である可能性が示された。研究者らは、乳房部分照射と従来の全乳房照射を比較した3つの臨床試験の対象となった女性1,140人のデータを評価した。全生存率および転移は二群間で有意差がなかった。しかし、乳房部分照射を受けた女性は原発巣の乳がんと同側の乳がん再発率が2倍であり、近傍の腋窩リンパ節のがん発現率が3倍であった。これらの再発は全生存率には影響しなかった。研究者らは、他の現在進行中の臨床試験の結果が解析されるまでは乳房部分照射は試験的治療と考えておくべきであると警告している。

標準アジュバント化学療法へのベバシズマブの追加は早期結腸がんの無病生存率を改善しない [2009-06-16]
Adding bevacizumab to standard adjuvant chemotherapy does not improve disease-free survival for early-stage colon cancer

Phase IIIトライアルの結果、標準アジュバント化学療法にベバシズマブを追加しても局所進行結腸がんの無病生存率を改善しないことが示された。このスタディは2,710人の患者を組み入れ、標準アジュバント化学療法を6ヵ月間受ける群またはベバシズマブと組み合わせたアジュバント化学療法を6ヵ月間施行した後にベバシズマブ投与を6ヵ月間行う群に無作為に割り付けた。対象者は全員ステージIIまたはIIIの結腸がん患者で、先に手術で腫瘍を除去された。経過観察期間中央値3年間の後、がんを有さず生存していたのはベバシズマブ群患者で77.4%であったのに対しコントロール群におけるその割合は75.5%であり、その差は統計学的に有意ではなかった。両群ともに想定外の副作用はなく、ベバシズマブによる毒性は忍容できるものであった。第45回American Society of Clinical Oncology学会で発表されたこのスタディは、アジュバント療法としてベバシズマブを使用した結果を報告した初めてのものである。

早期子宮頸がんに対するセンチネルリンパ節生検は現在の標準的な方法と比較し有効で侵襲の少ない方法である [2009-06-16]  
Sentinel node biopsy is effective, less invasive option for early-stage cervical cancer compared with current standard

プロスペクティブな多施設スタディの結果、早期子宮頸がんの大多数の女性に対し、従来の侵襲の大きい骨盤内リンパ節郭清の代わりにセンチネルリンパ節(SN)生検が施行可能であることが示唆された、とフランスの研究者らが第45回American Society of Clinical Oncology学会で発表した。過去のスタディでは子宮頸がん患者においてがん細胞を有する確率の最も高い骨盤内リンパ節へのがんの拡がりを予測するのにSN生検を用いることができることが示された。今回のスタディでは研究者らは、骨盤内リンパ節を全て郭清された早期子宮頸がん患者128人の骨盤の非典型的部位のセンチネルリンパ節生検の結果を評価した。そしてセンチネルリンパ節のマクロ転移(>2mm)に加え微小転移がん(径0.2〜2mm)およびisolated tumor cellを解析した。彼らは骨盤内リンパ節全郭清およびそれに関連した合併症は81.2%の患者において避けることができたことを示した。40%近くの患者において、SN生検のみで患者の疾患に関するさらなる重要な情報が得られたであろう;例えば、リンパ液排出がまれな経路を通じて骨盤腔または腹腔内のまれな部位へ流出しているのを示すのにSN生検はルーチンの方法よりも有用であった。

 
PARP阻害剤と化学療法の組み合わせはtriple-negative乳がんの新たな治療選択肢となる可能性がある [2009-06-09]
PARP inhibitor plus chemotherapy may offer new treatment option for triple-negative breast cancer

新たなクラスの標的治療PARP阻害剤は難治性乳がん治療に対し有望であるとの二つのスタディの結果が第45回American Society of Clinical Oncology学会で発表された。PARPは“ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ”の略称である。無作為化phase IIスタディの結果、治験薬PARP阻害剤BSI-201を従来の化学療法に加えて投与された転移性triple-negative乳がん患者は、通常の標準的な化学療法のみを受けた患者と比較し生存期間が有意に長く無増悪生存期間も長かったことが示された。BSI-201 を投与された患者の約62%において臨床上の有益性が認められたのに対し、化学療法のみの群におけるその割合は21%であった。治療に対する全体の奏効率はBSI-201を含む併用療法群で標準的な化学療法のみの群よりも有意に高かった(それぞれ48%対16%)。BSI-201を投与された女性の生存期間中央値は9.2ヵ月であり無増悪生存期間中央値は6.9ヵ月であったのに対し、標準治療のみを受けた患者においてはそれぞれ5.7ヵ月と3.3ヵ月であった。さらに、小規模なphase II多国籍多施設スタディの結果、BRCA1またはBRCA2変異を有し前治療に抵抗性であった進行乳がんの女性の40%において、治験薬のPARP阻害剤olaparib投与後に腫瘍の縮小が認められた。

血中CA125レベル上昇に基づき治療を行っても症状発現を待って治療を行うのと再発性卵巣がん患者の生存率は変わらない [2009-06-09]
Treatment based on rising CA125 blood levels does not improve survival for recurrent ovarian cancer compared to waiting for symptoms to arise

血中CA125レベル上昇のみを指標に卵巣がんの再発に対し治療を早期に開始しても、症状発現まで治療を遅延させた場合と比較し全生存期間は変わらないとのヨーロッパの研究者らの報告が第45回American Society of Clinical Oncology学会で発表された。研究者らは、初回化学療法後に寛解しCA125上昇後にセカンドラインの化学療法を開始した患者265人と、CA125上昇後症状(骨盤痛や腫脹)が発現してから治療を開始した患者264人を比較した。早期治療開始群は治療遅延群よりも治療開始が5ヵ月早かったにもかかわらず、全生存期間は両群間で同等であり、ファーストライン化学療法終了後41ヵ月であった(ハザード比1.01、95% CI 0.82-1.25、p=0.91)。研究者らは、血清マーカーのみの上昇を基に早期治療を開始しても生存率の点では有益性はなく、したがって卵巣がん患者の経過観察におけるルーチンのCA125計測は有用でないと結論付けている。患者は症状発現後に治療を開始しても大丈夫である、と安心してよいようである。

HER-2陽性の胃がん患者においては標準治療にトラスツズマブを追加することにより生存率が改善する [2009-06-09]
Adding trastuzumab to standard treatment improves survival in patients with HER2-positive gastric cancer

胃がん患者に対するトラスツズマブの初めての無作為化国際多施設phase IIIスタディにおいて、標準治療に加えトラスツズマブを投与された患者は標準治療のみを受けた患者と比較し生存期間が有意に長かったと第45回American Society of Clinical Oncology学会で発表された。このスタディの対象となった患者3,807人中22.1%において腫瘍内HER-2増加が認められた。これらの患者のうち局所進行性、再発性、または転移性HER-2陽性胃がん患者594人が標準化学療法(5-フルオロウラシルまたはカペシタビンおよびシスプラチン)とトラスツズマブの併用、または標準化学療法のみを受ける群に無作為に割り付けられた。生存期間中央値はトラスツズマブ併用群で13.8ヵ月であったのに対し標準化学療法のみの群では11.1ヵ月であり、死亡リスクの26%軽減が認められた。治療に対する忍容性は概して良好であり、トラスツズマブ群において想定外の副作用は生じなかった。HER-2陽性乳がんに対し使用されていたトラスツズマブが他のがんに対しても有効であることが今回初めて明らかにされた。

治療がんワクチンは濾胞性リンパ腫患者の無病生存期間を有意に延長させる [2009-06-09]  
Therapeutic cancer vaccine significantly prolongs disease-free survival for follicular lymphoma

8年間の無作為化コントロールphase III臨床研究の結果、患者特異的治療ワクチンBiovaxIDは濾胞性非ホジキンリンパ腫の無病生存期間を有意に延長させることが示された。この治療は患者の免疫機能を用いて従来の化学療法に対する反応を増強させるものである。第45回American Society of Clinical Oncology学会で発表されたこのスタディにおいて、PACE(プレドニゾン、ドキソルビシン、シクロフォスファミドおよびエトポシド)化学療法により完全寛解となった濾胞性リンパ腫患者177人をBiovaxIDワクチン群(ワクチンとKLH/GM-CSF)またはコントロール群(KLH/GM-CSFのみ)に無作為に割り付けた。研究者らは化学療法に対する完全寛解を6ヵ月以上維持し、実薬ワクチン(76人)またはコントロール(41人)を投与された患者117人を解析した。経過観察期間中央値56.6ヵ月後(12.6〜89.3ヵ月)、無病生存期間中央値はBiovaxID群で44.2ヵ月であったのに対しコントロール群では30.6ヵ月であり(p=0.045;HR=1.6)、47%延長した。筆者らは、このワクチンは患者の免疫系を動員し腫瘍性B細胞のみを探して破壊するユニークなものであり、この方法は他のB細胞性リンパ腫の治療にも応用できる可能性があると述べている。

転移性メラノーマ患者においてワクチンは奏効率を改善し無増悪生存期間を延長する [2009-06-09]
Vaccine improves response rate and extends progression-free survival in patients with metastatic melanoma

Phase III多施設トライアルの予備的所見によると、転移性メラノーマ患者において、gp100:209-217(210M)ペプチドと呼ばれる新たながんワクチンを標準治療に追加することにより、奏効率が倍になり無増悪生存期間が延長し、有意な副作用は認められなかったと第45回American Society of Clinical Oncology学会で発表された。このワクチンは投与されると、T細胞を刺激し増加させ、細胞表面のgp100抗原を発見することによりメラノーマ細胞を探し出し攻撃する。このスタディにおいて、ワクチンおよびインターロイキン−2(IL-2)投与群に無作為化割り付けされた患者86人とIL-2のみの投与群に割り付けられた患者93人における奏効率、無増悪生存期間、および全生存期間を比較した。ワクチン群において2倍以上の患者が治療に反応し腫瘍が縮小した(22.1%対9.7%、p=0.0223)。無増悪生存期間はワクチン群においてIL-2のみの群よりも長かった(2.9ヵ月対1.6ヵ月、 p=0.0101)。研究者らはまた、標準治療に加えワクチン治療を受けた患者は標準治療のみを受けた患者よりも5ヵ月長く生存し(17.6ヵ月対12.8ヵ月、p=0.0964)、全生存期間も延長する傾向が見られたことも報告した。

分子標的治療薬vandetanibは進行非小細胞肺がん患者の無増悪生存期間を改善する [2009-06-09]  
Targeted therapy vandetanib improves progression-free survival in patients with advanced non-small cell lung cancer

国際トライアルの結果、ドセタキセルに分子標的治療治験薬vandetanibを加えることにより、ファーストライン治療後に進行した進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の無増悪生存期間が改善することが示されたと第45回American Society of Clinical Oncology学会で発表された。VandetanibはNSCLCにおいて役割を果たすことが知られている二つの受容体(上皮増殖因子受容体[EGFR]および血管内皮増殖因子[VEGF])の両方を標的とした初めての薬剤である。このスタディでは、既に化学療法で治療された患者1,391人をドセタキセルとvandetanib、またはドセタキセルとプラセボを投与する群に無作為に割り付けた。経過観察期間中央値12.8ヵ月後にvandetanib群の患者はプラセボ群と比較し疾患進行のリスクが21%低下した(無増悪生存期間中央値はvandetanib群で17.3週間、プラセボ群で14週間、p=0.001)。全生存期間には統計学的有意差はなかったが、奏功率の有意な改善が認められた(17%対10%、p=0.001)。またvandetanib治療によりがん自体による症状も軽減し症状増悪のリスクも22%低下した(p=0.002)。

 


 

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