ホルモン補充療法を行ったことにより乳がんを発症するリスクは乳がんの家族歴のある女性とない女性とで同等のようであるとのスタディ結果がEpidemiology誌で結論付けられた。研究者らは、1993〜2002年にホルモン補充療法(HRT)の薬剤またはプラセボを内服した50〜79歳の閉経後女性16,608人を追跡したWomen's Health Initiative無作為化トライアルのデータを解析した。経過観察期間中央値5.6年の間に349例の浸潤性乳がんが発症した。研究者らはデータをサブグループに分別し、閉経後女性における乳がんに対する二つのリスクファクター(HRTと家族歴)の影響間の直接的な相互関係について調査した。その結果、無視できる程度の相互関係しか認められず、HRTは第一度近親者に乳がんを有する者において有さない者よりも乳がんを発症させるリスクが高いということはないことが示唆された。筆者らは、女性らは短期間のホルモン補充療法を受けたのみであり追跡期間も短いという限界がこのスタディにはあることに言及している。より長期のホルモン補充療法を受ければ異なる結果となった可能性がある。 |