4月7日、14日のDOL NewsはACC特集のため、Oncologyニュースは
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転移性大腸がん患者においてBRAF、PIK3CAおよびKRAS変異とPTEN発現低下によりEGFR標的治療の効果が失われる [2009-04-28]
BRAF, PIK3CA and KRAS mutations and loss of PTEN expression impair response to EGFR-targeted therapies in metastatic colorectal cancer

転移性大腸がん患者において、ある遺伝子が上皮成長因子受容体(EGFR)を標的とした二つのモノクローナル抗体セツキシマブおよびpanitumumabへの耐性と関連していることが示されたとの新たな研究結果が、第100回American Association for Cancer Research(AACR)学会で発表された。イタリア・トリノの研究者らは、転移性大腸がん患者132人の腫瘍標本における4つのバイオマーカー(KRAS、BRAF、PIK3CA遺伝子変異およびPTEN発現の低下)の単変量解析および多変量解析を行った。患者らはセツキシマブおよびpanitumumabによる治療を受けた。分子的変化を有さない患者においては有意な割合の患者(23/55)が治療による何かしらの有益性が得られたのに対し、変化が一つ認められた患者におけるその割合は5%(3/56)であり、変化が二つ以上認められた患者においては0%(0/24)であった。特記すべきは、治療が有効であった患者においてはPIK3CAまたはBRAFの変異を認める者がいなかったことである。筆者らは、4つの全ての遺伝子を考慮することにより、EGFR標的治療が効きにくい70%を超える大腸がん患者を識別することが可能であると述べている。

尿中に発見された代謝産物により肺がんのリスクのある喫煙者が識別できる可能性がある [2009-04-28]  
A metabolite found in urine may determine if a smoker is at risk for lung cancer

喫煙者のうち肺がんを発症する者としない者が存在する理由が明らかにされた可能性がある、と第100回American Association for Cancer Research学会で発表された。米国の研究者らは上海コホートスタディに組み入れられた男性18,244人およびSingapore Chinese Healthスタディに組み入れられた男女63,257人のデータを収集した。NNAL(実験動物で肺がんを引き起こすことが示された代謝産物)の影響を評価するため、研究者らは後に肺がんを発症した喫煙者246人および初回の問診および尿検体採取後10年間肺がんを発症しなかった喫煙者245人を特定した。1日の喫煙本数、喫煙年数、および尿中ニコチンレベルの肺がんリスクへの影響を考慮した結果、NNALレベルが低いものと比較し、NNALレベルが中等度の者は肺がんのリスクが43%高く、最も高レベルの者はリスクが2倍以上であった。ニコチンおよびNNALレベルが最も高い喫煙者は、これらが最も低いレベルの喫煙者と比較し肺がんのリスクが8.5倍であった。

化学療法に高線量の放射線療法を組み合わせることにより肺がんの生存率が改善する [2009-04-21]
High-dose radiation combined with chemotherapy improves lung cancer survival

化学療法に高線量の放射線療法を組み合わせることによりステージIIIの肺がん患者の生存率が改善したとの新たなスタディの結果がミシガン大学の研究者らにより発表され、International Journal of Radiation Oncology*Biology*Physics 4月1日号に掲載された。放射線照射線量を治療経過とともに増加させることにより生存率も上昇した。このスタディでは、ステージIIIの非小細胞肺がんに対し治療を受けている患者237人を観察した。研究者らは、放射線療法単独、放射線療法後の化学療法、または放射線療法と同時の化学療法の生存率を比較した。患者のうち31人は治療経過とともに放射線照射線量を増加するスタディにも組み入れられた。その結果、放射線療法単独で治療された患者の全生存率が最も低く、診断後平均7.4ヵ月しか生存しなかった。化学療法を放射線療法終了後に追加することにより生存期間は14.9ヵ月に、化学療法を放射線療法と同時に施行することにより15.8ヵ月に延長した。5年後には化学療法同時併用群患者の19.4%が生存していたが、化学療法を放射線療法に引き続き行った群の患者においてはわずか7.5%しか生存していなかった。

新たな化合物は進行前立腺がんのアンドロゲン受容体機能を阻害する [2009-04-21]  
Novel compound inhibits androgen receptor function in advanced prostate cancer

ある治験薬は、従来の治療法が無効であった進行前立腺がん患者の前立腺特異抗原(PSA)レベルを低下させるとのスタディ結果がScience誌のオンライン版Science Expressに掲載された。研究者らは二つの新たな化合物RD162とMDV3100を調べたところ、これらはアンドロゲン受容体の去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)細胞核内への進入能力を障害することにより受容体機能を阻害し、標的遺伝子のDNAへの結合を遮断し、細胞の増殖を抑制することが明らかとなった。両化合物ともに培養細胞内でよく効き、マウスの腫瘍を縮小させ、縮小させた状態を数ヵ月維持し、後の他の遺伝子によるアンドロゲン受容体の活性化を阻害した。現在承認されている他の薬剤にはこのようなメカニズムでこの受容体の機能を阻害するものはない。このスタディではまた、30人の進行CRPC患者におけるMDV3100のphase 1/2トライアルの結果、30人中22人においてPSAレベルが低下し、30人中13人(43%)はPSAレベルが半分以上低下したことが示された。今年後半にphase 3トライアルが開始される予定である。

 


 

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