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大腸がん再発リスクに関連したリンパ節内マーカーの遺伝子的同定 [2009-02-24] |
Genetic identification of marker in lymph nodes associated with risk of colorectal cancer recurrence |
ある予備的な報告によると、従来の検査ではがんの拡がりが認められないとされたリンパ節内に存在する大腸がん再発のリスクを上昇させるマーカーを同定するのに遺伝子検査が役立つ可能性があることが示唆された、とJAMA 2月18日号に掲載された。論文の背景情報によると、研究の結果、消化管腫瘍抑制受容体グアニリルシクラーゼC(GUCY2C)が、リンパ節内の潜在性転移を示し再発の予測能の高い特異的な分子マーカーであることが示された。スタディにはpN0の大腸がんを有する257人の患者を組み入れ、彼らから2,570個のリンパ節を生検しGUCY2CメッセンジャーRNAの解析を行った。患者らは再発または死亡に関して平均24ヵ月間追跡された。GUCY2C定量PT-PCRにより潜在性転移の可能性が示されることはリスクの独立した予後マーカーであるようであった。分子学的ステージングの結果pN0大腸がん患者の約13%に腫瘍細胞がなく約87%はGUCY2Cを有し潜在性転移が示唆された。
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運動をする人は結腸がんのリスクが低い [2009-02-24]
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People who exercise lower their risk of colorectal cancer |
ある大がかりな新たなスタディの結果は運動により結腸がんのリスクが低下しうるとの説にかなり影響を与える、とBritish Journal of Cancer 2月10日号に掲載された。米国の研究者らは運動がいかに大腸がんのリスクに影響を与えるかについて、過去のスタディから数十年もの調査に値する価値のあるデータのメタ解析を行った。その結果、最も運動をする群の人々は最も運動をしない群の人々と比較し、大腸がんの発症リスクが24%低かった。運動は直腸がんのリスクには影響しないことが示されているため、結腸がんと直腸がんを合わせて解析したスタディは運動の効果を過小評価してしまうと考えられたため解析に入れなかった。彼らは1984年まで遡り52のスタディを解析した。そのためこの解析はこれまでで最も広範にわたる解析となった。運動の結腸がん予防効果は男女ともにみられ、運動はジョギング、自転車、水泳などのレクリエーション、または歩いたり物を持ち上げたり掘ったりするような仕事に関連した労作に関わらず認められた。
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妊娠は乳がんの重症度または生存率に影響しないが診断および治療を遅らせる可能性がある [2009-02-17]
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Pregnancy has no impact on breast cancer severity or survival, but can delay diagnosis and treatment |
妊娠中または妊娠直後に乳がんを発症した女性は乳がんを有する他の女性と比較し、乳がんの重症度や生存率は同等であるが、妊娠・授乳期乳がん(PABC)を発症した女性は後に進行してから診断される傾向にあり必要な治療が遅れる可能性が高い、とCancer 2009年3月15日号に掲載された。研究者らは35歳以下の乳がん患者652人の乳がん668のデータを解析した。そのうち104例(15.6%)は妊娠・授乳期に発症した:51例は妊娠中に発症し、53例は妊娠後1年以内に発症した。10年間の局所領域再発率、転移、または全生存期間はPABC患者と他の乳がん患者とで統計学的有意差はなかった。しかし、妊娠は乳がんの診断、評価および治療が遅れる一因となっていた。また、妊娠中の治療により生存率が改善することも示された;PABC患者においては治療を受けた患者の全生存率は78.7%であったのに対し治療を受けなかった患者のそれは44.7%であった。しかし研究者らは、これらの統計のサンプルサイズは小さいことに注意するよう述べている。
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性索間質性卵巣腫瘍患者において血管新生は予後を不良にさせる [2009-02-17] |
Angiogenesis linked to poor survival in patients with sex cord-stromal ovarian tumors |
血管新生および血管内皮増殖因子の発現増加は性索間質性卵巣腫瘍患者の生存率不良と関連がある、と第40回Society of Gynecologic Oncologists学会で発表された。研究者らは性索間質性卵巣腫瘍54検体(原発28例および再発26例)を観察した。検体は二つの一般的な血管新生の指標である血管内皮増殖因子(VEGF)蛋白および微小血管密度(MVD)の高さで評価した。観察した腫瘍のうちVEGF過剰発現が52%に、高MVDが32%に認められた。高MVDおよびVEGFが認められると生存期間が有意に短かった(高MVDで130ヵ月対415ヵ月、VEGF過剰発現で154ヵ月対394ヵ月)。研究者らは、高MVDは再発および腹部、肝臓、肺、骨など他部位への転移とも関連があると述べている。
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遺伝的変異は小児白血病の治療効果と関連する [2009-02-10]
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Genetic variations associated with treatment response for childhood leukemia |
ある遺伝子多型を有する急性リンパ性白血病(ALL)の子供は他の患者と比較し、抗がん治療に対する反応が異なる、とJAMA 1月28日号に掲載された。米国の研究者らは、新たにALLと診断され治療を受けた2グループ(小児計487人)の初回化学療法終了時に、一塩基多型(SNPs;遺伝子多型)と微小残存病変(MRD)との関連について検査した。その結果、両グループにおいてMRDに関連する102のSNPsがあることが明らかとなった。102のSNPsは、人種、性別、診断時白血球数、年齢、およびALLのサブタイプで補正した後にもMRDと有意な関連が認められた。102のSNPsのうち21は血液学的再発と有意に関連があった。102のSNPsのうち21はまた、抗白血病薬の薬物動態(一般的には薬物用量が大きいことによりMRDが根絶される)とも関連があった。また、その多く(102のSNPsのうち63[61.7%])が早期の反応、再発リスク、または抗白血病薬の薬物動態とも関連があった。筆者らは、将来的には患者の遺伝子多型を克服する最適化された薬物送達方法についてさらに注目することにより、現在注目されている腫瘍の遺伝子多型に加え、薬物遺伝学的多型が治療決定の因子として取り入れられるであろうと述べている。
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BRCA1およびBRCA2変異は高悪性度の侵襲的な前立腺がんのリスクを上昇させる [2009-02-10]
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BRCA1 and BRCA2 mutations increase risk for high-grade, aggressive prostate cancer |
前立腺がんを発症する男性は、いわゆる乳がん遺伝子変異を有すると進行がんのリスクが高くなると、Yeshiva大学Albert Einstein医学部の研究者らからClinical
Cancer Researchに報告された。前立腺がん男性979人と前立腺がんのない男性1,251人を対象としたこのスタディでは、彼らがBRCA1およびBRCA2のいずれかを有しているか否かを調査した。研究者らは3つの特異的な変異(BRCA1において2つおよびBRCA2において1つ)の有無を調べた。これらの3つの変異のいずれかを有していても前立腺がん発症のリスクは上昇しなかったが、前立腺がんを有する患者で2つの変異(BRCA1-185delAGおよび変異BRCA2遺伝子)を有する場合、腫瘍が進行性または高悪性度であるリスクが上昇した。特に、高悪性度の侵襲的な腫瘍(Gleasonスコア7以上)を有する男性はコントロール群と比較し、BRCA2遺伝子変異を有する確率が3.2倍高かった。BRCA1-185delAG変異も同様に、進行性のリスクを上昇させた。この結果は、前立腺がん患者と医師が治療方法を選択する際の助けになるだろう。
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対側乳がんのリスクファクターが同定されたことにより予防的乳房切除術が有益な患者を見極められる可能性がある [2009-02-03]
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Risk factors identified for contralateral breast cancer may indicate who would benefit from prophylactic mastectomy |
2009年3月1日号のCancer誌に掲載される新たなスタディにおいて、対側のがんのない乳房を予防的に切除することが最も有益な患者を見極めるのに役立つ患者および腫瘍の特徴が明らかにされる。対側乳がんを予測する因子を同定するために研究者らは片側乳がんに対し対側の予防的乳房切除術を受けた患者542症例を検討した。これらの患者のうち435人は対側の乳房に異常病変はなく、25人(5%)は対側に乳がんがあることが手術の際に判明し、82人(15%)は異型乳管過形成、異型小葉過形成または上皮内小葉がんを有していた。さらに解析した結果、Gailリスクが1.67%以上であること、組織学的浸潤性小葉がん、および原発側の多発性腫瘍は全て、対側乳がんの強力な予測因子であった。人種、エストロゲン受容体の有無およびプロゲステロン受容体の有無はリスクと関係がなかった。今回の結果は対側乳がんを発症しやすい患者を予測しリスクを層別化し、患者に治療選択肢を助言するのに役立つ可能性がある。
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20歳代および30歳代にセックスやマスターベーションを頻回に行うことにより前立腺がんのリスクが上昇する [2009-02-03]
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Frequent sex and masturbation in 20s and 30s linked to higher prostate cancer risk |
20歳代および30歳代に性的に非常に活発な男性は前立腺がんを発症する確率が高く、特にマスターベーションを頻回に行うとリスクが高いとBJU International誌1月号に掲載された。研究者らは60歳未満で前立腺がんと診断された男性431人およびコントロール409人の性行為について調査した。女性のパートナーが6人以上いたのはがん患者群で39%であったのに対し、コントロール群では31%であった。前立腺がん患者はがんを有さない者と比較し性行為感染症を経験した率が高かった。がん患者群の40%が20歳代におけるセックス(性交およびマスターベーション)頻度が最も高い(月20回以上)カテゴリーに分類され、一方コントロール群におけるその割合は32%であった。30歳代および40歳代の頻度に関しても同様のパターンが認められたが、50歳代になると差はなかった。前立腺がん患者はまた、マスターベーションをより頻回に行う傾向にあり、特にその差は20歳代(34%対24%)および30歳代(41%対31%)において大きかった。この差は40歳代では縮まり(34%対24%)50歳代ではがん患者群の方が頻度は低かった(25%対16%)。
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