EGF遺伝子の変異は胃食道逆流症患者(GERD)の食道がんリスクを上昇させる [2009-01-27]
Mutations in EGF gene associated with increased esophageal cancer risk in people with gastroesophageal reflux disease

胃食道逆流症(GERD)患者の食道がんリスクを上昇させるある特定の上皮成長因子遺伝子の変異が同定された、と第6回Gastrointestinal Cancer Symposium(消化管がんシンポジウム)で発表された。このスタディでは食道腺がんの治療を受けている患者309人および健康なコントロール275人のDNAサンプルを収集した。研究者らは対象者らのジェノタイプとGERD歴を解析した。その結果G/Gと呼ばれる変異EGF亜型を有しGERD症状を月一回以上有する人々はA/A(ノーマル、または野生株)亜型を有しGERDのない人々と比較し食道がんのリスクが10倍高かった。食道がんのリスクは変異を有しGERD症状の頻度の高いあるいは長期間(15年以上)罹患している人においてさらに高かった。A/Gと呼ばれる遺伝子亜型を有するGERD患者のリスクはその中間であった。この結果により食道がんの積極的なスクリーニングが有益な人々を見極めることができる可能性がある。

オクレオチドLARは中腸悪性神経内分泌腫瘍の成長を遅らせる [2009-01-27]  
Octreotide LAR slows tumor progression in patients with malignant neuroendocrine tumors of the midgut

ドイツ多施設研究グループは、オクレオチドLARが中腸悪性神経内分泌腫瘍の成長を遅らせることを明らかにしたと第6回Gastrointestinal Cancer Symposium(消化管がんシンポジウム)で発表した。今回のスタディはプラセボコントロール二重盲検無作為化トライアルであり、新たに診断された患者85人を組み入れた。約70%の患者が組み入れ前に原発腫瘍除去手術を受けた。他の患者はさらに進行しており手術不能であった。合計86%の患者が肝転移を有していた。治療を6ヵ月受けた後、オクレオチドLARを投与された患者の64%において疾患が安定していたのに対し、プラセボ投与群におけるその割合は37.2%であった。進行までの期間中央値はオクレオチドLAR群で14.3ヵ月であり、プラセボ群では6ヵ月であった(p=0.000037)。また、限局性腫瘍の患者は転移のある患者よりも治療がより有効であることも示された;今回のトライアルの対象患者の約30%が薬剤に反応しなかった。死亡数が少なかったため生存期間中央値は評価できなかった。

エストロゲンとプロゲスチンの併用ホルモン療法は大腸がんのリスクを低下させる可能性がある [2009-01-20]  
Combination hormone therapy of estrogen plus progestin may decrease colorectal cancer risk

乳がんのリスクを増加させる可能性があるとの報道を受けて女性らが続々と中止したエストロゲンとプロゲスチンの併用療法は大腸がんのリスクを低下させる可能性がある、とCancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention 1月号に掲載された。研究者らはBreast Cancer Detection Demonstration Project(乳がん検索デモンストレーションプロジェクト)フォローアップスタディに参加した閉経後女性56,733人のデータを抽出した。平均15年間の経過観察期間中にこれらの女性のうち960人に大腸がんの新規発症が認められた。使い方にかかわらずエストロゲン療法は大腸がんリスクを17%低下させ、エストロゲンおよびプロゲスチンを過去に5年以上完璧に内服した女性においてリスク低下は最大であった(約45%)。エストロゲン内服者において最もリスクが低下したのは現在内服中の者(25%のリスク低下)および10年以上継続している者(26%のリスク低下)であった。また、エストロゲンおよびプロゲスチンの併用療法を過去に受けたことのある女性においてはリスクが22%低いことも示された。さらに、プロゲスチンを継続して内服している者または内服が月15日未満の者においてリスクが36%低かった。

デジタルマンモグラフィはフィルム−スクリーンマンモグラフィよりも時間がかかる [2009-01-20]
Longer times needed to interpret digital mammograms than film-screen mammograms

デジタルマンモグラフィはフィルム−スクリーンマンモグラフィと比較し読影に時間がかかる、とのスタディ結果がAmerican Journal of Roentgenology 1月号に掲載された。このスタディでは放射線科医4人がデジタルスクリーニングマンモグラフィ268件およびフィルム−スクリーンマンモグラフィ189件を読影した。デジタルスクリーニングマンモグラフィはフィルムスクリーニングマンモグラフィと比較し読影するのに2倍近く時間がかかった(デジタルスクリーニングマンモグラフィの平均240秒に対しフィルムスクリーニングマンモグラフィでは平均127秒)。このスタディでは所要時間の差に影響する可能性のある因子(読影した放射線科医の同定確認、比較できるスタディが過去にあったかどうか、放射線科医が他のフィルムを探して中断したか、いくつの画像が得られたか、およびスタディがノーマルであったかなかったか)を確認した。これらの状況の各々においてデジタル画像はフィルムスクリーン画像と比較し解析に長い時間を要した。デジタルマンモグラフィはフィルム−スクリーニングマンモグラフィと比較し診断の精度については改善したが、筆者らは、デジタル機器の企業が機器および読み込み技術を改善しデジタルマンモグラフィの速度をフィルム−スクリーンマンモグラフィの速度に近付けることが有益なことであろうと述べている。

化学療法の用量を体重に合わせることにより卵巣がんの生存率に対する肥満の影響が軽減する [2009-01-13]  
Chemotherapy dosing matched to body weight diminishes obesity's impact on ovarian cancer survival

卵巣がんの生存率は、化学療法の用量を個々の体重に厳密に合わせた場合、肥満者と非肥満者とで同等であるとのスタディ結果が、Gynecologic Oncologyオンライン版に掲載された。この結果は、肥満の卵巣がん患者の生存率が非肥満者のそれと比較し低いとの過去の研究結果を覆した。このスタディでは抗がん剤の用量を異なる用量スタンダードではなく実際の体重から計算して決定したところそのような生存率の不一致が消失した。研究者らは上皮性卵巣がんと診断された患者304人の医療記録をレビューした。患者のがんのステージおよびグレードは同等であり、全員が手術後に化学療法を受けた。解析の結果、化学療法の用量を決定するのに体重を使用した場合の全生存期間は、非肥満者で40ヵ月、肥満者で47ヵ月であり有意差はなかった。卵巣がんの再発に関しても肥満者と非肥満者とで同様の結果が認められた。筆者らは、この原則に従い肥満を卵巣がんの不良因子から外すことは可能であるが、肥満は依然として出血量の増加や創傷治癒遅延などのがん手術に伴う合併症のリスク上昇につながることは認めている。

アンドロゲン除去療法に反応しなくなった前立腺がん患者において異型RNA配列の過剰発現が発見された [2009-01-13]  
Overproduction of variant RNA sequences found in prostate cancer patients who no longer respond to hormone deprivation therapy

アンドロゲン除去療法に反応しなくなった患者の前立腺がん細胞上のホルモン受容体に決定的な違いがあることを発見した、との報告がCancer Research 1月1日号に掲載された。大規模なデータベースを用いて研究者らは、前立腺細胞がアンドロゲン受容体を作り出すのに使用する核酸RNAの異型を調査し、既知の「ノーマル」なアンドロゲン受容体と異なる7つのRNA配列を発見した。彼らは、アンドロゲン除去療法が無効となってしまった患者124人から得た前立腺がん細胞においてこれらの異型が過剰発現していることを明らかにした。一つの異型であるAR-V7もまた、ホルモン療法を受けた経験はないが腫瘍除去手術後にがんが急速に再成長する患者において多く認められた。AR-V7から作られるアンドロゲン受容体が他とどのように異なるかを調査するために、研究者らは研究室で育てた前立腺がん細胞にAR-V7配列のみを発現させた。他のアンドロゲン受容体を有する細胞と異なりAR-V7受容体のみを有する細胞はあたかも持続的にアンドロゲンを投与されているかのように働いた。つまり、アンドロゲンの存在なしにアンドロゲンにより活性化する少なくとも20の遺伝子を活性化した。この結果により、前立腺がんを克服するための新たな標的のみならず疾患の進行をたどる方法も導かれる可能性がある。

2008年のがんの予防、スクリーニング、治療および生存率で大きな進歩のあった重要な臨床研究についてのASCOによる上位リスト [2009-01-06]  
Major advances in cancer prevention, screening, treatment and survivorship top ASCO's 2008 list of most significant clinical cancer research

American Society of Clinical Oncology(ASCO)は2008年の最も重要ながん臨床研究に関して独立した評価を行い、Journal of Clinical Oncology 12月22日号オンライン版に掲載した。この報告では、この1年のがんの予防、スクリーニング、治療および生存率に関して6つの重要な領域(難治性がん、新薬承認、再発率低下、オーダーメイド医療、リスク軽減、および治療機会の改善)における12の大きな進歩を決定している。いくつかの例を挙げると:あるスタディはセツキシマブによる分子標的治療により非小細胞肺がん患者の生存率が改善することを示した;他のスタディではゲムシタビンが早期膵がん患者の術後生存率を改善することが示された。早期乳がんに関しては、タモキシフェン治療を5年間施行した後にホルモン療法を数年間追加する(アロマターゼ阻害薬またはタモキシフェンと併用)ことにより、ゾレドロン酸を使用したのと同様に再発のリスクが有意に低下したことがいくつかのスタディで示された。メラノーマに関しては、大規模無作為化スタディの結果、ペグインターフェロンにより転移を有する患者の再発を防止することが明らかになった。KRAS遺伝子が野生型の腫瘍を有する大腸がん患者のみが、標準的な化学療法にセツキシマブを追加することにより有益性が得られるとの分子標的治療における重要な進歩が報告された。

大腸内視鏡検査は左側結腸がんの死亡を有意に減少させるが右側に関しては有意に減少させない [2009-01-06]  
Colonoscopy significantly reduces death from left-sided colon cancer but not from right-sided colon cancer

大腸内視鏡検査を行うことにより大腸がん死が少なくなるが、このリスク軽減はほとんどが左側大腸がんによる死亡の減少による、とAnnals of Internal Medicine 2009年1月6日号オンライン版に掲載された。研究者らは1996〜2001年に大腸がんと診断され2003年までに大腸がんで死亡した52〜90歳の患者の医療記録をレビューした。これらの患者を、大腸がん以外で死亡したカナダOntarioの人口集団から抽出されたコントロール群と比較した。完全な大腸内視鏡検査と左側大腸がん死の減少は強力に相関した。逆に、右側大腸がんに関しては大腸内視鏡検査は死亡率低下効果がほぼ無いに等しいようであることがデータから示された。研究者らは、右側大腸がんの死亡防止効果に対する有効性が低いことの理由をいくつか示唆している。第一に、「完全」に行ったと思われた大腸内視鏡検査でも右側結腸全体を診ていない可能性がある。次に、右側結腸では前処置がうまくできていない可能性がある。三番目に右側の腫瘍は無茎の可能性が少なくなくしばしば平坦でありそのため発見と除去が困難であるか、または成長が速い可能性がある。

 
 


 

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