医師と薬剤師の協力で患者が確実に内服することにより心不全による入院を減らすことができる [2009-08-25]

Heart failure hospitalizations decrease when doctors and pharmacists collaborate to ensure patients take their medicines
心不全患者の適切な内服を確実にさせるために、医師−薬剤師協力モデルを用いることにより心不全による入院を減らすことができるとオーストラリアの研究者らがCirculation: Heart Failureにおいて報告した。研究者らは、医師−薬剤師が協同で内服薬の再検討を行った65歳以上の心不全患者273人を追跡し、内服薬の再検討をされていないコントロール患者5,444人と比較した。テスト群患者はコントロール群と比較しやや重症であり、合併症が多かった(合併症8個に対しコントロール群7個)。コントロール群と比較し、内服薬の再検討を施行された患者群では処方数が多く、家庭での再検討に先立ちより多くの内服薬の変更があり、より多くの介護者による処方があり、入院も多かった。再検討群の一部の患者は初年度に入院が45%減少した。可能性のある広範な交絡因子で補正した結果、研究者らは、協同で再検討をされた患者のうち1年以内に入院したのはわずか5.5%であったのに対し、コントロール群は12%であったことを明らかにした。筆者らは、協同で内服薬の再検討を施行された患者はコントロール群患者よりもより重症であるため、この著明な入院率の差は過小評価されていると述べている。

心停止後の蘇生には呼吸補助よりも受動的酸素フローの方がよい [2009-08-25]

Passive oxygen flow better than assisted ventilation for resuscitation following cardiac arrest
新たなスタディの結果、心停止時の蘇生に対し従来施行されてきた呼吸補助は生存率を低下させる可能性があることから蘇生のプロトコール改定が推奨される、とAnnals of Emergency Medicineオンライン版に掲載された。救助者らは、空気を患者肺に強制的に流入させるバッグ−バルブ−マスク換気または、飛行機内の気圧が低下した際に使用するのと同方式の持続的酸素フローを伴うフェイスマスクのいずれかを用いた。解析に用いられた院外成人患者1,019人中459人が受動的換気を、560人がバッグ−バルブ−マスク換気を施行された。電気ショック施行可能な調律の目撃者を伴う心停止後で神経学的に正常な患者は、バッグ−バルブ−マスク換気を施行された患者(25.8%)よりも受動的酸素フロー法を施行された患者(38.2%)の方が多かった。このスタディにより、院外心停止には、換気よりも質の高い中断のない心臓マッサージにより血液を循環させる方が重要であることがさらに強調された、と筆者らは述べている。彼らは、EMSの人々に院外発症の心停止の治療には調整プロトコールを用いることによりもはや挿管は行わないことを提案している。そのかわりに、フェイスマスクによる持続的低圧酸素フローを適用する。

過去に動脈硬化性病変を有していた心疾患患者は死亡率が高く推奨された治療を受けていない率が高い [2009-08-11]

Heart disease patients with previous atherosclerosis more likely to die, less likely to get recommended treatments
過去に動脈硬化性病変を有していた心疾患患者は院内死亡率が高く推奨された治療を受けていない率が高いとCirculation 8月3日号に掲載された。American Heart AssociationのGet With The Guidelines(冠動脈疾患データベース)のデータを用いた結果、患者全体の院内死亡率は5.3%であるが、過去に冠動脈閉塞を有していた患者は過去に冠動脈疾患を有さなかった者と比較し、入院中の死亡率が高かったことが明らかになった。彼らはまた、新規病変の再灌流のための手術を施行されない傾向にあり、入院期間が長く、スタチンを内服している率が高く、禁煙指導率やアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬内服率が低かった。全ての患者が同様に入院後24時間以内にアスピリンを内服し、退院時にはβ遮断薬を処方されていた。他の治療の使用は過去の閉塞病変領域数と逆相関の関係にあった。例えば、過去に閉塞病変のなかった患者は禁煙指導を90%、1領域の患者は88%、2領域の患者は85%、3領域の患者は79%受けていた。

冠動脈カルウムスコアとSPECT心筋灌流画像を組み合わせることにより将来の心イベントが予測できる [2009-08-11]

Using coronary calcium scoring plus SPECT myocardial perfusion imaging predicts future cardiac events
冠動脈カルシウムスコアを用いることにより既知の安定冠動脈疾患(CAD)患者の将来の重篤な心イベントが予測できるとRadiologyオンライン版に掲載された。このスタディでは、CAD患者260人にSPECT心筋灌流画像に加え冠動脈カルシウムスコア化を行った。期間中央値5.4年間の心臓死または非致死性心筋梗塞(MI)を追跡した。260人中23人に致死性または重篤なMIが発症し、さらに40人が冠動脈バイパス術を施行された。その結果、初回のカルシウムスコアが400を超えた者は重篤な心イベントのリスクが有意に高かった。これらの結果から、カルシウムスコア化はSPECTの結果に加え予後予測能を有し、これらの検査を組み合わせることにより、重篤な、または致死性のMIの最も高い既知のCAD患者を見極めることができることが示された。筆者らは、これらの患者の重篤な心イベント予防には、強化薬物療法、短い間隔での観察、および場合によりバイパス術が必要であると述べている。

除細動が遅延する理由は従来の病院の因子では説明できない [2009-08-04]

Delays in defibrillation not explained by traditional hospital factors
症例数、学術的地位および病院全体の死亡率などの従来の病院の因子は、院内発症の心停止患者が除細動を受けるのが遅れるか否かの予測因子にはならないようであるとArchives of Internal Medicine 7月27日号に掲載された。研究者らは、米国心肺蘇生レジストリ(National Registry of Cardiopulmonary Resuscitation:NRCPR)に参加した200の病院における心停止を来した成人患者7,479人(平均年齢67歳)の記録を解析した。標準的な2分間よりも長いことで定義した除細動の遅延は2.4%から50.9%と、病院ごとに相当差があった。除細動の遅延が最も少ない4分の1に該当する病院において遅延の最も多い4分の1に該当する病院と比較し、生存率のオッズ比は41%高かった。除細動の遅延に影響する因子はベッド数および心停止の発生した場所(たとえば集中治療室内または外など)のみであった。地理上の立地、入院患者1,000人当りの心停止件数、自動体外式除細動器プログラムの有無、またはその他の病院に関連した因子と除細動遅延との関連は認められなかった。

学校および公共の場で自動体外式除細動器を効果的に配置することにより生命を救うことができる [2009-08-04]

Strategic placement of automated external defibrillators in schools and public places can save lives
自動体外式除細動器(AED)を適切に配置することがAEDを公共の場で最大限に利用するために重要であるとCirculationに2本の研究が掲載された。1つ目のスタディにおいて、学校のAEDプログラムでは生徒や校内の人々の生存率が高いことが示された。AEDプログラムを有する米国の高校1,710校のうち83%において、突然の心停止に対する救急措置プランが確立されている。これらの学校で発生した突然の心停止36件中94%がバイスタンダーCPRを受け、83%がAEDショックを施行され、64%(学生アスリート14人中9人および学生以外22人中14人)が生存して退院した。デンマークのスタディでは、市営施設の104のAEDを地図上にデジタル方式でマークし、配置について解析し、都市の公共の場においてAEDが効果的に配置されているかを評価した。解析の結果、市内の10%のAEDの担保領域を注意深く選択することにより公共の場で発生する心停止の67%を許容範囲内の経費でカバーできるであろうことが示された。心停止発生率が最も高いのは、電車の駅やショッピングセンター、バス停やスポーツセンターなどの人口密集地であった。
 
 

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