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健康な生活習慣を厳守することにより生涯の心不全リスクが低下する [2009-07-28]
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Adhering
to healthy lifestyle habits associated with reduced lifetime risk of heart failure |
定期的に運動し、適度の飲酒と喫煙はせず、過剰体重でなくシリアルやフルーツや野菜を含む食事をする男性は生涯の心不全のリスクが低いとJAMA
7月22/29日号に掲載された。このスタディではPhysicians'Health Study Iの対象となった、ベースライン時に健康と思われた20,900人の男性のデータを解析した。6つのコントロール可能な生活習慣因子:体重、喫煙、運動、飲酒量、朝食時のシリアル摂取およびフルーツや野菜の摂取、について評価した。不健康な生活習慣を続けている人々と比較し、4つ以上の因子を厳守している人々は高齢であり高血圧や糖尿病の有病率が低かった。正常体重、喫煙未経験、定期的な運動、適度の飲酒、および朝食時のシリアルやフルーツおよび野菜の摂取により、好ましくない生活習慣を続けるのと比較し、生涯における心不全リスクが低かった。健康的な生活習慣因子の数と心不全のリスクは逆相関関係にあった(好ましくない生活習慣を続けている男性の生涯のリスクは21.1%であるのに対し4つ以上の健康な生活習慣因子を厳守している人におけるそれは10.1%であった)。 |
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治療抵抗性高血圧は厳格な塩分制限食が実質的に有益である可能性がある [2009-07-28]
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Patients
with resistant hypertension benefit substantially from intensive dietary salt
restriction |
高塩分食は治療抵抗性高血圧患者において降圧剤の有効性を低下させる可能性があるとのスタディ結果がHypertension誌に報告された。このスタディは、減塩食と高塩分食を比較した無作為化クロスオーバー試験における治療抵抗性患者12人(平均年齢55歳)を対象とした。対象者らは、利尿剤を含む平均3剤以上の降圧剤を内服し、スタディ開始時の診察室での平均血圧は145/83.9mmHgであった。高塩分食を摂取していた時と比較し、減塩食を1週間摂取した後に収縮期血圧および拡張期血圧はそれぞれ22.7mmHgおよび9.1mmHg低下した。減塩食により、診察室での、日中および夜間の、そして24時間の収縮期および拡張期血圧は高塩分食摂取時と比較し低下し、これは24時間血圧測定で24時間持続していた。減塩食摂取時の平均24時間尿中ナトリウム排泄量は46mmolであったのに対し、高塩分摂取時のそれは252mmolであった。血漿レニン活性は減塩食開始後上昇したが、脳性ナトリウム利尿ペプチドは有意に低下した。体重およびクレアチニンクリアランスは減塩食摂取により高塩分食摂取時と比較し有意に低下した。 |
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冠動脈石灰化スクリーニングの放射線線量とがんのリスクがスタディにより推測される [2009-07-21]
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Study
estimates radiation dose and cancer risk from coronary artery calcium screening |
放射線照射リスクのコンピュータモデルから、コンピュータ断層撮影を用いた動脈のカルシウム沈着の広範なスクリーニングにより放射線誘発性がんが増加する可能性が示唆されたとArchives
of Internal Medicine 7月13日号に掲載された。研究者らは冠動脈石灰化のCTスクリーニングを施行された成人患者の放射線照射量を文献から得られる範囲内で推測した。日本の原爆被害を受けた生存者および医療で被爆を受けた患者のデータを用いたリスクモデルを用いて、生涯にわたる放射線誘発がんの過剰リスクを推測した。スキャナーモデルおよび技術の違いにより、一回の撮影ごとの被爆量は10倍以上異なった。計測可能な放射線用量を被曝する臓器または組織は、乳房、肺、甲状腺、食道、骨表面および副腎であった。用量の幅が広かったために予測される放射線誘発性がんのリスクの幅も広かった。45〜75歳の男性および55〜75歳の女性をスクリーニングし、用量中央値2.3ミリシーベルトを用いた場合の生涯のがん過剰リスクは男性100,000人に対し42人(14〜200例)および女性100,000人に対し62人(21〜300例)であった。 |
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徒歩または自転車に乗って通勤する人においては心血管リスクファクターが少ない [2009-07-21]
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Fewer
cardiovascular risk factors found among those who walk or ride a bike to work |
徒歩または自転車に乗って通勤する男女はより健康であり、男性においては過剰体重や肥満の率が低く中性脂肪レベル、血圧、インスリンレベルが健常であるとArchives
of Internal Medicine 7月13日号に掲載さ れた。研究者らは、若年者における冠動脈リスク発現(Coronary Artery Risk
Development in Young Adults :CARDIA)スタディにおいて自宅外で働く成人2,364人を調査した。参加者らは通勤の長さを、車、公共交通機関、徒歩または自転車の占めるパーセンテージの詳細を含め、時間(分)および距離(マイル)で報告した。参加者らの身長、体重および、血圧やトレッドミル検査で評価したフィットネスレベルなどの他の健康に関する因子のデータも収集した。参加者らのうち計16.7%が体を使う何らかの方法で職場へ通勤していた。体を使う通勤は男女においてフィットネスレベルと正相関し、男性においてbody
mass index、肥満、中性脂肪レベル、血圧およびインスリンレベルと逆相関していた。今回の結果は、徒歩または自転車通勤は有益であるとの既存のエビデンスに追加されるものである。体を使う通勤による他の考えられる有益性を明らかにするさらなる研究が必要である。 |
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心電図から得られるバイオマーカーは閉塞性睡眠時無呼吸患者の高血圧や脳卒中と関連がある [2009-07-14]
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An
ECG-derived biomarker is associated with prevalent hypertension and stroke in
patients with obstructive sleep apnea |
Sleep誌7月号に掲載されたスタディの結果、ナローバンド上昇低頻度カップリング(narrow-band
elevated low frequency coupling :e-LFCNB)と称される、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)患者の高血圧、脳卒中、重症の睡眠障害呼吸および睡眠分断と関連のある心電図から得られる分光フェノタイプが発見された。横断的レトロスペクティブスタディにより、Sleep
Heart Health Studyのベースライン検査の対象となった患者5,247人の睡眠検査および臨床上のデータが得られた。e-LFCNBを有する者と有さない者との脳卒中のオッズ比は1.65であった。このバイオマーカーは対象者のうち1,233人(23.5%)に検出され、これを有する者と有さない者とでは統計学的な有意差が認められた。このバイオマーカーを有する患者は高齢(平均64.7歳対61.4歳)で、男性(63.3%対45.1%)であり、やや体重が多く(平均のボディマスインデックスが29.3対28.6)、眠気が強い(Epworth眠気スコアの結果による)傾向にあった。睡眠時無呼吸の重症度および利尿剤、カルシウム拮抗薬、およびβ遮断薬の使用はe-LFCNB増加と関連があった。年齢、性別、ボディマスインデックス、高血圧および糖尿病で補正した結果、e-LFCNBのカテゴリカル計測値および連続的計測値と関連があったのは脳卒中のみであったが、高血圧は連続的計測値としての心電図バイオマーカーとのみ関連があった。 |
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歯周炎との関連により炎症が動脈硬化性心血管疾患の原因となるとのエビデンスが強化される [2009-07-14]
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Link
to periodontitis strengthen evidence that inflammation contributes atherosclerotic
cardiovascular disease |
さらなる研究が必要であるが、中等度から重度の歯周炎患者は診察を受け動脈硬化性心血管疾患(CVD)のリスクを軽減する可能性のある治療を受けるべきであるとThe
American Journal of CardiologyおよびJournal of Peridontologyの編集者がAmerican Journal
of Cardiology 2009年7月1日号に特別な総意論文を掲載した。歯周炎と動脈硬化性CVDとの関連の説明はまだ明らかではないが、主な原因として考えられるのは免疫系により引き起こされる炎症である。他の説明は、喫煙、糖尿病、遺伝子、精神的不安、うつ、肥満、および運動不足などの一般的なリスクファクターである。原因にかかわらず専門調査委員会は、現在のエビデンスは医師らに歯周炎患者の動脈硬化性CVDを評価するよう推奨するには十分であると考えている。研究の結果、中等度から重度の歯周炎患者は歯周炎に関連した動脈硬化性CVDのリスクが高く、動脈硬化性CVDの主要なリスクファクターを1個以上有する患者は過去12ヵ月以内に医学的な評価がなされていなければ評価を受けることを考慮するよう推奨している。 |
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白衣高血圧および仮面高血圧は10年後には持続性高血圧につながる [2009-07-07]
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White-coat
and masked hypertension are linked to sustained high blood pressure 10 years later |
散発性の高血圧とされる白衣高血圧および仮面高血圧患者は10年後に持続性高血圧を有するリスクが有意に高いとのスタディ結果がHypertensionに掲載された。研究者らは、大規模なPressioni
Arteriose Monitorate e Loro Associazioni (PAMELA)スタディの対象となった25〜74歳の1,412人を追跡調査した。PAMELAは診察室での血圧を、20分毎に24時間計測する自動血圧モニターおよび患者が家庭で散発的に計測する携帯モニターの二つの診察室外血圧と比較した始めてのスタディである。10年間の追跡調査の後、もとは白衣高血圧であった者の42.6%また仮面高血圧であった者の47.1%が持続性の高血圧を発症したのに対し、スタディ開始時に正常血圧であった者におけるその割合は18.2%であった。年齢および性別で補正後の持続性高血圧発症リスクは、白衣高血圧患者で2.51倍高く仮面高血圧患者で1.78倍高かった。このスタディは、白衣高血圧および仮面高血圧が持続性高血圧を発症する長期リスクが高いことを初めて示したものであり、家庭での血圧モニターの重要性を示している。 |
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遺伝子スタディの結果、C反応性蛋白の冠動脈疾患に対する因果関係は支持されなかった [2009-07-07]
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Findings
of genetics study does not support causal association of C-reactive protein with
coronary heart disease |
炎症バイオマーカーC反応性蛋白(CRP)と冠動脈疾患(CHD)の遺伝子亜型の関連を解析した結果、因果関係が認められなかったとJAMA
7月1日号に掲載された。まず全ゲノム関連解析(17,967人)およびレプリケーションスタディ(13,615人)を施行し、血漿CRP濃度と関連した遺伝子座を同定した。その後、CRP遺伝子座内の最も密接に関連した一塩基多型(SNP)のメンデリアン無作為化スタディを行い、28,112症例と100,823人のコントロールを対象としてCRP亜型と冠動脈疾患との関連を調査し、他のCRP亜型のデータを発表した。これらの結果を、CRPレベルと冠動脈疾患のリスクに関する観察スタディのメタ解析から予測した結果と比較した。このスタディの結果、SNP
rs7553007のマイナーアレルとCHDリスクを有するCRP遺伝子座の他の亜型との間に関連が認められず、CRPの動脈硬化の原因としての役割に反する結論が出された。さらに、このスタディの結果、血漿CRPレベルを特異的に低下させる治療は有益ではないことが示唆された。 |
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