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川崎病の小児に対しバイパス手術は長期の有益性をもたらす [2009-06-30] |
Bypass surgery has long-term benefits for children with Kawasaki disease |
川崎病により心臓や血管に損傷を負った小児に対し冠動脈バイパス術は長期の有益性をもたらすと日本の研究者らがAmerican Heart Association学会誌Circulationに報告した。研究者らは、小児期または青年期(1〜19歳)に川崎病に対しバイパス術を施行された患者114人を25年間追跡した。術後25年間の生存率は95%であり、心イベントフリー率は60%であった。25年間生存した患者109人のうち77%は薬物療法を継続していたが、最終評価時に全員が無症状であった。20年間のフォローアップにおいて開存し狭窄がなかったのは、内胸動脈(ITA)バイパスグラフトの87%であったのに対し伏在静脈グラフトでは約40%であった。筆者らによれば、ITAグラフトには多くの有益性がある:川崎病はITAに病変が及ぶことはまれであり、柔軟で径や長さが成長に合わせて変化する。またITAは川崎病を引き起こす動脈壁の変性を防御する可能性のある活性化自然物質を分泌する。術後の問題は経過とともに増加したが、これらは適切なフォローアップ治療により管理された。若年患者のほとんどはスポーツへの参加を含め、普通の生活が可能であった。 |
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乾癬は心血管疾患と関連があり死亡率を増加させる [2009-06-30] |
Psoriasis associated with cardiovascular disease and increased mortality |
皮膚疾患の乾癬は動脈硬化と関連があり、虚血性心疾患、脳血管障害、末梢動脈疾患の有病率および死亡を増加させる特徴があるとArchives of Dermatology 6月号に掲載された。研究者らは、同じ米国Veterans Administration facilityに登録された乾癬患者3,236人および乾癬を有さない患者2,500人の電子記録を解析した。乾癬群患者は乾癬を有さないコントロール群と比較し若干高齢であり(平均年齢67.9歳対65.1歳)男性の割合が多かった(95.5%対88.2%)。年齢、性別、高血圧歴、糖尿病、脂質異常症および喫煙歴で補正した結果、乾癬患者はコントロールと比較し動脈硬化、虚血性心疾患、脳血管障害、または末梢動脈疾患と診断される確率が高かった。乾癬患者は乾癬のない患者と比較し死亡率が高かった(19.6%対9.9%)ことから筆者らは、乾癬は死亡の独立した危険因子であると結論付けた。 |
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BARI 2D:安定狭心症を有する2型糖尿病患者に対する即時のバイパス手術または血管形成術は死亡率を低下させない [2009-06-23] |
BARI 2D: Prompt bypass surgery or angioplasty does not lower mortality risk compared to drug therapy in people with Type 2 diabetes and stable heart disease |
長年待たれていた、糖尿病患者におけるバイパス血管形成血行再建術に関する調査(Bypass Angioplasty Revascularization Investigation in Type 2 Diabetes :BARI 2D)のスタディの結果、安定した心疾患を有する糖尿病患者に即時のバイパス手術または血管形成術を施行しても、薬物治療を施行された患者と比較し死亡率は変わらないことが報告された。このランドマークスタディでは、安定した冠動脈疾患を有する糖尿病患者2,368人に対する糖尿病コントロールおよび心血管治療による死亡または死亡と心血管イベント(心筋梗塞および脳卒中)の合計の減少を評価した。平均追跡期間5年後の死亡率および心血管イベントは、薬物療法単独と比較し、早期のいずれの冠動脈血行再建術(バイパス手術または血管形成術)施行群でも差がなかった。しかし、より重症の心疾患患者に対する即時のバイパス術は死亡率を低下させなかったものの、その後の主要心イベントリスクを低下させた。他の主要な懸案事項は、血糖降下療法が予後に影響するか否かであった:インスリン分泌促進薬とインスリン感受性増強薬とでは死亡リスクに差はなかった。これらの結果は第69回American Diabetes Association学会で発表され、同時にNew England Journal of Medicineに掲載された。 |
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ACCORD:2型糖尿病患者においてA1cが7%未満であることは死亡リスクの予測因子とはならない [2009-06-23] |
ACCORD: A1C less than 7% is not a predictor of mortality risk in patients with Type 2 Diabetes |
糖尿病患者の心血管リスクコントロール(Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes [ACCORD])スタディの強化コントロール群で認められた死亡増加の原因は血糖値低下によるものではない、と第69回American Diabetes Association学会で発表された。オリジナルのACCORDの報告では、A1cレベルを6%未満にコントロールすることを目的とした強化治療群において、死亡リスクが高いことが示された。ACCORDでは米国およびカナダの77のクリニックで10,251人の成人患者を組み入れた。標準治療群および強化治療群を合わせて451人が死亡し、そのうち7%は医療を必要とする重度の低血糖発作を来した。2型糖尿病患者においてA1cが7%未満であることは死亡リスクの予測因子ではなかった(A1cが6%を超えると1%上昇するごとに死亡リスクは20%上昇した)。死亡した451人のうち、重度の低血糖が確実に死亡の原因となったと考えられたのは1件のみであった。しかし、死亡時または死亡直前に血糖測定はできていないため、完全に確信はできない。トライアル期間中の持続的な血糖モニタリングはほとんどなされていなかった。 |
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