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精神的症状および性格特性は脳卒中後のQOLに影響する [2008-12-22]
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Psychological symptoms and personality characteristics affect quality of life following stroke |
不安、抑うつおよび倦怠感は、くも膜下出血後患者の長期QOLを低下させる可能性があるとAmerican Heart Association学会誌Strokeに掲載された。このスタディではオランダのUtrechtにある大学病院を退院後その地域に2〜4年住んでいる患者141人(平均年齢51歳、女性66%)を評価した。最もスコアが良いのが身体領域であり、最も悪いのが感情および社会領域であった(32%が不安、23%がうつ症状、67%が倦怠感を訴えた)。さらに、受動的な対処方法をとりうつ症状のある者はより多くの神経精神学的問題および認知機能低下を訴えた。精神的症状および性格特性はStroke
Specific Quality of Life scale(脳卒中特異的生活のQOL尺度)の合計QOLスコアに強く相関があった。これらの特徴はリハビリテーションの計画やQOL改善のための介入の達成に重要である、と研究者らは述べている。
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炭水化物除去食は思考能力に悪影響を及ぼす [2008-12-22]
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Eliminating carbohydrates from diet has negative impact on cognitive abilities |
炭水化物除去食は炭水化物を維持した低カロリー食と比較し記憶に基づく課題の遂行能力が低下した、とのTufts大学の精神科からの報告がAppetite誌2009年2月号に掲載される。炭水化物摂取を再開すると、思考力は回復した。このスタディの参加者は22〜55歳の女性19歳で、低炭水化物ダイエットまたはAmerican
Dietetic Associationの勧める主要栄養素バランスダイエットのいずれかを選ぶことができた。9人の女性は低炭水化物ダイエットを、10人は低カロリーダイエットを選択した。低炭水化物ダイエットを行った者は低カロリーダイエットを行った者と比較し、記憶に関連した課題遂行能が徐々に低下した。反応時間は低炭水化物ダイエットを行う者において遅く、視空間記憶は低カロリーダイエット施行者よりも悪かった。しかし、注意力テストは低炭水化物ダイエット施行者の方が成績が良好であった。研究者らは、過去のスタデイでは高蛋白質または高脂質ダイエットは短期的には注意力を改善したことが示されており、今回のスタディと同じ結果が得られている、と述べている。
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青年期に自己埋め込み(embedding)障害として顕性化した自殺関連行動は放射線科医により診断治療される [2008-12-16]
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Suicide related behavior manifested as self-embedding disorder in adolescents is diagnosed and treated by radiologists |
青年期に新たに出現した異なった型の自傷行為が、放射線科医のチームによりRadiological Society of North America (RSNA)学会で初めて述べられた。自己埋め込み(embedding)障害と名づけられたこの疾患の患者は、異物を軟部組織に埋め込む。研究者らは15〜18歳(17歳が圧倒的に多い)の少女10人における19のエピソードを調査した。90%の少女は自殺念慮を訴え、70%は埋め込み行動を繰り返し回数とともに埋め込む物はより大きく多くなった。有意な慢性的虐待(身体的および性的虐待)後の外傷後ストレス障害がこれらのティーンエイジャーの一般的な特徴であった。小児インターベンション放射線科医が超音波およびまたは透視下でこれらの患者に埋め込まれた52の異物を取り除いた。この埋め込まれた異物は金属針、ステープラーの針、紙クリップ、ガラス、木片、プラスチック、鉛筆の芯、クレヨンおよび石などであった。埋め込むものは長さが2〜160mm、幅は0.5〜3.0mmであった。埋め込む場所は首、腕、手、足首および足であった。除去作業はほとんど瘢痕を残さない小さな皮膚切開にて行われ、全ての症例において破砕や合併症を伴うことなく成功した。
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機能的MRI画像によりストレス関連障害が前頭前野の記憶過程に影響することが示される [2008-12-16]
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Functional MRI images show that stress-related disorders affect processing of memory in prefrontal lobe |
機能的MRI(fMRI)を用いている研究者らは、ストレス関連記憶障害の患者における認知機能低下による記憶抑制のメカニズムは主に前頭前野の変化が原因である、とRadiological
Society of North America (RSNA)学会で述べた。研究者らは脳のfMRIを用いて前頭前野と海馬を連結する神経回路の変化を調べ、スタディの対象者は記憶力テストを受けた。対象者は大うつ病11人、全般性不安障害13人、パニック発作9人、境界性パーソナリティ障害5人、および健常者21人であった。全ての参加者は人生のいずれかの時期に様々な程度のストレス性の心的外傷イベントを経験していた。fMRI画像により、海馬で形成される記憶の抑制及び回復をコントロールする前頭前野がストレス関連障害患者においては健常者と比較し異常活性を示すことが明らかになった。検査では、記憶抑制段階でストレス関連障害患者において海馬の活性の増加が認められ、前頭前野の不十分な活性化が、海馬に記憶された忘れたい心的外傷の不十分な抑制の原因でありうることが示唆された。
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うつ症状と腹部脂肪増加は関連がある [2008-12-09]
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Symptoms of depression associated with increase in abdominal fat |
うつ病を有する高齢者は、5年間にわたり、全身の脂肪ではなく腹部脂肪が増加する傾向にある、とArchives of General Psychiatry
12月号に掲載された。オランダの研究者らは70〜79歳の高齢者2,088人を調査した。参加者らはスタディ開始時にうつ病のスクリーニングを受け、全身および腹部の肥満状態を記録され、5年後再び記録された。全身の肥満に関してはbody
mass indexおよび体脂肪率を、腹部肥満に関してはウエスト周囲径、臍位腹部厚径およびコンピュータ断層撮影で計測した内臓脂肪を計測した。スタディ開始時に4%がうつ病を有していた。社会人口学的および体重に影響する他の特徴で補正した結果、うつ病は5年間の臍位腹部厚径および内臓脂肪の増加と関連があり、うつ症状は内臓脂肪の増加と特異的な関連があることが示唆された。筆者らは、この結果はうつ病患者がしばしば糖尿病や心血管疾患を発症することの説明の一助となる、と述べている。
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小児期の社会的介入プログラムは若年成人の機能に好ましい効果を与える [2008-12-09]
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Childhood social intervention program leads to better-functioning young adults |
小学校で社会発達援助介入を受けることにより、介入の終了から15年後に評価した精神衛生、性の健康および教育的経済的達成度に好ましい影響が得られるようである、とArchives
of Pediatrics & Adolescent Medicine 12月号に報告された。シアトルの様々な地区の15の公立小学校の教師、生徒、および父母が、行動管理、拒否、ソーシャルスキルトレーニングおよび学術面の発達に関する特別教育をそれぞれの地区で受けた。24歳および27歳の時点で小児期からの参加者らは、学校、仕事および地域生活、および精神衛生、性行動、薬物乱用および犯罪に関する自己評価を行った。介入プログラムを全て受けた者の薬物乱用および犯罪率は他と変わりなかったが、ほぼ全ての地区において機能の改善がみられた。コントロール群と比較し、介入群は学歴または世帯収入が中間より上であり、高校以上の教育レベルを維持し、地域への関与およびボランティア活動のレベルが高く、精神障害の症状が少なく、報告された精神上の問題は程度が軽く、性感染症の有病率が低い傾向にあった。
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イチョウ葉は認知症またはアルツハイマー病を予防しないようである [2008-12-02]
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Gingko biloba does not appear to prevent dementia or Alzheimer's disease |
ハーブであるイチョウ葉を認知症またはアルツハイマー病(AD)の高齢者1,500人あまりに数年使用したが有効ではなかったとのスタディ結果が、JAMA 11月19日号に掲載された。このトライアルには、スタディ開始時に75歳以上で認知機能が正常な者(2,587人)および軽度の認知機能障害を有する者(MCI;482人)を組み入れた。参加者らは120mgのイチョウ葉エキスを1日2回(1,545人)またはプラセボ(1,524人)を内服する群に無作為に割り付けられた。内服期間中に523人が認知症と診断され、うち246人(16.1%)がプラセボ群であり277人(17.9%)がイチョウ葉群であった。全ての認知症例のうち92%がADの可能性があるかまたは可能性が高い、あるいは脳血管疾患を伴うADと分類された。全ての認知症発症率はイチョウ葉群とプラセボ群とで差がなかった(100人中3.3人対2.9人)。アルツハイマー型認知症に関してもまた、差はなかった(投与期間中年間100人中3.0人対2.6人)。イチョウ葉はまた、MCIから認知症への進行率に関しても影響しなかった。
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うつ病と心血管イベントリスク増加との関連は主として健康習慣の変化による [2008-12-02]
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Association between depression and increased risk of cardiovascular events appears to be largely explained by change in health behaviors |
冠動脈疾患およびうつ症状を有する患者において心血管リスクが高いのは、主として健康習慣、特に身体活動の変化によるようであるとJAMA 11月26日号に掲載された。このスタディは安定した冠動脈疾患を有する外来患者1,017人を対象とし、平均4.8年間経過観察した。うつ症状を有する者は心血管イベントのリスクが50%高かった:年齢補正後の年間血管イベント率は、うつ症状を有する199人中10.0%であり、うつ症状を有さない818人中6.7%であった。身体活動で補正した結果、うつ症状と心血管イベントとの相関は弱まった。他の既存の疾患や冠動脈疾患重症度で補正しても、うつ症状を有することにより依然として心血管イベント発現率は31%高かった。運動不足を含む他の健康習慣の補正を行った結果、うつ症状と心血管イベントには有意な相関は認められなかった。様々な因子で補正した結果、運動不足により心血管イベントのリスクは44%増加した。
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