モニターは術中覚醒またはそれに伴う心理学的影響を予防しない [2008-10-28]

Monitors do not prevent anesthesia awareness or its related psychological conditions

American Society of Anesthesiologists学会にて、術中覚醒による長期の心理学的症状の予防に関して脳波モニターが従来のモニターと比較し優れていることはない、と報告された。処理脳波から開発されたバイスペクトラルインデックス(BIS)を使用することにより、BISを60未満に保てば術中覚醒を減少させることができると過去に報告されている。このトライアルでは、2,000人の患者をBISまたは呼気終末麻酔ガス(ETAG)群に無作為に割り付け、術後の3期間(抜管後0〜24時間、24〜72時間、30日)評価した。確実な術中覚醒または術中覚醒の可能性のある患者に術後18〜30ヵ月にコンタクトを取り、彼らが術中覚醒に伴う長期の精神症状を有しているかを評価した。4人の患者が確実に術中覚醒し、5人は術中覚醒の可能性があった。彼らのうち、6人はBISプロトコール群であり、この結果から、BISプロトコールは術中覚醒の予防に優れているわけではないことが示唆された。2人の患者は術中覚醒のために日常生活に好ましくない精神的影響があったと訴え、症状に対するカウンセリングを求めていた。

 

時々個人的な記憶障害を有する人々は海馬が小さい [2008-10-28]

Smaller hippocampus in people with occasional subjective memory problems

時々約束や友人の名前を忘れる人々は、通常の記憶力または認知症の検査では記憶喪失がなくても、脳容積が減少している可能性があるとのスタディ結果がNeurology 2008年10月7日号に掲載された。このスタディは、50〜85歳の認知症を有さないオランダ在住の500人を対象とした。参加者らは、正しい言葉を思いつくのが困難であったり前日または2日前にあった出来事を忘れる記憶障害や、集中力低下や以前より思考が遅くなったなどの思考に関するトラブルが時々あるかに関して質問を受けた。アルツハイマー病で最初にダメージを受ける領域の一つである海馬の大きさを脳スキャンにて計測した。500人中453人が、通常の記憶力検査および思考技能検査では示されないであろう個人的な記憶または思考の問題が時々あった。平均して、時々記憶障害のある人々の海馬の容積は6.7mlであったのに対し、記憶障害のない人々では7.1mlであった。

 

ビタミンBの補充はアルツハイマー病患者の認知機能低下を遅延しなかった [2008-10-21]

Vitamin B supplementation did not slow cognitive decline in patients with Alzheimer disease

軽度から中等度のアルツハイマー病患者に対する高用量ビタミンB補充は認知機能低下率を遅くさせなかった、とJAMA 10月15日号に掲載された。軽度から中等度のアルツハイマー病患者409人を、患者組み入れを増やすためにサイズの異なる二つのグループに無作為に割り付けた(60%に高用量補充[1日5mgの葉酸、1日25mgのビタミンB6、1日1mgのビタミンB12]、40%にプラセボ投与)。計340人(実薬群202人およびプラセボ群138人)が内服中の検査を完了した。認知機能はアルツハイマー病評価スケール(ADAS-cog)にて計測した。その結果、ビタミンB補充療法はホモシステインレベル低下には役立ったが、主要な認知機能測定に関しては有効性が認められなかった:ADAS-cogスコアは両群間で有意差はなかった。うつ病症状は実に高用量補充療法群でより多く認められた。雑誌の論説では、ビタミン補充によるホモシステイン低下療法によるアルツハイマー病および認知機能低下予防を正当化する十分なエビデンスは得られていないと述べている。

 

小児における睡眠呼吸障害と認知障害の複雑な関連性が新たに解明された [2008-10-21]

New light shed on complex relationship between sleep disordered breathing and cognitive deficits in children

睡眠呼吸障害(SDB)−いびきまたは閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を有する小児の3分の2が何らかの認知障害を有しているが無呼吸の頻度は障害の程度の予測因子とはならず認知障害の程度との関連性もない、とAmerican Journal of Respiratory and Critical Care Medicine 11月号に掲載された。研究者らは、睡眠検査室では一般的に計測されない因子でSDBの体調への影響を修飾する可能性のあるものがあるのではないかと考えた。彼らは、いびきをかく子供は健康な子供と比較し、脳の特定部位の酸素濃度が低いことを発見した。しかし逆説的に、通常より重度の睡眠呼吸障害と考えられている睡眠時無呼吸を有する子供は、いびきをかくだけの子供よりも脳の特定部位の酸素濃度が高かった。睡眠時無呼吸の子供はいびきをかく子供よりも血圧も高く、そのためOSAの子供は酸素濃度が高い可能性がある。

 

小児期の双極性障害は青年期まで持続するようである [2008-10-14]

Bipolar disorder in children appears likely to continue into young adulthood

小児期に双極性障害を有した者の約44%が青年期になっても躁病エピソードを有するようである、とArchives of General Psychiatry 10月号に掲載され、双極性障害は小児期から成人期へ持続しうることが示唆された。研究者らは1995〜1998年に双極性障害と診断された小児115人(平均年齢11.1歳)をスタディに組み入れた。スタディの最初、および8年間にわたる9回の経過観察のための受診で、子供とその親は症状、診断、躁とうつの1日のサイクルおよび他者との交流について別々に問診を受けた。計108人の小児(93.3%)がスタディを完了した(経過観察時の平均年齢18.1歳)。8年間の経過観察中に60.2%の週で何らかの気分エピソードが存在し、39.6%の週に躁病エピソードが存在していた。87.8%の小児において躁病は治ったが、73.3%は再発した。経過観察期間の最後には54%の子供が18歳以上であり、そのうち44.4%は依然として躁病エピソードを有し、35.2%には物質使用障害があった。この使用障害の割合は成人の双極性障害における割合と同等であった。

 

MRIの結果、社会恐怖患者は否定的なコメントに対する脳の反応が異なることが示された [2008-10-14]

MRI reveals altered brain response to negative comments in people with social phobia

脳の磁気共鳴画像(MRI)から、全般性社会恐怖患者は彼ら自身に対する否定的なコメントに対し他の人々と異なる反応をすることが示された、とArchives of General Psychiatry 10月号に掲載された。米国国立精神衛生研究所の研究者らは、薬物を投与されていない全般性社会恐怖患者17人と、同年齢、同性、同等のIQを有し社会恐怖を有さないコントロール17人の機能的MRI(fMRI)を比較した。「fMRI検査中に彼らは彼ら自身に対するほめ言葉(例えば、あなたは素晴らしい)、否定的なコメント(例えば、あなたは醜い)、および普通のコメント(例えば、あなたは人間です)または他の誰かに対するコメント(例えば、彼は素晴らしい)を読んだ」と筆者は記している。全般性社会恐怖患者は、彼ら自身についての否定的なコメントを読んだ時には、自己の概念と恐怖や感情およびストレス反応に関連する脳領域である前頭前野内側部および扁桃体の血流が増加した。しかし、他人に関する否定的なコメント、あるいは本人または他人に対する普通あるいはほめ言葉に対する反応は、両群間で差がなかった。

 

心疾患患者のうつ病スクリーニングおよび必要な場合には治療を行うよう学会声明において呼びかけている [2008-10-07]

Scientific statement calls for screening heart patients for depression and treating when necessary

American Heart Associationのうつ病と冠動脈疾患に関する最初の学会声明によれば、心不全患者はうつ病−予後およびQOLに大いに影響しうるよくある疾患−のスクリーニングを受けるべきであり、この声明はAmerican Heart Association学会誌Circulationに掲載された。スタディの結果、うつ病患者は心筋梗塞後1〜2年の間に次のイベント発生リスクが少なくとも2倍であることが示されている。さらに、うつ病が重症なほど次の心イベントがより早く発生しより重症である。American Psychiatric Associationにより承認されている勧告には、うつ病および不安障害のような他の精神疾患の早期および繰り返しのスクリーニング、スクリーニングには2つの質問を行いうつ病が疑われる場合には他の質問をすること(計9個)、および心疾患と抑うつ症状を同等に追跡調査することが推奨されている。推奨される治療は認知行動療法、身体活動、心臓リハビリテーション、抗うつ薬またはこれらの治療の併用である。

 

長期にがんを患っている患者は一般の人々よりも強いストレスを有している [2008-10-07]

Severe stress more common among long-term cancer survivors than general population

長期にがんを患っている成人患者は、一般の人々と比較し、社会、職場または学校などで中程度から重大な問題を起こすほどに深刻な心理的苦痛を訴える確率が2倍であるとの大規模全国スタディの結果が、2008年9月24日、第50回American Society for Therapeutic Radiology and Oncology's(ASTRO)の年次総会に発表された。このスタディは、2002〜2006年のNational Health Interview Surveyの対面健康調査における成人発症のがん患者(がんの初回診断から5年以上生存している者)4,712人、および一度もがんと診断されたことのない回答者126,841人を対象とした。がん患者の診断時平均年齢は47歳であり、面接時の平均年齢は62歳であった。患者の多くは、乳、婦人科、男性生殖器および大腸がんの患者であった。また、若年の長期がん患者(65歳未満)は65歳以上の長期がん患者よりも、より深刻な心理的苦痛を味わっているとの結果が得られた。さらに、がん診断からの経過年数と増加する悲嘆のリスクには全く差がないことが示された。

 


 

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