早期発症の統合失調症および失調感情障害の治療に第一世代抗精神病薬は新世代薬と有効性が同等である [2008-09-30]

First generation antipsychotic drugs as effective as newer ones to treat early-onset schizophrenia and schizoaffective disorder

American Journal of Psychiatry 2008年9月15日号に掲載されたスタディの結果、第一世代抗精神病薬molindoneは新世代薬と同等に有効であり統合失調症および失調感情障害の一部の小児患者にはファーストライン治療として使用すべきであると報告された。このトライアルは、非定型抗精神病薬と第一世代抗精神病薬を比較した最も大規模なhead-to-headトライアルである。早期発症の統合失調症および統合失調感情障害の若年者119人を、オランザピン(2.5〜20mg/day)、リスペリドン(0.5〜6mg/day)、またはmolindone(10〜140mg/dayに1mg/dayのbenztropineを併用)を8週間投与する群に無作為に割り付けた。奏効率は3つの薬物治療群で同等であった(molindone:50%;オランザピン:34%;リスペリドン:46%)が、副作用は薬物により大きく異なった。第二世代の薬物であるオランザピンとリスペリドンは両者ともに有意な体重増加を来し、若年患者の心疾患および糖尿病発症のリスクを高める可能性があった。実際、このスタディのスポンサーとなったNational Institute of Mental Health(米国国立精神衛生研究所)は、体重増加の問題およびその結果としてコレステロールおよび血糖レベルの上昇につながったため、オランザピン群への患者の振り分けを中止した。

 

家庭内で暴力に暴露される子供は様々な感情および行動上の問題を起こすリスクが高い [2008-09-30]

Children exposed to violence in their homes are at risk for a variety of emotional and behavioral problems

虐待されている子供は様々な家庭内暴力に再暴露されやすく、この再暴露はしばしば精神的な問題の増加につながるとChild Development 2008年9/10月号に掲載された。研究者らは、過去に暴力に暴露されていた5〜16歳の若者2,925人に潜在性difference score構造モデルを用い、証拠のある家庭内暴力およびまたは厳しい体罰を受けたことが小児期の精神疾患の予測因子となり、貧困や介護者の精神衛生上の問題を含む暴力と強く関連のある他の因子の影響以上の精神病理学的症状の変化を来すかどうかを調査した。彼らはまた、正常な小児期の経時的な精神上の変化に加え、各々の子供の年齢および性別も考慮に入れた。研究者らは、子供を虐待した暴力のタイプが実質的に特定の精神上の問題につながることを明らかにした。特に、過去に目撃者のいる家庭内暴力の虐待を受けた子供はうつ病や不安症の症状をより有し、一方、過去に厳しい体罰による虐待を受けた子供はより攻撃的でしばしば規則を破る傾向にあった。

 

アルツハイマー病のリスク識別法を探求する研究者らがある血液のバイオマーカーに焦点を当てることにより有意な進歩を成し遂げた [2008-09-22]

Researchers seeking to identify Alzheimer's risk make significant progress by focusing on a specific blood biomarker

簡単な血液検査によりアルツハイマー発症の素因を検索することが可能となり、神経学的な弱体化を発症しやすい人々の疾患の発現を逆行させようと探求する研究者らに役立つ可能性がある。Proceedings of the National Academy of Sciencesオンライン版に2008年9月8日の週に掲載された結果によると、血漿As42レベルがアルツハイマー病発症前に増加し認知症発症直後に低下するようであることが示された。研究者らは、As42が脳内にせき止められるために認知症発症後にレベルが低下するものと推測している。アルツハイマー病の認知機能障害は疾患の経過中にモニターできるが、病理学的な進行をモニターする信頼できる方法はなかった。血液中のAsレベルを正確に測定できれば、医師はアルツハイマー病の発症をかなり早期に予測することができるようになるであろう。

 

染色体1q21.1の異常が小児の多くの疾患と関連している [2008-09-22]

Aberrations in chromosome 1q21.1 is linked to a broad range of disorders in children

ヒト染色体1q21.1のある部分の微小な異常が、精神遅滞、てんかん、自閉症、手の変形、心疾患などの様々な発達異常と関連しているとの報告がNew England Journal of Medicine 9月11日号に掲載された。他のグループの研究により、一部の人々において、統合失調症、および生殖器系の部分欠損と1q21.1欠失の関連が示された。研究者らは、原因不明の精神遅滞、自閉症、または先天性異常を有する患者群における染色体1q21.1のある特定部位の微小欠失および微小重複の存在を検査し、同様の検査を一般の人々に行った結果と比較した。5,218人の患者をスクリーニングしたところ、25人において1q21.1に1.35-Mb欠失を頻発していた。一般の人々からなるコントロール4,737人において微小欠失は認められず(p=1.1x10-7)、1人のみに全体の重複が認められた。筆者らは、この染色体の異常を有する若年者は長期にわたり、学習障害、自閉症、統合失調症およびその他の精神神経疾患の発現をモニターされるべきであると述べている。

 

従来型の抗精神病薬は高齢者の心血管死と関連している [2008-09-02]

Conventional antipsychotic medications linked to cardiovascular deaths in elderly patients

従来型のまたは第一世代の抗精神病薬を処方されている高齢者は、第二世代または非定型抗精神病薬を内服している患者と比較し、心血管疾患または呼吸器疾患による死亡リスクが高いとのスタディ結果が、Journal of the American Geriatrics Societyオンライン版に掲載された。筆者らは、第一世代または第二世代の抗精神病薬を1996〜2004年に内服したBritish Columbia州の高齢者全員の記録を調査した。そのうち12,882人は従来型の抗精神病薬、24,359人は非定型抗精神病薬を内服した。薬剤使用開始から180日以内に3,821人が死亡した。従来型の抗精神病薬を内服した患者は、非定型抗精神病薬を内服した患者と比較し、補正後の心血管死(ハザード比1.23、95%信頼区間1.10〜1.36)および院外心血管死(ハザード比1.36、95%信頼区間 1.19〜1.56)のリスクが高かった。従来型の抗精神病薬を内服した患者は呼吸器疾患、神経系疾患、および他の原因による死亡リスクも高かった。

 

ストレスおよび不安は一般的なアレルギー反応を大幅に悪化させうる [2008-09-02]

Stress and anxiety can substantially worsen reaction to routine allergens

わずかなストレスや不安であっても一般的なアレルギー反応を大幅に悪化させうると、ボストンで開催されたAmerican Psychological Association学会で発表された。花粉症および季節性アレルギーを有する男女28人に標準的な皮膚プリックテストを行い様々なアレルゲンに対する反応を評価した。また一連の心理的なアンケートを行い、ストレス、不安、自信、および様々な状況における感情コントロールについて評価を行った。研究者らはストレス前後および翌日に形成された膨疹を計測した。同一人物で比較すると、中等度の不安を有する場合の膨疹は同じ日にストレスのない時と比較し、75%大きくアレルギー反応が強いことが示唆された。これらの人々は翌日にも皮膚テストに対する強い反応を有する確率が4倍高く、アレルゲンに対する反応が持続し、かつ強くなっていることが示唆された。

 


 

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