抗うつ薬使用により性機能不全を有する女性がシルデナフィルを用いることで性機能不全が軽減した、とJournal of the American Medical
Association 7月23/30日号に掲載された。研究者らは、選択的および非選択的セロトニン再取込み阻害薬によるオルガスム遅延や性的喚起・バルトリン腺分泌の欠落といった性機能障害を有する、寛解期にある大うつ病の女性98人(平均年齢37歳)の治療としてシルデナフィルとプラセボの効果を比較した。被検者は、8週間にわたり性行為のおよそ1〜2時間前にシルデナフィルを服用する群(n=49)とプラセボを服用する群(n=49)に無作為に割り付けられた。性機能不全の改善が認められなかったのは、シルデナフィル群では28%であったのに対しプラセボ群では73%であった。Clinician-rated
severity improvement scaleにおいてもシルデナフィル群ではプラセボ群と比較してより大きく性機能の改善を認めた。
軽度の記憶障害は中枢性聴覚処理障害や競合する音の中での聞き取りづらさに関係している可能性がある、とArchives of Otolaryngology-Head
& Neck Surgery 7月号に掲載された。ワシントン大学の研究者らは痴呆監視プログラムを行っている313人(平均年齢80歳)について解析した。これらの中には痴呆と診断された17人、痴呆ではないものの軽度の記憶障害と診断された64人、および記憶障害のない対照232人が含まれていた。中枢性聴覚処理検査における平均スコアは、痴呆患者群および軽度記憶障害患者群において、記憶に問題のない対照群と比較して有意に低値であった。年齢や聴力状態による補正後にもこの有意差は認められた。著者らは、聴力に問題のある高齢者を評価する際に、聴力リハビリテーション領域と認知能力領域の両方での評価の助けとなるものとして中枢性聴覚試験を考慮することを推奨している。
視覚障害はその健康に対する間接的な悪影響から自殺のリスクを上昇させる可能性がある、とArchives of Ophthalmology 7月号に掲載された。研究者らは、1986〜1996年に施行された国民健康調査の参加者137,479人のデータを解析した。参加者は人口統計学的情報に加え視覚障害および他の健康状態についての詳細を報告した。その後研究者らはNational
Death Indexを介して参加者の死亡についてレビューした。平均11年間の追跡期間中に200例の自殺が確認された。視覚障害の自殺に対する直接的な影響は上昇していた(50%上昇)が有意ではなかった。健康に対する自己評価の低さまたは眼以外の疾患数などの視覚障害の自殺に対する間接的な影響は少なからず認められた(それぞれ5%および12%)。報告された視覚障害による間接的影響を統合すると自殺のリスクを有意に上昇させた(18%)。
長期にわたる大麻の大量使用は海馬および扁桃体の構造異常を引き起こす可能性がある、とArchives of General Psychiatry 6月号に掲載された。オーストラリアの研究者らは1日にジョイント(大麻を巻紙で巻いてタバコ状にしたもの)5本を超える大麻を10年以上吸っている男性15人(平均年齢39.8歳)に高解像度核磁気共鳴画像検査を施行した。その結果を大麻非使用者16人(平均年齢36.4歳)の画像と比較した。全ての参加者は口頭の記憶テストを受け、精神障害の閾値下症状の評価を受けた。大麻使用者は対照群と比較し海馬および扁桃体が小さい傾向にあった(容積が海馬で平均12%、扁桃体で平均7.1%縮小)。大麻使用により統合失調症や躁病などの精神病性障害の閾値下症状も認められた。
選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)は上部消化管出血のリスクを増加させるようであり、そのリスクレベルは併用薬により異なる、とArchives of
General Psychiatry 7月号に掲載された。研究者らは上部消化管出血の治療を受けた患者1,321人と年齢・性別をマッチさせた健常対照者10,000人を比較した。出血を認めた患者はSSRIまたはvenlafaxineを内服している確率が有意に高かった(それぞれ5.3対3.0%および1.1対0.3%)。出血リスクは、抗うつ薬と非ステロイド抗炎症薬またはコルチコステロイドを併用している場合にさらに上昇した。制酸剤は抗うつ薬内服患者の出血リスクを低下させた。研究者らは、抗うつ薬と非ステロイド抗炎症薬を内服している患者250人中年間1例、および抗うつ薬と抗血小板薬を内服している患者500人中年間1例の割合で出血が認められていると推定している。
抗てんかん薬トピラマートはアルコール依存患者の大量飲酒を軽減するのみでなく、重度の心および肝疾患につながるアルコール乱用の影響を受ける様々な生理学的尺度を改善する、とArchives
of Internal Medicine 6月9日号に掲載された。14週間のトライアルにおいてアルコール依存症と診断された男女371人をトピラマートまたはプラセボ投与群に無作為に割り付けた。トピラマートはプラセボと比較し、ボディーマスインデックス、肝酵素レベル、収縮期および拡張期血圧、血清コレステロール値を低下させた。さらにトピラマートにより心理的な有益性も認められた。すなわち、強迫観念や飲酒の衝動が軽減した。トピラマートはプラセボと比較し、睡眠障害の軽減に加え、日常活動や余暇活動および家事におけるQOLを大幅に改善した。
うつ症状のある患者は2型糖尿病を発症するリスクが高く2型糖尿病患者はうつ病のリスクが高い可能性がある、とJournal of the American
Medical Association 6月18日号に掲載された。研究者らは45〜84歳の男女6,814人を対象とした3年間のスタディデータを解析した。ベースラインの空腹時血糖値の高い患者を除外した後、研究者らはベースラインでうつ症状の多く見られる患者においてうつ症状の見られない患者と比較し、スタディ終了までに空腹時血糖値が上昇しやすい傾向にあるか否かを評価した。肥満、運動不足、喫煙などの因子で補正した結果、糖尿病発症リスクはうつ症状を有する患者において34%高かった。ベースライン時に2型糖尿病は有しているがうつ症状のない患者を解析した結果、他の対象者と比較し有意なうつ症状を訴える確率が約54%高かった。