Olympiaトライアルの結果、asenapineは双極I型障害の躁病の治療として有効かつ安全である [2008-05-27]

Olympia trials suggest that asenapine is effective and safe as treatment for mania associated with bipolar I disorder

新たな精神病治療薬asenapineは双極I型障害の躁病の短期治療として有効かつ安全である、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。この双極I型障害トライアルのプログラムは、2つの3週間トライアルの後に延長試験を行う計1年間のプラセボおよび実薬コントロールスタディから成り、1,000人近い患者が組み込まれた。治療に対する反応はヤング躁病評価尺度を用いて計測した。2つのトライアルにおいて、asenapineおよび実薬オランザピンを用いた3週間の治療によりプラセボと比較し平均のトータルスコアがはるかに大きく低下した。Asenapineにより21日後のトータルスコアは13および14点低下した(プラセボと比較し有意に低下;オランザピンもまたプラセボと比較し有意に優れていた;asenapineとオランザピンとの直接比較はなし)。3週間のトライアルの9週間の延長試験の結果、スコアの変化においてオランザピンと比較した場合のasenapineの非劣性が認められた。

 

親の突然の死亡は、残された子供および介護者のうつ病および外傷後ストレス障害のリスクを上昇させるようである [2008-05-27]

The sudden death of a parent appears to increase risk of depression and post-traumatic stress disorder both in children and their surviving caregivers

親の突然の死亡は、残された子供および介護者のうつ病および外傷後ストレス障害(PTSD)のリスクを上昇させるようである、とArchives of Pediatrics & Adolescent Medicine 5月号に掲載された。研究者らは、片親が自殺、事故、または突然死した140家族、および両親存命で過去2年間に第一度親族が誰も死亡していない99家族を抽出した。7〜25歳の子供に問診および精神疾患の評価を行った。親が死亡した子供および残された介護者は対照の家族と比較し、うつ病およびPTSDのリスクが約3倍高く、この傾向は死亡した親の精神疾患で補正した後も認められた。親が自殺した家庭の子供および介護者は、他の原因で死亡した家庭のそれらの人々よりもPTSDまたは他の精神疾患を発症しやすいという傾向はなかった。

 

Phase IIIスタディの結果、escitalopramはプラセボと比較し青年期の抑うつ症状を有意に改善し忍容性は良好であることが示された  [2008-05-20]

Phase III study shows that escitalopram significantly improves symptoms of depression in adolescents and is tolerated well compared with placebo

Escitalopramはプラセボと比較し青年期の抑うつ症状を有意に改善し忍容性は良好であることが示された、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。この8週間のスタディでは、12〜17歳の大うつ病患者316人がescitalopram を10〜20mgまたはプラセボ投与群に無作為に割り付けられた。一次エンドポイントは、last observation carried forward(LOCF)法を用いたベースラインから8週目までの小児うつ病評価尺度改訂版(CDRS-R)の変化であった。この評価尺度は、学力低下、楽しめないこと、社会からの脱落、身体症状の訴え、自尊心の低下などの青年期に関連した17の症状領域を含んでいる。Escitalopram治療によりベースラインからのCDRS-Rスコアはプラセボと比較し有意に改善した (escitalopram群-22.対プラセボ群-18.8)。

 

長期経過観察の結果、脳深部刺激は治療抵抗性の大うつ病患者に有効な可能性のあることが示された [2008-05-20]

Long-term follow-up indicates that deep brain stimulation is potentially effective for patients with treatment-resistant major depression

脳深部刺激は治療抵抗性の大うつ病患者に有効な可能性がある、とAmerican Association of Neurological Surgeons学会で発表された。外科医らは、複数の薬物治療、心理療法および電気痙攣療法を試みたが無効であった患者15人に対し、可逆的非破壊的な手術を施行した。患者らは腹側内包/腹側線条体に双極電極埋め込みを施行された。一次結果指標は、Montgomery-Asbergうつ病評価尺度(MADRS)であった。結果を評価する者はブラインドされていた。経過観察期間は6〜48ヵ月であり、11人の患者においては1年以上であった。治療効果はMADRSスコアの50%低下と定義した。効果は、6ヵ月後には15人中7人(47%)に、12ヵ月後には11人中5人に(45.5%)、それぞれの経過観察最終時には15人中8人(53.3%)に認められた。抑うつ、機能、およびQOLの長期にわたる改善が認められた。有効であった患者においては短期記憶力の計測値が改善した。

 

血中ビタミンDレベルが低く副甲状腺ホルモンレベルの高い高齢者はうつ病のリスクが高い可能性がある [2008-05-13]

Older adults with low blood levels of vitamin D and high blood levels of parathyroid hormone may have an increased risk for depression

血中ビタミンDレベルが低く副甲状腺ホルモンレベルの高い高齢者はうつ病のリスクが高い可能性がある、とArchives of General Psychiatry 5月号に掲載された。研究者らは65〜95歳の地域住民1,282人を評価した。26人は大うつ病、169人は小うつ病と診断され、1,087人はうつ病ではなかった。平均の血中ビタミンDレベルは21ng/mLであり、平均の副甲状腺ホルモンレベルは3.6pg/mLであった。平均の血中ビタミンDレベルは大うつ病または小うつ病患者で、うつ病ではない者より14%低かった(19ng/mL対22ng/mL)。副甲状腺ホルモンは、うつ病でない者(平均3.53pg/mL)よりも小うつ病患者(3.72pg/mL)で平均5%高く、大うつ病患者(4.69pg/mL)で33%高かった。筆者らはビタミンD欠乏症の人々の治療およびうつ病との関連の本質を評価する研究の必要性を主張している。

 

長期作用型リスペリドン注射薬で治療された統合失調症患者は経口クエチアピンで治療された患者よりも再発までの時間が有意に長い  [2008-05-13]

Patients with schizophrenia treated with long-acting injectable risperidone have significantly longer times to relapse than patients treated with oral quetiapine

長期作用型リスペリドン注射薬で治療された統合失調症患者は経口クエチアピンで治療された患者よりも再発までの時間が有意に長い、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。研究者らは一般的な精神科での日常的治療環境で治療された患者710人を注射薬(平均用量32.75mg)または経口薬(平均用量397mg)に無作為に割り付けた。平均無再発期間はリスペリドン群(607日)においてクエチアピン群(533日)よりも有意に長かった。さらに、24ヵ月の治療期間にわたり再発したのは、リスペリドン群で16.5%であったのに対し、クエチアピン群で31.3%であった。両薬物の安全性は全般的に同等であった。再発以外でスタディから脱落した理由は、コンプライアンス不良/治療拒否がリスペリドン群(3%)でクエチアピン群(1%)より多かった以外は、両治療群間で同等であった。

 

オメガ3脂肪酸の補充はうつ病患者に役立つが、双極性障害患者に有用であるかは明らかでない [2008-05-07]

Omega-3 fatty acid supplementation can help patients with depression but it is unclear whether supplementation is useful for patients with bipolar disorder

近年のデータからオメガ3脂肪酸の補充はうつ症状の治療の一部として支持されているが、このサプリメントが双極性障害患者に有用であるかを結論付ける十分なエビデンスはない、とCochrane Database of Systematic Reviews Issue 2(2008)に掲載された。研究者らは双極性障害に対しオメガ3を補充した5つのスタディを確認したが、解析に足るデータを有していたのは75人の患者を対象としたスタディたった一つであった。このスタディから、患者はサプリメントを飲んでいる間は重篤なうつ症状は軽減したが、躁病に関連する症状には影響しないようであるとの結果が得られた。筆者らは、さらなる綿密なトライアルが施行され解析結果が得られるまでは、双極性障害患者は標準的な治療に加えサプリメントを摂ってもらいたいと思っているが、サプリメントを標準治療の代わりとすべきではないと述べている。

 

女性は男性よりも脳卒中後にうつ病を発症しやすく、脳卒中に関連した薬剤もより内服する割合が高い [2008-05-07]

Women are more likely than men to develop depression after a stroke but are also more likely than men to take their stroke-related medications

女性は男性よりも脳卒中後にうつ病を発症しやすいが、内服のコンプライアンスは男性よりもよいとAmerican Academy of Neurology学会で発表された。研究者らは脳卒中の再発リスクを軽減するために退院時に処方を受けた虚血性脳卒中患者491人を評価した。3ヵ月後に研究者らは患者のうつ症状レベル、QOL、および内服コンプライアンスを評価した。計385人(78%)が3ヵ月後も内服を続けていた。女性の19%がうつ病症状を訴えたのに対し男性でのその割合は10%であり、睡眠障害を訴えたのは女性の30%であったのに対し男性では22%であった。内服を継続している男性は内服を継続している女性よりも全体的なQOLが良好であると報告し、女性は速やかに発見され治療されないうつ病を発症していてもコンプライアンスが男性よりも良好であることが示唆された。

 


 

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