注意欠陥多動性障害と心合併症
  終末期の精神療法
  うつ病とアルツハイマー病
  注意欠陥多動性障害と睡眠障害
  テストステロンとうつ病

 4月8日、15日のDOL NewsはACC特集のため、Psychiatryニュースは
  お休みさせていただきました。



注意欠陥多動性障害の小児に中枢刺激薬を投与開始する前に可能性のある心合併症のスクリーニングをすべきである [2008-04-28]

Children with attention deficit hyperactivity disorder should undergo screening for possible heart conditions before they start a stimulant medication

う注意欠陥多動性障害の小児に中枢刺激薬を開始する前にスクリーニングをすることにより薬物による心合併症のリスクは最小限にできる可能性がある、とCirculation 4月21日号に掲載された。米国心臓協会は、スクリーニングには病歴や身体所見および心電図を含むべきであるとした。問診からは動悸、失神、特に運動中および運動後の胸痛などを明らかにする必要がある。家族歴では若年の心臓突然死または肥大型心筋症、QT延長症候群、および高血圧の症例を聴取すべきである。この報告では、有意な所見に関しては小児循環器医の紹介を、初回の評価をパスした小児に関しては定期的な再評価を推奨している。筆者らは、既知の先天性心疾患または不整脈を有する患者においては、患者の状態が落ち着いている場合に小児循環器医のもとで刺激薬を使用するのが妥当であろうと述べている。

 

患者が治療を受けることに同意している場合には、会話を基本とした精神療法はうつ病を有するがん末期患者に対して有効でありうる [2008-04-28]

Talk-based psychotherapy can effectively treat symptoms of depression in patients who are terminally ill with cancer if they are open to receiving such therapy

患者が治療を受けることに同意している場合には、会話を基本とした精神療法はうつ病を有するがん末期患者に対して有効でありうる、とCochrane Database of Systematic Reviews Issue 2(2008)に掲載された。レビュアーは6つの無作為化比較試験(患者計517人)のデータを評価した。全員が治療不可のがん患者であり、うつ病症状を有していた。治療は主に、患者らが心の最も奥底にもっている感情を話し合いそれらを解決するようにお互いに助け合う、支持的自己表出的グループ療法であった。あるスタディでは認知行動療法のグループ療法を観察した。コントロール群の参加者は教育資料のような代替療法を受けた。今回のレビューには加わっていないこの領域のある専門家は、「盲検化」治療を用いたデザインのスタディをレビューに含む条件とする標準的なクライテリアのためにいくつかの有用なスタディがレビューの対象となっておらず、今回得られたエビデンスは報告されたものよりも実際ははるかに強固なものであろうと考えている。

 

うつ病とアルツハイマー病のリスクとの関連は明らかではないが、データから痴呆と診断される数年前にうつ病症状は増加しないことが示唆された  [2008-04-22]

Link between depression and risk for Alzheimer's disease is unclear but data do suggest depressive symptoms do not increase in years prior to dementia diagnosis

うつ病の人がアルツハイマーのリスクが高いか否かは明らかでないが、新たなデータから痴呆と診断される数年前にうつ病症状は増加しないことが示唆された、とArchives of General Psychiatry 4月号に掲載された。研究者らはベースライン時点で痴呆のない高齢者917人を調査した。毎年、神経学的評価および認知機能検査を行った。ベースライン時に参加者の53.6%がうつ病症状がないと報告し、23.9%が1つ、9.7%が2つ、6.1%が3つ、そして6.8%が4つ以上を有すると報告した。経過観察中に、190人にアルツハイマー病が発症した。ベースライン時に症状を多く有するものほどアルツハイマー病を発症しやすかったが、診断の数年前に症状の数が増加したとは報告しなかった。

注意欠陥多動性障害の小児は障害を有さない小児と比較し睡眠障害を有する割合が高いようである [2008-04-22]

Children with attention deficit hyperactivity disorder seem to be more likely to have sleep problems than peers without the condition

注意欠陥多動性障害の小児は障害を有さない小児と比較し睡眠障害を有する割合が高いようである、とArchives of Pediatrics & Adolescent Medicine 4月号に掲載された。研究者らは障害を有する小児(平均年齢11.7歳)239人の家族を調査し、これらの小児における睡眠障害の有病率およびその影響について評価した。睡眠障害は175人(73.3%)の小児が有しており、28.5%は軽度であり44.8%は中等度から重度の障害を有していた。最も多い障害は、入眠障害、ベッドに寝かされるのに抵抗する、覚醒時の疲労などであった。睡眠障害は、主な保護者の健康に関するQOLや就業状況および家庭機能に加え、子供本人の健康に関するQOL、日常活動、学校への出席と関連が見られた。ほぼ半分(45%)の保護者が小児科医から睡眠について質問を受けたと答えた。これらの成人のうち60%は治療のアドバイスを受けていた。

 

血中遊離テストステロンレベルの低い高齢男性は血中レベルの高い男性と比較しうつ病の有病率が高いようである [2008-04-01]

Older men with low blood levels of free testosterone appear to have a higher prevalence of depression than peers with higher blood levels

血中遊離テストステロンレベルの低い高齢男性は血中レベルの高い男性と比較しうつ病の有病率が高いようである、とArchives of General Psychiatry 3月号に掲載された。研究者らは71〜89歳の男性3,987人を3年間調査した。参加者は質問表に回答し、うつ病および認知機能に関する検査を施行された。さらに、総および遊離テストステロンが計測され、医療記録が調査された。計203人(5.1%)の男性がうつ病のクライテリアに当てはまった。これらの男性は総および遊離テストステロンレベルがうつ病でない男性よりも有意に低かった。教育レベル、BMIおよび認知スコアなどの他の因子で補正したのち、遊離テストステロンが最も低い5分位(20%)に当てはまる男性は最も高い5分位の男性と比較しうつ病の確率が3倍であった。筆者らは、この結果が立証されればテストステロンレベルの改善が臨床的に有益であるかを調査する無作為化試験を行うことを推奨している。

 


 

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