高用量clozapineと高用量オランザピンの難治性統合失調症患者に対する効果は同等の様である [2008-02-26]

High-dose clozapine and high-dose olanzapine appear to have similar efficacy for patients with treatment-resistant schizophrenia

高用量clozapineと高用量オランザピンの難治性統合失調症患者に対する効果は同等の様である、とJournal of Clinical Psychiatry 1月23日号に掲載された。この6ヵ月のトライアルにおいて研究者らは、統合失調症または失調感情障害の外来男女患者40人をオランザピン(平均投与量34mg/day; 19人)またはclozapine(平均投与量546mg/day; 21人)に無作為に割り付けた。年齢は18〜58歳であった。薬物の有効性を見るにはスタディ期間である6ヵ月いっぱいを要したが、これらの難治性の患者に対する精神病理学的な改善および認知機能の改善はオランザピンとclozapineとで同様であった。両方の薬物に体重増加が副作用として認められたが、オランザピンの方がclozapineよりもかなり多かった(平均16ポンド対平均3ポンド)。筆者らはより大規模の試験を行い今回の有効性の確認およびより詳細な副作用の調査を行うよう呼びかけている。

 

統合失調症患者および精神科医は全般的な健康管理の重要性を認識しているがお互いにこの話題に関して話し合わない [2008-02-26]

Patients with schizophrenia and psychiatrists are aware of the importance of overall healthcare but do not discuss topic with each other

精神衛生環境における全般的な健康管理について評価した米国のオンライン調査の結果、統合失調症患者および精神科医は健康全般およびQOLを最大限に向上させる必要性を認識しているがお互いにこの話題に関してはめったに話し合わない、とこの調査を行った支持組織であるMental Health Americaにより発表された。研究者らは統合失調症の成人250人(18歳以上)および精神科医250人を抽出した。回答した者の40%は健康保険を有していたが、一般人口と比較し慢性的な疾患の訴えが多く、肥満および糖尿病を有している者がそれぞれ44%および23%であった。一方、一般人口におけるその割合は26%および8%であった。この調査の結果、患者の69%がQOLに悪影響を及ぼす副作用により内服を中止したと報告した。約40%の患者は、これまでで内服を継続できた最長期間は1年未満であったと報告した。

 

高齢女性は高齢男性と比較しうつ病を発症しやすく持続しやすいが、うつの間に死亡する確率は低い  [2008-02-19]

Older women are more likely to develop depression and remain depressed than older men but women are less likely to die while depressed

高齢女性は高齢男性と比較しうつ病を発症しやすく持続しやすいが、うつの間に死亡する確率は低いとArchives of General Psychiatry 2月号に掲載された。研究者らは70歳以上の高齢者754人(平均年齢78.4歳)をベースライン時およびその後18ヵ月ごとに評価した。評価には、人口統計学的背景や医療記録、認知検査、および過去数週間のうつ病症状のスクリーニングが含まれた。スタディ期間全体で269人(35.7%)がいずれかの時点でうつ病を有していた。そのうち48例(17.8%)は連続する2つの時点で、30例(11.2%)は3つの時点で、17例(6.3%)は4つ、12例(4.5%)は5つの全ての時点でうつ病を有していた。いずれのフォローアップの時点でも女性の方が男性よりもうつ病の者が多く、その次の時点でもうつ病を有するのは女性において多かった。この結果は4回のフォローアップの時点でも同様であり、このことから、うつ病は男性よりも女性において持続しやすいことが強く示唆された。

不眠症と精神疾患を合併する人々は睡眠剤を内服する割合が低く、従って障害が悪化するリスクが高い可能性がある [2008-02-19]

People with insomnia and a psychiatric disorder are less likely to get sleep medication and thus may have increased risk for worsening of their disorder

不眠症と精神疾患を合併する人々は精神疾患を有さない人々よりも睡眠剤を内服する割合が低い、とJournal of Medical Economics 1月号に掲載された。研究者らは米国の外来受診者の追跡調査から、不眠症での予約5,487例のデータを解析した。その結果、38%の患者が他の疾患を少なくとも1つ合併していると診断され、10のうち4つが精神疾患であった。最も多かったのが不安障害(15.6%)であり、次いで散発的気分障害(14.9%)、およびうつ病(7%)であった。合併症を有する患者は精神障害を有さない患者と比較し睡眠剤を内服している率が36%低かった。精神科医を受診している患者はプライマリケア医を受診している患者よりも不眠症に対する薬剤を処方されている率が2倍高かった。精神科医は、患者が話題にしない不眠症についても発見するために睡眠に関する質問を定期的に行いたいと思っているからであろう。

 

長時間作用型リスペリドンの注射と標準的な治療を組み合わせることにより頻回に再発する双極性障害患者の再発までの時間を延長できるようである [2008-02-12]

Long-acting risperidone injection combined with standard care appears to delay time to relapse in patients with frequently relapsing bipolar disorder

長時間作用型リスペリドンの注射は頻回に再発する双極性障害患者の初回の再発までの時間を有意に延長させるようであると、統合失調症および双極性障害に関するウイーン冬期ワークショップで発表された。1年間のこのphase IIIスタディにはオープンラベル期間も含まれていた。安定した患者139人を標準治療にリスペリドンまたはプラセボを併用する群に無作為に割り付けた。再発までの時間には有意差があり、プラセボ群はリスペリドン群よりも再発のリスクが2倍以上高かった(それぞれ47.8%と22.2%)。全体的な双極性障害に対するClinical Global Impression-Bipolar-Severity (CGI-BP-S)スケールのスコアおよびClinical Global Impression-Bipolar-Change (CGI-BP-C)スケールは、リスペリドン群と比較しプラセボ群で有意に悪化した。治療薬投与下の有害事象はプラセボ群の方がリスペリドン群よりも有意に多く発生し(76.1%対70.8%)、重篤な有害事象についても同様であった(プラセボ19.4%対リスペリドン13.9%)。

 

妊娠の最初の3ヵ月間に極端にストレスの多い出来事を多く経験した母親の子供は統合失調症のリスクが高いようである [2008-02-12]

Children of women who undergo an extremely stressful event during the first trimester of pregnancy appear to have an increased risk for schizophrenia

妊娠の最初の3ヵ月間に極端にストレスの多い出来事を経験した母親の子供は統合失調症のリスクが高いようである、とArchives of General Psychiatry 2月号に掲載された。デンマークの研究者らは138万例の出生および様々な角度から検討した死亡や疾病の登録データを評価した。21,987人の子供の母親は妊娠中に近い親類の死亡を経験し、14,206人の子供の母親は親類の重篤な病気を経験した。7,331人の小児が統合失調症を発症した。統合失調症およびそれに関連した疾患のリスクは、妊娠の最初の3ヵ月間に近い親類が死亡した母親の子供において67%高かった。しかし、他の妊娠期間における親類の死亡はリスクに影響せず、親類の重篤な病気も影響しなかった。家族の死亡と統合失調症のリスクは精神疾患の家族歴がない場合にのみ有意に認められた。

 

マリファナの禁断症状はいらいらや不眠などの症状の点でタバコの禁断症状に類似している  [2008-02-05]

Withdrawal from marijuana appears to be similar to withdrawal from smoking cigarettes in terms of symptoms such as irritability and insomnia

マリファナ大量使用からの禁断症状は、いらいら、怒り、および不眠などの症状の点でタバコの禁断症状に類似している、とDrug and Alcohol Dependence 1月号に掲載された。この12週間のスタディでは、マリファナと煙草のヘビーユーザー12人(平均年齢28.2歳)を、確実な禁煙期間を無作為化し評価した。ベースラインで全ての対象者はマリファナを月25日以上、煙草を1日10本以上吸っていた。どの対象者も過去1ヵ月間に禁煙しようとしたり、他の禁じられている薬物を使用したりすることはなかった。また、向精神薬を内服したり精神疾患を有する者もいなかった。このようにして煙草およびマリファナの禁断症状を同じ対象者が報告した。症状の類似性に加え、研究者らは、約半数の参加者が煙草とマリファナのどちらかをやめるよりも両方をやめる方が容易であると感じたことを明らかにした。しかし、残りの半数は片方ずつやめる方が容易であると感じていた。

 

世界的に10代の注意欠陥多動性障害有病率が上昇しているのは、おそらく薬物療法が広く使用されているかいないかには関係ない [2008-02-05]

International prevalence rates of attention deficit hyperactivity disorder in teens are probably similar regardless of whether medication is widely used

フィンランドの10代と米国の10代を比較した結果、青少年における注意欠陥多動性障害の症状および有病率は、薬物療法が広く行われているかあるいはまれであるかに関わらず、おそらく同等であろう、とJournal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry 12月号に掲載された。このスタディは1986年に開始され、北フィンランドの小児9,432人を妊娠中から青年期(16〜18歳)まで追跡した。6,622人の青少年の中で障害と思われる457人の集団とコントロールにおいて注意欠陥多動性障害および他の精神疾患について評価した。これらの青少年における障害の有病率は8.5%であり、男女比は5.7対1であった。スタディの結果、症状が年齢とともに注意欠陥優位へと変わることが確認された。興味深いことに予期された認知障害は注意欠陥多動性障害と診断された青少年のうち約半分にしか認められなかった。

 


 

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