精神障害のハイリスクの若者は、彼らが診断閾値に達する前に検出できるとArchives of General Psychiatry 1月号に掲載された。研究者らは統合失調症前駆症状の構造化面接の診断基準に当てはまる、治療法を探している患者291人(平均年齢16歳)を評価した。30ヵ月の間に、リスクファクターを有する患者の35%が精神障害を発症した。リスクファクターを3つか4つ有する者のうち精神障害を発症する確率はリスクファクターの組み合わせにより68〜80%であった。リスクファクターには、社会機能の低下、精神障害の家族歴と最近の学習力などの全体機能の低下の合併、異常な思考、過度な疑い/パラノイア、および過去または現在の薬物乱用などが含まれた。リスクファクターを有さないコントロール134人の中に精神障害を発症した者はいなかった。若者における精神障害は比較的早期に発症した。22%が12ヵ月以内に、さらに11%が24ヵ月以内、3%以上が30ヵ月以内に精神障害が認められた。
生活習慣の改善および糖尿病治療薬メトフォルミンは、特に併用した場合に、抗精神病薬治療に伴う体重増加に対し有効である、とJournal of the American
Medical Association 1月9日号に掲載された。この中国のスタディでは統合失調症の成人患者128人を評価した。抗精神病薬内服前の体重から10%を超えて増加した患者を、プラセボ、メトフォルミン1日750mg、メトフォルミンと生活習慣改善療法の併用、生活習慣改善療法のみの4群のいずれかに無作為に割り付けた。生活習慣改善療法には、心理−教育、食事、および運動療法が含まれた。生活習慣改善やメトフォルミン単独および併用療法はいずれも抗精神病薬による体重増加に対し有効であったが、最も効果が認められたのは併用療法であった。メトフォルミン単独療法は生活習慣改善単独よりも体重増加に対し有効であり、インスリン感受性を改善した。
エタネルセプトを脊髄周囲に注射することにより投与数分後にアルツハイマー病の症状が劇的に改善し効果が持続する、とJournal of Neuroinflammation
1月9日号に掲載された。エタネルセプトは、脳の免疫系において重要な役割を果たし、また神経インパルスの調節にも寄与しているサイトカインである腫瘍壊死因子α(TNFα)に結合し不活化させる。アルツハイマー病患者の脳脊髄液中のTNFαが過剰であることが報告されている。この論文ではある1人の患者について詳細が述べられているが、他の多くの軽症〜中等症のアルツハイマー病患者もこの治療を受け全員が持続性の著明な改善を示した。論評では、実験レベルと臨床レベル両方でのさらなる研究を速やかに行うよう呼びかけている。この論文はhttp://www.jneuroinflammation.comで、オンライン閲覧できる。
機能的磁気共鳴画像の結果、依存症を有する人々は、短期間に遂行することを衝動的に選択することではなく長期的結果に基づく意思決定において認知上の困難を有する可能性がある、とJournal
of Neuroscience 12月号に掲載された。研究者らは、19人のボランティア(禁酒中のアルコール症9人、薬物乱用歴のない成人10人)が小額ずつの金銭を直ちに欲しいか、あるいは1ヵ月分をまとめて後で欲しいかについて解答している間に評価した。アルコール症の人々は背側前頭前野および頭頂葉の活動性が高く、この高い活動性は直ちに得られる報酬を選ぶ傾向と関連があった。依存症の人々は健康な対照者と比較し「直ちに」得られる報酬を選択する確率がほぼ3倍高かった。ジェノタイピングとさらに5人の人々を評価した結果、バリンCOMT対立遺伝子(脳内ドパミンレベル低下と関連)をホモ接合体で有する人々は、脳のある部位の活動性増加および衝動的な「その場で」の報酬を選ぶ傾向にあった。
パーキンソン病患者の第一度近親はうつ病および不安障害を発症するリスクが高いようである、とArchives of General Psychiatry
12月号に掲載された。研究者らは、この研究を施行したメディカルセンター周辺地域に居住するパーキンソン病患者162人の第一度近親1,000人を評価した。さらに彼らは、同じ人口集団でマッチさせた対照群147人の第一度近親850人を評価した。全ての精神学的診断は個々に確認した。研究者らは、うつ病および不安障害のリスクが対照群と比較し患者の近親において有意に高いことを見出した。パーキンソン病を75歳以前に発症した患者の近親者において、リスクが最も高かった。パーキンソン病を発症または、うつ病と不安障害の両者を有する近親者は除外した。家族において発病しやすいのが遺伝子によるものか、全く環境によるものなのか、あるいは両者によるものかを、さらなる研究により明らかにすることが必要である。