関節炎の治療とがんのリスク (American College of Rheumatology)

 11月17日、25日のDOL NewsはAHA特集のため、Oncologyニュースは
  お休みさせていただきました。



葉酸やビタミンB群はがんのリスクには影響しないようである [2008-11-11]  
Folic acid, B vitamins do not appear to affect cancer risk

葉酸およびビタミンB6 とB12の組み合わせの補充を毎日行っても心血管疾患の高リスク女性におけるがんのリスクには影響しないようである、とJAMA 11月5日号に掲載された。The Women’s Antioxidant and Folic Acid Cardiovascular Study(女性における抗酸化物質および葉酸と心血管疾患のスタディ)では、心血管疾患の既往または冠動脈リスクファクターが3個以上ある42歳以上の女性5,442人を、葉酸(2.5mg)、ビタミンB6(50mg)、およびビタミンB12(1mg)の組み合わせまたはそれにマッチさせたプラセボ(2,721人)を毎日内服する群に無作為に割り付けた。実薬群の女性の浸潤がん、乳がん、または他のがん死のリスクはプラセボ群と比較し同等であった。現在のマルチビタミンサプリメントや葉酸、ビタミンB6およびビタミンB12の摂取量、またはベースライン時点でのがんの既往による差はなかった。スタディ登録時点で65歳以上であった女性においてはビタミンB群摂取による全ての浸潤がんおよび乳がんのリスク低下が認められたが、若年女性(40〜54歳または55〜64歳)においては認められなかった。

積極的なテーラーメード治療により腎がんの生存率が上昇する [2008-11-11]
Aggressive, personalized treatment results in increased survival rates in kidney cancer

過去15年間に腎がんの治療をされた患者1,500人近くを対象としたスタディの結果、積極的なテーラーメイド治療により生存率が上昇し、また、腎がん患者は異なる経過をとるいくつかの群に分類できそれぞれに従った治療が必要であることが明らかになった。UCLAで開発された統合ステージングシステムを用いることにより、研究者らはどの限局性がん患者または転移がん患者が低、中等度、および高リスク群であるかを見極めることができた。スタディの結果、低リスクの限局性腎がん患者は手術のみで治療可能であり予後は非常によいことが示された。しかし、高リスクの限局性腎がん患者は手術のみでは不十分であると考えられた。転移性がん患者においては、低リスクの患者では治療が有効な可能性があるため非常に積極的な治療が必要である。高リスクの転移性がん患者は治療による効果は多少あってもあまり期待できず、手術なしで済ませるか、toxicな療法がある。このスタディ結果はCancer誌 2008年11月号に掲載される。

スタディの結果26の遺伝子変異が最も一般的な肺がんに関連していることが示された [2008-11-04]
Study finds 26 gene mutations linked to most common lung cancer

遺伝子の広範な解析の結果、26の変異が肺腺がんと関連していることが明らかとなり、この結果により、最も一般的な肺がんに関連した遺伝子の数が倍となったとNature 10月23日号に報告された。この国際チームは188人の肺がん患者から得られた623の遺伝子を解読し、それを同じ患者から得た正常組織の遺伝子と比較した。その結果、腫瘍内において最も一般的に変化している26の遺伝子を発見した。これらの多くは過去には肺がんとの関連は報告されておらず他の腫瘍との関連を示唆されていた。この新たな遺伝子には、神経および脳の腫瘍のリスクを上昇させることで知られる神経線維腫症1型、白血病やリンパ腫と関連する毛細血管拡張性失調症の原因遺伝子(ATM)、小児期のまれな眼のがんに関連した網膜芽細胞腫1、および大腸がんにおいて一般的な大腸腺腫様ポリポーシス(APC)の変異が含まれた。変異遺伝子の多くはまた、同じ生物学的経路を共有していた。例えば、70%を超える腫瘍が分裂促進因子活性化蛋白キナーゼ(MAPK)経路に影響を与える変異を少なくとも1つ有しており、これは肺がんにおいて極めて重要な役割を果たしていることを意味する。

関節リウマチに対する抗TNF療法はがんのリスクを上昇させないようである [2008-11-04]
Anti-TNF therapies for rheumatoid arthritis apparently not associated with increased cancer risk

関節リウマチ(RA)に対する抗TNF療法はがんを発現させないようであるとの研究結果がAmerican College of Rheumatology学会で発表された。スペインの研究者らは近年、2001年に確立された薬物治療登録簿BIOBADASERに注目した。2007年12月の段階でこの登録簿にはTNF阻害薬で治療されたRA患者4,529人が登録されていた。これらの患者と1999〜2005年に追跡されたBIOBADASERに登録されていない第二のグループを調査し、TNF阻害薬で治療されたRA患者とTNF阻害薬で治療されていない患者におけるがん発現率を評価した。計14,001観察人年(BIOBADASER群11,758人および第二グループ2,243人)を経過観察した結果、コントロール群において29例およびTNF治療群において70例のがん症例が認められた。年齢、性別、罹病期間、および疾患活動性で補正した結果、TNF阻害薬治療群におけるがん発症率はTNF阻害薬非治療群のそれと非常に近く(0.92)、その結果彼らは、TNF阻害薬の使用によってがん発現のリスクは上昇しないと結論付けた。



 

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