スタディの結果、放射免疫療法は低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫の治療法となる可能性が示された [2008-10-28]  
Study demonstrates potential of radioimmunotherapy for treatment of indolent B-cell non-Hodgkin's lymphoma

First-line Indolent Trial(FIT)の結果、イブリツモマブ チウキセタン(ゼヴァリン)をCD-2陽性濾胞性非ホジキンリンパ腫患者にファーストライン地固め療法として使用したところ、無増悪生存期間中央値を改善することが示された。ゼヴァリンは無増悪生存期間を13.3ヵ月(コントロール群)から36.5ヵ月(治療群)に有意に改善した(p<0.0001)。この有益性は患者が部分寛解(29.3対6.2 ヵ月、ゼヴァリン無使用と比較しp<0.0001)または完全寛解(53.9対29.5ヵ月、p=0.0154)に関わらず認められた。このPhase IIIトライアルはJournal of Clinical Oncologyに掲載された。この薬剤をファーストライン地固め療法として使用することにより77%の患者が導入療法後の部分寛解から完全寛解または不確定完全寛解のいずれかを示した。イブリツモマブ チウキセタンによる放射免疫療法により完全奏効率は87%であり無増悪生存期間は約2年間延長した。予後スコアに関係なく、ほぼ全員にとって有益であった。この薬剤の忍容性は良好である。

胸部スキャンは頭頸部がんハイリスク患者のがんの拡がりをモニターするのに役立つ可能性がある [2008-10-28]
Chest scans may help monitor spread of head and neck cancer in high-risk patients

頭頸部がんハイリスク患者において、胸部コンピューター断層撮影(CT)は肺へのがんの進行を検出するのに役立つ可能性がある、とArchives of Otolaryngology-Head & Neck Surgery 10月号に掲載された。台湾の研究者らは頭頸部扁平上皮がん患者192人のスクリーニング胸部CTスキャン270例を評価した。スキャンは新規、経過観察または再発例に分類し、結果は正常または異常に分類した。270のスキャンのうち、79例(29.3%)は異常と考えられ、そのうち54例(20%)は肺の悪性新生物と診断され、25例(9.3%)は不確定な異常とされた。スキャン結果が異常であったのは新規症例群(14.2%)よりも経過観察群(44.2%)で有意に多かった。Stage N2またはN3のがんと分類された患者、stage IVの患者、再発または他の部位に遠隔転移のある患者は肺に悪性新生物を有する確率が高かった。経過観察のスキャンにおける進行性病変に基づくと、不確定病変の44%が最終的には肺の悪性新生物と考えられた。小さな(1cm未満)単結節は悪性新生物である可能性が高かった(66.7%)。

新たな、小型の、超高感度内視鏡プローブにより悪性ポリープと良性ポリープが鑑別できる [2008-10-21]
New, tiny, super-sensitive endoscopic probe differentiates benign from malignant polyps

American College of Gastroenterology学会のランドマークスタディの結果によると、将来的には仮想生検により、がんでないまたは将来がんにならないであろう大腸ポリープの不必要な切除を避けることができると考えられている。研究者らは共焦点レーザー内視顕微鏡(pCLE)は良性または無害なポリープを90%の精度で同定できることを明らかにした。pCLEシステムは、通常の内視鏡を通過でき1ミクロンほどの小さな構造まで見ることのできる径2mmの光ファイバープローブであり、筆者らはこの内視鏡を「体内に置けるミニチュアの顕微鏡」と表現した。光学フィルタを用いて組織の広い部位をみるフジノン画像処理システム(FICE)と比較した。病理学者の切除したポリープの検査に両方の画像処理システムを試みた。38人の患者の計57個のポリープを検査した。FICE技術は57個中41個を良性と診断したのに対し、pLCEは51個の良性病変を選び出した。さらに開発することによりpCLEはほぼ100%の精度に達するであろう、と研究者らは述べている。

ルーチンの大腸がんスクリーニングは75歳を超えた患者では中止可能である [2008-10-21]
Routine colorectal cancer screenings can be stopped in patients over the age of 75

US Preventative Services Task Force(USPSTF)の決定分析から得られ、Annals of Internal Medicine 2008年10月7日号オンライン版に掲載された新知見では、75歳を超えた患者は50歳以降のスクリーニング検査で陰性であった場合には大腸がんのスクリーニング検査は中止可能である。腺腫や大腸がんを有したことのある者は75歳以降もサーベイランスの必要がある。この勧告では、50〜75歳までは1年毎の高感度便潜血検査(FOBT)、10年ごとの大腸内視鏡検査、または5年ごとのS状結腸内視鏡検査とその間のFOBTの施行を支持している。2008年に勧告をアップデートするにあたりUSPSTFは勧告を通知するために、開始年齢、中止年齢、およびグアヤックFOBT(低および高感度検査)、便免疫化学検査や軟性S状結腸内視鏡単独および高感度FOBTとの併用検査の間隔に関する145の異なるストラテジー(90の単検査ストラテジー、54の併用検査ストラテジー、および1つのスクリーニングなしのストラテジー)を考慮した決定分析により、様々な大腸がんスクリーニングストラテジーの予測される結果を見積もることを要望した。

肥満と結腸がんの遺伝子的な関連が初めて明らかになったことにより結腸がんのより良い検査が導き出される可能性がある [2008-10-14]  
First genetic link between obesity and colon cancer may lead to better testing for the disease

JAMA 9月30日号に掲載されたスタディで肥満と結腸がんリスクの遺伝子上の関連性が初めて明らかにされ、この結果から結腸がんの検査精度がさらに上がる可能性がある。この研究は、脂肪ホルモンアディポネクチンを形成するADIPOQ遺伝子に焦点を当てた。年齢や人種、民族が様々で、健康なボランティアおよび結腸がん患者を含む男女1,497人から血液検体を得た。その結果、ある一般的なADIPOQの遺伝子変異を有する家族は他の人々と比較し、結腸がんリスクが最大で30%低かった。筆者らは、この遺伝子変異を有さない人々または血液中のアディポネクチンレベルが不健康に低い人々は早期に大腸検査を受けることが有益でありうる、と結論付けている。この変異を有さない人々が食事や運動など、がん予防のための生活習慣の変更により利益が得られるかどうかを確認する、さらなるスタディが必要である。

アスコルビン酸のサプリメントは多くの種類の化学療法薬の利益を減少させる可能性がある [2008-10-14]  
Ascorbic acid supplements may reduce benefit from wide range of chemotherapy drugs

アスコルビン酸は化学療法の有効性を減少させる可能性がある、との前臨床試験結果がCancer Research 10月1日号に掲載された。米国の研究者らは、細胞内に取り込まれる形状のアスコルビン酸であるデヒドロアスコルビン酸(DHA)で前処理した実験室のがん細胞に対する様々な種類の薬物の効果を検査した。細胞がビタミンCで処理されていると、グリベックのような分子標的薬を含む全ての薬物は、処理されていないがん細胞に対するほど効果がなかった。細胞培養の実験ではビタミンCで処理されることにより、薬剤により死滅したがん細胞は検査した薬剤の種類により30〜70%少なかった。さらに、この結果をマウスに埋め込んだがん細胞で確認したところ、化学療法はビタミンCで処理されていないがんを抑制したのに対し、ビタミンCで前処理されたがんを埋め込まれたマウスにおいて、がんは急速に成長した。ビタミンCががん細胞を防御するメカニズムを詳しく調査した結果、ビタミンCが酸素フリーラジカルを阻害するからではなく、DHAががん細胞の損傷されたミトコンドリアの生存能力を回復させ、アポトーシスを阻害しているためであることを明らかにした。

アディポネクチンおよびアディポネクチン受容体1遺伝子の多型は大腸がんリスクを軽減する [2008-10-07]  
Variations of the adiponectin and adiponectin receptor 1 genes associated with decreased risk of colorectal cancer

脂肪細胞から分泌されるある蛋白ホルモンの遺伝子多型により大腸がんリスクが軽減する、とJAMA 10月1日号に掲載された。2つのケースコントロールスタディから成るこのスタディは、アディポネクチン遺伝子多型(ADIPOQ)およびアディポネクチン受容体1(ADIPOR1)と大腸がんリスクとの関連を明らかするために行われた。最初のケースコントロールスタディはアシュケナージ系ユダヤ人を先祖にもつニューヨーク出身の大腸がん患者441人とコントロール658人を対象とした。もう1つのケースコントロールスタディはシカゴ出身の大腸がん患者199人と、性別、年齢および民族性を1:1でマッチさせたコントロール199人を対象とした。研究者らは、年齢、性別および他の一塩基多型(SNP)補正後に2つのスタディの結果を合わせて解析した結果のみならず、別々のケースコントロールスタディそれぞれにおいても、ADIPOQ 遺伝子(rs266729)のあるSNPと大腸がんのリスクに関連があることを明らかにした。この結果から、ADIPOQ遺伝子は大腸がんリスクを調整するSNP/mutationを隠しもっている可能性のあることが示唆された。

メチル化レベルがグリオブラストーマ患者の生存を左右する [2008-10-07]  
Methylation levels key to glioblastoma survival

グリオブラストーマ患者の遺伝子発現を解析したスタディの結果、精密検査を行うと、よく見られる致死的な脳腫瘍が全て同じではないようであるとAmerican Association for Cancer Research (AACR) Molecular Diagnostics in Cancer Therapeutic Development meetingで発表された。研究者らは全体のメチル化、またはDNAの化学的変化の異なる腫瘍の3つのサブグループを発見した。1つのグループの腫瘍は著明なメチル化を示し、もう1つのグループの腫瘍はメチル化レベルが非常に低かった。これら二群とも患者の予後は不良であり、生存期間中央値は診断後47〜54週間であり、2年を超えて生存する確率は20%未満であった。しかし、三番目のグループの腫瘍はCpG islandとして知られるDNAの過剰または過少メチル化を特徴とした。この3番目の混合グループはまた、他の群ではメチル化されていないある遺伝子群のメチル化を示した。このグループの患者は全生存期間が有意に長かった−診断後生存期間中央値は99週間であり2年を超えて生存する確率は50%であった。



 

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