前立腺がんの生存率改善
(American Society for Therapeutic Radiology and Oncology's [ASTRO])
 
 
 
非喫煙肺がん患者の治療
(33rd Congress of the European Society for Medical Oncology)
 
 

 9月9日、16日のDOL NewsはESC特集のため、Oncologyニュースは
  お休みさせていただきました。



ホルモン療法に放射線治療を追加することにより局所進行前立腺がん患者の生存率が上昇する [2008-09-30]  
Radiation added to hormone therapy increases survival for men with locally advanced prostate cancer

局所進行前立腺がん患者に対し抗アンドロゲン療法に放射線治療を追加することにより抗アンドロゲン療法のみと比較し前立腺がん死リスクが50%低下する、との無作為化スタディの結果が第50回American Society for Therapeutic Radiology and Oncology's(ASTRO)学会で発表された。局所進行前立腺がん患者880人を、3ヵ月間の総括的アンドロゲン遮断療法の後に抗アンドロゲン療法を継続する群またはアンドロゲン療法後に放射線療法を受ける群に無作為に割り付けた。ホルモン療法のみを受けた患者の18%が死亡したのに対し、ホルモン療法と放射線療法の両者を受けた患者のうち死亡したのは9%であった。治療後4年のQOLは、併用療法群患者の社会的機能が低下した以外は両群間で同等であった。このスタディは、局所進行前立腺がん患者は治療プランに放射線療法を追加することにより実質的に生存期間が延長することを示した、初めてのものである。

診断1年後の身体的健康スコアの自己報告により頭頸部がん患者の長期生存期間が予測できる可能性がある [2008-09-30]
Self-reported physical health scores after one year may predict long-term survival in patients with head and neck cancer

頭頸部がんと診断された後1年間の身体的健康状態の変化により5年後の生存が予測できるようである、とArchives of Otolaryngology-Head & Neck Surgery 9月号に掲載された。研究者らは、1995〜2005年の間に頭頸部がんと診断された患者403人(男性64%、平均年齢58.7歳)を調査した。参加者は診断時および3、6、9、12ヵ月後に総合的な健康診断を受け、5年間追跡調査された。全ての患者において診断から3ヵ月後の健康評価は低下した。2または3年目に死亡した者においてはスコアに回復が認められず、4または5年目に死亡した者においては多少の回復が認められ、5年以上生存した者においては12ヵ月後には最初のスコアに近づいた。この結果を考慮すると、TNMステージングに全体的な健康評価を加えることは、がんの予後をより詳細に区別する有用な手段となりうるであろう。

乳がんの評価にMRIスキャンをルーチンで使用することにより治療が遅れ乳房切除術施行率が上昇する [2008-09-22]  
Routine use of MRI scans to evaluate breast cancer linked to delays in treatment and increased mastectomy rates

新たに乳がんと診断され診断後にMRI検査を受けた女性は、治療の開始が遅れ乳房切除術を施行される確率が高くなると2008年ASCO乳がんシンポジウムで発表された。またこのスタディの結果、その有益性のエビデンスはないにもかかわらずルーチンのMRI検査は2004年から2005年の間に有意に増加し(OR 2.2、p=0.014)、2006年にさらに増加(OR 2.7、p=0.002)したことも示された。このスタディの対象となった患者577人のうち130人(22.4%)は治療前にMRI検査を受けた。MRI検査を受けた患者は受けなかった患者よりも若かった(平均年齢52.4歳対58.8歳、p<0.001)が、この検査の施行と乳がんまたは卵巣がんの家族歴、病状、または組織・サイズ・ステージなどの腫瘍の特徴とは関連がなかった。MRI施行により術前評価完了が24.6日遅延した(p=0.009)。腫瘍サイズおよびステージで補正後の術前MRI施行の乳房切除術に対するオッズ比は1.97であった(p=0.12)。乳房MRIはルーチンに用いるべきではなく、MRIの限界と適切な使用法の定義付けにより力を注ぐ必要がある、と筆者らは述べている。

ゲフィチニブはアジア人の非喫煙肺腺がん患者に有望な治療であることが示された [2008-09-22]
Gefitinib shown as promising treatment in Asian nonsmokers with adenocarcinoma of the lung

アジア人の非喫煙肺腺がん患者のファーストライン治療としてゲフィチニブによる標的治療を考慮すべきである、と第33回European Society for Medical Oncology学会で発表された。7つのアジアの国々で施行されたスタディにおいて、化学療法を受けたことのない、喫煙歴の全くないか過去に少量喫煙歴のある進行非小細胞肺がん(ステージIIIB/IV)患者1,217人を、ゲフィチニブ1日250mg(609人)またはカルボプラチンとパクリタキセルの併用200mg/m2(608人)を受ける群に無作為に割り付けた。22ヵ月の経過観察期間中、ゲフィチニブ群の453人(74.4%)に病勢進行が見られたのに対し、併用群では497人(81.7%)であった(HR=0.74; 95% CI=0.65〜0.85; p<0.0001)。さらに、患者が記録したQOLに関するスコアはゲフィチニブ群においてカルボプラチン/パクリタキセル併用群よりも有意に高かった(p=0.0148)。これらの結果から、臨床的に選択された患者群(肺腺がんを有する非/軽度−喫煙者)の標準的なファーストライン治療としてのゲフィチニブの役割が確立されるであろう。

ゾレドロン酸は乳がんに対し化学療法を施行されている閉経前女性の骨量減少を予防する [2008-09-02]  
Zoledronic acid prevents bone loss in premenopausal women undergoing chemotherapy for breast cancer

骨粗鬆症治療薬ゾレドロン酸は、早期乳がんに対する術後化学療法を施行されている閉経前女性の12ヵ月時点での骨量減少を予防するとのスタディ結果が、Journal of Clinical Oncologyオンライン版8月18日号に掲載された。101人の患者が登録され、85人がゾレドロン酸またはプラセボによる治療を3ヵ月ごと1年間にわたって比較された多施設phase IIIトライアルが終了した。トライアルに参加した全ての患者が経口ビタミンDおよびカルシウムの補充を受けた。骨量減少の主な計測項目は6ヵ月後と12ヵ月後の下部脊椎および骨盤のスキャンにより計測された骨密度(BMD)であった。スキャンは化学療法前および6ヵ月後と12ヵ月後に施行された。ゾレドロン酸を投与された患者の6ヵ月後および12ヵ月後のBMDには変化がなかった。プラセボを投与された患者のBMDは有意に低下した:脊椎では6ヵ月後に2.4%、12ヵ月後に4.1%の低下。骨盤では6ヵ月後に0.8%、12ヵ月後に2.6%の低下。副作用は両群間で有意差はなかった。

ラットのグリオブラストーマモデルにおいて血管新生阻害薬は腫瘍を縮小させ生存期間を延長させる [2008-09-02]  
Angiogenesis inhibitors shrink tumors and prolong survival in rat model of glioblastoma

グリオブラストーマ様腫瘍を有するラットの脳の特定の脂肪酸を阻害する薬剤は、血管新生を減少させ腫瘍サイズを劇的に縮小させるのみならず生存期間も延長させる、とJournal of Cerebral Blood Flow & Metabolism 8月号に掲載された。研究者らは、腫瘍を誘発させたラットを3群に分け、うち2群には17-ODYAまたはミコナゾールのいずれかの阻害薬を使用し脂肪酸CYPエポキシゲナーゼを阻害、コントロール群にはプラセボを投与し、3群を比較した。薬物は、miniature osmotic pumpおよびburr holeを介して、長期にわたり腫瘍内に直接注入された。ヒトに使用されるものと類似のpumpは皮膚の直下に埋めこまれた。コントロール群と比較し、薬物注入群の腫瘍サイズは平均50〜70%減少し、生存期間は5〜7日間延長した。この日数はヒトの生存期間では3〜4ヵ月に匹敵する。



 

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