Tiboloneは高齢女性における骨折および乳がんリスクを低下させるが脳卒中のリスクを上昇させる [2008-08-26]  
Tibolone reduces risk of fractures and breast cancer but increases risk of stroke in older women

Tiboloneは高齢女性における骨折および乳がんリスクを低下させるが脳卒中のリスクを上昇させる、とのスタディ結果がNew England Journal of Medicine 8月14日号に掲載された。22ヵ国の女性4,538人(60〜85歳)をtibolone 1日1.25mgまたはプラセボを内服する群に無作為に割り付けた。Tibolone投与群の患者においては脊椎圧迫骨折リスクが45%、他の部位の骨折リスクが26%低下した。さらにtiboloneはタモキシフェンまたはラロキシフェンと同等に乳がんリスクを低下させ結腸がんリスクも低下させた。しかし、この薬剤には有意な副作用が認められた。つまり、tiboloneを内服した女性はプラセボを内服した女性と比較し、脳卒中のリスクが年間1,000人当たり2.3例多く、脳卒中のリスクが倍であった。Tiboloneは現在更年期障害に対し90ヵ国、骨粗鬆症予防に対し45ヵ国で承認されている。

TGFBR1遺伝子の微細な違いが結腸がん症例の10%の原因である可能性がある [2008-08-26]
A subtle difference in the activity of the TGFBR1 gene may be responsible for 10 percent of colon-cancer cases

結腸がん10例中1例はある一対の遺伝子の微細な違いが原因である可能性があるとのスタディ結果がAAAS Science Expressウェブサイト8月13日号に掲載され、Science誌に掲載予定である。米国の研究者らは、ひとつのtransforming growth factor beta receptor 1 (TGFBR1)遺伝子を他と区別する遺伝子マーカーを有する結腸がん患者138人の白血球を解析した。これらの患者のうち29症例において2つの遺伝子のうち1つが他より少なくとも3分の1活性が低く、この活性レベルの差は蛋白の正常機能を障害するレベルであることが他の実験において示されている。非結腸がん患者に関してもコントロールとして検査したところ、2つの遺伝子発現の差が3分の1あったものは3人しかいなかった。今回の研究は、この特定の遺伝子が結腸がんの原因であることを決定的とした初めてのものであり、この結果により結腸がんスクリーニングの新たな方法が開発される可能性がある。

実験的な化学療法は進行非小細胞肺がんの治療に有望である [2008-08-19]  
Experimental chemotherapy regimen shows promise in treating advanced non-small cell lung cancer

他の腫瘍タイプに試された化学療法剤の併用は進行非小細胞肺がんの標準治療の有望な代替治療になりうる、との日本人研究者による研究結果がClinical Cancer Research 8月15日号に掲載された。56人の患者を対象としたこのphase II多施設研究において、S-1(TS-1としても知られる)とイリノテカンの併用療法による奏効率は28%であり、無増悪生存期間中央値は4.9ヵ月、全生存期間中央値は15ヵ月であった。これらの結果は、奏効率が17〜33%、疾患進行までの期間または無増悪生存期間中央値が3〜5ヵ月、全生存期間中央値が7〜14ヵ月と報告されたプラチナ製剤をベースとした2剤併用化学療法に関する過去のスタディの結果と比べ遜色のないものであった。このスタディはシングルアームであったため研究者らは、この治療法がより有益なものであるとは言い切れないとしている。しかし副作用は標準的なプラチナ製剤治療で一般的に見られるものよりもはるかに軽度であった。

実験研究の結果、methadoneは治療不能な白血病の抵抗性を打破することが示された [2008-08-19]  
Laboratory study shows methadone breaks resistance in untreatable forms of leukemia

ドイツの研究者らはmethadoneが非抵抗性白血病細胞に対し標準的な化学療法と放射線療法の併用と同様に有効であり、末梢血非白血病性リンパ球はmethadone治療後にも生き残ることを発見したとの実験結果がCancer Research 8月1日号に掲載された。Methadoneの作用のメカニズムを調査する際に研究者らは、methadoneが、細胞のアポトーシスを促進する白血病細胞中のミトコンドリアパスウェイを活性化するカスパーゼと呼ばれる酵素を活性化することを明らかにした。化学療法剤は同じアプローチ法をとっているが、メサドンは感受性白血病細胞内のカスパーゼを活性化し抵抗性白血病細胞内の不足したカスパーゼ作用を回復させた。このスタディでは白血病細胞を死滅させる一回用量はオピオイド依存症治療に使用する用量より多かったが、研究者らはその後低い一日用量で同様の効果を得られることを明らかにした。この結果からmethadoneは、特に化学療法および放射線療法ではもはや奏功しない患者に対する新たな治療法として有望であることが示唆された。

進行肝がん患者はsorafenibを内服することにより生存期間が延長する [2008-08-05]  
Advanced liver cancer patients live longer taking sorafenib

Sorafenibの内服により内服しない患者と比較し進行肝がん患者の生存期間が約44%延長する、とNew England Journal of Medicine 7月23日号に掲載された。研究者らは、未治療の肝がん患者を400mgのsorafenibを1日2回内服する群(299人)またはプラセボ群(303人)に無作為に割り付け、全生存期間および無進行期間を調査した。内服群の患者の生存期間中央値が10.7ヵ月であったのに対し、プラセボ内服群のそれは7.9ヵ月であった。無進行期間もまた実薬群で有意に長かった(5.5ヵ月対2.8ヵ月)。有害事象発現率は2群間で同等であった(sorafenib群52%、プラセボ群54%)。明確な結果が得られたためスタディは早期に終了された。

PET-CTスキャナーは二次性頭頸部がん検出のスタンドアローンの検査となりうる [2008-08-05]  
PET-CT scanner as stand-alone tool to detect secondary head and neck cancers

陽電子放射断層法/コンピュータ断層法(PET-CT)は、頭頸部がん患者の5〜10%に発生する二次性がんを検出するスタンドアローンの検査になりえ、早期診断および治療につながる可能性がある、と第7回International Conference on Head and Neck Cancerで発表された。PET-CTスキャンが一般的な検査と同様に有用であるかを調査するために、Saint Louis大学医学部の研究者らが77人の画像を評価したところ、4人に二次性がんが、1人に原発性がんが発見された。この検査の検出率(7%)は過去のスタディと同等であった(5〜10%)。今回のスタディは頭頸部がん患者のみに焦点を当てたが、研究者らは、この検査は他のがんにも適用できるであろうと述べている。



 

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