PTOV1遺伝子発現増加は高悪性度前立腺上皮内腫瘍から前立腺がんへの進行のハイリスクである、とClinical Cancer Research 5月1日号に掲載された。研究者らは、前立腺摘除術を施行されその前に上皮内腫瘍の診断をされていた前立腺がん患者79人、膀胱がんにより健常な前立腺を摘出された患者11人、および上皮内腫瘍と診断されたが前立腺がんではない50人の病変を解析した。患者らはそれぞれ2000〜2004年の間に平均2.5回のバイオプシーを施行された。蛋白を発現する細胞数と発現強度に基づくスコアリングシステムを作成した結果、スコアが100以上であるとその後のバイオプシーでがんである可能性が90%であり、スコアが100未満であるとバイオプシーの結果が陰性である可能性が95%であることを見出した。筆者らはさらに大規模のスタディを行い、今回の結果が確認できるのを待っている。
マンモグラフィーと超音波検査の併用により乳がんハイリスク患者における乳がん検出率は上昇するが偽陽性率も上昇する、とJournal of the American
Medical Association 5月14日号に掲載された。高濃度乳房を有する女性2,809人に併用検査法によるスクリーニングを行った結果、40人(41ヵ所)が、がんを有すると診断された。腫瘍のうち、8つは超音波およびマンモグラフィーで、12は超音波で、12はマンモグラフィーで疑われ、9つはいずれでも検出されなかった。併用検査による診断能は1,000人中11.8例であり、マンモグラフィーによるものは1,000人中7.6例であった。しかし、偽陽性率はマンモグラフィーで4.4%であったのに対し、併用検査スクリーニング法では10.4%であった。編集局は、ハイリスク女性における追加の検査としての磁気共鳴画像と超音波検査との比較に関しては未だ明らかではないが、リスクに関わらず全ての女性においてマンモグラフィーのみでスクリーニングを行う時代は終わりに近づいている、とコメントしている。
前立腺がん遺伝子3mRNA尿中スコアは前立腺がんの重症度と相関し、この検査により、積極的な治療よりも積極的な観察が有益な低悪性度または小型のがんの患者を選択するのに役立つ可能性がある、とJournal
of Urology 5月号に掲載された。研究者らは尿PCA3スコア(PCA3mRNAと前立腺特異抗原mRNAを基本としたもの)と前立腺全摘除術時の腫瘍容積および他の因子との相関を評価した。生検を予定された59人、および前立腺全摘除術を予定された83人から尿を採取した。96人の結果が評価可能であった。生検結果が陽性であった男性と陰性であった男性とではスコアに有意差が認められた。さらに、PCA3スコアは前立腺摘出で得られた腫瘍の容積およびGleasonスコア(6対7以上)と有意に相関した。解析の結果、PCA3は前立腺摘出術で得られた総腫瘍容積の最も優れた予測因子であった。
頬粘膜上皮は気管支上皮に見られるのと同様の喫煙による分子損傷を有するようである、とAmerican Association for Cancer Research学会で発表された。研究者らは慢性的な喫煙者125人から、3ヵ月間をおいて得た2組のサンプルを解析した。遺伝子p16は対象者の23%の肺でメチル化されており、FHITは17%において、2つの遺伝子のうち1つは35%においてメチル化されていた。この割合は口腔内組織においても同様であり、p16遺伝子は19%、FHITは15%、2つの遺伝子のうち1つは31%においてメチル化されていた。いずれかの遺伝子がメチル化されていると、口腔内サンプルのp16および/またはFHITプロモータ領域のメチル化を有する39人中37人(95%)が、少なくとももう1つの気管支上皮サンプルのプロモータ領域のメチル化を1つは有していた。これと比較し、頬粘膜サンプルでプロモータ領域のメチル化の認められない者86人においてペアサンプルのメチル化を有していたのは59人(69%)のみであった。
Celecoxibは結腸腺腫のリスクを軽減し一部の患者においては安全でありうる、とAmerican Association for Cancer Research学会で発表された。APCトライアルの5年間のデータ(治療3年間、フォローアップ2年間;患者2,035人)の結果、治療中のリスク軽減は維持されたことが示された。進行腺種はcelecoxib 400mgにより41%減少し、800mgにより26%減少した。3年後の減少率は400mgで55%であり、800mgで63%であった。5年間の心血管系有害事象発現率はcelecoxib投与群で持続的に高く、プラセボ群の3.8%と比較し、400mg投与群では6%であり800mg投与群では7.5%であった。しかし、発現率はベースラインの危険因子により異なった。危険因子を有さない者における発現率は0.9%(プラセボ)、3.9%(400mg)、1.9%(800mg)であった。ベースライン時の危険因子が1つであると発現率はそれぞれ2.2%、3.7%、4.9%であった。ベースライン時の危険因子が2つの場合でも、同様のパターンが認められた。
Sunitinibは肝細胞がん患者の原発腫瘍の進行を遅延させ転移のリスクを軽減させる、とAmerican Association for Cancer
Research学会で発表された。研究者らは進行肝がん患者34人に、4週間投与し2週間休む標準治療にsunitinibを1日37.5mg投与した。12週までに1人の患者では部分奏効が、17人の患者では疾患の安定が認められた。無増悪生存期間の中央値は4ヵ月であり、全生存期間中央値は10ヵ月であった。さらに、磁気共鳴画像を用いて腫瘍血管透過性を計測したところ、sunitinib治療の結果、血管透過性がベースラインと比較し40%低下していることが明らかになった。研究者らはまた、転移のリスク尺度となる可能性のある循環前駆細胞数がsunitinib治療により減少したことを見出した。
化学療法により貧血を発症する乳がん患者は、治療中のヘモグロビンが正常範囲である患者と比較し局所再発率が3倍近く高い、とClinical Cancer
Research 4月1日号に掲載された。研究者らはタモキシフェンによるアジュバント療法と併用化学療法を比較したあるトライアルのデータを解析した。化学療法を受けた閉経前の患者424人中、18.2%が化学療法完了3ヵ月後に貧血を発症した。フォローアップ中(中央値61ヵ月)に局所再発が39件認められ、そのうち6.9%は貧血のない患者においてであり19.5%は貧血のある患者においてであった。5年再発率は貧血のない患者で8.2%であり、貧血のある患者においては19.6%であった。貧血のない患者は貧血のある患者と比較し無再発生存期間が有意に長かったが、全無再発生存期間には差がなかった。患者らは引き続き経過観察される。タモキシフェン群は貧血出現率が非常に低かったため解析から除外された。