サルベージ放射線療法は前立腺全摘術後に前立腺特異抗原レベルの上昇した患者における前立腺がん死のリスクを有意に軽減する [208-02-26]  
Salvage radiotherapy significantly reduces risk of prostate-cancer death in men whose prostate-specific antigen level rises after radical prostatectomy

サルベージ放射線療法は前立腺全摘術後に前立腺特異抗原レベルの上昇した患者、特にそのレベルが半年未満で倍以上になった患者における前立腺がん死のリスクを有意に軽減する、と2008年 American Society of Clinical Oncologyの尿生殖器がんシンポジウムで発表された。研究者らは生化学的再発を来した男性635人のデータをレトロスペクティブに解析した。160人は放射線療法を、78人は放射線療法およびホルモン療法を受け、397人は追加治療を何も受けなかった。10年後、放射線療法患者の86%および併用療法患者の82%に、前立腺がん死はみられなかった。一方、サルベージ療法を受けなかった患者におけるその割合は62%であった。この結果は他の予後因子で補正した後も同様であった。研究者らはまた、前立腺がん特異的生存率は、生化学的再発が最初に認められて2年未満に放射線療法を施行した場合にのみ改善したことも明らかにした。

ほとんどの高齢早期前立腺がん患者は治療が必要ないか、がんが有意に進行する前に他の原因で死亡する [2008-02-26]  
Most older men with early-stage prostate cancer will not need treatment or will die of another cause before their cancer progresses significantly

ほとんどの高齢早期前立腺がん患者は治療が必要ないか、がんが有意に進行する前に他の原因で死亡すると2008年American Society of Clinical Oncologyの尿生殖器がんシンポジウムで発表された。研究者らはステージIまたはIIと診断され、診断後6ヵ月間手術、放射線療法、またはホルモン療法を受けなかった男性9,018人(年齢中央値77歳)を評価した。腫瘍は全般的に進行が遅かったが、おそらく、ほとんどの男性は前立腺特異抗原スクリーニングが広く普及した後に診断されたため早期に診断されるようになったことが原因と考えられる。約3人に2人が他の原因で死亡、または治療を必要とするようながんの進行を示さなかった。治療を受けた男性2,675人における治療開始時期までの中央値は10.6年であった。10年後、低または中悪性度の患者のうち3〜7%、高悪性度患者では23%が、がんで死亡した。

気管支内および経食道内視鏡的穿刺吸引細胞診は肺がんのステージングの上で経気管支的アプローチよりも優れている [2008-02-19]  
Endobronchial plus transesophageal endoscopic fine-needle aspiration appear to be superior to the transbronchial approach for staging lung cancer

気管支内および経食道内視鏡的超音波ガイド下穿刺吸引細胞診は、肺がんが疑われる患者における縦隔リンパ節のステージングの上で経気管支的アプローチよりも優れている、とJournal of the American Medical Association 2月6日号に掲載された。計138人の患者が3つの最小侵襲アプローチ(経気管支、経食道、および経気管支穿刺吸引細胞診)を1回の検査中に施行された。各々の検査を行う医師は他の検査の結果は知らされていなかった。全ての患者から、計42個の悪性リンパ節が検出された。気管支内および経食道内視鏡的アプローチの併用により93%(42個中39個)の悪性リンパ節が検出できた。他の推定感度は経食道アプローチで69%、気管支内アプローチで69%、経気管支アプローチで36%、経食道および経気管支併用で79%、気管支内および経気管支穿刺細胞診併用で76%であった。

前立腺がん患者の治療法別の予後予測法は多種類発見されているが治療で最良のものはない [2008-02-19]  
No one treatment is best for men with prostate cancer although a number of variables have been identified for predicting prognosis with different treatments

前立腺がん患者の治療で最良のものはない、とAnnals of Internal Medicine 2月4日号に掲載された。592の論文レビューにおいて、外科的完全切除、最小侵襲的前立腺切除、体外照射、小線源療法、寒冷療法、アンドロゲン除去療法、高密度超音波、および経過観察を比較した。あるスタディでは手術により死亡または転移のリスクが経過観察よりも低下するとの結果を得たが、この有益性は65歳未満の男性のみにおいて認められた。さらに、この結果が前立腺特異抗原のスクリーニングで診断された男性にも当てはまるか否かは不明であった。それより小規模のスタディでは手術と経過観察とでは差を認めなかった。前立腺除去術前のホルモン療法は生存率改善または再発軽減には寄与せず、有害事象のみ増加させた。放射線およびホルモン療法は死亡率を低下させる可能性はあるが、インポテンツおよび女性化乳房のリスクは放射線療法単独と比較し高い。

セレコキシブ/エルロチニブ併用療法の有効な進行非小細胞肺がん患者を予測できるバイオマーカーが開発された [2008-02-12]  
Biomarkers discovered that predict which patients with advanced non-small cell lung cancer will respond to the combination of celecoxib and erlotinib

研究者らはセレコキシブ/エルロチニブ併用療法の有効な進行非小細胞肺がん患者を予測できるバイオマーカーを開発した、とJournal of Thoracic Oncology 2月1日号に掲載された。この結果は、エルロチニブの無効なシクロオキシゲナーゼ2を過剰発現した細胞株の薬物感受性がセレコキシブにより復活したとの実験結果に基づいた、併用療法のphase I用量漸増スタディから得られたものである。この前期スタディでは予測されたよりも多くの患者において有効であった。約50%の患者において腫瘍サイズが30%以上縮小するか進行が抑制された。可能性のあるバイオマーカーのうち最も有望と思われるのはMMP-9であった;このバイオマーカーレベルの低い患者はこの治療法に対する反応が最も良好であった。可能性のある全てのバイオマーカーを評価する大規模なphase IIスタディが現在進行中である。

患者の不整形母斑を同時に評価するとメラノーマは視診で良性不整形母斑と区別可能な可能性がある [2008-02-12]  
Melanomas may be distinguishable visually from benign irregular skin moles when all of a patient's irregular moles are evaluated at the same time

患者の不整形母斑を同時に評価するとメラノーマは視診で良性不整形母斑と区別可能な可能性がある、とArchives of Dermatology 1月号に掲載された。ある主要なメディカルセンターの医療従事者計34人(色素性病変専門医8人、一般皮膚科医13人、皮膚科看護士5人、非臨床医療従事者8人)が、標準化画像データベースから得た12人の患者の背中の写真を見た。5個のメラノーマ全てと140個の良性病変のうち3つ(2.1%)のみを多くの者が明らかに異なると判断した。つまり、評価した者の3分の2がそれらを見た目が異なっていると判断した。全ての患者においてこの検査の感度は90%であり、つまり、90%のメラノーマは見た目が異なると判断された。色素性病変専門医における感度は100%、一般皮膚科医におけるそれは89%、看護士では88%であり、非臨床医療従事者では85%であった。

血液検査で検出できるバイオマーカー結腸がん特異抗原2は進行腺腫および大腸がんの早期発見に有用である可能性がある [2008-02-05]  
Blood-based biomarker colon cancer-specific antigen-2 may be useful for early detection of advanced adenomas and colorectal cancer

血液検査で検出できるバイオマーカー結腸がん特異抗原2(CCSA-2)は進行腺腫および大腸がんの早期発見に有用である可能性がある、と2008年消化器がんシンポジウム(Gastrointestinal Cancers Symposium)で発表された。研究者らは大腸ファイバーを施行された患者から得られた135検体を解析した。結果は、正常(24%)、前がん状態の腫瘍(ポリープ19%; 非進行腺腫29%; 進行腺腫14%)、大腸がん(14%)であった。良性疾患または他のタイプのがんを有する患者計125人も解析した。その結果研究者らは、バイオマーカーレベルと腺腫の大きさとの間に直接的な相関関係が認められることを明らかにした。バイオマーカーが最も高いレベルにあると進行腺腫および大腸がんが認められた。この検査の全体の特異度は80%であり感度は91%であった。今後大規模な検証試験が予定されている。

進行大腸がん患者でpanitumumabが有効なのは腫瘍のKRAS遺伝子が変異しておらず正常な場合のみである [2008-02-05]  
Patients with advanced colorectal cancer benefit from panitumumab only if they have the normal form of the KRAS gene in their tumors rather than a mutation

進行大腸がん患者でpanitumumabが有効なのは腫瘍のKRAS遺伝子が変異しておらず正常な場合のみである、と2008年消化器がんシンポジウム(Gastrointestinal Cancers Symposium)で発表された。このphase IIIスタディにはKRAS遺伝子の状態の分かっている患者427人が含まれ、そのうちの43%に変異が認められた。全ての患者は転移を有しており他の治療法は全て既に試みられていた。患者は最良の支持療法群、または最良の支持療法プラスpanitumumabによる治療群のいずれかに割り付けられた。Panitumumabで治療した際の無増悪生存期間中央値は正常遺伝子群で12.3週間であり、変異のある群では7.4週間であった。最良の支持療法群における無増悪生存期間中央値は、KRAS遺伝子の状態に関わらず7.3週間であった。正常なKRAS遺伝子を有しpanitumumab治療を受けた患者のうち、17%において腫瘍が縮小し、34%においてがんの進行が抑制された。KRAS遺伝子の変異を有しpanitumumab治療を受けた患者においては、腫瘍が縮小した者は一人もなく、進行が抑制されたのは12%に過ぎなかった。

 
 


 

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