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マイクロRNA分子のある特異的なパターンにより、たとえ疾患が早期であっても、肝細胞がんの転移リスクおよび生存期間を予測することが可能である [208-01-29]
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Specific pattern of microRNA molecules predicts risk of metastasis of hepatocellular
carcinoma and length of survival even when disease is in early stage |
遺伝子発現調整に関連したRNAのタイプであるマイクロRNAの解析により、肝細胞がんの転移リスクおよび患者の生存期間を正確に予測することが可能である、とHepatologyオンライン版1月7日号に掲載された。研究者らはマイクロアレイ法を用いて、転移を有するまたは有さない131人の中国人患者から採取した良性または悪性組織から得た数千の遺伝子の発現を調査した。ある特有な一組の20のマイクロRNAは転移のある腫瘍と転移のない腫瘍においては異なる発現パターンを示した。この遺伝子の発現プロファイルを用いて、研究者らは、転移性のマイクロRNAプロファイルを有する患者においては転移に関係したプロファイルを有さない患者と比較し、生存期間が短いリスクが倍であることを見出した。現在施行中の研究では、このマイクロRNAパターンを用いた診断および予後評価に焦点を当てるであろう。
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赤血球産生促進薬および注意欠陥障害に使用される中枢刺激薬によりがん患者の重度の倦怠感が改善する [2008-01-29]
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Promoters
of erythropoiesis and stimulants used for attention deficit disorder can improve
excessive fatigue in patients with cancer |
ある薬剤によりがん患者における重度の倦怠感が改善するとの記事がCochrane Database of Systematic Reviews 1号(2008)に掲載された。このレビューでは薬剤の有効性を評価した27のスタディ(患者計6,746人)を解析した。トライアルでは、注意欠陥障害に用いられる代表的な中枢刺激薬メチルフェニデート、エリスロポエチンおよびdarbepoietin、うつ病や不安障害に用いられる選択的セロトニン再取込み阻害薬パロキセチン、およびプロゲステロンについて評価した。14のスタディにおいて、エリスロポイエチンまたはdarbepoietinは通常の治療またはプラセボと比較し、がん関連の貧血を有する患者の倦怠感緩和に対する有効性が高いことが示された。しかし副作用により使用がしばしば制限された。2つのスタディから、メチルフェニデートのがんに関連した倦怠感を改善するプレリミナリーのエビデンスが得られた。抗うつ剤であるパロキセチンまたはプロゲステロンの効果を示唆するエビデンスを示したトライアルはなかった。筆者らは医師らに、患者らに倦怠感について尋ね、薬物療法または非薬物療法による緩和を考慮するよう呼びかけている。
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未治療の進行胃食道がんに対し、経口カペシタビン/オキサリプラチン/エピルビシンは5フルオウラシル/シスプラチン/エピルビシンの静注に匹敵する [2008-01-22]
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Oral
capecitabine/oxaliplatin/epirubicin is comparable to the intravenous option of
5-fluorouracil/cisplatin/epirubicin for untreated, advanced esophagogastric cancer |
未治療の進行胃食道がんに対し、経口カペシタビン/オキサリプラチン/エピルビシンは5フルオウラシル/シスプラチン/エピルビシンの静注に匹敵する、とNew
England Journal of Medicine 1月3日号に掲載された。Phase IIIのREAL2スタディでは手術不可または転移性の胃食道がん患者1,002人をカペシタビンまたはフルオウラシルとオキサリプラチンまたはシスプラチンを投与する群に無作為に割り付けた。全ての患者がエピルビシンの投与を受けた。組み入れ可能な患者は、組織学的に証明された食道、胃食道接合部、または胃の腺がん、扁平上皮がん、または未分化がんを有する18歳以上の者であった。全生存期間は経口療法群において静注療法群よりも有意に長く、経口療法群におけるハザード比は0.8であった。無増悪生存率および奏効率はフルオロウラシルで治療された患者よりもカペシタビンで治療された患者の方が高かったが、これらの差に有意差はなかった。
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エストロゲン/プロゲステロン併用ホルモン補充療法を3年以上行うことにより様々な型の乳房小葉がんのリスクが著明に上昇するようである [2008-01-22]
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Combined estrogen/progestin hormone replacement therapy for three or more years
appears to markedly increase risk for various forms of lobular breast cancer |
エストロゲン/プロゲステロン併用ホルモン補充療法を3年以上行うことにより様々な型の乳房小葉がんのリスクが4倍上昇するようである、とCancer Epidemiology,
Biomarkers and Prevention 1月号に掲載された。研究者らは1,500人以上の閉経後女性(乳がん患者1,044人:小葉がん324例、乳管−小葉混合がん196例、乳管がん524例およびコントロール469人)のデータを評価した。ホルモン療法を現在受けている者の、腫瘍サイズ、病期またはリンパ節転移の有無を考慮しない、小葉がんまたは乳管がんのリスクはそれぞれ2.7倍および3.3倍高かった。ホルモン療法を3年以上受けている者のみ小葉がんのリスクが高かった。乳管−小葉混合がんにおいては小葉がん有意の腫瘍のリスクを上昇させたが乳管がん有意の腫瘍のリスクは上昇させなかった。浸潤性小葉がんおよび乳管−小葉がんの発症率は米国において急速に上昇しており、1987〜1999年の間にそれぞれ52%および96%増加している。
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乳房コーンビームコンピュータ断層撮影により従来のマンモグラフィと同様の放射線量で非常に優れた組織コントラストが得られる [2008-01-15]
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Cone-beam breast computed tomography produces exceptional tissue contrast with
comparable radiation dose versus conventional mammography |
乳房コーンビームコンピュータ断層撮影により従来の2次元マンモグラフィと同様の放射線量で非常に優れた組織コントラストが得られまた撮影時間も短縮できる、とAmerican
Journal of Roentgenology 12月号に掲載された。コーンビーム法は広範囲のX線ビームとフラットパネルX線ディテクタを用いて3次元画像を作成する。スキャナーはテーブルの下に設置し、患者はそのテーブルの上に腹臥位になり開口部を通して乳房を突出させる。乳房のみが放射線に暴露され、撮影は患者を静止させた状態で1分以内に終了する。乳房との接触や乳房の圧迫は必要ない。切除乳房12検体のスタディの結果、重なる組織がないためノイズは少なく、皮膚、脂肪、腺、および癌組織内の小さな石灰化などの解剖は一貫して良好に解像できた。
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喫煙や飲酒に関連した頭頸部癌の病因はヒトパピローマウイルスに関連した癌のそれとは異なるようである [2008-01-15]
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Pathogenesis
of head and neck cancer related to smoking and drinking appears to be different
than that of cancers related to human papillomavirus infection |
喫煙や飲酒はヒトパピローマウイルス16(HPV16)感染者の頭頸部癌リスクをさらに高めることはないため、頭頸部癌には2つの別個の病因があり、各々に特異的な予防および治療が必要となる可能性がある、とJournal
of the National Cancer Institute 12月号に掲載された。研究者らは頭頸部癌を有する患者485人および年齢、性別及び居住地域を密接にマッチさせた癌を有さないコントロール549人を調査した。全ての対象者に対して生涯の喫煙および飲酒に関し質問し、血液検査でHPV16抗体を測定した。研究者らは、喫煙および飲酒がHPV16を有する人々の癌のリスクをさらに上昇させないとの結果を得た。部位ごとの最も強力なリスクファクターは、喉頭がんで喫煙、口腔癌で飲酒、喉のがんでHPVであった。筆者らは、ウイルスに関連した頭頸部癌の主な対象集団である男性および男児に対するHPVワクチンの試験を行なうことの必要性を主張している。
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2007年の臨床腫瘍学の重要な進歩には腎、肝、乳房、肺、および頭頸部がんにおける進歩が含まれる [2008-01-08]
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Important advances in clinical oncology in 2007 include progress against cancers
of the kidney, liver, breast, lungs, and head and neck |
2007年には臨床腫瘍学の重要な進歩が認められた、とAmerican Society of Clinical Oncology(ASCO)が報告した。ある大規模なスタディの結果、進行性肝がんに対しsorafenibを内服した患者は内服しなかった患者と比較し約44%長く生存したことが示された。他の研究者らは標準的な腎がん治療にベバシズマブを追加することにより、無増悪生存期間が倍近くとなったことを明らかにした。乳がんのハイリスク患者のスクリーニングには磁気共鳴画像がマンモグラフィよりも優れているが、その適応に関してはより明らかにされる必要がある。ヒトパピローマウイルスはいくつかの頭頸部がんの72%に存在することが明らかとなり、ウイルスの存在と予後良好には相関があることが示された。2つのスタディにより、近年の乳がん発症率の低下はホルモン補充療法施行が減少したことと関連がありそうであることが報告された。研究者らは、進行小細胞肺がん患者に対する脳全体の放射線照射により脳転移のリスクが有意に減少することを明らかにした。
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初回トライアルのデータにより、新たに多発性骨髄腫と診断された患者において、bortezomib、lenalidomideおよびデキサメタゾンにより非常に高い奏効率が得られることが示された [2008-01-08]
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Initial
trial data show that bortezomib, lenalidomide, and dexamethasone produce a very
high response rate in patients with newly diagnosed multiple myeloma |
Phase IIトライアルの初回データにより、新たに多発性骨髄腫と診断された患者において、bortezomib、lenalidomideおよびデキサメタゾンにより非常に高い奏効率が得られることが示された、とAmerican
Society of Hematology学会において発表された。これまでに評価された42人の患者におけるこの三剤併用療法による全奏効率は98%であった。さらに、52%の患者が質の高い奏効(非常に良好な部分奏効以上)を示し、30%は完全奏効に至った。同様の併用療法は治療成功後再発した多発性骨髄腫患者、または標準的な治療が奏効しなかった患者に対し有効であることが既に示されている。このトライアルの奏効率は一部の患者においては1年以上持続しており、長期にわたり有効なようである。最終の組み入れおよび結果は2008年の予定である。
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