糖尿病患者において低血糖ダイエットは高繊維ダイエットよりも血糖コントロールおよび心血管リスクファクターをより改善する [2008-12-22]

In patients with diabetes, low-glycemic diet shows greater improvement in glycemic control and cardiovascular risk factors than high-fiber diet
ナッツや豆、レンズ豆など低血糖ダイエットを行う2型糖尿病患者は穀物繊維を多く摂るダイエットを行う者よりも血糖コントロールや冠動脈疾患のリスクファクターの改善が良好である、とJAMA 12月17日号に掲載された。カナダの研究者らは血糖降下薬による治療を受けている2型糖尿病患者210人を、低グリセミックインデクスダイエットまたは高穀物繊維ダイエットを6ヵ月施行する群に無作為に割り付けた。その結果、ヘモグロビンA1c(HbA1c)は低グリセミックインデクスダイエット群で0.50%HbA1c絶対単位低下したのに対し高穀物繊維ダイエット群では0.18%HbA1c絶対単位の低下であった。有意な治療効果が認められた:低グリセミックインデクスダイエット群ではHDL-Cが1.7mg/dL増加したが高穀物繊維食群では0.2mg/dL減少した。LDL- C:HDL-C比は低グリセミックインデクス群において高穀物繊維食群よりもより大きく低下した。HbA1cの低下は軽度であったが筆者らは、合併症予防のために厳密な血糖コントロールをゴールとしている糖尿病領域においてはこの値は重要である、と述べている。

心筋梗塞後の線維化を軽減するメカニズムが発見された [2008-12-22]

Mechanism found to reduce fibrosis following a myocardial infarction
米国の研究者らは、心筋梗塞後の線維化に重要な役割を果たすある蛋白を発見したと確信している、とNature Cell Biology 12月14日号オンライン版に掲載され、次の1月号に大々的に取り上げられる。研究者らはマウスのゲノムからSfrp2と呼ばれる遺伝子を取り除き、マウスがsFRP2蛋白を生産するのを抑制した。その結果、この遺伝子を有さないマウスは、DNAにこの遺伝子を有している普通のマウスと比較し瘢痕組織が少ないことが示された。この試験マウスはまた心機能の回復が速く、このため筆者らはこの蛋白が心筋梗塞後の心筋瘢痕化および硬化に直接影響していると確信している。彼らはsFRP2蛋白が、瘢痕組織内堆積物の主要成分である成熟コラーゲンの前駆物質であるプロコラーゲンの生成を促進することにより作用すると考えた。研究者らは、この結果によりこのダメージを予防する新たな治療法が開発されるであろうと考えている。

救急治療室でのポータブルCTスキャンにより虚血性脳卒中の診断および治療が速まる [2008-12-16]

Portable CT scanner in the emergency room speeds diagnosis and treatment of ischemic stroke
救急治療室においてポータブル8スライスコンピュータ断層撮影(CT)が使用可能となることにより、虚血性脳卒中の診断および治療までの時間が有意に短縮できるとRadiological Society of North America (RSNA)学会で発表された。研究者らは、ポータブルCTスキャン使用前に脳卒中の徴候で来院した患者127人とポータブルCTスキャンが使用可能になった後に同様の症状で来院した患者281人の予後を比較した。ポータブルCTスキャンが使用可能となる前は、患者はCTスキャンのために他の建物に移動しなくてはならなかった。救急治療室でCTスキャンが使用可能になったことで、検査オーダーから検査までの時間が34.55分(±2.2分)から15.88分(±2.4分)へと54%短縮した(p<0.001)。シミュレーションモデルに基づき研究者らは、この改善により発症から3時間以内に血栓溶解療法を受けられる患者の数が86%増加するであろうと推測している。

脳卒中後6ヵ月以上経過しても意義あるリハビリテーションが可能であることが機能的MRIにより示された [2008-12-16]

Functional MRI shows significant rehabilitation is possible more than 6 months after stroke
研究者らは、手動ロボット装置と機能的MRI(fMRI)を用いて慢性脳卒中患者はこれまで考えられていたよりもリハビリ有効期間が長いことを明らかにした、とRadiological Society of North America (RSNA)学会で発表された。このスタディは、fMRIを用いて脳の地図を描き脳卒中リハビリテーションを追跡した初めてのものである。脳卒中発症後6ヵ月以上経過して開始した8週間のハンドグリップ運動の結果、前頭皮質の活性が上昇した。スタディのために患者らは特別なMR対応ロボット装置を1日1時間週3回、4週間握った。前頭皮質のfMRIをベースライン、トレーニング中、トレーニング終了直後、およびトレーニング終了から1ヵ月後に行った。トレーニング前には患者らの前頭皮質活性は8週間のトレーニング後と比較し有意に低かった(p<0.05)。上昇した皮質活性は1ヵ月後のフォローアップ時にも持続しており、リハビリテーションの持続性が示唆された。筆者らは、この結果から、これまで考えられていたよりも脳卒中後長期経過した後の脳でも順応性があり、そのため6ヵ月経過してもリハビリテーションが可能であることが示唆された、と述べている。

テレメディスンを用いて専門治療を拡大することにより脳卒中の予後が改善する可能性がある [2008-12-09]

Extending specialized care through telemedicine may improve stroke outcomes
テレコミュニケーションを用いて大規模な脳卒中センターからサポートを受けられる地域病院で脳卒中専門治療を受けた脳卒中患者は、生存および自立生活をする可能性が有意に高いとのスタディ結果がStroke誌に掲載された。完全な脳卒中ケアのためのテレメディカルプロジェクト:Telemedical Project for Integrative Stroke Care(TEMPiS)において研究者らは、脳卒中専門治療を南東ドイツバーバリアン地区の広い範囲まで拡大することの実現可能性および潜在価値について調査した。研究者らは5つのTEMPiS病院で治療を受けた脳卒中患者の予後と地理的に同じ地域のTEMPiSでない5つの病院の患者の予後を比較した。このスタディには3,060人の脳卒中患者が組み入れられ、うち1,938人はTEMPiS病院で、1,122人は他の病院で治療を受けた。初回結果によると、テレメディスンによるサポートを受けて脳卒中専門治療を受けた患者の方が3ヵ月後の予後は良好であり、特に死亡および独立性を合計したエンドポイント率が有意に低かった。TEMPiS病院で治療を受けた患者はTEMPiSでない病院で治療を受けた患者と比較し、死亡および12ヵ月後の介護を必要とする可能性が35%低く、30ヵ月後のこの不良な予後の可能性が20%低かった。

心血管疾患を治療するに当たってブランドネーム医薬品はジェネリック医薬品と比較し優れているわけではないようである [2008-12-09]

Brand-name drugs do not appear superior to generic drugs for treating cardiovascular diseases
ブランドネーム医薬品がジェネリック医薬品よりも優れているとのエビデンスはないとの、心血管疾患治療におけるジェネリック医薬品とブランドネーム医薬品を比較したスタディを調査した論文が、JAMA 12月3日号に掲載された。研究者らは1984〜2008年8月までに公表されたスタディ結果のメタ解析を行った。9つの異なるサブクラスの心血管疾患治療薬を含む47の論文を引用し詳細な解析を行い、うち38(81%)は無作為化コントロールトライアル(RCT)であった。ベータ遮断薬に関しては7つのRCT中7つ(100%)、利尿薬に関しては11のRCT中10(91%)、カルシウム拮抗薬に関しては7つのRCT中5つ(71%)、抗血小板薬に関しては3つのRCT中3つ(100%)、スタチンに関しては1つのRCT中1つ(100%)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬に関しては1つのRCT中1つ(100%)、そしてα遮断薬 に関しては1つのRCT中1つ(100%)において、臨床上成績が同等であったと記載されていた。治療域の狭い薬剤では、クラスI抗不整脈薬に関して1つ中1つ(100%)で、ワーファリンに関しては5つ中5つ(100%)で臨床上成績が同等であった。

突然の心停止の際に異常な呼吸をするのは生存の確率が非常に高いサインである [2008-12-02]

Abnormal breathing during sudden cardiac arrest signals greater chance of survival
突然の心停止により倒れたあとに異常な呼吸やあえぎをする者は生存の確率が高い、とCirculation 11月26日号に掲載された。米国の研究者らは心停止した人々のあえぎの頻度を確認し、あえぎの頻度が生存率に影響するかを調査した。2008年1月に発生した目撃者のいるまたはいない心停止113件のうち39%があえぎ(いびき、シューシュー、ゴロゴロ、うなり声、あるいは苦しみもだえるような、かろうじての、うるさい、激しい呼吸などと表現される音)をしていた。救急医療サービス(EMS)担当者のファーストケアの報告の結果、あえぎはEMS到着後に心停止した者の32.8%、EMSが7分未満に到着した場合の20.1%、EMSが7〜9分で到着した場合の13.9%、9分以降に到着した場合の7.4%に認められた。あえぎの見られる率はEMS到着時間が増えるとともに低下した。通行人によるCPRが行われたのはあえぎをした患者のうち40%であり、あえぎのなかった患者のうち39%であった。通行人によるCPRを受けた患者481人のうち生存したのはあえぎ患者で39%であり、あえぎのなかった患者では9.4%であった。通行人によるCPRを受けなかった患者737人のうち生存したのはあえぎ患者の21.1%であり、あえぎのなかった患者では6.7%であった。

妊娠中の喫煙は子供の頸動脈内膜中膜複合体を肥厚させる [2008-12-02]

Smoking during pregnancy associated with increased carotid artery intima-media thickness in offspring
母親が妊娠中に喫煙をしていた子供は非喫煙者の子供と比較し青年期の動脈の損傷が大きく、この関連性は両親ともに喫煙しているとさらに強く認められる、とArteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology に掲載された。オランダの研究者らにより、母親が妊娠中に喫煙していた子供の青年期の頸動脈内膜中膜複合体厚が非喫煙者の子供のそれよりも13.4μm厚いことが示された。この相関は、年齢、性別、body mass indexおよびコレステロール値で補正した後も認められた。このスタディでは喫煙者が多く見られた1970年代に誕生した平均年齢28歳の若年成人732人を対象とした。29%の母親が妊娠中に喫煙し、60%を超える父親が喫煙者であった。研究者らは、喫煙をする母親の子供は出生時に身長体重ともに小さく、成人期の体重が多く青年期に喫煙する傾向にあることを明らかにした。しかし、父親のみが喫煙している場合には、この関係は認められなかった。
 
 

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